マーガリンとバターの違いとは?原因・症状・対処を内科医が解説
マーガリンとバターは、どちらも日常的に使われる油脂食品ですが、原料・製造方法・脂肪酸の種類が大きく異なります。健康面の影響も異なるため、食べる量や使い分けを意識することが大切です。本記事では、両者の違いを栄養学的・医学的な視点からわかりやすく解説します。
マーガリンとバターの違いとは?まず結論をわかりやすく整理
それぞれの原料とつくり方の違い
バターは牛乳の乳脂肪分を分離・濃縮してつくられる動物性油脂です。乳成分が原料のため、独特のコクと風味があります。一方、マーガリンは大豆油・菜種油・パーム油などの植物性油脂を主原料とし、水素添加などの加工を経て固形または半固形に仕上げた製品です。
味・香り・食感の違い
バターは乳由来の濃厚な香りとコクが特徴で、パンに塗ったときにしっかりとした風味があります。マーガリンはあっさりとした味わいで、種類によって風味が異なります。食感はバターのほうがやや硬く、冷蔵庫から出したばかりでは塗りにくいことがあります。マーガリンは常温でもやわらかいものが多く、扱いやすい点が特徴です。
栄養成分の違い
バター(100gあたり)は約750kcal、脂質約83g、そのうち飽和脂肪酸が多く含まれます。マーガリン(100gあたり)は製品によりますが約700〜760kcal程度で、不飽和脂肪酸の比率が高い傾向にあります。ただし、製造過程でトランス脂肪酸が生じる場合があります(後述)。
どちらが体に悪い?健康面で気になるポイント
脂質・カロリーの比較
カロリーや総脂質量はバターとマーガリンで大きな差はありません。どちらも高脂質・高カロリーな食品であり、食べすぎには注意が必要です。
飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の考え方
バターは飽和脂肪酸が多く、過剰摂取は血中LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を上昇させる可能性があるとされています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」)。一方、マーガリンはかつて製造工程でトランス脂肪酸が多く含まれていましたが、近年は各メーカーの改善努力により日本国内の製品ではその含有量は大幅に低下しています。ただし、製品によって差があるため、成分表示の確認が勧められます。
健康診断で脂質異常を指摘された人が気をつけたいこと
脂質異常症(高LDLコレステロール血症・高中性脂肪血症など)を指摘されている方は、バター・マーガリンを問わず油脂全体の摂取量を管理することが重要です。個々の病状や食習慣に応じた指導は、医師や管理栄養士にご相談ください。
バターとマーガリンはどう使い分ける?
パンに塗るときの選び方
毎日パンに塗る場合、塗りやすさを重視するならマーガリン、風味を重視するならバターが向いています。少量を上手に使い分けることで、日常の食事の満足感を保ちながら摂取量を調整できます。
お菓子作り・料理で向いている使い方
バターはクッキー・パウンドケーキ・ソテーなど、乳の風味が活きる調理に適しています。マーガリンはバターの代替として幅広く使えますが、風味に差が生じることがあります。植物性油脂を使いたい場合はマーガリンが選ばれることが多いです。
風味を重視する場合の選び方
料理やお菓子に独特のコクが欲しい場合はバター、あっさりとした仕上がりにしたい場合はマーガリンや植物性油(オリーブオイルなど)が選択肢になります。
マーガリンとバターはどちらがおすすめ?目的別の選び方
味を重視したい場合
バターの乳由来のコクは代替しにくいため、風味を優先するならバターが向いています。
コストを重視したい場合
一般的にマーガリンのほうが価格が低く、大量に使う場合はコスト面でのメリットがあります。
健康管理を意識したい場合
どちらが「健康的」と一概には言えません。トランス脂肪酸の少ないマーガリンや、少量のバターを上手に活用しつつ、全体の食事バランスを整えることが大切です。
食べるときに注意したい人
脂質異常症や心血管疾患のある人
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、飽和脂肪酸の過剰摂取を避けることが推奨されています。バターを多用する食生活には注意が必要です。主治医の指示に従い、摂取量を調整してください。
高コレステロールを指摘された人
健康診断でLDLコレステロールの高値を指摘された方は、バター・マーガリンを含む動物性脂肪・加工食品の摂取量全体を見直すことが勧められます。
食事制限中の人
カロリー制限中の方は、1回の使用量を小さじ1(約4〜5g)程度に抑えるなど、量に意識を向けることが助けになります。
「マーガリンとバターで体調が悪くなる」は本当?考えられる原因
アレルギーや食物不耐症の可能性
バターは乳製品であるため、乳アレルギーや乳糖不耐症のある方は体調不良が生じることがあります。マーガリンは植物性油脂が主原料ですが、乳成分を含む製品もあるため成分表示の確認が重要です。また、大豆アレルギーのある方は大豆油を含む製品に注意が必要です。
なお、消化器の不調が続く場合は食道裂孔ヘルニアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】も参考になる場合があります。
食べ過ぎによる胃もたれ・下痢・腹痛
高脂質食品を一度に多く摂取すると、消化に負担がかかり、胃もたれ・腹痛・下痢が起こることがあります。これはバター・マーガリンに限らず、脂質全般にみられる反応です。
また、胃酸の逆流による喉の不快感が気になる方は喉の違和感とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も合わせてご覧ください。
ほかの食材や調理法が原因のこともある
パンやお菓子に含まれる小麦・砂糖・添加物が原因である場合もあります。原因の特定には、どの食材を食べたときに症状が出るかを記録することが助けになります。
こんな症状があれば受診を検討
強い腹痛、嘔吐、息苦しさがある
食後に強い腹痛や嘔吐、息苦しさが生じた場合は、重篤な状態の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。
発疹、かゆみ、唇の腫れがある
食物アレルギーによるアナフィラキシーの可能性があります。唇・舌・喉の腫れ、じんましん、息苦しさなどが現れた場合はただちに救急受診が必要です。
症状が繰り返す、長引く場合
特定の食品を食べるたびに同様の症状が起きる、あるいは数日以上続く場合は、自己判断せず内科・消化器科を受診することを検討してください。
内科で行う主な確認・対応
症状や食事内容の確認
受診の際は、症状が出たタイミング・食べたもの・量・症状の内容を医師に伝えると診察がスムーズです。
必要に応じた検査
血液検査(脂質・アレルギー検査など)、腹部の診察、場合によっては内視鏡検査などが行われることがあります。プロトンポンプ阻害薬(PPI)の活用についてはPPIとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も参考にしてください。
生活習慣や食事の見直しの考え方
油脂の種類だけでなく、全体の食事パターン・運動習慣・体重管理が脂質代謝に影響します。管理栄養士との連携も有効です。
バターとマーガリンを選ぶときのチェックポイント
原材料表示の見方
食品表示法に基づき、原材料名・添加物が記載されています。乳成分の有無、植物油の種類(パーム油・大豆油など)を確認しましょう。
「トランス脂肪酸」「乳成分」などの確認ポイント
近年は「トランス脂肪酸低減」を謳う製品も増えています。乳アレルギーのある方は「乳成分を含む」の表示を必ず確認してください。
保存方法と使用量の目安
バター・マーガリンともに冷蔵保存が基本です。1回あたりの使用量はパンに塗る場合で小さじ1(約4〜5g)程度を目安とし、食べ過ぎを避けることが勧められます。
医師からのひとこと:食事は「どちらが絶対に良い」ではなく全体のバランスが大切
日常の食事で意識したい基本
バターとマーガリンのどちらが「絶対に健康的」とは言い切れません。重要なのは使用量・全体の食事バランス・個人の健康状態です。野菜・魚・大豆食品なども取り入れた多様な食事が基本です。
不安があるときは自己判断せず相談を
脂質異常症・心血管疾患・アレルギーの疑いがある方は、インターネットの情報だけで判断せず、医師や管理栄養士にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
マーガリンとバター、子どもにはどちらがよいですか?
成長期の子どもには脂質も必要な栄養素です。どちらも少量であれば問題になることは少ないとされています。乳アレルギーがある場合はバターを避け、成分表示を確認したマーガリンや植物性油脂を選ぶことが勧められます。詳しくはかかりつけ医にご相談ください。
マーガリンは本当に体に悪いのですか?
かつてトランス脂肪酸の含有量が多い時代には懸念されましたが、現在の日本国内製品は大幅に改善されています。食品安全委員会によると、日本人の平均的な摂取量はWHOの目標値を下回っています。ただし、製品によって差があるため、成分表示の確認が助けになります。
バターのほうが自然で健康的と言えますか?
「自然素材=健康的」とは一概に言えません。バターは乳由来の飽和脂肪酸が多く、過剰摂取はLDLコレステロールの上昇に関連するとされています。どちらも適量の使用と全体の食事バランスが重要です。
毎日食べても問題ない量はありますか?
明確な「安全な量」は個人の健康状態によって異なります。一般的には1日あたり数グラム(パン1枚に塗る程度)を目安にし、脂質の摂取量全体を意識することが勧められます。脂質異常症や心疾患のある方は主治医にご確認ください。
乳製品が苦手な場合はどう選べばよいですか?
乳アレルギーや乳糖不耐症の方はバターを避け、植物性油脂のみで製造されたマーガリンやオリーブオイルなどを選ぶ方法があります。原材料表示で「乳成分を含む」の記載がないものを選ぶことが大切です。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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