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膵臓痛みとは?原因・症状・対処を内科医が解説

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内科・消化器コラム

膵臓痛みとは?原因・症状・対処を内科医が解説

みぞおちや背中が痛む、食後に腹部が重い——そのような症状が続く場合、膵臓(すいぞう)の異常が関係していることがあります。膵臓の病気は初期症状が分かりにくく、症状が出てから受診までに時間がかかりやすい臓器のひとつです。本記事では、膵臓の痛みの特徴・原因・受診の目安について、消化器専門医の監修のもとで解説します。


膵臓の痛みとは?まず知っておきたい基本

膵臓はどこにある臓器か

膵臓は、胃の裏側に横たわるように位置する細長い臓器です。右端(頭部)は十二指腸に接し、左端(尾部)は脾臓(ひぞう)の近くにあります。消化酵素を含む「膵液」を分泌して食べ物の消化を助けるとともに、血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを産生する重要な役割を担っています。

膵臓の痛みで起こりやすい場所の特徴

膵臓は体の奥深くに位置するため、痛みは表面ではなく内部から感じる「深部痛」になりやすい傾向があります。みぞおちの奥や上腹部、さらに背中(背部)に広がるように感じられることが多く、前かがみになると少し楽になるという特徴も報告されています。

「膵臓が痛い」と感じやすい症状の例

  • 食後しばらくしてからみぞおちや上腹部が重くなる・痛む
  • 背中の奥がじわじわと痛む
  • 飲酒後に腹痛が出る
  • 何となく消化が悪い感じが続く

これらの症状は胃や腸の不調と混同しやすいため、症状が繰り返す・長引く場合は医療機関への相談が勧められます。


膵臓の痛みで考えられる主な原因

急性膵炎

急性膵炎は、何らかの原因で膵臓に急激な炎症が起きる疾患です。日本消化器学会のガイドラインによると、アルコールの過剰摂取と胆石が主な原因の大部分を占めるとされています。激しい腹痛・背部痛・嘔吐を伴い、重症化すると入院治療が必要になることがあります。

慢性膵炎

慢性膵炎は、長期にわたる炎症により膵臓の組織が徐々に障害される病気です。飲酒歴が長い方に多く、持続的または反復する腹痛・背部痛が特徴です。進行すると消化吸収障害や糖尿病を合併することがあります。

膵がん

膵がんは早期発見が難しく、体重減少・食欲低下・背部痛・黄疸(おうだん)などが現れた段階では進行していることが少なくありません。40歳以上で糖尿病の急激な悪化・新規発症がある場合や、慢性膵炎の既往がある場合は特に注意が必要です。

膵臓以外の病気が原因のこともある

胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胆石症、胆のう炎なども同様の部位に痛みを生じます。自己判断は難しいため、医療機関での検査が重要です。


膵臓の痛みにみられる症状の特徴

みぞおちから背中に広がる痛み

膵臓が炎症を起こすと、みぞおち周辺から背部にかけて「帯状」に広がる痛みが現れることがあります。この「背部放散痛」は膵臓疾患に特徴的とされています。

食後や飲酒後に悪化しやすい痛み

食事(特に脂肪分の多い食事)や飲酒は膵液の分泌を促すため、膵臓に炎症があると痛みが増強しやすくなります。

吐き気・嘔吐・発熱を伴う場合

急性膵炎では、強い腹痛とともに吐き気・嘔吐・発熱が現れることがあります。このような症状が急に出た場合は早急な医療機関の受診が必要です。

体重減少や食欲低下がある場合

数週間〜数か月単位で体重が減少し、食欲の低下が続く場合は、膵臓を含む消化器系の病気が関係している可能性があります。


自分でできる対処と注意点

まず安静にする

痛みが出た際は体を休め、無理な動作を避けることが基本です。前かがみの姿勢をとると一時的に楽になる場合があります。

飲食を控えたほうがよい場合

急性膵炎が疑われる場合、食事や飲み物が膵液の分泌を促し症状を悪化させることがあります。痛みが強い場合は飲食を控え、早期に受診することが重要です。

市販薬を使う前に注意したいこと

市販の胃腸薬や鎮痛薬は膵臓の炎症に対して根本的な治療にはならず、症状を一時的に和らげるにすぎません。自己判断での長期服用は受診が遅れる原因になることもあるため、注意が必要です。

飲酒を避けることの重要性

アルコールは膵臓への大きな負担となります。痛みがある期間はもちろん、慢性膵炎の方は継続的な禁酒が症状管理の基本とされています。


早めに受診すべきサイン

強い痛みが続く

突然始まった強いみぞおちの痛みや背部痛が数時間以上続く場合は、急性膵炎など緊急性のある病態を除外するため早急な受診が必要です。

発熱・嘔吐・黄疸がある

38℃以上の発熱、繰り返す嘔吐、皮膚や白目が黄色くなる黄疸は重篤な状態のサインである可能性があります。

背中の痛みや体重減少を伴う

明らかな理由のない体重減少と背部痛の組み合わせは、膵がんを含む消化器疾患の精査が必要なことがあります。

痛みが繰り返す・長引く

数日以上繰り返し起こる腹痛や、慢性的な上腹部の不快感は医療機関への相談が勧められます。


何科を受診すべきか

内科・消化器内科が基本

膵臓の病気が疑われる場合は、内科・消化器内科を受診するのが基本です。症状の経過や検査結果をもとに、適切な診断と治療方針が検討されます。胃の症状全般について詳しくは、食道裂孔ヘルニアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご覧ください。

救急受診を検討すべきケース

激烈な腹痛・高熱・黄疸・意識の変容がみられる場合は、救急外来の受診を検討してください。

受診時に伝えるとよい症状

  • 痛みが始まった時期・場所・強さ
  • 痛みのタイミング(食後・飲酒後など)
  • 発熱・嘔吐・体重減少の有無
  • 飲酒習慣・服用中の薬

医療機関で行う主な検査

血液検査

血液中の膵酵素(アミラーゼ・リパーゼなど)の値を測定します。急性膵炎では、これらの値が著しく上昇することが多いとされています。

画像検査(腹部エコー・CTなど)

腹部超音波(エコー)検査は被ばくがなく、膵臓の腫れや胆石の有無を確認できます。さらに詳細な評価が必要な場合はCT検査やMRIが行われます。

必要に応じた追加検査

腫瘍マーカー(CA19-9など)、MRCP(MR胆管膵管撮影)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などが検討されることがあります。


膵臓の病気の治療の考え方

急性膵炎の治療

重症度に応じて、絶食・輸液・疼痛管理・感染予防などが行われます。軽症であれば数日の入院で回復することも多いですが、重症例では集中治療が必要になる場合があります。

慢性膵炎の治療

禁酒・食事療法を中心に、膵酵素補充薬や鎮痛薬が用いられます。合併症に応じて内視鏡治療や外科的治療が検討されることもあります。

膵がんが疑われる場合の対応

早期発見が予後に影響するため、疑わしい所見がある場合は速やかに精密検査を行います。治療は手術・化学療法・放射線療法などが組み合わされます。

原因に応じた生活改善

どの病態においても、禁酒・脂肪分を控えた食事・適切な体重管理は症状の安定と再発予防に重要とされています。また、胃酸が関与する症状にはPPIとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も参考になります。


再発や悪化を防ぐために意識したいこと

飲酒習慣の見直し

アルコールは急性・慢性膵炎の主要な原因です。膵臓の病気と診断された場合は、禁酒または節酒を主治医と相談しながら取り組むことが大切です。

脂っこい食事との付き合い方

高脂肪食は膵液の分泌を増やし、膵臓への負担となります。揚げ物や脂の多い肉類を控え、消化の良い食事を心がけましょう。

定期受診の大切さ

慢性膵炎や膵がんリスクのある方は、定期的な画像検査・血液検査による経過観察が再発・悪化の早期発見につながります。


膵臓の痛みと間違えやすい症状

胃痛・胃もたれとの違い

胃の不調は食後すぐに症状が出ることが多く、胃薬が効くことがあります。一方、膵臓の痛みは食後30分〜1時間以上経ってから強くなる傾向があり、背部への放散を伴いやすい点が異なります。

背中の筋肉痛との違い

筋肉痛は体を動かしたり特定の姿勢をとったりすると変化することが多く、押すと局所的に痛みがあります。内臓由来の痛みは姿勢変化で著明には変わらないことが多いです。

胆のう・胆管の病気との違い

胆石発作は右の上腹部〜右肩にかけての激しい痛みが特徴です。胆のう炎・胆管炎は発熱・黄疸を伴うことがあります。これらは膵臓の病気と重なる症状も多く、画像検査での鑑別が重要です。喉や消化器の幅広い症状が気になる方は喉の違和感とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。


受診前によくある不安と考え方

「様子見」でよい痛みかどうか

軽度の一過性の腹部不快感であれば、翌日以降の受診を検討する余裕がある場合もあります。ただし、強い痛みや発熱・黄疸を伴う場合は早急な対応が必要です。

症状が軽くても受診したほうがよい理由

膵臓の病気は初期症状が軽いことも多く、症状が軽いうちに受診・検査することで早期発見につながります。「大げさかも」と感じても、気になる症状は医療機関に相談することが勧められます。

検査で異常がない場合の考え方

検査で異常が見つからなかった場合も、症状の原因を別の角度から調べることが可能です。機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など、検査値に現れにくい病態が背景にあることもあります。


よくある質問(FAQ)

膵臓の痛みはどこに出やすいですか?

みぞおちから上腹部にかけての深部痛と、背中(特に左背部)への放散痛が代表的です。前かがみになると楽になる場合があるとされています。

背中の痛みだけで膵臓の病気といえますか?

背中の痛みは腰椎疾患・筋肉痛など多くの原因で起こります。膵臓由来かどうかは、血液検査や画像検査による医師の診察なしに断定することは難しいため、症状が続く場合は医療機関への相談が重要です。

膵臓の痛みは市販薬で治せますか?

市販薬で一時的に症状が和らぐことはあっても、膵臓の炎症や腫瘍に対する根本的な治療にはなりません。自己判断での継続使用は受診の機会を遅らせることがあるため、症状が繰り返す場合は受診が推奨されます。

どのくらい続いたら受診すべきですか?

強い痛みや発熱・嘔吐・黄疸がある場合は速やかに受診してください。軽度の腹部不快感でも、数日以上繰り返す・体重減少を伴う場合は早めの受診が勧められます。

膵臓が原因かどうかは何で調べますか?

血液中の膵酵素(アミラーゼ・リパーゼ)の測定と、腹部超音波検査やCT検査が基本的な検査です。必要に応じてMRIや腫瘍マーカー検査なども行われます。

膵臓の病気は健康診断でわかりますか?

一般的な健康診断では膵臓に関する精密検査は含まれないことが多いです。ただし、血液検査でアミラーゼ値の異常が指摘されることがあります。気になる症状がある場合は、健診結果に異常がなくても専門医への相談をご検討ください。


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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。


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