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腫瘍マーカーとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】

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腫瘍マーカーとは?検査でわかること・わからないことをわかりやすく解説

血液検査で「腫瘍マーカー」という項目を見かけたことがある方も多いでしょう。健康診断や人間ドックでオプション検査として提供されることが多く、「がんかどうかわかる検査」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいます。しかし、腫瘍マーカーはがんの有無を直接判定するものではなく、その役割と限界を正しく理解することが大切です。本記事では、腫瘍マーカー検査の基本的な仕組みから結果の見方まで、医学的根拠に基づいてわかりやすくご説明します。


腫瘍マーカー検査とは

腫瘍マーカーとは、がん細胞あるいはがん細胞に反応した周辺の正常細胞が産生・放出するタンパク質や糖鎖抗原などの物質の総称です。これらの物質は血液中に放出されるため、採血によって測定することができます。

重要な点は、腫瘍マーカーは「がんの診断を確定する検査」ではなく、「参考情報のひとつ」であるという点です。国立がん研究センターのがん情報サービスでも、腫瘍マーカーは単独でがんを診断するものではないと明示されており、臨床では他の検査と組み合わせて総合的に判断されます。


腫瘍マーカーで何がわかるのか

腫瘍マーカーでわかることは、主に以下の3点に整理されます。

  • がんの存在の手がかり:数値の上昇がある種のがんの可能性を示唆することがある
  • 治療効果の参考:治療中に数値が下がれば治療が効いているサインとして参考になる
  • 経過観察・再発の早期把握:治療後も定期的に測定し、再上昇がないかを追う

ただし、がんがあっても数値が上がらない場合(偽陰性)、がんがなくても数値が上がる場合(偽陽性)があるため、数値だけで「がんである・がんでない」と判断することはできません。


腫瘍マーカーの主な種類

代表的な腫瘍マーカーと主な対象疾患を以下に示します。

マーカー名 主な対象臓器・疾患
CEA 大腸がん、肺がん、胃がん、乳がんなど広域
CA19-9 膵臓がん、胆道がん、大腸がんなど
AFP 肝細胞がん、肝硬変など
PSA 前立腺がん(男性のみ)
CA125 卵巣がん(女性のみ)
SCC 食道がん、子宮頸がん、肺がん(扁平上皮がん)など

CEAは消化器系がんを中心に幅広く用いられるマーカーです。詳細についてはcea 腫瘍マーカーの解説記事もあわせてご参照ください。また、SCCについてはscc 腫瘍マーカーでさらに詳しく解説しています。各マーカーの基準値の目安については腫瘍マーカー 数値 目安もご参考ください。


腫瘍マーカーの数値が高くなる理由

腫瘍マーカーの数値が上昇する原因はがんだけではありません。以下のような要因でも上昇することがあります。

  • 炎症や感染症:肝炎、胆嚢炎、膵炎などの炎症性疾患
  • 肝機能異常:肝硬変や脂肪肝など
  • 喫煙:CEAは喫煙者で高くなる傾向がある
  • 良性疾患:子宮内膜症(CA125)、前立腺肥大(PSA)など
  • 生理的要因:月経周期、妊娠、加齢
  • 薬剤の影響:一部の薬が値に影響することがある

このように、数値の上昇が必ずしもがんを意味するわけではなく、複合的な評価が必要です。


腫瘍マーカー検査の受け方

腫瘍マーカー検査は採血で行います。特別な前処置は通常不要ですが、施設によっては当日の食事制限を設ける場合もありますので、事前に確認してください。

受検の場は主に3つです。

  • 健康診断・人間ドック:オプション検査として選択できる場合が多い
  • かかりつけ医・外来:症状がある場合や既往歴から必要と判断された場合
  • がん治療後の経過観察:担当科が定期的に実施

結果は数日から1週間程度で出ることが多く、結果票には基準値(カットオフ値)と測定値が記載されます。


腫瘍マーカー検査を受ける目的

腫瘍マーカーは目的によって意義が異なります。

  • スクリーニング(一次検査):症状のない一般集団でのがん発見の補助として使われることがあるが、精度は限定的
  • 治療後の経過観察:再発の早期把握に有用とされる場面がある
  • 治療効果の評価:化学療法や手術後に数値の推移を追う
  • 症状がある場合の補助的評価:画像検査・内視鏡検査と組み合わせて使用

腫瘍マーカー検査だけでは判断できない理由

前述のとおり、腫瘍マーカーには偽陽性(がんでないのに高い)と偽陰性(がんがあるのに正常範囲)の両方が存在します。感度・特異度はマーカーや疾患によって異なりますが、単独での診断精度は高くありません。

がんを確定診断するためには、CT・MRI・超音波などの画像検査内視鏡検査組織の病理検査(生検) を組み合わせることが標準的です。腫瘍マーカーはその判断材料のひとつに過ぎない点をご理解ください。


健康診断で腫瘍マーカーを受ける意味

健康診断において腫瘍マーカーをオプション検査として受ける方は少なくありません。しかし、日本消化器病学会などのガイドラインでも、腫瘍マーカー単独でのスクリーニングには限界があることが示されています。

健診での腫瘍マーカーは「異変の手がかり」として参考にする程度のものです。特に既往歴や家族歴がある方、治療後の経過観察中の方にとっては意義が大きくなりますが、過度な期待は禁物です。


腫瘍マーカーの結果の見方

結果票には「基準値(カットオフ値)」と「実測値」が記載されます。基準値はあくまで健常者の大多数が含まれる範囲を示したものであり、基準値を超えたからといって直ちにがんを意味するものではありません。

特に重要なのは経時的変化です。一回の測定値よりも、複数回の結果を継続して追ったときの「上昇傾向」のほうが臨床的意義が高いとされています。検査結果は単回で判断せず、主治医や専門医と相談することが大切です。


異常値が出たときに考えること

腫瘍マーカーの数値が基準値を超えた場合でも、まずは冷静に対応することが重要です。以下のような対応が一般的です。

  1. 再検査:一時的な上昇の可能性があるため、期間をあけて再測定する
  2. 追加検査:画像検査(超音波・CT等)や内視鏡検査などで精査する
  3. 専門医への相談:消化器科・泌尿器科・婦人科など、対象臓器の専門医を受診する

数値が高かった際に「がんに違いない」と一人で思い悩むのではなく、専門医への相談を最初のステップとして考えてください。


腫瘍マーカーはどんな人に向いているか

以下のような場合に、腫瘍マーカー検査を検討する機会が多くあります。

  • 症状がある方:体重減少、食欲不振、腹痛、黄疸など
  • 家族歴・既往歴がある方:大腸がんや膵臓がんの家族歴など
  • 治療後のフォロー中の方:術後・化学療法後の再発モニタリング
  • 年齢的にリスクが高まる方:40歳以上で定期的ながん検診として

ただし、どの方にとっても「単独で安心・不安を決めるものではない」という点は共通しています。


腫瘍マーカー検査と併用される主な検査

腫瘍マーカー異常があった場合に行われる主な追加検査は以下のとおりです。

  • 腹部超音波検査:肝臓・膵臓・胆嚢などを視覚的に評価
  • CT・MRI検査:腹部・胸部・骨盤など広範囲の精査
  • 内視鏡検査(上部・下部消化管):食道・胃・大腸の直接観察
  • PET-CT:全身のがん病変の探索に用いることがある
  • 生検(組織診):病変部位の細胞を採取して病理確定

診断の確定には、これらの検査を組み合わせた総合的な判断が不可欠です。なお、食道や胃の病変が疑われる場合には、食道裂孔ヘルニアのような良性疾患との鑑別も重要になることがあります。


よくある誤解

誤解①「腫瘍マーカーが正常なら安心」
正常範囲内でもがんが存在することがあります。がん検診の代わりにはなりません。

誤解②「数値が高い=がんである」
炎症・良性疾患・喫煙など、がん以外の要因で上昇することがあります。

誤解③「一度測れば十分」
経時的変化を追うことに意義があります。定期的な測定と比較が重要です。


よくある質問

Q. 食事や運動は検査結果に影響しますか?
基本的にはほとんど影響しないとされています。ただし施設のルールに従い、事前に確認することをお勧めします。

Q. 保険適用はありますか?
医師が必要と判断した場合(症状がある・治療後の経過観察など)は保険適用となります。健診のオプションとして受ける場合は自費扱いになることが多いです。

Q. 何科を受診すればよいですか?
上昇したマーカーの種類によって受診科が異なります。CEA・CA19-9は消化器外科・消化器内科、PSAは泌尿器科、CA125は婦人科などが目安です。判断が難しい場合はかかりつけ医にご相談ください。


受診の目安

以下のような症状や状況がある場合は、腫瘍マーカーの数値にかかわらず早めの受診をご検討ください。

  • 原因不明の体重減少(数か月で数キロ以上)
  • 続く腹痛・背部痛・食欲不振
  • 血便・黒色便・嘔血
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
  • 腫瘍マーカーの異常が再検査でも継続する場合

これらの症状がある場合は、消化器外科や消化器内科への受診をお勧めします。


まとめ

腫瘍マーカーは、がんの経過観察や治療効果の評価に役立つ有用な検査ですが、「数値だけでがんを診断・否定できる検査」ではありません。偽陽性・偽陰性が存在し、単独での判断には限界があります。結果の解釈は必ず専門医の診察と、必要に応じた追加検査と合わせて行うことが重要です。数値の異常に気づいた際には、過度に不安を抱える前に、専門医にご相談されることをお勧めします。


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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。


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