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肝癌の治療法とは?手術・薬物療法・放射線治療を整理






肝癌の治療法とは?手術・薬物療法・放射線治療を整理|AIプラスクリニックたまプラーザ


肝癌の治療法とは?手術・薬物療法・放射線治療を整理

肝癌の治療を選ぶ前に知っておきたいこと

肝癌と肝細胞がん・胆管癌・胆嚢癌の違い

「肝癌」という言葉は、肝臓に生じるがんを総称するときに使われます。肝臓に発生するがんのうち最も多いのが肝細胞がん(肝細胞から生じる)で、次いで肝内胆管癌(胆管細胞から生じる)があります。一方、胆嚢癌は胆嚢(胆汁を蓄える袋状の臓器)から生じるがんです。これらは発生起源が異なるため、治療方針も異なります。本記事では主に肝細胞がんを中心に解説し、胆管癌・胆嚢癌の治療との違いの章で補足します。

治療方針は何で決まるか(がんの進み方、肝機能、体力、合併症)

治療を選ぶ際に医師が重視する主な要素は以下のとおりです。

評価項目 主な確認内容
腫瘍の状態 個数・大きさ・血管や他臓器への広がり(脈管侵襲・遠隔転移)
肝予備能 Child-Pugh分類(肝臓の機能を点数化したもの)、ALBI scoreなど
全身状態 PS(Performance Status:日常生活の自立度を0〜4で評価)
合併症 肝硬変・腎機能障害・心疾患など

これらを組み合わせて、日本肝臓学会の「肝癌診療ガイドライン」に沿った治療アルゴリズムが参照されます。

肝癌の主な治療法の全体像

治療の目的は「根治をめざす治療」と「がんを抑える治療」

治療の大きな方向性は2つです。

  • 根治(治癒)をめざす治療:がんを体から取り除くことを目標とする(肝切除・ラジオ波焼灼療法・肝移植など)
  • がんの進行を抑える治療:根治は難しいが、がんの縮小・増殖抑制・症状緩和をめざす(TACE・分子標的薬・免疫療法など)

肝癌は慢性肝炎・肝硬変を背景に発生することが多く、がん自体への治療と肝機能の維持を同時に考える必要があります。

代表的な治療法の整理:手術、局所療法、薬物療法、放射線治療

治療法 代表的な方法 主な適応
手術 肝切除、肝移植 早期〜中期・肝機能が保たれている場合
局所療法 RFA、TACE 腫瘍が少数・限局している場合
薬物療法 分子標的薬、免疫療法 進行期・局所療法困難な場合
放射線治療 定位放射線治療(SBRT)など 局所制御・症状緩和

肝臓がん・胆道がんの全体像については、肝臓がん・胆道がんの基礎知識と治療の全体像もあわせてご参照ください。

手術による治療

肝切除が検討される条件

がんが肝臓内にとどまり、かつ残る肝臓の機能が十分に保てると判断される場合に肝切除が検討されます。具体的には、Child-Pugh分類でAランク(肝機能が比較的保たれている状態)であることが多く、腫瘍の個数・位置・大きさも判断材料になります。

手術のメリットと注意点

肝切除の最大のメリットは根治の可能性です。一方、手術後は肝機能が一時的に低下するため、回復には数週間から数ヶ月を要することがあります。手術後の合併症(肝不全・胆汁漏・感染症)のリスクもあり、術前にリスクを丁寧に評価します。

肝機能が低い場合に手術以外が選ばれること

肝硬変が進んでいる場合(Child-Pugh BやC)は、手術に耐えられないリスクがあるため、局所療法や薬物療法が優先されます。肝移植は一定の条件(ミラノ基準など)を満たす場合に検討されますが、ドナー不足や適応の厳密な評価が必要です。

局所療法

ラジオ波焼灼療法(RFA)・マイクロ波凝固療法

ラジオ波焼灼療法(RFA:Radiofrequency Ablation)は、皮膚から細い針を刺してがん組織に熱を加え、焼き固める治療法です。3cm以下・3個以内の腫瘍が主な適応とされ、体への負担が比較的少ないことが特徴です。マイクロ波凝固療法も同様の原理で使われます。

肝動脈化学塞栓療法(TACE)

TACE(Transcatheter Arterial Chemo-Embolization)は、足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、がんへの血流を遮断しながら抗がん剤を直接届ける方法です。手術が難しい症例や複数の腫瘍がある場合に用いられることが多いです。

どのような場合に局所療法が使われるか

腫瘍の個数が少なく・肝機能が保たれているが手術リスクが高い場合、または手術後の再発に対して局所療法が選択されることがあります。局所療法は繰り返し実施できる場合もあり、薬物療法と組み合わせて使われることもあります。

薬物療法

分子標的薬と免疫療法

肝細胞がんに対する薬物療法は近年大きく進歩しています。ソラフェニブ・レンバチニブなどの分子標的薬(がん細胞の増殖に関わる特定の分子を狙い打ちにする薬)が用いられてきました。また、近年ではアテゾリズマブ+ベバシズマブの併用療法など、免疫チェックポイント阻害薬を含むレジメンが国内でも承認されています(国立がん研究センター がん情報サービス参照)。

重要: 免疫療法を含む薬物療法の有効性は個人差があり、すべての方に同等の効果が保証されるものではありません。治療の選択は担当医の判断のもと行われます。

薬物療法が選ばれる場面

手術・局所療法の適応がない進行期の肝癌、またはTACE後に効果が不十分な場合に薬物療法が検討されます。

副作用と通院時に確認したいこと

分子標的薬では手足症候群(手のひら・足の裏の赤みや皮むけ)・高血圧・倦怠感などが代表的な副作用です。免疫療法では免疫関連の副作用(皮疹・甲状腺機能異常・肺炎など)が生じることがあります。通院時には副作用の有無を担当医・薬剤師に詳しく伝え、セルフモニタリングの方法も確認しておきましょう。

放射線治療

肝癌で放射線治療が用いられる場面

従来、肝臓は放射線への耐性が低く全肝への照射が難しいとされてきました。しかし、定位放射線治療(SBRT)など照射精度が向上したことで、手術・RFAが困難な症例や門脈腫瘍塞栓(がんが門脈に入り込んだ状態)への局所制御、骨転移による痛みの緩和などに用いられるようになっています。

体への負担と治療を受ける際の注意点

放射線治療は一般的に入院不要で実施できる場合が多く、1回あたりの治療時間は短い(数十分程度)です。ただし、照射範囲や回数によっては放射線性肝炎・消化管障害のリスクがあるため、専門施設での実施が推奨されます。

肝癌の治療選択で大切な評価項目

腫瘍の数・大きさ・広がり

腫瘍の数と大きさは治療法選択の最初の基準になります。日本肝臓学会ガイドライン(2021年版)では、腫瘍径・個数・脈管侵襲・遠隔転移の有無を組み合わせてステージが分類され、それに対応した治療アルゴリズムが示されています。

肝予備能(肝臓の働き)と肝硬変の有無

Child-Pugh分類は肝機能を総合評価するスコアです(A:5〜6点、B:7〜9点、C:10〜15点)。スコアが高いほど肝臓の余力が低く、侵襲の大きな治療が難しくなります。

全身状態と日常生活への影響

PS(Performance Status)が0〜1(日常生活がほぼ自立)であれば多くの治療が検討できます。PS2以上では治療の選択肢が限られ、患者さんの意向や生活の質(QOL)を重視した方針が話し合われます。

胆管癌・胆嚢癌の治療との違い

手術が中心になる場合と薬物療法が中心になる場合

胆管癌の治療では、切除可能であれば外科手術(胆管切除・肝切除を含む場合も)が最優先です。切除不能な場合はゲムシタビン+シスプラチンなどの化学療法が行われます。胆嚢癌の治療も手術が基本ですが、早期発見が難しく、発見時に進行していることが多いため、化学療法が中心になるケースも少なくありません。

肝癌と混同しやすい病名を整理する

病名 発生部位 主な治療
肝細胞がん 肝細胞 切除・RFA・TACE・薬物療法
肝内胆管癌 肝内の胆管 切除・化学療法
胆管癌(肝外) 肝外の胆管 切除・化学療法・胆道ドレナージ
胆嚢癌 胆嚢 切除・化学療法

当院での診療から

当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での胃・大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。内視鏡検査や腹部超音波などで肝臓・胆道に異常が疑われる所見を認めた際は、速やかに基幹病院へ紹介し、地域連携クリティカルパスを活用して術後・治療後のフォローアップを担当しています。

また、在宅療養支援診療所として緩和ケアや在宅看取りにも対応しており、治療の方向性が変わる段階でも患者さんとご家族を継続的にサポートします。診断後の「どの病院に行けばよいか」「セカンドオピニオンはどうすれば」といったご相談も、当院でお受けしています。治療方針を整理したい方は、まず外来でご相談ください。

受診・相談の目安

すでに診断されている方が早めに相談したいケース

  • 診断を受けたが治療方針に疑問がある
  • セカンドオピニオンを検討している
  • 治療中の副作用が気になる・強い

黄疸、腹水、食欲低下などがあるとき

黄疸(皮膚・白目が黄色くなる)、腹部の膨満感・腹水、急激な食欲低下・体重減少がある場合は、肝機能や胆道の状態が悪化している可能性があります。早めに医療機関への相談が必要です。

急いで受診したほうがよい症状

以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください(救急対応が必要な場合もあります)。

  • 突然の激しい腹痛
  • 意識がぼんやりする・ひどい混乱(肝性脳症の可能性)
  • 大量の吐血・黒色便

ご受診・ご相談はAIプラスクリニックたまプラーザのご予約ページからお申し込みいただけます。

よくある質問(FAQ)

肝癌は手術と薬物療法のどちらが選ばれやすいですか

腫瘍が1〜2個で小さく、肝機能が保たれている場合は手術(肝切除)やラジオ波焼灼療法が優先されます。腫瘍が多数・大きい、または肝機能が低い場合はTACEや薬物療法が選択されることが多いです。どちらが適切かは個々の状態によって異なりますので、担当医にご確認ください。

放射線治療はどのような人に向いていますか

手術やRFAが困難で、腫瘍が比較的限局している方、または骨転移による痛みの緩和を必要としている方に用いられることがあります。肝機能が一定程度保たれていることが前提です。施設によって実施できる放射線治療の種類が異なるため、専門施設への相談が重要です。

余命や生存率は参考にしてよいですか

統計的な生存率は、過去の多数の患者データをまとめたものです。個々の患者さんの予後を示すものではなく、実際の経過は腫瘍の状態・治療への反応・体力などによって大きく異なります。数値を見て過度に不安になる必要はありませんが、気になる場合は担当医に「自分の場合はどうか」と直接お尋ねください。

治療後は再発しやすいですか

肝細胞がんは慢性肝炎・肝硬変を背景に発生することが多く、治療後も残った肝臓から新たながんが生じやすい(再発率が比較的高い)という特徴があります。そのため、治療後も定期的な画像検査・血液検査によるフォローアップが重要です。

仕事や生活は続けられますか

治療の種類・強度・個人の体力によって異なります。RFAやTACEは入院期間が比較的短く、回復後に社会復帰できる方も多くいます。薬物療法中は副作用の程度によって就労調整が必要な場合もあります。「働きながら治療したい」という希望は担当医や医療ソーシャルワーカーに積極的に伝えてください。

参考情報・公的データの見方

国立がん研究センター・厚生労働省・各学会ガイドラインで確認できること

  • 国立がん研究センター がん情報サービス:肝臓がんの治療法・統計・患者向け情報を網羅的に掲載
  • 日本肝臓学会「肝癌診療ガイドライン」:治療アルゴリズム・エビデンスレベルを確認できる
  • Minds ガイドラインライブラリ:各学会ガイドラインを横断的に参照できる医療従事者・患者向け情報源

これらの情報は定期的に更新されます。最新の内容は各サイトで直接ご確認ください。

参考文献・出典

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)

医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医

専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

【略歴】1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

【公的役割】厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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ご予約・お問い合わせ

TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)

初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。

免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。


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