横行結腸とは?原因・症状・対処を内科医が解説
「横行結腸」という言葉を健診レポートや医師の説明で耳にし、「どこにある部位なのか」「何か病気が隠れているのか」と不安を感じる方は少なくありません。横行結腸は大腸の一部であり、それ自体は病名ではなく解剖学上の名称です。ただし、この部位に関連した症状や病気は多岐にわたるため、正しく理解しておくことが大切です。本記事では、横行結腸の位置・役割から、よくみられる症状・原因・検査・対処法まで、消化器内科の視点からわかりやすく解説します。
横行結腸とは?まずは位置と役割を簡単に理解
横行結腸は大腸の一部
大腸は、盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸の順に連なる消化管です。横行結腸はその名のとおり、お腹の中を横方向に走る部分です。
どこにあるのか:体の中での位置
横行結腸はおおむねみぞおちからへその高さにかけて、右の肋骨下(肝湾曲部)から左の肋骨下(脾湾曲部)まで弓状に伸びています。腹壁への固定が比較的ゆるく、個人差によって位置が大きく異なることが特徴です。
横行結腸の主な働き
大腸全体の役割は水分・電解質の吸収と、消化物を便として形成・運搬することです。横行結腸は小腸から送られた消化物の水分を引き続き吸収しながら、蠕動運動によって内容物を下行結腸へと送り出します。
横行結腸でよくみられる症状
お腹の張りや違和感
横行結腸付近にガスや便がたまると、みぞおちからへその周囲にかけての膨満感・張り・鈍い違和感として現れることがあります。
便秘や下痢、便通の変化
横行結腸の蠕動運動が低下すると便秘が生じやすくなります。一方、炎症や感染が加わると下痢・軟便が続くこともあります。便の形状や頻度の変化が数週間以上続く場合は注意が必要です。
腹痛やしこり感が気になるとき
横行結腸周囲の痛みは上腹部〜臍周囲に出ることが多く、食後に悪化するケースもあります。「腹部に硬いものを触れる」と感じたときは、医療機関を受診することをお勧めします。
受診を急いだほうがよい症状
強い腹痛・嘔吐・血便・発熱・急激な体重減少がある場合は、早めの受診が必要です。詳しくは後述の「こんなときは早めに内科・消化器内科へ」を参照ください。
横行結腸に関連して考えられる主な原因・病気
便秘や腸の動きの低下
水分不足・食物繊維の不足・運動不足・生活習慣の乱れなどが蠕動運動を低下させ、横行結腸に便やガスがたまりやすくなります。
腸閉塞などで腸の通過が悪くなる場合
術後の癒着や腫瘍などが原因で腸の内容物が通過しにくくなることがあります。激しい腹痛・嘔吐を伴う場合は腸閉塞の可能性があり、速やかな医療機関受診が必要です。
炎症性腸疾患や感染性腸炎
クローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は大腸全体に影響し、横行結腸にも病変が生じることがあります。細菌やウイルスによる感染性腸炎も下痢・腹痛の原因になります。
大腸憩室症
大腸の壁の一部が袋状に突出した状態を憩室といい、横行結腸にも生じます。多くは無症状ですが、炎症(憩室炎)を起こすと腹痛・発熱の原因となります。
大腸ポリープ・大腸がん
横行結腸にもポリープや大腸がんが発生することがあります。早期には無症状なことが多く、定期的な大腸内視鏡検査が重要です(詳細は「横行結腸と大腸がんの関係」を参照)。
検査で偶然見つかる「横行結腸の位置異常」や「たるみ」
横行結腸は固定が弱く、下方へ大きく垂れ下がる「横行結腸下垂」が見つかることがあります。多くは解剖学的なバリエーションであり、それ自体が直接的な病気を意味するわけではありませんが、便秘の一因となる場合があります。
横行結腸の異常はどうやって見つかる?
問診で確認する内容
排便回数・便の性状・腹痛の部位と性質・血便の有無・体重変化・家族歴などを確認します。
触診・血液検査・便検査
腹部の触診で圧痛やしこりの有無を確認します。血液検査では炎症反応・貧血・腫瘍マーカーなどを評価します。便潜血検査は大腸がんのスクリーニングとして広く用いられています。
腹部エックス線検査やCT検査
腹部X線ではガスの分布や腸管の拡張を確認できます。CT検査はより詳細な腸管の状態・周囲臓器との関係を把握するために有用です。
大腸内視鏡検査が必要になるケース
便潜血陽性・血便・長期にわたる便通異常・腫瘍が疑われる場合などに大腸内視鏡検査が行われます。横行結腸の内部を直接観察でき、必要に応じてポリープの切除や生検も可能です。
横行結腸に異常が疑われたときの対処
まずは医療機関を受診する
自己判断で長期間様子をみることは避け、気になる症状が続く場合は内科・消化器内科への受診をお勧めします。ご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。
症状に応じた治療の考え方
便秘には生活習慣の改善や薬物療法、炎症性腸疾患には専門的な薬物療法、大腸ポリープには内視鏡的切除、大腸がんには手術・化学療法などを含む集学的治療が行われます。治療方針は医師が診察・検査結果をもとに判断します。
便秘が関係する場合の日常生活での工夫
規則正しい排便習慣を意識し、毎日同じ時間にトイレに座る習慣をつけることが助けになります。腹式呼吸や軽い体操も腸の動きをサポートする場合があります。腹式呼吸とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も参考にしてください。
食事・水分・運動で意識したいこと
- 水分:1日1.5〜2L程度を目安にこまめに摂る
- 食物繊維:野菜・海藻・豆類・雑穀を積極的に取り入れる
- 発酵食品:腸内環境を整える助けになることがある
- 運動:ウォーキングなど有酸素運動を習慣化する
こんなときは早めに内科・消化器内科へ
強い腹痛、吐き気、嘔吐がある
腸閉塞や腸穿孔など緊急性の高い病態が疑われます。我慢せず速やかに医療機関を受診してください。
血便、黒い便、発熱がある
血便は大腸ポリープ・大腸がん・炎症性腸疾患などのサインである可能性があります。黒い便(タール便)は上部消化管出血を示すことがあります。
体重減少や貧血がある
意図しない体重減少や貧血は、消化管の出血や悪性疾患を示すサインである場合があります。
症状が長引く、繰り返す
2〜3週間以上続く腹痛・便通異常は、一過性のものではなく何らかの原因がある可能性があります。早めの受診を検討してください。
横行結腸と大腸がんの関係
横行結腸にも大腸がんはできる
大腸がんは直腸・S状結腸に多いとされていますが、横行結腸を含む大腸全体に発生する可能性があります。国立がん研究センターのデータによると、大腸がんは日本人のがん罹患数で上位に位置します。
早期発見のために知っておきたいこと
早期の大腸がんは症状に乏しいことが多く、定期検診が早期発見の鍵となります。便潜血検査で陽性が出た場合は、必ず大腸内視鏡検査を受けることが重要です。
検診を受ける目安
厚生労働省は、40歳以上を対象とした大腸がん検診(便潜血検査)を推奨しています。家族に大腸がんの方がいる場合や、以前にポリープを指摘された方は、医師に検査の頻度・内容を相談することをお勧めします。
横行結腸についてよくある誤解
横行結腸は病名ではなく解剖学上の名称
「横行結腸が…」と言われると病名のように聞こえますが、これは大腸の特定の部位を指す解剖学的名称です。
「異常」と言われても必ずしも病気とは限らない
画像検査で「横行結腸が下垂している」「たるみがある」と指摘されても、多くの場合は体質的なバリエーションであり、緊急性がないこともあります。ただし、症状が伴う場合は医師への相談が安心です。
自己判断で様子を見すぎないことが大切
「大腸だからたいしたことない」と決めつけて放置することは避けてください。気になる症状があれば、まずは消化器内科に相談することをお勧めします。
受診先の選び方
まずは内科・消化器内科へ
腹部症状・便通異常・血便などの症状は、内科または消化器内科を受診してください。必要に応じて大腸内視鏡検査など専門的な精査が行われます。
救急受診を考えるべきケース
- 突然の激しい腹痛
- 嘔吐が止まらない
- 大量の血便
- 意識が混濁するほどの状態
上記のような症状がある場合は、救急受診を検討してください。
よくある質問(FAQ)
横行結腸とはどこのことですか?
横行結腸は大腸の一部で、お腹の中をほぼ横方向に走る部分です。みぞおちからへその高さにかけて、右の肋骨下から左の肋骨下にかけて弓状に伸びています。病名ではなく、解剖学的な部位の名称です。
横行結腸が長い、たるむと言われたのは異常ですか?
横行結腸の長さや位置には個人差が大きく、「たるんでいる」「下垂している」と言われても多くの場合は体質的なものです。ただし、これが便秘の一因となることもあるため、症状がある場合は消化器内科に相談することをお勧めします。
横行結腸の異常はレントゲンでわかりますか?
腹部X線検査でガスの分布や腸管の拡張・走行はある程度確認できます。ただし、ポリープや早期がんなど細かい病変の診断にはCT検査や大腸内視鏡検査が必要となります。
横行結腸の痛みはどこに出ますか?
横行結腸付近の痛みは、一般的に上腹部(みぞおち付近)から臍周囲にかけて感じることが多いとされています。ただし腹痛の位置は個人差があり、放散痛として他の部位に感じることもあります。
横行結腸の病気は何科を受診すればよいですか?
内科または消化器内科が適切な受診先です。大腸がんや炎症性腸疾患が疑われる場合は、消化器内科での専門的な検査が重要となります。
横行結腸にがんができるとどんな症状がありますか?
早期には無症状なことが多く、進行すると便通の変化(便秘・下痢の繰り返し)・血便・腹痛・体重減少・貧血などが現れることがあります。これらの症状が続く場合は早めに受診してください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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