空腹時胃痛胃がんとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
空腹時に胃が痛む場合、「胃がんではないか」と不安になる方は少なくありません。しかし、空腹時の胃痛は胃酸の分泌増加や胃・十二指腸潰瘍、胃炎など、胃がん以外の原因によって起こることが多く、症状だけで胃がんと断定することはできません。一方で、痛みが繰り返したり長引いたりする場合は、消化器内科・内科への受診が望まれます。本記事では、空腹時の胃痛と胃がんの関係を医学的な視点から丁寧に解説します。
空腹時に胃が痛むのは胃がん?まずは知っておきたい結論
空腹時の胃痛だけで胃がんと決めつけない理由
空腹時の胃痛は、多くの場合は胃酸の刺激や胃炎・潰瘍などが原因です。胃がんの初期は無症状のことも多く、「空腹時に痛む=胃がん」とは言い切れません。症状だけで自己判断せず、気になる場合は医療機関で確認することが大切です。
胃がん以外に多い原因もある
空腹時胃痛の原因として頻度が高いのは、胃・十二指腸潰瘍や胃炎、機能性ディスペプシアなどです。これらは適切な治療で改善が期待できる疾患です。まずは原因を正確に把握することが重要です。
空腹時に胃痛が起こる主な原因
胃酸による刺激
食事と食事の間、特に空腹時は胃の中に食べ物がなくなり、胃酸が胃の粘膜を直接刺激しやすくなります。これが「空腹時にキリキリと痛む」感覚の主な原因のひとつです。
胃炎
胃の粘膜に炎症が生じる「胃炎」は、急性・慢性いずれも空腹時の不快感や痛みを引き起こすことがあります。ピロリ菌感染や NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の服用、アルコール・ストレスなどが原因となります。
胃・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜が傷ついて潰瘍となった状態です。特に十二指腸潰瘍では、空腹時や夜間の痛みが特徴的とされています。ピロリ菌感染や NSAIDs の長期使用が主な要因です。胃潰瘍・十二指腸潰瘍については、みぞおち痛い波があるとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご参照ください。
機能性ディスペプシア
検査をしても明らかな器質的異常がないにもかかわらず、胃痛・胃もたれ・早期満腹感などの症状が続く状態です。日本消化器病学会のガイドラインでも定義されている疾患で、ストレスや胃の運動機能の乱れが関与するとされています。
胃がん以外で注意したい病気
逆流性食道炎、胆石症、膵炎なども上腹部の痛みを引き起こすことがあります。症状が似ていても原因が異なるため、自己判断での対処には限界があります。
胃がんでみられる症状の特徴
初期は症状が目立たないこともある
胃がんの初期段階では、症状がほとんどない場合も多く、健診や胃カメラで偶然発見されることも少なくありません。これが胃がんの早期発見を難しくする要因のひとつです。
進行するとみられやすい症状
胃がんが進行すると、持続する上腹部の不快感・痛み、食欲不振、体重の減少、吐き気などが現れやすくなります。ただし、これらの症状は他の疾患でも起こり得るため、症状のみで判断することはできません。
空腹時の痛み以外に出るサイン
黒色便(タール便)は消化管出血のサインである可能性があります。また、貧血、嚥下困難(食べ物が飲み込みにくい感覚)、上腹部のしこりなども、消化器疾患を示唆する症状として注意が必要です。
胃がんのリスクを高める要因
ピロリ菌感染
ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)感染は、胃がんの主要なリスク因子とされています。厚生労働省の統計でも、胃がん患者の多くにピロリ菌感染歴が認められています。
喫煙
喫煙は胃がんのリスクを高める要因のひとつです。禁煙は胃がん予防だけでなく、全身の健康管理においても推奨されます。
塩分の多い食事
塩分の過剰摂取は胃粘膜を傷つける可能性があり、胃がんリスクとの関連が指摘されています。厚生労働省が推進する「健康日本21」でも食塩摂取量の目標値が設定されています。
家族歴や既往歴
家族に胃がんの方がいる場合は、定期的な検診が勧められます。また、萎縮性胃炎や胃ポリープなどの既往がある方も注意が必要です。
年齢とともに上がる注意度
胃がんは50歳以上で発症率が高まる傾向があります。年齢を重ねるにつれて、定期的な胃カメラ検査の重要性が増します。
受診を考えたほうがよい症状の目安
痛みが繰り返す・長引く
2週間以上続く胃の痛みや、一度治まってから繰り返す痛みは、消化器内科への受診の目安となります。
体重減少や食欲低下がある
意図しない体重の減少や食欲の低下は、消化器疾患のサインである可能性があります。
吐き気・嘔吐、黒い便がある
黒色便(タール便)は消化管出血を示唆する可能性があり、早めの受診が望まれます。吐血がある場合は速やかに医療機関を受診してください。
貧血を指摘された
健診などで貧血を指摘された場合も、消化管出血との関連を調べる必要がある場合があります。
市販薬で改善しない
市販の胃薬を1〜2週間使用しても症状が改善しない場合は、受診を検討してください。
医療機関ではどのように調べるか
問診と診察
いつから・どのような痛みか・食事との関係など、詳細な問診が行われます。腹部の触診も重要な情報をもたらします。
血液検査
炎症の有無、貧血、ピロリ菌抗体などを調べることができます。ペプシノゲン検査も胃粘膜の状態を評価する指標として用いられます。
胃カメラ検査
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は、胃の粘膜を直接観察し、必要に応じて組織を採取(生検)できる最も信頼性の高い検査です。胃がんの確定診断には不可欠です。
必要に応じて行う追加検査
CT検査や超音波検査などにより、病変の広がりや他臓器への影響を評価することがあります。
空腹時の胃痛があるときの対処法
生活面でできる工夫
規則正しい食事時間を心がけ、空腹の時間が長くならないよう注意しましょう。十分な睡眠とストレス管理も胃の健康に関わります。
胃に負担をかけにくい食べ方
脂肪分の多い食事・辛い食べ物・アルコール・カフェインは胃酸の分泌を促進するため、症状がある期間は控えることが勧められます。消化の良い食事を少量ずつ、ゆっくりと食べることが大切です。胃に優しい食事や胃薬については、胃の薬|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】もご参照ください。
市販薬を使う際の注意点
制酸薬や胃粘膜保護薬などの市販薬は一時的な症状の緩和に役立つことがありますが、使用は1〜2週間を目安とし、改善がなければ受診してください。自己判断での長期使用は原因の発見を遅らせる可能性があります。
受診までに避けたい行動
飲酒・喫煙・鎮痛剤(NSAIDs)の連用は胃粘膜への刺激を強める可能性があるため、症状があるときはできる限り避けましょう。
胃がんを早く見つけるために大切なこと
胃カメラ検査を受けるタイミング
日本消化器がん検診学会では、胃がん検診の方法として内視鏡検査が推奨されています。特に50歳以上の方、ピロリ菌感染歴がある方、家族歴がある方は定期的な胃カメラ検査を検討されることをお勧めします。
ピロリ菌検査・除菌の考え方
ピロリ菌が陽性の場合、除菌療法が胃がんリスクの低減につながる可能性があることが研究で示されています。除菌後も定期的な内視鏡フォローアップが勧められます。
健診を活用するポイント
市区町村が実施する胃がん検診(内視鏡検査または胃部X線検査)を積極的に活用しましょう。横浜市でも胃がん検診が実施されており、対象年齢に該当する方はご確認ください。
こんなときは早めに内科・消化器内科へ
強い痛みや急な悪化がある
急激に強くなる腹痛、または今まで経験したことのない強い痛みがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
出血を疑う症状がある
吐血・下血・黒色便は消化管出血を示唆します。これらの症状がある場合は、早急に受診することをお勧めします。
食事がとれない・脱水が心配な場合
嘔吐が続いて水分・食事が取れない状態は、脱水を招く可能性があります。点滴などの対応が必要なこともあるため、早めにご相談ください。
まとめ:空腹時の胃痛は原因を見極めて早めに相談を
空腹時の胃痛は、胃酸の刺激・胃炎・潰瘍・機能性ディスペプシアなど、さまざまな原因で起こります。胃がんの初期は症状が現れにくいことも多く、症状だけで判断することは困難です。痛みが繰り返す・長引く・体重減少がある・黒い便が出るなどのサインがある場合は、消化器内科への受診をご検討ください。定期的な胃カメラ検査とピロリ菌の管理が、胃がんの早期発見・予防につながります。胃の症状全般については、みぞおち痛いとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
空腹時に胃が痛いのは胃がんの初期症状ですか?
空腹時の胃痛は、胃・十二指腸潰瘍や胃炎、機能性ディスペプシアなどでもよく見られる症状です。胃がんの初期は無症状のことも多く、空腹時の胃痛だけで胃がんと判断することはできません。気になる場合は医療機関での検査をお勧めします。
胃が痛いだけで胃がんの可能性はありますか?
胃の痛みだけで胃がんとは言えませんが、痛みが続く・繰り返す場合は胃カメラなどで確認することが大切です。特に体重減少・食欲低下・黒い便などが伴う場合は、早めに受診してください。
どのくらい続いたら受診すべきですか?
痛みが2週間以上続く場合や、市販薬を使用しても改善しない場合は受診の目安です。急激に痛みが強くなる・吐血・黒い便がある場合は、期間にかかわらず早急に受診してください。
胃カメラは必ず受けたほうがよいですか?
胃の症状が続いている方、ピロリ菌感染歴がある方、50歳以上の方、家族に胃がんの方がいる場合は、胃カメラ検査を受けることが勧められます。検査の必要性については医師にご相談ください。
胃痛があっても食事をとってよいですか?
空腹の状態が長く続くと胃酸が粘膜を刺激しやすくなるため、消化の良いものを少量ずつ食べることが勧められます。ただし、吐き気・嘔吐が強い場合や食事後に痛みが増す場合は、無理に食べようとせず医療機関にご相談ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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