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SIBOで食べてはいけないものとは?原因・症状・対処を内科医が解説

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SIBOで食べてはいけないものとは?原因・症状・対処を内科医が解説

お腹の張り・ガス・慢性的な下痢や便秘が続いているとき、「SIBO(小腸内細菌増殖症)」が関わっている可能性があります。SIBOと診断された、あるいはその疑いがある場合、「何を食べてはいけないのか」が気になる方は多いでしょう。結論からお伝えすると、完全に禁止すべき食品が一律に決まっているわけではなく、症状を悪化させやすい食品を把握し、医師の指導のもとで食事の工夫を行うことが基本です。本記事では、SIBOの基礎知識から食事との関係、受診の目安まで内科・消化器の視点でわかりやすく解説します。

SIBOとは?まず知っておきたい基本

小腸内細菌増殖症(SIBO)の意味

SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth)とは、通常は大腸に多く存在するはずの細菌が小腸内で過剰に増殖した状態を指します。小腸は本来、栄養素を吸収する場所であり、細菌の数は大腸と比べてごく少量に保たれています。この均衡が崩れると、さまざまな消化器症状が現れることがあります。

どんな仕組みで症状が出るのか

小腸内で細菌が増えすぎると、摂取した食べもの(特に発酵しやすい糖質)を細菌が分解し、ガス(水素・メタン等)を大量に産生します。このガスが腸を膨らませ、腹部膨満感・腹痛・下痢・便秘などの症状につながります。また、過剰な細菌が栄養素の吸収を妨げることで、鉄分・ビタミンB12などの吸収不足が起こることもあります。

SIBOで「食べてはいけないもの」はある?

原則として「完全に禁止」ではなく、症状を悪化させやすい食品を見極める

SIBOにおける食事療法として広く参照されているのが「低FODMAP食」です。FODMAPとは、小腸で吸収されにくく腸内細菌に発酵されやすい糖質の総称です。これらを多く含む食品を一時的に減らすことで、ガス産生や腸の過剰反応を抑えることが期待されます。ただし、「食べると必ず悪化する」「絶対に食べてはいけない」という食品が個人を問わず決まっているわけではありません。

自己判断で極端な食事制限を続けないことが大切

FODMAPを過度に制限し続けると、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを崩したり、栄養不足を招いたりするリスクがあります。食事療法は医師や管理栄養士の指導のもとで行うことが推奨されます。

SIBOで症状を悪化させやすい食べもの

高FODMAP食品とは

FODMAPは「Fermentable(発酵性)」「Oligosaccharides(オリゴ糖)」「Disaccharides(二糖類)」「Monosaccharides(単糖類)」「And Polyols(ポリオール)」の頭文字をとったものです。これらを多く含む食品は、SIBOの症状を悪化させやすいとされています。

乳製品

牛乳・アイスクリーム・ソフトチーズなど、乳糖(ラクトース)を多く含む乳製品は高FODMAPの代表例です。お腹の張りや下痢につながりやすいとされています。

小麦製品

パン・パスタ・うどんなど、小麦に含まれるフルクタン(オリゴ糖の一種)は発酵されやすく、ガス産生を促しやすいとされています。

豆類

大豆・ひよこ豆・インゲン豆・レンズ豆などの豆類はオリゴ糖を多く含み、腸内での発酵が起こりやすい食品です。

玉ねぎ・にんにくなどの一部の野菜

玉ねぎ・にんにく・ねぎ・アスパラガスなどはフルクタンを多く含み、SIBOの症状を悪化させやすいとされています。ただし、すべての野菜が問題になるわけではありません。

果物・甘味料の一部

リンゴ・スイカ・桃・洋梨などはフルクトース(果糖)やソルビトールを多く含みます。また、人工甘味料(キシリトール・マンニトール・ソルビトールなど)もポリオールに分類され、症状を誘発しやすいことがあります。

炭酸飲料やアルコール

炭酸飲料は直接ガスを腸に送り込むため、腹部膨満を悪化させることがあります。アルコールも腸の動きや粘膜に影響を与えるため、控えめにすることが望ましいでしょう。

SIBOのときに控えめにしたい食事の考え方

低FODMAP食の基本

モナッシュ大学(オーストラリア)が開発した低FODMAP食は、過敏性腸症候群(IBS)やSIBOへの応用が研究されています。高FODMAP食品を2〜6週間程度除去したのち、少しずつ戻しながら自分が反応する食品を特定する「除去→再導入」のステップが基本的な進め方です。

食事制限は「一時的に試す」ことが基本

低FODMAP食はあくまでも一時的な試みであり、長期間の厳格な制限は栄養バランスや腸内環境に悪影響を及ぼす可能性があります。必ず医師や管理栄養士と相談しながら進めることを推奨します。

症状日記をつけて合う食品を確認する

何を食べたときにどのような症状が出たかを記録する「食事日記」は、自分にとって症状を悪化させやすい食品を見極めるうえで役立ちます。受診の際に持参すると、医師との情報共有もスムーズになります。

SIBOで食べてもよいものの考え方

比較的選びやすい主食・たんぱく質・野菜

低FODMAP食品の例として、白米・米粉製品・じゃがいも、鶏肉・魚・卵・豆腐(適量)、にんじん・ほうれん草・なす・ピーマン・トマト(少量)などが挙げられます。乳製品はラクトースフリーのものや、ハードチーズ(パルメザン等)は比較的選びやすいとされています。

個人差があるため「安全な食品」も一律ではない

低FODMAPとされる食品でも、体質や症状の重さによっては反応が異なることがあります。「この食品なら必ず大丈夫」と断定することは難しく、個々の反応を確認しながら対応することが大切です。

SIBOの原因

腸の動きの低下

腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下すると、小腸内の内容物が滞留し、細菌が増殖しやすくなります。糖尿病性神経障害、強皮症、甲状腺機能低下症などが背景にある場合があります。

胃酸低下や薬剤の影響

胃酸は腸内への細菌の侵入を防ぐ重要な役割を担っています。加齢による胃酸の低下や、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用が関与することがあるとされています。PPIについてはPPIとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご参照ください。

腸管の構造的な問題

腸管の癒着(手術後など)、憩室(腸の壁のくぼみ)、腸閉塞の既往など、腸の構造的な変化もSIBOのリスク因子となります。

便秘や基礎疾患との関連

慢性的な便秘は腸内環境の乱れを引き起こしやすく、SIBOとの関連も報告されています。

SIBOの主な症状

お腹の張り・ガス

食後の腹部膨満感や、過剰なガス(おなら・げっぷ)はSIBOの典型的な訴えです。

腹痛・腹部不快感

下腹部を中心とした鈍痛や不快感が続くことがあります。

下痢・便秘

下痢と便秘が交互に現れたり、慢性的な下痢・便秘が続いたりすることがあります。

体重減少や栄養不足に注意が必要な場合

重篤なSIBOでは、脂肪・ビタミン・ミネラルの吸収障害が起こり、体重減少や貧血、骨密度の低下などを招くことがあります。このような症状が見られる場合は早めの受診が必要です。

SIBOが疑われるときの対処法

まずは内科・消化器内科で相談する

自己判断での食事制限や市販サプリへの依存は、適切な診断・治療を遅らせる可能性があります。お腹の症状が続く場合は、まず内科・消化器内科を受診し、専門医に相談することをお勧めします。

検査で確認されること

SIBOの診断には「水素・メタン呼気試験(ブレステスト)」が用いられることがあります。ラクツロースやグルコースを摂取後に呼気中の水素・メタン濃度を測定し、小腸内での細菌による発酵の程度を評価する方法です。国内での普及状況はクリニックにより異なります。

食事療法と薬物療法の考え方

SIBOの治療は、原因への対処・抗菌薬(リファキシミン等)の使用・低FODMAP食の組み合わせが基本とされています。治療方針は症状や原因、基礎疾患によって異なるため、医師の診断に基づいた対応が必要です。

市販サプリや自己流治療に頼りすぎない

プロバイオティクスや酵素サプリ等が注目されることがありますが、SIBOにおけるその有効性については研究段階のものも多く、過信は禁物です。

受診の目安

早めに医療機関を受診したほうがよい症状

  • 食後の腹部膨満感・ガスが2週間以上続く
  • 慢性的な下痢・便秘・腹痛が改善しない
  • 体重が意図せず減少している

すぐ受診を検討したい危険なサイン

  • 黒色便・血便がある
  • 激しい腹痛・発熱が伴う
  • 嘔吐・食事がほとんど摂れない

このような症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。

SIBOと似た症状を起こす病気

過敏性腸症候群(IBS)

IBSはSIBOと症状が重なることが多く、SIBOがIBSの一因となっている場合もあるとされています。正確な鑑別のためには専門医による検査が必要です。

乳糖不耐症

乳製品を摂取したときにお腹の張りや下痢が起こる乳糖不耐症は、SIBOと似た症状を呈します。乳製品に限定した反応かどうかが鑑別のポイントです。

炎症性腸疾患など

クローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患も、下痢・腹痛・体重減少を起こします。血便や発熱を伴う場合は特に注意が必要です。

なお、胃食道逆流症や食道裂孔ヘルニアが消化器症状の背景にある場合もあります。詳しくは食道裂孔ヘルニアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご覧ください。

再発予防のために意識したいこと

食事の記録と生活習慣の見直し

症状が落ち着いた後も、食事日記を継続し、自分の腸が反応しやすい食品を把握しておくことが再発予防に役立ちます。

便秘対策と腸管運動への配慮

規則正しい食事・適度な運動・十分な水分摂取は腸の蠕動運動を促し、細菌の滞留を防ぐうえで有効と考えられています。腹式呼吸による自律神経の調整も腸の動きをサポートする可能性があり、腹式呼吸とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もご参考ください。

必要に応じて継続的に医師へ相談する

SIBOは再発しやすい疾患とされています。症状が再び現れた場合は自己判断で対処せず、定期的に医師へ相談することを推奨します。

よくある質問(FAQ)

SIBOは完全に治りますか?

SIBOは適切な治療により症状が改善するケースがありますが、原因となっている基礎疾患や腸管の問題が続く場合は再発することがあります。「完全に治る」と断言することは難しく、個々の状態に応じた継続的な管理が重要です。

低FODMAP食はどのくらい続ければいいですか?

一般的には2〜6週間程度を目安に除去期間を設け、その後に食品を少しずつ再導入していくとされています。長期間の厳格な制限は推奨されておらず、医師や管理栄養士の指導のもとで進めることが大切です。

SIBOのときにヨーグルトは食べてもいいですか?

ヨーグルトは乳糖(ラクトース)を含むため、SIBOの症状を悪化させることがあります。一方で発酵により乳糖がある程度分解されているため、少量であれば問題ない方もいます。症状を見ながら少量から試すことが基本で、不安な場合は医師に相談してください。

断食や糖質制限はSIBOに有効ですか?

極端な断食や糖質制限がSIBOに有効であるという科学的根拠は現時点では十分ではありません。自己流の極端な食事制限は栄養不足や腸内環境の悪化を招く可能性があるため、医師の指導なしに行うことはお勧めしません。

受診は何科がよいですか?

内科または消化器内科が適しています。慢性的な腹部症状が続く場合は、まず受診してご相談ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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