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尿素呼気試験とは?原因・症状・対処を内科医が解説

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内科医が解説する ピロリ菌検査ガイド

尿素呼気試験とは?原因・症状・対処を内科医が解説

尿素呼気試験(UBT:Urea Breath Test)は、息を吹き込むだけでピロリ菌(Helicobacter pylori)の感染を調べられる、体への負担が少ない非侵襲的な検査です。胃カメラを使わずにピロリ菌の有無を高い精度で確認できるため、消化器内科・内科の臨床現場で広く活用されています。本記事では、検査の仕組みや受け方、結果の読み方、除菌後のフォローまでわかりやすく解説します。

  • 息を採取するだけでピロリ菌感染の有無を調べられる検査です。
  • 胃カメラを使わず、体への負担が少ないことが大きな特徴です。
  • 除菌前の感染確認だけでなく、除菌後の判定にも広く用いられます。

尿素呼気試験とは?まず知っておきたい基本

何を調べる検査なのか

尿素呼気試験は、胃の中にピロリ菌が存在するかどうかを調べる検査です。微量の放射性同位体(または安定同位体)で標識した尿素を含む薬剤(錠剤または液体)を飲み、一定時間後に息を採取します。ピロリ菌が胃内に存在する場合、菌が持つウレアーゼという酵素が尿素を分解し、二酸化炭素と水に変化させます。この二酸化炭素が呼気中に排出されることを利用して、感染の有無を判定します。

ピロリ菌感染との関係

ピロリ菌は慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主な原因菌とされており、胃がんのリスク因子としても日本ヘリコバクター学会のガイドラインで広く認識されています。感染していても自覚症状がない場合も多く、検査を受けるまで気づかないケースが少なくありません。

尿素呼気試験でわかること・わからないこと

ピロリ菌の有無を調べる目的

この検査でわかるのは「胃内にピロリ菌が存在するかどうか」のみです。胃炎・潰瘍・胃がんそのものを診断するものではありません。また、除菌治療後に菌が残っていないかを確認する「除菌判定」にも用いられます。

ほかの検査との違い

ピロリ菌を調べる方法には、胃カメラ(内視鏡)を用いる「迅速ウレアーゼ試験」「培養法」「組織検鏡法」や、血液・便を用いる「抗体検査」「便中抗原検査」などがあります。尿素呼気試験は胃カメラ不要で全身への影響が少なく、感度・特異度ともに90〜95%以上と報告されており、日本ヘリコバクター学会ガイドラインでも高く評価されています。除菌後の判定を含む多くの場面で第一選択として用いられる検査です。

薬の影響が気になる方へ

PPIなどの胃酸分泌を抑える薬は、検査結果に影響することがあります。詳しくは
PPIとは?原因・症状・対処を内科医が解説
も参考にしてください。

尿素呼気試験を受ける主な場面

胃の不調があるときに検討されるケース

胃痛・胃もたれ・胸やけ・むかつきなどの症状が続く場合、ピロリ菌感染を調べる目的で医師が提案することがあります。

健診や胃カメラ後に案内されるケース

胃内視鏡検査(胃カメラ)で慢性胃炎の所見が見つかったときや、胃がんリスク検診(ABC検診)の結果を受けて、精密検査として案内されることがあります。

除菌治療の前後で確認するケース

除菌治療を開始する前の感染確認と、除菌終了後に治療が成功したかを判定する「除菌後確認検査」の両方で用いられます。除菌後の検査は、治療終了から通常4〜8週間後に行います。

尿素呼気試験の流れ

検査前の準備

検査前日の夜から絶食が必要になる場合が多く、検査当日の朝食も原則禁止です(水・お茶は少量可の施設が多い)。また、プロトンポンプ阻害薬(PPI)・抗菌薬・ビスマス製剤は一定期間前から中止が必要です。

検査当日の手順

  1. 検査薬(錠剤)を少量の水で服用する
  2. 20分程度安静に過ごす(施設により異なる)
  3. 専用バッグに息を吹き込む(前後2回採取するケースが一般的)
  4. 採取した呼気を分析装置で測定する

検査にかかる時間の目安

来院から結果確認まで、おおよそ30〜60分程度です。結果の説明は当日または後日、医師から行われます。

尿素呼気試験の前に注意したいこと

食事や服薬で気をつける点

空腹状態で受けることが基本です。飲食物や一部の薬剤が結果に影響を与える可能性があるため、事前に医師・スタッフへ確認しましょう。特に乳製品などは施設の指示に従うことが大切です。

検査結果に影響することがある薬

  • プロトンポンプ阻害薬(PPI):服用中は検査の2週間前を目安に休薬が必要とされることが多い
  • 抗菌薬・ビスマス製剤:4週間前からの休薬が推奨されるケースがある

休薬の可否は必ず主治医に相談してください。自己判断で薬を中止することは避けてください。

妊娠中・授乳中などで確認したいこと

日本で一般的に使用されている試薬(13C標識尿素)は放射線を使わない安定同位体のため、被曝の心配はありません。ただし妊娠中・授乳中の方は事前に医師へ申し出て指示に従ってください。

胃薬や抗菌薬を内服中の方は、検査日程の調整が必要になることがあります。検査予約時の申告が大切です。

尿素呼気試験の結果の見方

陽性だった場合に考えられること

検査値が一定の基準値を超えた場合、ピロリ菌感染が強く疑われます。陽性の場合、医師から除菌治療についての説明が行われます。

陰性だった場合に考えられること

基準値を下回った場合、現時点でピロリ菌感染の可能性は低いと判断されます。ただし偽陰性の可能性があるため、症状が続く場合は医師に相談することが大切です。

結果だけで自己判断しないことの大切さ

数値は参考情報であり、症状・胃カメラ所見・既往歴などを総合的に評価して医師が判断します。結果のみで病気の有無を断定することはできません。

尿素呼気試験の精度と限界

検査の信頼性について

尿素呼気試験は感度・特異度ともに優れた検査とされており、日本ヘリコバクター学会のガイドラインにおいても非侵襲的検査の中で高く評価されています。

偽陽性・偽陰性が起こる可能性

PPI服用中・抗菌薬使用後・胃の一部を切除している方(胃切除後)では、偽陰性(実際は陽性なのに陰性と出る)が生じやすいとされています。また稀に偽陽性が出る場合もあります。

必要に応じて追加検査を行う理由

結果に疑義がある場合や症状が続く場合は、便中抗原検査・胃カメラ(内視鏡)などの追加検査を医師が検討します。症状によっては食道裂孔ヘルニアなど他の疾患が関係していることもあるため、総合的な評価が重要です。詳しくは
食道裂孔ヘルニアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】
もご参照ください。

ピロリ菌が見つかった場合の対処

医師が行う説明と今後の流れ

陽性と判定された場合、医師からピロリ菌感染が確認されたこと・除菌治療の概要・保険適用の条件などについて丁寧な説明が行われます。

除菌治療の基本的な考え方

標準的な一次除菌療法は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)と2種類の抗菌薬(アモキシシリン・クラリスロマイシン)を7日間服用する3剤併用療法です。一次除菌が不成功の場合は、薬の種類を変えた二次除菌を行います。除菌治療には健康保険が適用される条件があるため、医師へ確認してください。

除菌後に確認する再検査

除菌治療終了から4〜8週間後(PPIを内服している場合はさらに休薬期間が必要)に、再度尿素呼気試験を行い除菌成功を確認します。

受診の目安

早めに内科・消化器内科を受診したい症状

  • 胃痛・みぞおちの痛みが続く
  • 胸やけ・胃もたれが長引いている
  • 食欲不振・体重減少がある
  • ピロリ菌検査をこれまで受けたことがない

胃痛・胸やけ・胃もたれが続くとき

喉の違和感が続く場合も逆流性食道炎やピロリ菌感染と関連している場合があります。詳しくは
喉の違和感とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
もあわせてご覧ください。

吐血・黒い便など緊急性がある症状

吐血(血を吐く)・タール便(黒くドロドロした便)・急激な腹痛がある場合は、速やかに救急外来を受診してください。

尿素呼気試験を受ける医療機関の選び方

相談しやすい診療科

内科・消化器内科が窓口となります。胃カメラも施行できるクリニックであれば、状況に応じて一体的に検査を進めることができます。

検査から除菌後フォローまでできるか確認するポイント

  • 尿素呼気試験の機器を院内に備えているか
  • 除菌後の確認検査・フォローアップまで対応しているか
  • 胃カメラ検査も相談できる体制か

よくある質問(FAQ)

Q. 尿素呼気試験は痛いですか?

錠剤を飲んで息を吹き込むだけなので、痛みはありません。注射や胃カメラのような侵襲的処置は行いません。

Q. 健康診断で受けられますか?

一部の人間ドック・職域健診で実施しているケースがあります。ただし保険診療としての実施は医師の判断に基づくため、症状がある場合はまず内科・消化器内科へご相談ください。

Q. 検査当日に食事はできますか?

原則として検査前は絶食が必要です。施設ごとに指示が異なる場合があるため、案内に従ってください。検査終了後は通常通り食事できることが一般的です。

Q. ピロリ菌がいなければ胃の病気は安心ですか?

ピロリ菌陰性であっても、胃がん・逆流性食道炎・機能性ディスペプシアなど他の疾患が起こる可能性はあります。症状が続く場合は受診・精密検査が大切です。

Q. 除菌後は再検査が必要ですか?

はい、必要です。除菌が成功したかどうかを確認するために、治療終了後に再度尿素呼気試験などの検査を受けることが推奨されています。

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本記事の監修医師:佐藤 靖郎(さとう やすお)

医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割

厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員/全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー/神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役

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