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お腹の左側が痛いとは?原因・症状・対処を消化器外科医が解説【たまプラーザ】

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左横腹が痛い|考えられる原因・危険なサイン・受診の目安を消化器外科専門医が解説

導入:左横腹が痛いときに考えられること

左横腹の痛みは、多くの方が一度は経験する症状のひとつです。しかし「どの臓器が原因なのか」「今すぐ受診すべきか、様子を見てよいのか」の判断は、専門家でも問診・検査なしには難しいことがあります。

左横腹には、消化管(下行結腸・S状結腸)・泌尿器(左尿管・左腎)・婦人科臓器・筋肉や肋骨など、複数の器官が存在しています。また、帯状疱疹のように皮膚・神経が原因で痛む場合もあります。このため、痛みの性質・経過・随伴症状を丁寧に確認することが、原因の絞り込みに不可欠です。

本記事では、消化器外科専門医の立場から、左横腹の痛みに関する医学的な知識を整理してお伝えします。なお、具体的な診断や治療は必ず医師の診察のもとで行われるものであり、本記事はその代わりとなるものではありません。

左横腹とはどの部分か

「左横腹」とは、おおまかに体の左側・肋骨の下縁からウエストライン付近までの範囲を指します。医学的には以下のように区分されます。

  • 左季肋部(さきろくぶ):みぞおちの左側・肋骨の内側あたり(脾臓・胃・膵尾部が近い)
  • 左側腹部:ウエストの左側(下行結腸・左腎・左尿管が通る)
  • 左腸骨窩(ちょうこつか):左の下腹部(S状結腸・左卵巣・左卵管が近い)

「左横腹が痛い」とおっしゃる場合、この3つの区域のいずれか、あるいは複数にまたがっていることがあります。痛みの中心がどのあたりかを意識しておくと、受診時の説明に役立ちます。

左横腹が痛いときに考えられる主な原因

消化管の原因

左横腹には下行結腸・S状結腸が走行しているため、腸に関連した痛みが起こりやすい部位です。

  • 便秘・ガスの貯留:硬い便やガスが腸内に溜まると、鈍い張り感や痛みが生じることがあります
  • 腸炎(感染性・非感染性):下痢・発熱・腹痛が同時に現れることが多く、食中毒や感染症が背景になる場合もあります
  • 過敏性腸症候群(IBS):ストレスや食事の影響で、腹痛・下痢・便秘が繰り返す疾患です。排便後に一時的に痛みが和らぐ特徴があります
  • 大腸憩室炎:腸の壁にできた小さな袋(憩室)が炎症を起こした状態。左下腹部から横腹にかけての痛み・発熱が典型的です
  • 腸閉塞(イレウス):腸の動きが障害されると、腹部全体の張り・痛み・嘔吐が起こります。既往手術がある方は注意が必要です

腹痛全般については腹が痛い|原因と受診の目安もあわせてご参照ください。

泌尿器の原因

  • 尿管結石:左の腎臓から膀胱へ向かう尿管に結石が詰まると、左腰から横腹にかけての激しい疝痛(仙痛)が起こることがあります。血尿・吐き気を伴うことが多く、波のような痛みが特徴です
  • 腎盂腎炎(じんうじんえん):細菌感染が腎臓に及んだ状態で、左腰から横腹の鈍い痛み・高熱・排尿時の不快感が現れます

筋肉・骨・姿勢による痛み

体を動かす・深呼吸する・押すと痛みが増す場合は、筋骨格系の問題が考えられます。

  • 筋肉痛・筋肉の過緊張:激しい運動や無理な姿勢で腹壁の筋肉が疲労した場合
  • 肋間神経痛:肋骨に沿って走る神経が刺激され、ピリッとした鋭い痛みが出ることがあります

婦人科の原因

女性では、月経周期との関連や下腹部症状を伴う場合に以下の疾患を考えます。

  • 子宮内膜症・卵巣嚢腫:左卵巣付近の鈍痛が月経前後に強くなる場合
  • 卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん):突然の激しい下腹部〜横腹の痛みで、緊急受診が必要な場合があります
  • 子宮外妊娠:妊娠の可能性がある女性で突然の腹痛が起きた場合は、速やかな受診が重要です

下腹部の痛みについてはさらに詳しく下腹が痛い|原因と受診の目安もご参照ください。

皮膚や神経の原因

  • 帯状疱疹:水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化すると、体の片側(左横腹を含む)にピリピリした神経痛が起こります。数日後に赤い発疹が出ることが多く、痛みが先行するため腹部疾患と間違えやすいのが特徴です

痛みの性質から考える見分け方

いつから・どのくらい続くか

  • 突然始まった激しい痛み:尿管結石・腸閉塞・卵巣茎捻転などの緊急性が高い疾患を考えます
  • 数日〜数週間続く鈍い痛み:憩室炎・腎盂腎炎・過敏性腸症候群なども鑑別に入ります
  • 繰り返す痛み:月経周期・食事・排便との関連を確認します

何で悪化・軽快するか

増悪・軽快因子 考えられる関連
排便後に楽になる 過敏性腸症候群、便秘
食後に悪化する 消化管の問題
深呼吸・体を動かすと痛む 筋骨格系・胸膜の問題
排尿後に和らぐ 尿路の問題
体位変換で変わらない 内臓由来の可能性

ほかの症状の有無

受診の際には、以下の随伴症状も記録しておくと診断の助けになります。

  • 発熱・悪寒
  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢・便秘・血便・黒色便
  • 血尿・排尿時の痛み・尿量の変化
  • 皮膚の発疹
  • 体重減少・食欲低下
  • 月経の状況(女性)

すぐ受診が必要な危険なサイン

救急受診を考える症状

以下の症状が現れた場合は、速やかに救急外来を受診するか救急車を呼ぶことをご検討ください。

  • 突然の耐えられないほどの激しい痛み
  • 冷や汗・顔面蒼白・意識が遠くなる感覚
  • 歩けない、身動きがとれないほどの腹痛
  • 腹部全体が板のように硬くなっている(腹膜刺激症状)
  • 吐血・血便・黒色便(タール便)
  • 尿がまったく出ない
  • 高熱(38.5℃以上)と強い腹痛が同時にある
  • 呼吸困難を伴う腹痛

早めの受診が望ましい症状

緊急ではないものの、以下の状態が続く場合は数日以内に受診することをお勧めします。

  • 2〜3日以上続く痛みで改善が見られない
  • 37℃台の発熱が続く
  • 排尿異常(血尿・頻尿・排尿時痛)がある
  • 便通の異常(下痢や血便)が続く
  • 食事のたびに左横腹が痛む

左横腹が痛いときの受診先の目安

症状の特徴 受診先の目安
腹痛・下痢・便秘・吐き気 内科・消化器内科
血尿・排尿痛・腰背部痛 泌尿器科
月経不順・下腹部痛(女性) 婦人科
体動時の痛み・押すと痛む 整形外科・内科
皮膚の発疹・神経痛 皮膚科・内科

まずどこを受診するか迷う場合

症状が複数にまたがって判断が難しい場合は、内科または消化器内科への受診から始めることが一般的です。問診・診察・検査の結果をふまえ、必要に応じて泌尿器科・婦人科・整形外科などへ案内されます。「どこに行けばよいかわからない」という場合でも、まずはかかりつけ医や近くの内科・消化器内科にご相談ください。

医療機関で行う主な診察・検査

問診で確認されること

  • 痛みの部位・性質・強さ・持続時間
  • 発症のきっかけ・経過
  • 随伴症状(発熱・嘔吐・排尿異常など)
  • 既往歴・手術歴・服薬状況
  • 月経歴(女性)・妊娠の可能性

検査でわかること

  • 血液検査:炎症反応(CRP・白血球数)、貧血、臓器機能
  • 尿検査:尿路感染・結石・血尿の有無
  • 腹部超音波(エコー):腎臓・胆嚢・卵巣などの形態評価
  • 腹部CT:結石・腸閉塞・腫瘍・憩室炎などの精査
  • 大腸内視鏡:便通異常・血便・慢性的な腹痛の精査に用いられることがあります

自宅で様子を見るときの注意点

痛みが軽度で緊急サインが見られない場合でも、以下の点を心がけましょう。

  • 安静を保ち、無理な運動や重いものを持つことは避ける
  • こまめな水分補給(ただし嘔吐が強い場合は医師に相談)
  • 脂っこい食事・アルコール・刺激物を控える
  • 痛みの変化・発熱の有無を記録しておく

やってはいけないこと

  • 市販の鎮痛薬を継続的に自己判断で使用すること:痛みが一時的に隠れ、受診が遅れる可能性があります。また、腎機能に問題がある場合や胃潰瘍の既往がある場合は注意が必要です
  • 「そのうち治る」と数週間以上放置すること:炎症・感染・腫瘍など、早期対応が重要な疾患が隠れている場合があります

左横腹の痛みでよくある質問

Q. 便秘でも左横腹は痛くなりますか

便やガスが下行結腸・S状結腸に溜まることで、左横腹に鈍い張り感や痛みが生じることはよく見られます。ただし、排便後も痛みが続く場合や、発熱・血便を伴う場合は別の原因も考えられるため、医療機関への相談をお勧めします。

Q. 左横腹の痛みはがんの可能性がありますか

痛みの症状だけで悪性腫瘍と判断することはできません。一般的に、大腸がんなどは体重減少・血便・便通の変化・貧血症状など複数のサインが重なって気づかれることが多いです。気になる症状が続く場合は、早めに医療機関で評価を受けることが大切です。

Q. 生理中の左横腹の痛みは様子見でよいですか

月経に伴う痛みが左横腹に及ぶことはあります。しかし、いつもの月経痛よりも明らかに強い痛み・発熱・持続する腹痛がある場合は、卵巣嚢腫や子宮内膜症、子宮外妊娠なども考えられるため、婦人科への受診をお勧めします。下腹部の痛みについては下っ腹が痛い|女性の痛みと受診の目安もご参照ください。

Q. 市販薬を飲んでも大丈夫ですか

症状が軽い場合に市販薬を一時的に使用されることはありますが、持病(腎疾患・胃潰瘍など)がある方や他の薬を服用中の方は成分に注意が必要です。また、鎮痛薬で痛みが一時的に緩和しても、原因となっている疾患が改善したわけではありません。数日以上痛みが続く場合、または症状が変わらない・悪化する場合は医療機関にご相談ください。

まとめ:左横腹が痛いときは症状の組み合わせで判断し、必要なら早めに受診を

左横腹の痛みの原因は、消化管・泌尿器・筋骨格系・婦人科・皮膚と多岐にわたります。「いつから」「どんな痛みか」「何と一緒に起きているか」を整理することが、適切な受診につながります。

激しい痛み・発熱・血便・血尿・腹部の板のような硬さ・意識の変容などが見られる場合は、速やかに救急外来を受診してください。また、数日以上続く痛みや体重減少・便通異常・排尿異常を伴う場合も、早めの受診が望まれます。

なお、本記事の内容はあくまで医学的な情報の整理を目的としたものです。具体的な診断・治療は、必ず医師の診察のもとで行われるものとご理解ください。また、食道裂孔ヘルニアのように上腹部症状と関連する疾患については食道裂孔ヘルニアもあわせてご参照ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。

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