低フォドマップ食品一覧とは?原因・症状・対処を内科医が解説
「お腹の張りや下痢が続いている」「食事のたびに腹痛が起きる」という方に、近年注目されているのが低フォドマップ食(低FODMAP食)です。特定の発酵性糖質を含む食品を一時的に控えることで、腸への刺激を和らげ、過敏性腸症候群(IBS)などの消化器症状の改善が期待できる食事法として、国際的なガイドラインでも言及されています。本記事では、低フォドマップ食品一覧をわかりやすくまとめるとともに、症状の目安や始め方、注意点を内科医の監修のもと解説します。
本記事はあくまで一般的な医学情報の提供を目的としています。診断・治療は必ず医師の診察のもとで行ってください。
低フォドマップ食品一覧とは?まず知っておきたい基本
FODMAPとは何か
FODMAPとは、小腸で吸収されにくく腸内で発酵しやすい糖質の総称です。以下の頭文字をとった造語です。
これらの成分が腸内で水分を引き込んだり、腸内細菌に分解されてガスを発生させたりすることで、過敏な腸を持つ方に不快な症状を引き起こすことがあります。
低フォドマップ食が注目される理由
オーストラリアのモナシュ大学が提唱した低FODMAP食は、IBS患者の約60〜75%に症状改善効果があったとされる複数の研究によって裏付けられており(出典:Halmos EP et al., Gastroenterology 2014)、日本消化器病学会のIBS診療ガイドラインでも食事療法の一つとして取り上げられています。
低フォドマップ食はどんな人に向いているか
- 過敏性腸症候群(IBS)と診断された方
- 慢性的な腹部膨満感・ガスに悩む方
- 食後の腹痛や下痢・便秘を繰り返す方
ただし、炎症性腸疾患・消化管の器質的疾患が疑われる場合は、まず医師の診察が優先されます。
低フォドマップ食で改善が期待される症状
お腹の張り
食後に下腹部がパンパンに張る感覚は、FODMAPが腸内で水分を引き込み、腸管を拡張させることが一因と考えられています。
腹痛
過敏な腸では、ガスや腸の拡張が痛みの刺激として感じられやすくなります。低FODMAP食によってこの刺激を減らすことが期待されます。
下痢
浸透圧性の下痢はFODMAPによる水分増加が関与することがあります。特に乳糖・果糖が多い食品の制限で改善するケースがあります。
便秘
腸の動きのバランスが崩れることで便秘型IBSにも発展します。食物繊維のバランスを見直しながらFODMAPを調整することが重要です。
ガスがたまりやすい
豆類や小麦などのオリゴ糖が腸内細菌に分解される際にガスが生じます。これらを一時的に制限することで改善が見込まれます。
低フォドマップ食品一覧【食べやすい食品】
穀類・主食
- 白米・玄米・米粉パン
- オートミール(少量)
- そば(十割)・グルテンフリーパスタ
- コーンフレーク(無添加)
肉・魚・卵
- 鶏肉・豚肉・牛肉(加工品・タレ未使用のもの)
- 魚介類全般(ソース・漬け込み未使用)
- 卵
野菜
- にんじん・なす・ほうれん草・トマト(少量)
- じゃがいも・かぼちゃ・ズッキーニ
- ピーマン・きゅうり・チンゲン菜・もやし
果物
- バナナ(熟しすぎていないもの)・ぶどう
- オレンジ・みかん・キウイ・いちご
- メロン(少量)
乳製品・代替食品
- ラクトースフリー牛乳・豆乳(オーツミルクは少量)
- ハードチーズ(チェダー・パルメザン等)
- バター・マーガリン
飲み物
- 水・緑茶・紅茶・コーヒー(少量)
- 米粉や豆乳をベースにしたスムージー
調味料・油脂類
- 醤油(少量)・みそ(少量)・塩・こしょう
- オリーブオイル・ごま油
- マヨネーズ・マスタード(無添加のもの)
高フォドマップ食品一覧【避けたい食品】
穀類・パン・麺類
- 小麦粉を使ったパン・うどん・パスタ
- ライ麦パン・クロワッサン
野菜
- 玉ねぎ・にんにく・長ねぎ(白い部分)
- カリフラワー・ごぼう・セロリ・アスパラガス
果物
- りんご・梨・桃・スイカ・プラム
- ドライフルーツ全般・果汁100%ジュース(大量)
乳製品
- 普通牛乳・ヨーグルト・アイスクリーム・生クリーム(乳糖が多いもの)
豆類・大豆製品
- 大豆・ひよこ豆・レンズ豆
- 豆腐(木綿・絹)は少量なら可の場合もあります
甘味料・加工食品
- はちみつ・高果糖コーンシロップ
- ソルビトール・マルチトールなどを含む人工甘味料
- 市販のスープや調味料(玉ねぎ・にんにく成分含有のもの)
低フォドマップ食の始め方
まずは「除去期」を短期間で行う
高FODMAP食品を2〜6週間程度控える「除去期」から始めます。この期間で症状の変化を観察します。期間が長すぎると栄養バランスに影響が出るため、目安を守ることが大切です。
再導入で自分に合わない食品を確認する
除去期の後は、1種類ずつ食品を再導入し、症状が出るかを確認する「再導入期」へ進みます。すべてのFODMAPが自分に合わないわけではなく、個人差があります。
完全除去ではなく食べられる範囲を探す
目標は「完全除去」ではなく、自分が許容できる食品・量を把握することです。過度な制限は栄養不足や食事の楽しみの喪失につながるため、専門家のサポートを活用するとよいでしょう。
低フォドマップ食の注意点
栄養バランスが偏らないようにする
除去期間中はカルシウム・食物繊維・ビタミン類が不足しがちです。主食を米に変えながら野菜・タンパク質を意識的に補いましょう。
主食・食物繊維不足に気をつける
小麦を控えると主食が偏ることがあります。白米や米粉製品を活用し、低FODMAP野菜から食物繊維を摂取する工夫を。
自己流で長期間続けない
低FODMAP食は医学的根拠のある食事療法ですが、適切な指導なしに長期間継続すると栄養欠乏のリスクがあります。消化器を専門とする医師や管理栄養士への相談をおすすめします。
外食やコンビニでの選び方
- コンビニ:おにぎり(鮭・梅)、焼き鳥(塩)、ゆで卵、ヨーグルトフリー系飲料など
- 外食:定食(白米+焼き魚)、そば(ただし汁のだし・タレに注意)
玉ねぎやにんにくを多く使う洋食・ラーメン・カレーは高FODMAP成分を含みやすいため注意が必要です。
受診の目安
低フォドマップ食を試しても症状が続く場合
2〜4週間の除去期を経ても症状の変化がない場合は、IBSではなく別の原因が考えられます。医師の診察を受けてください。
血便、体重減少、発熱がある場合
これらは消化器の器質的疾患(炎症性腸疾患・大腸がん等)のサインである可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。
夜間に強い症状がある場合
睡眠を妨げるほどの腹痛・下痢は、機能性疾患以外を疑う必要があります。
生活に支障が出る場合
症状が仕事・学業・日常生活に影響している場合も、食事療法のみで対処せず、専門家に相談することをおすすめします。
ご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。
低フォドマップ食と過敏性腸症候群(IBS)の関係
IBSで食事療法が考えられる理由
IBSは腸の器質的異常はないものの、腹痛・便通異常が繰り返される機能性疾患です。日本消化器病学会のIBS診療ガイドライン(2020年改訂版)でも、食事療法が治療の一環として位置づけられており、低FODMAP食はその中でも有力なアプローチとされています。
また、食道裂孔ヘルニアを含む上部消化器の問題を合併している場合もあるため、全体的な消化器の評価が重要です。詳しくは食道裂孔ヘルニアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もご覧ください。
薬物療法や生活習慣の見直しが必要なこともある
IBS治療では、食事療法に加えて薬物療法(腸管機能調整薬・乳酸菌製剤など)や、ストレス管理・睡眠改善といった生活習慣の見直しが組み合わされることが一般的です。PPIなど消化器で用いられる薬についてはPPIとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。
当院での相談の流れ
症状の確認
腹痛・下痢・便秘・膨満感などの症状の種類・期間・頻度を確認します。食事内容や生活習慣についても伺います。
必要に応じた検査
血液検査・便検査、場合によっては大腸内視鏡検査などを行い、器質的疾患を除外します。
食事指導と治療方針の提案
IBS・機能性消化管障害と判断された場合は、低FODMAP食を含む食事指導とともに、薬物療法・生活習慣指導を組み合わせた治療方針をご提案します。
よくある質問(FAQ)
低フォドマップ食は誰でも行ってよいですか?
消化器に器質的な疾患がない方(IBSなど機能性疾患の方)を対象とした食事療法です。血便・急激な体重減少・発熱などがある場合は、まず医師の診察を受けてください。妊娠中・授乳中の方や成長期のお子さんへの適用は、医師・管理栄養士に相談のうえ慎重に判断してください。
低フォドマップ食品一覧は厳密に守る必要がありますか?
厳密に守ることが目的ではありません。除去期は比較的厳格に行いますが、その後の再導入期で個人差を確認し、「自分が食べられる食品・量」を把握することが本来の目標です。
いつまで続ければよいですか?
除去期は2〜6週間が目安です。その後は再導入期(個々の食品を試す期間)を経て、長期的には必要最小限のFODMAP制限にとどめるのが理想です。長期の完全除去は栄養バランスへの影響があるため推奨されません。
外食では何を選べばよいですか?
焼き魚定食・寿司(醤油少量)・そば(十割、汁は少量)・焼き肉(タレより塩)などが比較的選びやすいです。にんにく・玉ねぎを多く使うメニュー(ラーメン・カレー・洋風スープ)は高FODMAPになりやすいため注意が必要です。
低フォドマップ食だけで治りますか?
低FODMAP食は症状の管理に役立ちますが、IBSの「根本治療」ではありません。薬物療法・ストレス管理・腸内環境の改善などを組み合わせることが多く、医師のもとで総合的に取り組むことが重要です。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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