ソイプロテインとホエイプロテインの違いとは?原因・症状・対処を内科医が解説
体質・目的別の選び方
症状が出たときの対処
内科医監修記事
ソイプロテインとホエイプロテインの最大の違いは原料と消化吸収のスピードにあります。ソイは大豆由来でゆっくり吸収され、ホエイは牛乳由来で素早く吸収される点が特徴です。目的・体質・食生活に合わせて選ぶことが大切であり、体調に変化が出た場合は使用を中止して医師に相談することをおすすめします。
ソイプロテインとホエイプロテインの違いを先に確認
そもそもプロテインとは
プロテイン(protein)とは「たんぱく質」のことです。市販のプロテイン製品は、食事だけでは不足しがちなたんぱく質を補う目的で広く利用されています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人の1日あたりのたんぱく質推奨量は体重1kgあたり約0.8〜1.0gとされており、運動量が多い方ではさらに多くなる場合があります。
ソイプロテインとホエイプロテインの原料の違い
- ソイプロテイン:大豆を原料とする植物性たんぱく質。大豆からおもに脂質を取り除いて精製されます。
- ホエイプロテイン:牛乳のチーズ製造過程で生じる液体(乳清・ホエイ)を原料とする動物性たんぱく質。乳由来成分を多く含みます。
体内での消化吸収スピードの違い
ホエイプロテインは消化吸収が比較的速く、摂取後1〜2時間程度で血中アミノ酸濃度が上昇しやすいとされています。一方、ソイプロテインは消化吸収がやや緩やかで、血中アミノ酸濃度が長く維持される傾向があります。どちらが優れているというわけではなく、利用シーンや目的によって使い分けることが有用です。
栄養成分と特徴の違い
たんぱく質の質とアミノ酸組成
たんぱく質の質を評価する指標に「PDCAAS(たんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコア)」があります。ホエイプロテインはPDCAASがほぼ最高値(1.0)を示し、必須アミノ酸をバランスよく含みます。ソイプロテインも植物性としては高い品質を持ちますが、メチオニンなど一部の必須アミノ酸がやや少ない傾向があります。
脂質・糖質・カロリーの違い
製品によって異なりますが、一般的にソイプロテインはホエイプロテインに比べて脂質が少なく、カロリーが低い傾向があります。ただし、糖質や添加物の量は製品によって大きく差があるため、成分表示の確認が重要です。
イソフラボンを含むソイプロテインの特徴
ソイプロテインには大豆イソフラボンが含まれます。イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に構造が似た「植物性エストロゲン」として知られています。食品安全委員会の評価では、大豆イソフラボンの1日摂取目安量の上限は70〜75mgとされており、過剰摂取には注意が必要です。
乳由来成分を含むホエイプロテインの特徴
ホエイプロテインには乳糖(ラクトース)や微量の乳脂肪が含まれる場合があります。また、分岐鎖アミノ酸(BCAA:バリン・ロイシン・イソロイシン)を豊富に含み、筋肉の合成を助けるとされています。
目的別にみる選び方
筋肉づくりや運動後の補給を重視する場合
運動後の筋肉修復には、必須アミノ酸・BCAAを豊富に含むホエイプロテインが一般的によく用いられています。ただし、個人差があるため、継続しながら体調を観察することが大切です。
食事の補助や満腹感を重視する場合
消化吸収がゆっくりなソイプロテインは、食間の空腹感を和らげたい方や、食事のたんぱく質量を補いたい方に適している場合があります。
ダイエット中に選ぶときの考え方
ダイエット目的の場合は、低脂質・低カロリーの傾向があるソイプロテインが選ばれることが多いです。ただし、プロテインはあくまで食事の補助であり、食事バランス全体を整えることが基本です。
食生活や体質に合わせた選び方
ベジタリアン・ヴィーガンの方、乳製品を避けている方にはソイプロテインが選択肢になります。一方、牛乳や乳製品を日常的に摂取している方にはホエイプロテインも取り入れやすいでしょう。
体質や持病がある人が注意したいポイント
乳糖不耐症や乳アレルギーがある場合
ホエイプロテインには乳糖が含まれるため、乳糖不耐症の方は腹痛・下痢などが起こる場合があります。乳アレルギーがある方はホエイプロテインの使用を避け、医師に相談のうえソイプロテインなどを検討してください。
大豆アレルギーがある場合
大豆アレルギーがある方はソイプロテインの使用を控えてください。大豆は食物アレルギーの原因食品として表示が推奨されており、アナフィラキシーのリスクもあります。アレルギーに不安がある方は、使用前に医師へご相談ください。
腎臓病や肝機能に不安がある場合
腎臓病の方は高たんぱく質の摂取が腎臓に負担をかける可能性があるとされています。慢性腎臓病(CKD)の方は、たんぱく質摂取量を医師・管理栄養士と相談のうえ決定することが重要です。肝機能に不安がある方も同様に、自己判断での使用は避けてください。
ホルモンバランスが気になる場合の考え方
ソイプロテインに含まれる大豆イソフラボンは、ホルモンバランスへの影響が懸念されることがあります。食品安全委員会の見解では、通常の食品からの摂取は問題が少ないとされていますが、サプリメントとの重複摂取や、乳がん・子宮内膜症などホルモン感受性疾患をお持ちの方は、使用前に医師にご相談ください。
飲むタイミングと摂取量の考え方
運動前後に飲むならどちらが向いているか
運動直後はホエイプロテインのように吸収の速いものが適しているとされています。運動前や就寝前にはソイプロテインのようにゆっくり吸収されるものが向いているという考え方もありますが、科学的根拠の強さには個人差があります。
間食や置き換えで使うときのポイント
間食や食事の一部として利用する場合は、1回量を少なめにし、食事全体のバランスを崩さないよう注意することが大切です。プロテインで食事を完全に置き換えることは栄養バランスの観点から推奨されません。
1回量・1日のたんぱく質量の目安
一般的なプロテイン製品の1回提供量は20〜30g程度(たんぱく質として15〜25g程度)です。1日のたんぱく質摂取量は、食事から得られる分も含めて考慮し、過剰にならないよう注意が必要です。
飲みすぎを避けるための注意点
過剰なたんぱく質摂取は、腎臓への負担、消化器症状(腹痛・便秘・下痢)、体重増加につながる可能性があります。製品の推奨量を守り、食事とのバランスを意識してください。
こんな症状が出たら中止して受診を検討
腹痛・下痢・便秘・吐き気が出るとき
プロテイン摂取後に消化器症状が続く場合は、乳糖不耐症・大豆不耐症、あるいは製品中の添加物・甘味料が原因となっている可能性があります。症状が改善しない場合は使用を中止し、医師に相談することをおすすめします。
かゆみ・じんましん・息苦しさがあるとき
摂取後にかゆみ・じんましん・唇や喉の腫れ・息苦しさなどのアレルギー症状が出た場合は、ただちに使用を中止し、症状が重い場合は救急受診を検討してください。アナフィラキシーの可能性があります。
体調不良が続くときに確認したいこと
倦怠感・むくみ・尿量の変化・尿の色の変化などが続く場合は、腎機能や肝機能への影響も考えられます。プロテインを使用していることを医師に伝えたうえで受診してください。
受診の目安と、医療機関で相談するとよい症状
- アレルギー症状(かゆみ・じんましん・息苦しさ)
- 消化器症状が2週間以上続く
- 体重の急激な変化
- 慢性疾患(腎臓病・肝疾患・糖尿病)がある方がプロテインを開始する前
これらに該当する場合は、ご予約・お問い合わせよりお気軽にご相談ください。
注意: かゆみ・じんましん・唇や喉の腫れ・息苦しさなどの症状がある場合は、アナフィラキシーの可能性もあるため、ただちに使用を中止し、症状が重い場合は救急受診を検討してください。
内科医が解説するプロテイン選びの実践ポイント
ラベルで確認したい成分表示
購入前に「たんぱく質含有量(1回あたり)」「原材料」「アレルゲン表示」を必ず確認してください。1回量あたりのたんぱく質が15g以上あることが、補給としての一般的な目安とされています。
添加物や甘味料が気になるときの見方
人工甘味料(スクラロース・アセスルファムKなど)や香料が多く含まれる製品は、敏感な方では腹部不快感の原因になる場合があります。シンプルな原材料の製品を選ぶことも一つの方法です。
続けやすさとコストのバランス
プロテインは継続して摂取することが重要です。コスト・味・溶けやすさなどを総合的に判断し、無理なく続けられる製品を選びましょう。
「合う・合わない」を見極めるコツ
新しいプロテインを試す際は、少量から始めて2〜4週間様子を見ることをおすすめします。体調の変化(消化器症状・皮膚症状・エネルギーレベル)を記録しておくと、医師に相談する際にも役立ちます。
目的別の簡単な選び方まとめ
ソイプロテインが向いている人
- 大豆・植物性食品を好む方、ベジタリアン・ヴィーガンの方
- 乳糖不耐症・乳アレルギーがある方
- 食間の満腹感を補いたい方
- ダイエット中で低カロリーを重視する方
ホエイプロテインが向いている人
- 運動後の素早いたんぱく質補給を重視する方
- 筋肉づくりを目的としてトレーニングを行っている方
- 大豆アレルギーがある方
- 必須アミノ酸・BCAAをバランスよく摂りたい方
迷ったときの選び方の優先順位
①アレルギーの有無を確認 → ②目的(筋肉づくり・ダイエット・食事補助)を決める → ③成分表示を確認 → ④少量から試して体調を観察する、という順序で検討することをおすすめします。持病がある方は、必ず医師に相談のうえ使用を開始してください。
ポイント: ①アレルギーの有無を確認 → ②目的を決める → ③成分表示を確認 → ④少量から試して体調を観察する、という順序で選ぶことが大切です。
よくある質問(FAQ)
ソイプロテインとホエイプロテインはどちらが太りにくいですか
どちらが太りにくいかは製品の成分や摂取量によって異なります。一般的にソイプロテインは低脂質・低カロリーの製品が多い傾向がありますが、最終的なカロリーバランス(摂取カロリー全体)が体重管理には重要です。どちらか一方が「太りにくい」と断言することはできません。
筋トレにはどちらが向いていますか
筋トレ後の筋肉合成という観点では、必須アミノ酸・BCAAを豊富に含むホエイプロテインが一般的によく用いられています。ただし、ソイプロテインも植物性として十分な品質を持っており、目的や体質に応じて選択してください。
毎日飲んでも大丈夫ですか
健康な成人が食事とのバランスを保ちながら適量を摂取する場合、毎日の使用は一般的に問題が少ないとされています。ただし、腎臓病・肝疾患などの持病がある方は、必ず医師に相談のうえ使用してください。
豆乳や牛乳で割ってもよいですか
豆乳や牛乳で割ること自体は問題ありません。ただし、たんぱく質・カロリーが増加するため、1日の摂取量全体を把握して摂りすぎにならないよう注意してください。乳糖不耐症の方が牛乳を使用する場合は、症状が出やすくなる可能性があります。
子どもや高齢者が飲んでもよいですか
子どもへの使用は成長期の食事バランスへの影響が懸念されるため、小児科医に相談することをおすすめします。高齢者の場合は、サルコペニア(筋肉量減少)対策としてたんぱく質補給が有用とされることがありますが、腎機能の低下がある場合は摂取量の調整が必要です。かかりつけ医にご相談ください。
プロテインでお腹がゆるくなるのはなぜですか
ホエイプロテインの場合は乳糖が原因となる乳糖不耐症、ソイプロテインの場合は大豆に含まれるオリゴ糖が腸内細菌に発酵されてガスや下痢を引き起こす場合があります。また、製品に含まれる人工甘味料(特にソルビトール・マルチトールなど糖アルコール)が下痢を起こしやすい場合もあります。症状が続く場合は使用を中止し、医師に相談することをおすすめします。
なお、消化器症状やアレルギー症状など気になる体調の変化がある方は、腹式呼吸とは?原因・症状・対処を内科医が解説や喉の違和感とは?原因・症状・対処を内科医が解説もあわせてご参照ください。また、逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアなど消化器疾患に関心のある方は、親ピラーページ食道裂孔ヘルニアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もご覧ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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