胃内視鏡検査とは?流れ・特徴・受ける前のポイント
胃内視鏡検査は、細いカメラを搭載したスコープを使って食道・胃・十二指腸を直接観察する検査です。X線を使うバリウム検査とは異なり、粘膜の状態をリアルタイムで確認でき、早期の異常を発見しやすい点が特徴です。本記事では、胃内視鏡検査の目的・種類・流れ・受ける前のポイントについて、消化器専門医の監修のもと詳しく解説します。
▶ 検査全般の比較については、親ピラーページ「バリウム・胃カメラ・大腸カメラの違いと選び方」もあわせてご参照ください。
■ 胃内視鏡検査とは
▼ 胃内視鏡検査でわかること
胃内視鏡検査では、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察します。胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ポリープ、逆流性食道炎、さらに胃がんの早期病変など、幅広い疾患の確認に役立ちます。また、疑わしい病変があれば検査中に組織の一部を採取し(生検)、病理検査に提出することも可能です。
▼ 胃カメラとの違い
「胃カメラ」と「胃内視鏡検査」は医学的に同じ検査を指します。かつては小型カメラを飲み込む方式(カプセル型)が「胃カメラ」と呼ばれていた時代もありましたが、現在は内視鏡スコープを用いた検査が主流であり、一般的にどちらの名称を使っても同じ検査を意味します。
▼ どのような人にすすめられるか
胸やけ・胃もたれ・みぞおちの痛みなどの症状が続く方、40歳以上で胃がんリスクが高まる年齢の方、ピロリ菌感染が疑われる方、家族に胃がん患者がいる方などに検討が推奨されます。日本消化器がん検診学会のガイドラインでも、胃がん検診における内視鏡検査の有用性が示されています。
■ 胃内視鏡検査を受ける目的
▼ 胃がんや胃炎などの早期発見
胃がんは早期に発見できれば治療の選択肢が広がります。内視鏡検査は、粘膜表面の微細な変化も直接観察できるため、早期胃がんの発見に有効とされています。胃炎や潰瘍の状態把握にも役立ちます。
▼ 症状があるときの原因確認
胃痛・胸やけ・吐き気・食欲不振などの症状が続く場合、その原因を確認するために行われます。症状の原因を特定することで、適切な治療方針につなげることができます。
▼ 健診・人間ドックで受ける意味
症状がなくても、定期的な検診として受けることに意義があります。無症状でも病変が見つかるケースがあるため、健診や人間ドックの一環として定期的に受診することが推奨される場合があります。
■ 胃内視鏡検査の種類と特徴
▼ 経口内視鏡と経鼻内視鏡
経口内視鏡は口からスコープを挿入する方法で、スコープ径が比較的太く鮮明な画像が得られます。一方、経鼻内視鏡は鼻から細いスコープを挿入するため、咽頭(のど)を通過する際の嘔吐感(オエッとなる感覚)が少ないとされています。ただし、経鼻は画質がやや劣る場合があり、鼻腔の形状によっては適さないこともあります。
▼ 鎮静剤を使う場合と使わない場合
鎮静剤(静脈麻酔)を使用することで、うとうとした状態で検査を受けられる「鎮静内視鏡」という方法があります。不快感や緊張を軽減できる点が利点ですが、検査後一定時間の安静が必要で、当日の車・バイク・自転車の運転はできません。施設によって対応状況が異なります。
▼ バリウム検査との違い
バリウム検査はX線を使って胃の形や輪郭の異常を確認する検査です。一方、内視鏡検査は粘膜を直接目で見て確認でき、生検(組織採取)も可能です。それぞれに特徴があり、目的や状況に応じて選択されます。詳しくは「胃カメラとバリウムはどっちが辛い?違いと対策」もご参照ください。
■ 胃内視鏡検査の流れ
■ 胃内視鏡検査を受ける前のポイント
▼ 食事制限と水分摂取
前日夜から絶食が必要です。当日は検査終了まで食事は禁止ですが、水や白湯は少量であれば許可されることが多いです。詳細は受診する施設の指示に従ってください。
▼ 服薬中の薬の確認
血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を内服中の方は、生検を行う際に出血リスクが高まるため、事前に医師または薬剤師へ必ず相談してください。糖尿病の薬やインスリンの調整も必要になる場合があります。
▼ 持病がある場合の注意点
心臓病・肺疾患・緑内障・前立腺肥大など持病のある方は、使用できる薬剤や検査方法に制限が生じることがあるため、受診時に必ず申告してください。
▼ 検査を受ける際の服装や持ち物
締め付けの少ない楽な服装が適しています。保険証・お薬手帳・健診結果や紹介状(お持ちの方)を持参するとスムーズです。鎮静剤を使用する予定の場合は、当日の車・バイク・自転車での来院は避けてください。
■ 胃内視鏡検査で注意したいこと
▼ 苦痛や不快感について
経口内視鏡ではスコープが咽頭を通過する際に嘔吐感を覚える方がいます。経鼻内視鏡や鎮静剤の活用で不快感を軽減できる場合があります。苦痛が心配な場合は事前に医師へ相談しましょう。
▼ 合併症のリスクと頻度
胃内視鏡検査は比較的安全性の高い検査ですが、まれに出血・穿孔(穴があく)などの合併症が起きる可能性があります。日本消化器内視鏡学会のデータでは重篤な合併症の頻度は非常に低いとされていますが、ゼロではありません。生検後の出血についても施設の指示に従った行動が重要です。
▼ 鎮静剤使用後の注意点
鎮静剤を使用した場合、検査後に眠気やふらつきが残ることがあります。当日は車・バイク・自転車の運転を避け、公共交通機関を利用してください。重要な判断が必要な業務なども当日は控えることが望ましいです。
■ 胃内視鏡検査を受けるべき受診の目安
▼ 胃痛・胸やけ・吐き気が続く場合
胃痛や胸やけ、吐き気が2週間以上続く場合は、原因を確認するために受診を検討してください。市販薬で一時的に症状が和らいでも、根本的な原因が残っている可能性があります。
▼ 黒い便・体重減少・貧血がある場合
黒いタール状の便(消化管からの出血を示すことがあります)、原因不明の体重減少、貧血の指摘があった場合は、早めに受診してください。
▼ 既往歴や家族歴がある場合
ピロリ菌感染の既往・除菌歴がある方、胃潰瘍・胃ポリープの既往がある方、家族に胃がん患者がいる方は、定期的な内視鏡検査を担当医と相談することをお勧めします。
■ 胃内視鏡検査を受ける施設選びのポイント
■ 医師が解説する胃内視鏡検査の受け方
▼ 検査への不安を減らすために知っておきたいこと
「痛そう」「苦しそう」というイメージから検査をためらう方は少なくありません。しかし、経鼻内視鏡や鎮静剤の選択肢があることで、多くの方が比較的楽に検査を受けられるようになっています。不安がある場合は、受診前に具体的な懸念点を医師に伝えることが重要です。また、「胃カメラの特徴と検査前に知りたいポイント」も参考にしてみてください。
▼ 相談時に伝えておきたい症状や既往歴
受診の際は、症状の内容・いつから続いているか・服用中の薬・アレルギー・持病・これまでの手術歴・家族の病歴などをあらかじめまとめておくと、診察がスムーズになります。お薬手帳があれば必ず持参してください。
■ よくある質問(FAQ)
▼ 胃内視鏡検査はどのくらい時間がかかりますか?
検査自体は通常5〜15分程度ですが、前処置・当日の問診・検査後の安静時間を含めると、来院から帰宅まで1〜2時間程度を見込んでおくと安心です。鎮静剤を使用する場合はさらに時間がかかることがあります。
▼ 胃内視鏡検査は痛いですか?
「痛い」というより「不快感がある」と表現する方が多いです。特に咽頭を通過する際の嘔吐感が主な不快感として挙げられます。経鼻内視鏡や鎮静剤の使用で軽減できる場合がありますので、心配な方は事前に相談してください。
▼ 検査後に食事はいつからできますか?
のどの麻酔が切れた後(目安として30〜60分後)から食事が可能になるのが一般的です。生検を行った場合は、当日は刺激の少ない食事が推奨されることがあります。施設の指示に従ってください。
▼ 鎮静剤を使った後は車を運転できますか?
鎮静剤を使用した当日は、眠気やふらつきが残る可能性があるため、車・バイク・自転車の運転は避けてください。公共交通機関を利用するか、付き添いの方と一緒に帰宅することをお勧めします。
▼ 検査結果はその場でわかりますか?
観察のみであれば、検査終了後に医師から所見の説明を受けられます。ただし、生検(組織採取)を行った場合は、病理検査の結果が出るまでに通常1〜2週間程度かかります。
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■ 本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
▼ 略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
▼ 公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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