カリウムむくみとは?原因・症状・対処を内科医が解説
「カリウムをとるとむくみが取れる」という話を耳にしたことはないでしょうか。カリウムはナトリウム(塩分)の排出を助けるミネラルであり、むくみの改善に役立つ可能性はあります。ただし、むくみの原因はカリウム不足以外にも多岐にわたります。また、腎機能が低下している方がカリウムを多くとると、健康上のリスクになることもあります。この記事では、カリウムとむくみの関係を医学的根拠に基づいて解説します。
カリウムとむくみの関係をまず整理
カリウムはどんな働きをするミネラルか
カリウムは体内の細胞液に多く含まれるミネラルで、細胞の内外の水分バランスや浸透圧の調節に欠かせない役割を担っています。また、腎臓でのナトリウム再吸収を抑制し、尿への排泄を促す作用があります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人の1日あたりのカリウム目標量として男性3,000mg以上、女性2,600mg以上が示されています。
むくみとは何か
むくみ(浮腫)とは、体の組織間液(細胞の隙間にある水分)が過剰に蓄積した状態です。夕方になると脚がパンパンになる、朝起きたら顔がはれぼったく感じるといった経験は多くの方にあるかと思います。多くの場合は一過性のものですが、繰り返す場合や全身に広がる場合は医療機関での確認が必要です。
「カリウムが足りないとむくむ」と言われる理由
体内のナトリウムが増えすぎると、浸透圧を維持するために水分が血管外に引き出され、組織間に蓄積してむくみが生じます。カリウムはナトリウムの排泄を促すため、カリウムが不足するとナトリウムが体内に溜まりやすくなり、結果的にむくみやすくなると考えられています。
カリウムでむくみは改善するのか
食事でカリウムをとることで期待できること
塩分の過剰摂取が原因のむくみであれば、カリウムを含む食品を積極的に摂ることで、尿中へのナトリウム排泄が促され、むくみの軽減に役立つ可能性があります。野菜・果物・豆類など、カリウムを豊富に含む食品を日常的に取り入れることは、バランスの良い食習慣の観点からも推奨されています。
むくみの原因がカリウム不足以外の場合
むくみの原因は塩分過多やカリウム不足だけではなく、長時間の同一姿勢、月経周期によるホルモン変化、心臓・腎臓・肝臓の疾患など、さまざまです。原因が異なれば対処法も変わりますので、食事改善だけで自己対処することには限界があります。
サプリメントで補う前に知っておきたいこと
カリウムのサプリメントは手軽に見えますが、腎機能が低下している方や特定の薬を服用している方には思わぬリスクになることがあります。詳しくは後述の「カリウム摂取で注意が必要な人」をご覧ください。食品から摂取することを基本とし、サプリメントの利用を検討する場合は事前に医師・薬剤師に相談することをお勧めします。
むくみが起こる主な原因
塩分のとりすぎ
日本人の平均食塩摂取量は厚生労働省の目標値(男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満)を上回る傾向にあります。塩分が多いと体内の浸透圧バランスが乱れ、水分が組織に溜まりやすくなります。
長時間の立ち仕事・座りっぱなし
重力の影響で血液やリンパ液が下肢に滞留しやすくなります。特にデスクワークや立ち仕事が長く続く方に多くみられます。
月経前やホルモン変化
月経前はプロゲステロンの影響で水分・ナトリウムが体内に溜まりやすくなり、むくみが生じやすい時期です。
睡眠不足・疲労・ストレス
睡眠不足やストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、血流やリンパの流れに悪影響を与えることがあります。
心臓・腎臓・肝臓などの病気が関係することもある
心不全、腎機能障害、肝硬変などの疾患では、体液のコントロールが乱れ、全身性のむくみが現れることがあります。このような場合は原疾患の治療が必要です。むくみが繰り返したり強くなったりする場合は、自己判断せず受診することが大切です。
カリウムを多く含む食べ物
野菜・いも類
ほうれん草、小松菜、枝豆、さつまいも、じゃがいもなどはカリウムが豊富です。ただし、カリウムは水溶性のため、茹でると溶け出しやすい点に注意が必要です。蒸す・電子レンジ調理などの工夫で損失を減らせます。
果物
バナナ、アボカド、キウイ、メロンなどに多く含まれます。手軽に摂取しやすい食品です。
豆類・海藻類
大豆製品(納豆・豆腐)や昆布・わかめなどにも多く含まれています。
乳製品・その他の食品
牛乳・ヨーグルトにもカリウムが含まれます。ナッツ類や魚類(特にさば・さけ)も比較的多い食品です。
むくみ対策としての食事のポイント
塩分を控える
減塩はむくみ対策の基本です。加工食品・外食・漬物・塩辛いスナックなどを日常的に控えるだけでも摂取量の削減につながります。
カリウム以外の栄養バランスも整える
マグネシウムやビタミンB群なども水分代謝に関わります。特定の栄養素だけに注目するより、全体的なバランスを意識することが重要です。
水分を極端に減らしすぎない
「むくみが怖いから水を飲まない」という方がいますが、水分不足は血液循環の悪化を招き、むくみを悪化させる場合があります。1日あたり1〜1.5L程度の水分摂取は一般的に推奨されます。
アルコールや加工食品のとり方に注意する
アルコールには利尿作用がありますが、飲み過ぎは血管の拡張や体液バランスの乱れを招きます。また加工食品は塩分・添加物が多く、過剰摂取に注意が必要です。
カリウム摂取で注意が必要な人
腎機能が低下している方
腎臓の機能が低下していると、カリウムを尿中へ排泄する能力が弱まります。食品やサプリメントから過剰にカリウムを摂取すると、血液中のカリウム濃度が上昇する「高カリウム血症」を引き起こすリスクがあります。
高カリウム血症のリスクがある方
高カリウム血症では、筋力低下、不整脈、最悪の場合は心停止につながることがあります。慢性腎臓病・糖尿病性腎症などのある方は、カリウム摂取量について必ず担当医に確認してください。
服薬中の方は自己判断で増やさない
ACE阻害薬・ARB・カリウム保持性利尿薬などを服用している方は、カリウムが体内に蓄積しやすくなっている場合があります。サプリメントや大量の高カリウム食品摂取を始める前に、医師・薬剤師にご相談ください。
こんなむくみは受診を検討
急にむくみが強くなった
数日以内に急速にむくみが悪化した場合、心臓・腎臓・肝臓など内臓の異常が関係している可能性があります。
片足だけがむくむ
片側のみのむくみは、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の可能性もあり、早めの受診が推奨されます。
息切れ・動悸・体重増加を伴う
心不全などの疾患に伴うむくみでは、息切れや急な体重増加が同時に現れることがあります。
顔やまぶたのむくみが続く
腎疾患では朝に顔・まぶたのむくみが出やすい特徴があります。繰り返す場合は受診を検討してください。
数日以上続く、繰り返すむくみ
一時的なむくみと異なり、数日以上持続する、または繰り返すむくみは医療機関での確認をお勧めします。
受診するときは何科がよいか
内科で相談する目安
原因がはっきりしないむくみは、まず内科(一般内科・総合内科)への相談が適しています。生活習慣・既往歴・服薬歴をあわせて確認し、必要に応じて専門科に紹介されます。
必要に応じて受ける検査の例
血液検査(腎機能・肝機能・電解質・BNPなど)、尿検査、心電図、超音波検査(心臓・腹部・下肢静脈)などが行われることがあります。検査内容は医師が状態に応じて判断します。
たまプラーザでむくみが気になる方へ
生活習慣の見直しと医師相談の組み合わせが大切
むくみの対処として、食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善は有用です。しかし、原因を正確に把握するには医師の診察が前提となります。「どうせ大したことない」と放置せず、気になる症状があれば早めにご相談ください。
当院でご相談いただける内容
AIプラスクリニックたまプラーザでは、むくみ・食事指導・生活習慣に関するご相談を承っています。むくみの原因となる心臓・腎臓・肝臓などの検査も、必要に応じてご案内しております。ご予約・お問い合わせよりお気軽にどうぞ。
よくある質問(FAQ)
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター 外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
たまプラーザで内科・消化器の気になる症状がある方へ。むくみが続く・繰り返すといったお悩みや、食事・生活習慣についてのご相談も承っております。受診の目安や必要な検査についても、まずはお気軽にお問い合わせください。
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