中性脂肪を下げるためには、食事・運動・飲酒習慣の見直しを組み合わせた生活習慣の改善が基本となります。数値が高いと指摘されても、正しい知識を持ち、無理なく継続できる方法を選ぶことで、改善が期待できる場合があります。本記事では、中性脂肪が高くなる原因から、日常生活でできる具体的な対策まで、内科医の監修のもとわかりやすく解説します。
中性脂肪(トリグリセリド)は、体内でエネルギーを蓄える脂質の一種です。食事から摂取した糖質・脂質・たんぱく質が余ったとき、肝臓で中性脂肪に変換されて脂肪組織に蓄えられます。エネルギー源として重要な役割を果たしている一方、過剰になると健康上の問題につながります。詳しくは中性脂肪とは?特徴と使い方を内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご覧ください。
中性脂肪が慢性的に高い状態(高トリグリセリド血症)が続くと、動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まる可能性があります。また、非常に高い値では急性膵炎を引き起こすこともあります。日本動脈硬化学会のガイドラインでは、脂質異常症の管理における重要な指標として位置づけられています。
空腹時採血における中性脂肪の基準は以下のとおりです(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より)。
健康診断で「高め」と指摘された場合は、まず生活習慣を見直すことが勧められます。
糖質(白米・パン・菓子・清涼飲料水など)や脂質を過剰に摂取すると、余ったエネルギーが中性脂肪として蓄積されます。特に果糖(フルクトース)は肝臓での中性脂肪合成を促進しやすいとされています。
アルコールは肝臓での中性脂肪合成を高める作用があります。毎日飲酒する習慣がある方や、一度に多量に飲む方は中性脂肪が上昇しやすい傾向があります。
運動不足が続くと、エネルギー消費が減り中性脂肪が蓄積しやすくなります。特に内臓脂肪の増加は、中性脂肪値の上昇と関連しています。
家族性高トリグリセリド血症などの遺伝的要因のほか、甲状腺機能低下症・糖尿病・腎疾患、また一部の降圧薬やステロイド薬の使用によっても中性脂肪が上昇することがあります。数値が高い場合は原因となる疾患がないか医師に確認することが大切です。
中性脂肪の改善においては、まず食事・運動・飲酒習慣の見直しが推奨されています。薬物治療が必要な場合でも、生活習慣の改善は並行して継続することが基本とされています。
中性脂肪は食事や運動の影響を受けやすい反面、一時的な変化では長期的な改善につながりません。数週間から数ヶ月単位で継続することが重要です。
「すべてを一度に変えよう」とすると続きにくくなることがあります。食事・運動・飲酒のうち、取り組みやすいものから一つずつ改善していく方法が現実的です。
白米・パン・麺類・甘い飲み物・菓子類の摂取量を見直すことが効果的とされています。一度に大量に食べるのではなく、量を調整することを意識しましょう。極端な糖質制限は体への負担になることがあるため、急激な制限は避けてください。
飽和脂肪酸(肉の脂身・バター・揚げ物など)のとりすぎは中性脂肪の上昇につながる可能性があります。調理法を「焼く・蒸す・煮る」に変えることも一つの工夫です。
夜遅い時間帯の食事は、エネルギーが消費されずに中性脂肪として蓄積しやすい状態になります。就寝3時間前には食事を終える習慣を意識することが勧められます。
野菜・きのこ・海藻・豆類などに含まれる食物繊維は、糖質や脂質の吸収をゆるやかにする働きがあります。毎食に一品、野菜や海藻を加える習慣が参考になります。
青魚(サバ・イワシ・サンマなど)に含まれるEPA・DHAは中性脂肪を下げる効果が研究で示されています(日本動脈硬化学会ガイドライン参照)。週に2〜3回程度、魚を食卓に取り入れることが勧められます。豆腐・納豆などの大豆製品も動物性脂肪の代替として有用です。
アルコールは肝臓での脂肪酸合成を促進し、中性脂肪を上昇させます。特に中性脂肪が高めの方は、アルコールの影響を受けやすいとされています。
厚生労働省の「健康日本21」では、週に2日以上の休肝日を設けることが推奨されています。まずは週1〜2日から始め、徐々に増やしていくことが現実的です。
節度ある適度な飲酒量の目安として、純アルコール量で1日約20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合程度)が厚生労働省のガイドラインで示されています。中性脂肪が高い場合はさらに控えることが望ましいとされています。
ウォーキング・軽いジョギング・水泳・サイクリングなどの有酸素運動は、中性脂肪を消費しやすく、継続によって改善効果が期待されます。1回30分程度・週3〜5回を目安にすることが推奨されています。
エレベーターを使わず階段を利用する、一駅分歩く、通勤中にこまめに歩くなど、日常の中で「座りっぱなしを減らす」意識も有効です。
最初から高い目標を設定すると継続しにくくなることがあります。「1日10分のウォーキングから始める」「食後に少し歩く」など、小さな習慣から積み上げることが長続きのコツです。
お腹の脂肪を最速で落とすには?とは?特徴と使い方を内科医が解説【たまプラーザ】も参考に、体脂肪の減少と中性脂肪改善を組み合わせて取り組んでみましょう。
内臓脂肪が蓄積すると、脂肪組織から遊離脂肪酸が放出されやすくなり、肝臓での中性脂肪合成が促進されます。腹部肥満(ウエスト周囲径:男性85cm以上、女性90cm以上)のある方は特に注意が必要です。
急激なダイエットは筋肉量の低下や栄養不足を招くことがあります。月1〜2kg程度の緩やかな減量を継続することが、中性脂肪改善の観点からも推奨されています。
生活習慣を3〜6ヶ月改善しても数値が基準を超えている場合や、心血管リスクが高い方では、薬物療法が検討されることがあります。
フィブラート系薬・EPA製剤(オメガ3脂肪酸製剤)などが中性脂肪の治療薬として使用されることがあります。また、非常に高値(500mg/dL以上)の場合は膵炎リスクがあるため、速やかな医療機関への受診が望ましいです。
処方された薬は、自己判断で中断せず、必ず主治医に相談のうえで対応を決めてください。症状がないからといって薬を止めることは、再上昇のリスクを高める可能性があります。
内科・循環器内科・代謝・内分泌内科が主な受診先となります。かかりつけ医にまず相談することが最初のステップとして適切です。
健康診断の結果だけでは判断しきれない場合もあります。空腹時採血での再確認や、LDLコレステロール・HDLコレステロール・血糖値・肝機能など関連する数値を合わせて確認することが一般的です。
脂質異常症はLDLコレステロールの高値やHDLコレステロールの低値とともに評価されます。中性脂肪のみが高い場合でも、総合的な心血管リスクを医師と確認することが重要です。
- 朝食:野菜・豆腐・納豆など食物繊維・たんぱく質を意識した一品を加える
- 昼食:定食形式にして副菜の野菜を確保する。麺類のみの食事は控える
- 夕食:炭水化物を少し減らし、魚・豆腐・野菜を中心に。食べる時間を早めにする
定食メニューを選ぶ、野菜サラダや海藻サラダをプラスする、揚げ物よりも焼き魚や煮物を選ぶ、甘い飲料を水や無糖のお茶に替えるといった工夫が参考になります。
完璧を目指すより「昨日より少し良く」を意識することが継続につながります。記録アプリで食事や歩数を可視化する方法も、モチベーション維持に役立つことがあります。
糖質を極端に制限すると、脂質の摂取が過剰になったり、筋肉量が減少したりする可能性があります。バランスのよい食事を基本に、無理のない範囲で調整することが大切です。
EPA・DHAを含むサプリメントは補助的な役割として使われることがありますが、医薬品ではないため効果・安全性に個人差があります。すでに服薬中の方は相互作用に注意が必要なため、医師・薬剤師に相談してから使用してください。
糖尿病・甲状腺疾患・腎疾患などがある方は、中性脂肪の管理方法が異なる場合があります。自己判断で食事・運動を大きく変える前に、主治医に相談することをお勧めします。
食事・運動・飲酒の改善を継続した場合、早ければ数週間〜1〜2ヶ月で変化が現れることがありますが、個人差があります。生活習慣の改善は少なくとも3ヶ月程度継続して評価することが一般的です。
空腹時(原則10時間以上の絶食後)の採血で170mg/dL以上の場合は、高トリグリセリド血症の可能性があります。まずは内科に受診し、生活習慣の改善について医師に相談することをお勧めします。500mg/dL以上の非常に高い値は早めの受診が望ましい状態です。
どちらも血液中の脂質ですが、役割が異なります。コレステロールは細胞膜やホルモンの材料となる脂質で、中性脂肪はエネルギーを蓄える脂質です。どちらも過剰になると動脈硬化のリスクに関わります。健診では両方を確認することが大切です。
青魚(サバ・イワシ・サンマなど)に含まれるEPA・DHAは中性脂肪を下げる働きが研究で示されています。食物繊維が豊富な野菜・きのこ・海藻、大豆製品なども中性脂肪対策に有用とされています。ただし、特定の食品だけで数値が劇的に変わるわけではなく、食事全体のバランスを整えることが重要です。
健康診断で170mg/dL以上と指摘された場合は、内科への受診を検討することをお勧めします。特に500mg/dL以上では急性膵炎のリスクがあるため、早めに医療機関を受診してください。境界域(150〜169mg/dL)の場合も、生活習慣の改善を行いながら定期的に数値を確認することが大切です。受診のタイミングや検査内容については、ご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。
- 【親ピラーページ】16時間ダイエットとは?選び方・使い方を内科医が解説【たまプラーザ】
- 中性脂肪とは?特徴と使い方を内科医が解説【たまプラーザ】
- お腹の脂肪を最速で落とすには?とは?特徴と使い方を内科医が解説【たまプラーザ】
- 16時間断食とは?特徴と使い方を内科医が解説【たまプラーザ】
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
たまプラーザで内科・消化器の気になる症状がある方、健診で中性脂肪の数値を指摘された方へ。受診の目安や生活習慣の改善方法、必要な検査についてお気軽にご相談ください。
ご予約・お問い合わせ
TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)
初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。