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過敏性腸症候群とは?|医学博士がわかりやすく解説【たまプラーザ】

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過敏性腸症候群とは|症状・原因・診断・日常生活でできる対策を解説

腹痛や腹部不快感が続く、下痢や便秘を繰り返す——こうした症状が長期間にわたって続いているにもかかわらず、検査をしても明らかな病変が見つからないことがあります。このような状態を「過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)」と呼びます。
本記事では、[過敏性腸症候群](/ibs/)の基本的な特徴から、症状の種類、原因と仕組み、診断の流れ、日常生活でできる工夫、医療機関での治療まで、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。なお、診断や治療の判断は必ず医師の診察のもとで行う必要があります。自己判断のみで対処しようとせず、気になる症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
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過敏性腸症候群の基本
過敏性腸症候群の定義
過敏性腸症候群とは、腹痛や腹部不快感を伴いながら下痢・便秘・またはその両方といった便通異常が慢性的に続く状態を指します。大腸内視鏡検査や血液検査を行っても、炎症や潰瘍・腫瘍といった器質的(構造的)な異常が見当たらないことが大きな特徴です。
日本消化器病学会のガイドラインでも、IBSは機能性消化管疾患の一つとして位置づけられており、消化管の働きそのものに問題があると考えられています。
どのような人に多いか
IBSは幅広い年齢層にみられますが、特に若い世代(10〜30代)で多く認められる傾向があるとされています。性別では、便秘型は女性に多く、下痢型は男性にやや多いとも言われています。また、ストレスの多い環境や不規則な生活リズムとの関連が指摘されており、受験・就職・転勤などの生活環境の変化が症状に影響することもあります。
似た症状を起こす他の病気との違い
IBSと似た腹痛・便通異常を呈する病気は複数あります。代表的なものとして、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、大腸がん、感染性腸炎、甲状腺疾患などが挙げられます。これらの疾患を適切に除外するためには、医師による問診・検査が欠かせません。自己判断で「IBSだろう」と決めつけることは、重要な疾患の発見を遅らせるリスクがありますので注意が必要です。
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過敏性腸症候群の主な症状
腹痛・腹部不快感
IBSの中核症状は腹痛または腹部不快感です。特徴的なのは、排便によって症状が軽減したり、逆に排便前に腹痛が強まったりする関係性が見られることです。痛みの部位は下腹部に多いとされますが、個人差があります。
下痢型・便秘型・混合型
IBSは便通の異常パターンによっておおよそ次のように分類されます。
  • 下痢型:水様便や軟便が繰り返し起こる。朝食後や外出時などに症状が強まりやすい。
  • 便秘型:硬い便や兎糞状の便が続き、すっきり排便できない感覚がある。
  • 混合型:下痢と便秘を交互に繰り返す。
  • 分類不能型:上記に当てはまらないパターン。
なお、症状のタイプは経過の中で変化することもあります。
お腹以外にみられる症状
腹痛・便通異常のほかに、腹部膨満感、残便感、おならの増加、食後の不調なども多く報告されています。また、頭痛、疲労感、睡眠障害、抑うつ・不安症状を伴うこともあり、日常生活全般に影響を及ぼす場合があります。
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過敏性腸症候群の原因と仕組み
腸の働きと脳腸相関
IBSの発症には、腸管の運動異常・内臓知覚過敏・自律神経の乱れ、そして脳と腸が互いに影響し合う「脳腸相関」が深く関与していると考えられています。ストレスや不安を感じると腸の動きが乱れ、腸からの信号が脳に過剰に伝わることで腹痛や不快感として認識されやすくなるとされています。
きっかけになりやすい要因
感染性腸炎(胃腸炎)の後にIBSが発症・悪化するケース(感染後IBS)も知られています。そのほか、睡眠不足、過労、環境変化、精神的緊張なども症状を悪化させる要因として挙げられます。
食事との関係
食事内容もIBSの症状に影響することがあります。脂肪分の多い食事、香辛料、アルコール、乳製品、一部の発酵性糖類(FODMAP)などが症状を誘発・悪化させると言われています。一方で、食物繊維の摂り方は症状タイプによって考え方が異なります。[過敏性腸症候群と食べ物の関係](/ibs-foods/)については別記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
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診断の進め方
医療機関で行う確認
診断は問診を中心に行われます。症状の経過・便の性状・腹痛のタイミング・食事との関係などを詳しく確認し、必要に応じて血液検査・便検査・大腸内視鏡検査などを行います。
ローマ基準などの考え方
IBSの診断には「ローマ基準(Rome Criteria)」と呼ばれる国際的な診断基準が広く参照されています。現在はRome IVが最新とされており、「過去3か月間に月4日以上、腹痛が繰り返され、排便によって症状が変わる、または排便頻度・便の形状の変化と関連する」などの条件を満たすかどうかが評価されます。ただし、この基準はあくまで医師が診断を進める際の参考であり、自己診断のツールとして使用するものではありません。
他の病気を除外する重要性
IBSと診断するためには、まず症状が似た他の疾患を除外することが重要です。特に、血便・体重減少・発熱・夜間症状などの所見がある場合は、炎症性腸疾患や大腸がんなどの可能性を丁寧に確認する必要があります。
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自分でできるセルフチェック
症状の記録のつけ方
受診前には、症状を記録しておくと医師との情報共有がスムーズです。記録する内容の目安として、以下が挙げられます。
  • 1日の排便回数と便の硬さ・形状
  • 腹痛の強さ・部位・タイミング
  • 食事内容との関係
  • 症状が出やすい状況(外出前・試験前など)
受診前に確認したいポイント
次のような症状がある場合は、IBSではなく別の疾患が関与している可能性もあるため、早めの受診が望まれます。
  • 血便・黒色便
  • 原因不明の体重減少
  • 発熱
  • 夜間に腹痛や下痢で目が覚める
  • 貧血の症状(めまい・倦怠感など)
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日常生活でできる対策
食事の工夫
一度に大量に食べることを避け、規則正しい食事時間を心がけることが基本です。症状を誘発しやすいと感じる食品(脂肪分の多い食事・香辛料・アルコールなど)は控えめにするとよいでしょう。ただし、過度な食事制限は栄養バランスの乱れにつながる場合があるため、医師や管理栄養士に相談しながら無理のない範囲で取り組むことが大切です。
生活リズムとストレス対策
十分な睡眠の確保、適度な運動(ウォーキングなど)、休養を意識した生活が症状の安定に役立つ場合があります。また、呼吸法やリラクゼーション法など、自分に合ったストレスへの対処法を取り入れることも選択肢の一つです。
下痢・便秘それぞれの注意点
  • 下痢型の場合:冷たい飲食物・乳製品・脂肪分の高い食品を控え、腸への刺激を減らすことが基本とされています。
  • 便秘型の場合:水分をこまめに補給し、適度な食物繊維(特に水溶性)を摂ることが一般的に推奨されています。ただし、食物繊維の摂りすぎがガスや膨満感を悪化させることもあるため、症状に合わせて調整が必要です。
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医療機関で行う治療
薬物療法
IBSの治療では、症状のタイプや程度に応じて薬剤が選択されます。主に用いられるものとして、腸内環境を整える整腸剤、腸の動きを調整する薬、下痢に対する止瀉薬、便秘に対する下剤、腸のけいれんを和らげる消化管機能調整薬などがあります。[過敏性腸症候群に用いられる整腸剤](/ibs-recommended/)についても別記事で詳しく解説しています。
心理的アプローチ
症状の背景にストレスや不安が強く関与している場合は、認知行動療法やリラクゼーション法などの心理的アプローチが検討されることがあります。これらはあくまで治療の選択肢の一つであり、すべての方に適用されるわけではありません。
治療は症状と体質に合わせて行う
IBSの治療に「これ一つで解決」という画一的な方法はありません。症状の経過・生活環境・体質などを総合的に評価しながら、医師と相談して調整していくことが重要です。[過敏性腸症候群の治し方](/ibs-treatment/)についても別記事でまとめていますので、ご参照ください。
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放置しないほうがよい症状
早めの受診が望ましいサイン
以下のような症状がある場合は、IBSとは別の疾患の可能性もあるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
  • 血便・黒色便(タール便)
  • 急激な体重減少
  • 持続する発熱
  • 夜間に症状で目が覚める
  • 貧血を示す症状(倦怠感・立ちくらみ)
急を要する受診の目安
次のような状態は速やかに医療機関を受診してください。
  • 激しい腹痛が突然起こる・持続する
  • 高熱と腹痛が同時にある
  • 嘔吐が続いて水分が取れない
  • 脱水症状(口の渇き、尿量減少、ぐったりする)
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よくある質問
過敏性腸症候群は自然に治りますか
症状の経過には個人差があり、軽快・増悪を繰り返す方もいれば、生活習慣の改善で症状が落ち着く方もいます。自然経過だけに委ねず、症状が続く場合や生活に支障が出ている場合は医師に評価していただくことが大切です。
ストレスだけが原因ですか
ストレスはIBSに影響を与える要因の一つですが、それだけが原因というわけではありません。腸管の運動異常、内臓知覚過敏、腸内細菌のバランス、遺伝的素因など、複数の要素が組み合わさって症状が生じると考えられています。
何科を受診すればよいですか
消化器内科または内科を受診することが一般的です。症状が複数の臓器にわたる場合や、精神的な側面が強いと感じられる場合は、受診先について医師に相談するとよいでしょう。
市販薬で対応してもよいですか
一時的な症状への対処として市販薬を使用すること自体は一概に否定されるものではありませんが、症状が長引く場合・悪化する場合・繰り返す場合は、自己判断のみで対応せず医療機関を受診してください。
食事制限はずっと必要ですか
症状の状態に応じて柔軟に見直すものであり、永続的・画一的な制限が必要とは限りません。症状が落ち着いてきた段階で、医師や管理栄養士と相談しながら食事内容を調整していくことが一般的な考え方です。
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受診の目安
以下に当てはまる場合は、医療機関への受診をご検討ください。
  • 腹痛や便通異常が数週間以上続いている
  • 日常生活(仕事・学業・外出)に支障が生じている
  • セルフケアを試みているが改善が見られない
  • 血便・体重減少・発熱など気になる症状が伴っている
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まとめ
過敏性腸症候群は、腹痛・腹部不快感・便通異常を主症状とする機能性消化管疾患です。器質的な病変が見当たらない一方で、日常生活への影響は決して小さくありません。原因は脳腸相関・腸管の過敏性・ストレスなど複合的であり、食事や生活リズムの改善がセルフケアの基本となります。しかし、自己判断による対処には限界があります。似た症状を示す他の疾患を除外し、適切な診断と治療を受けるために、気になる症状が続く場合はぜひ医療機関にご相談ください。
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関連記事
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  • [過敏性腸症候群に用いられる整腸剤について](/ibs-recommended/)
  • [過敏性腸症候群の治し方](/ibs-treatment/)
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科
福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。
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