- 飲み込むと胸が痛いとは?まず知っておきたいこと
- 飲み込むと胸が痛い主な原因
- 症状から考えやすい原因の見分け方
- こんなときは早めに受診を
- 医療機関ではどんな診察・検査を行う?
- 自宅でできる対処法
- 受診先の目安
- 予防のために意識したい生活習慣
- まとめ:飲み込むと胸が痛いときは原因を見極めて受診を
- よくある質問(FAQ)
- 関連記事
- 本記事の監修医師
- AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
飲み込むと胸が痛いとは?まず知っておきたいこと
胸の真ん中が痛いときに考えられる部位
飲み込みの際に痛みが生じる部位として、最も多いのは食道です。食道は咽頭(のど)から胃までをつなぐ管状の臓器で、胸の真ん中(胸骨の裏側あたり)を通っています。そのため「飲み込むと胸の真ん中が痛い」という症状は、食道の病気を最初に疑う必要があります。
ただし、胸骨の裏側は心臓や大動脈、肺なども近接しているため、これらの臓器の病気が胸の痛みとして現れることも否定できません。
食べ物や飲み物を飲み込むと痛むときの特徴
飲み込みに関連した胸の痛みを医学的には嚥下痛(えんげつう)と呼びます。特徴的なのは「飲み込む動作のたびに痛む」「安静時には痛みが少ない」という点です。固形物でも液体でも痛む場合と、固形物のみで痛む場合では原因が異なることがあります。
飲み込むと胸が痛い主な原因
食道の炎症や逆流性食道炎
最も多い原因の一つが逆流性食道炎です。胃酸が食道に逆流することで食道粘膜が傷つき、炎症が起こります。飲み込むたびに炎症部位が刺激され、胸の真ん中に焼けるような痛みが生じます。日本消化器病学会のガイドラインでも、逆流性食道炎は患者数が多く適切な診断と治療が推奨されています。
なお、逆流性食道炎の背景に食道裂孔ヘルニアが関与していることもあります。詳しくは食道裂孔ヘルニアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】をご覧ください。
食道けいれんなどの食道の動きの異常
食道けいれん(びまん性食道けいれん)は、食道の筋肉が異常に収縮することで、飲み込み時に強い胸痛が起こる疾患です。痛みが突然強くなることがあり、狭心症に似た症状を呈する場合もあります。
食道に傷や刺激がある場合
錠剤や硬い食べ物が食道粘膜を傷つけることがあります。また、熱い飲み物・刺激物の過剰摂取による慢性的な刺激も食道炎の原因になります。
感染症や薬剤性食道炎が関係する場合
免疫力が低下している場合、カンジダ(真菌)やヘルペスウイルスなどの感染によって食道炎が生じることがあります。また、抗菌薬・NSAIDs・ビスホスホネート製剤など一部の薬剤は食道に留まると粘膜を刺激し、薬剤性食道炎を引き起こすことがあります。
のど・胸まわり以外の病気が関わることもある
喉の違和感とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】でも解説しているように、咽頭・喉頭の炎症が飲み込み時の痛みとして感じられることもあります。また、まれに心臓疾患や縦隔(肺と肺の間の空間)の病変が胸痛を引き起こす場合もあるため、注意が必要です。
症状から考えやすい原因の見分け方
飲み込むたびに胸の真ん中が痛い
安静時には痛みがなく、飲み込みの動作のたびに胸骨の裏側が痛む場合は、食道炎や食道けいれんが疑われます。
熱い・冷たいもので痛みが出る
温度刺激で痛みが誘発される場合は、食道粘膜に炎症や傷がある可能性があります。食道の知覚過敏が関与することもあります。
つかえる感じ、飲み込みにくさを伴う
痛みに加えて食物のつかえ感(嚥下困難)がある場合は、食道の狭窄や運動機能障害が関わっている可能性があり、早めの検査が勧められます。
胸やけ、酸っぱい感じ、げっぷを伴う
胸やけや呑酸(のんさん:口の中に酸っぱい液が上がってくる感覚)を伴う場合は、逆流性食道炎が強く疑われます。
発熱、吐き気、体重減少がある
これらの全身症状を伴う場合は、感染性食道炎や食道がんなど、より精密な検査が必要な疾患も鑑別に挙がります。
こんなときは早めに受診を
水分も飲みにくい、強い痛みがある
水分摂取もできないほどの強い嚥下痛は、重度の食道炎や食道けいれんが考えられます。脱水にもつながるため、速やかに医療機関を受診してください。
痛みが長引く、繰り返す
1〜2週間以上続く場合や、繰り返す場合は原因の精査が必要です。放置せず、内科または消化器内科を受診することをお勧めします。
黒い便、吐血、体重減少がある
黒色便(タール便)や吐血は消化管出血のサインであり、緊急性が高い状態です。体重の著しい減少とともに嚥下痛がある場合は食道がんなどの可能性も除外する必要があります。
胸痛や息苦しさがあり心臓の病気も否定できない場合
飲み込みとは無関係に胸痛・左腕への放散痛・息苦しさがある場合は、心筋梗塞や狭心症の可能性があります。迷わず救急受診を検討してください。
医療機関ではどんな診察・検査を行う?
問診で確認するポイント
いつから・どんな状況で痛むか、痛みの性状(焼ける・締め付けられる等)、伴う症状、服薬中の薬、生活習慣(飲酒・喫煙・食事内容)などを詳しく確認します。
胃カメラ検査が必要になることがある
嚥下痛の原因を確認する上で、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は非常に有用です。食道粘膜の炎症・潰瘍・狭窄・腫瘍の有無を直接観察でき、必要に応じて組織の一部を採取(生検)して病理検査を行います。
必要に応じて行うその他の検査
食道の動きを評価する食道内圧検査や、逆流を評価する24時間pHモニタリング、画像検査(CT・バリウム検査)などが追加されることがあります。
自宅でできる対処法
刺激の強い飲食を避ける
熱すぎる飲み物・冷たすぎる飲み物、香辛料・酸味の強い食品、アルコールなど食道を刺激するものを控えましょう。
よく噛んで、ゆっくり飲み込む
食べ物を小さく噛み砕き、ゆっくり飲み込むことで食道への負担を軽減できます。
服薬中の薬を見直す
薬を飲む際は十分な量の水(コップ1杯以上)とともに服用し、服用後すぐに横にならないようにしましょう。薬剤性食道炎が疑われる場合は、担当医に相談のうえ薬の種類や服用方法を見直してください。
逆流性食道炎の治療にはPPI(プロトンポンプ阻害薬)が広く使われています。詳しくはPPIとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】をご覧ください。
痛みが強いときに避けたい行動
痛みが強い時期は、炭酸飲料・アルコール・刺激物の摂取や、食後すぐに横になる行動は避けてください。
受診先の目安
内科・消化器内科を受診するケース
嚥下痛・胸やけ・つかえ感など消化器症状が主体の場合は、内科または消化器内科を受診してください。
すぐに救急受診を考えるケース
- ●水も飲めないほどの激しい痛み
- ●吐血・黒色便を伴う場合
- ●胸痛・息苦しさ・冷や汗を伴い心臓疾患が疑われる場合
上記に該当する場合は救急受診を検討してください。
予防のために意識したい生活習慣
逆流を起こしにくい食事の工夫
脂っこい食事・過食・就寝前の飲食を控えることで、胃酸の逆流リスクを下げることができます。食事は腹八分目を意識しましょう。
食後の過ごし方
食後は2〜3時間程度、横にならずに過ごすことが逆流性食道炎の予防に役立ちます。就寝時に頭側を少し高くする(上体を15〜20cm程度挙上する)工夫も効果的とされています。
喫煙・飲酒との関係
喫煙は食道下部括約筋(胃と食道の境にある弁)を弛緩させ、逆流を促進する可能性が知られています。また、アルコールは食道粘膜を直接刺激します。禁煙・節酒は食道の健康を守る上で重要な習慣です。
まとめ:飲み込むと胸が痛いときは原因を見極めて受診を
飲み込むと胸が痛い場合、逆流性食道炎・食道炎・食道けいれんなど食道に関連した原因が多く見られます。症状が軽度であれば生活習慣の見直しで改善することもありますが、1〜2週間以上続く場合・悪化する場合・全身症状を伴う場合は、早めに内科・消化器内科を受診して適切な検査を受けることをお勧めします。心臓の病気が否定できない強い胸痛がある場合は、速やかに救急受診を検討してください。
よくある質問(FAQ)
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本記事の監修医師
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。