屁が止まらないとは?原因・症状・対処を内科医が解説
「屁が止まらない」「おならが多すぎて困っている」という悩みは、日常生活の中で多くの方が経験します。おならは腸内で発生するガスが体外に排出される生理的な現象であり、健康な成人でも1日に平均5〜20回程度排出されるとされています。しかし、回数が急に増えた・においが強くなった・腹部の張りを伴うといった場合には、食事内容や生活習慣、あるいは腸の状態が影響していることがあります。本記事では、消化器内科の観点から原因・対処法・受診の目安をわかりやすく解説します。
屁が止まらないのはどんな状態?まず知っておきたいこと
おならが増えるのはなぜ起こるのか
おならの主な成分は、食事中に飲み込んだ空気(窒素・酸素)と、腸内細菌が食物繊維や未消化の糖類を発酵・分解する際に生じるガス(水素・メタン・二酸化炭素など)です。これらが過剰に産生・蓄積されると、排出の頻度が増えます。
「屁が止まらない」と感じやすい代表的な場面
食後しばらく経ってからガスが増える、横になるとおならが出やすい、緊張や食事の変化後に増えるといった場面が代表的です。こうした状況は多くの場合一時的なものですが、慢性的に続く場合は原因を探ることが重要です。
屁が止まらない主な原因
食事内容によるもの
豆類・キャベツ・玉ねぎ・ブロッコリー・炭酸飲料などはガスを発生させやすい食品として知られています。また、食物繊維を急に増やした場合や、乳糖不耐症の方が乳製品を摂取した場合もガスが増えやすくなります。
空気を飲み込みやすい習慣によるもの
早食い・ながら食い・ガムをよく噛む・飲料をストローで飲む習慣があると、食事中に空気を多く飲み込む「呑気症(どんきしょう)」に近い状態になりやすく、腸内に空気がたまりやすくなります。
腸内環境の変化によるもの
腸内細菌のバランスが乱れると、ガスを産生する菌が優勢になり、おならが増えることがあります。抗生物質の使用後や食生活の急変後に起こりやすいとされています。
ストレスや自律神経の影響
自律神経は腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を調節しています。精神的ストレスや睡眠不足が続くと腸の動きが不規則になり、ガスがたまりやすくなることがあります。
過敏性腸症候群(IBS)などの腸の病気
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛・腹部不快感・便通異常を主症状とする機能性疾患です。腸が過敏になっているためガスを感じやすく、おならの増加を訴える方も多くいます。
便秘が関係している場合
便が腸内に長時間とどまると、腸内細菌による発酵が進みガスが増えます。また、ガスの排出経路が便によって塞がれ、腹部膨満感やおならの増加につながることがあります。
薬の影響が考えられる場合
一部の糖尿病治療薬(α-グルコシダーゼ阻害薬)や便秘薬、抗生物質などはガスを増加させる副作用が知られています。服用中の薬がある場合は主治医や薬剤師に相談することをお勧めします。
屁が止まらないときに一緒に起こりやすい症状
お腹の張り
腸内にガスがたまることで腹部膨満感(お腹が張った感じ)が生じます。
腹痛や不快感
ガスが腸に圧力をかけることで、鈍い痛みや不快感が現れることがあります。
便秘・下痢
便通の変化はおならの増加と密接に関連します。便秘が続くほどガスの発生が増え、下痢の際も腸の蠕動亢進によりガスが増えやすくなります。
おならの臭いが強い
たんぱく質の多い食事や腸内環境の乱れにより、硫化水素などの臭気成分が増加し、においが強くなることがあります。
げっぷが増える
空気を多く飲み込んでいる場合、上部消化管でも空気がたまりやすくなり、げっぷが増えることがあります。このような症状は食道裂孔ヘルニアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
屁が止まらない・臭いが強いときに考えられること
食べ物との関係
肉・魚・卵などたんぱく質を多く含む食品は、腸内で分解される際に臭いの強いガスを発生させやすいとされています。
腸内細菌のバランスの乱れ
悪玉菌が優勢になると、ガスの産生量が増え、においも強くなる傾向があります。食生活の見直しや、整腸薬・プロバイオティクスの活用が検討されることがあります。
消化不良が疑われるケース
消化酵素の不足や胃・膵臓の機能低下によって、未消化の食物が腸内細菌に分解される量が増え、ガスが多く発生することがあります。
自分でできる対処法
食べ方を見直す
ゆっくりよく噛んで食べることで空気の飲み込みを減らせます。食事中の会話を最小限にする、炭酸飲料を控えるといった工夫も有効です。
ガスをためやすい食品を控える
豆類・キャベツ・玉ねぎ・ブロッコリー・乳製品などを一時的に減らし、症状の変化を観察してみましょう。ただし、極端な食事制限は栄養バランスを崩す可能性があるため、注意が必要です。
便秘対策をする
十分な水分摂取(目安として1日1.5〜2L程度)・適度な運動・食物繊維を含む食事を意識することで、腸の動きを整え、ガスのたまりを軽減できることがあります。
生活習慣を整える
規則正しい睡眠・食事時間を保つことで、自律神経のバランスが整い、腸の蠕動運動が安定しやすくなります。腹式呼吸とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も腸の調子を整えるうえで参考になります。
ストレスをためすぎない工夫をする
適度な運動・入浴・睡眠確保など、ストレスを緩和する生活習慣の導入が腸の環境改善につながることがあります。
病院を受診したほうがよい目安
症状が長引く・急に悪化した
2週間以上おならの増加や腹部症状が続く場合は、医師の診察を受けることをお勧めします。
腹痛、下痢、便秘を繰り返す
便通の変化を伴う場合は、過敏性腸症候群や他の消化器疾患の可能性もあるため、早めに受診しましょう。
血便、発熱、体重減少がある
これらの症状がある場合は、大腸炎・大腸ポリープ・大腸がんなど、より詳しく調べる必要がある状態が考えられます。速やかに医療機関を受診してください。
食事や生活を整えても改善しない
生活習慣の見直しを続けても症状が改善しない場合は、専門医への相談が適切です。
何科を受診すればよい?
まずは内科・消化器内科が目安
消化器内科または一般内科が最初の相談先として適しています。たまプラーザ周辺の方はAIプラスクリニックたまプラーザへお気軽にご相談ください。ご予約・お問い合わせはWebまたはお電話で承っています。
受診時に伝えるとよいこと
- 症状が始まった時期・頻度・においの変化
- 食事内容・服用中の薬
- 便の変化(便秘・下痢・血便の有無)
- ストレスや生活習慣の変化
医療機関ではどのように調べる?
問診で確認すること
症状の経緯・食生活・排便習慣・服用薬・既往歴などを詳しく確認します。
必要に応じて行う検査
腹部超音波検査・血液検査・便検査・大腸内視鏡検査などが、症状や所見に応じて検討されます。
治療はどのように進める?
原因に応じた治療の考え方
食事性・生活習慣性の場合は食事指導・生活改善が中心です。腸内環境の乱れには整腸薬が、消化不良には消化酵素薬が検討されることがあります。
IBSや便秘がある場合の対応
IBSと診断された場合は、食事療法・運動療法とともに、症状に応じた薬物療法が考慮されます。便秘が主体の場合は便秘薬の適切な選択が行われます。
薬での治療が検討されることもある
整腸薬・消泡剤(ジメチコン)・消化管運動改善薬など、症状に合わせた薬が処方されることがあります。また、ppiとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】で解説しているPPI(プロトンポンプ阻害薬)が関係する場合もあります。
屁が止まらないときにやってはいけないこと
我慢しすぎること
おならを過度に我慢すると腸内にガスがたまり、腹部膨満感や不快感が増すことがあります。適切に排出することが腸への負担を減らします。
自己判断で食事制限を極端にすること
根拠のない過度な食事制限は栄養不足を招き、腸内環境をかえって悪化させることがあります。
症状を放置すること
血便・体重減少・発熱を伴う場合はとくに、放置せず早めに医師へ相談することが重要です。
たまプラーザで受診を考える方へ
早めに相談したいケース
おならの増加が2週間以上続く、強い腹痛や血便がある、体重が短期間で減少しているといった場合は、早めの受診をお勧めします。
医師の診察を受けることの大切さ
「たかがおなら」と思わず、気になる症状が続くときは医師の診察を受けることが安心への第一歩です。症状の程度に関わらず、お気軽にご予約・お問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
屁が止まらないのは病気ですか?
おならが増える原因のほとんどは、食事内容や生活習慣によるものです。ただし、過敏性腸症候群・便秘・消化不良など腸の状態が関係していることもあります。血便・発熱・体重減少を伴う場合は医師に相談することをお勧めします。
屁が臭いのは異常ですか?
おならには多少のにおいがあるのが正常です。ただし、たんぱく質の多い食事や腸内環境の乱れにより、においが一時的に強くなることがあります。慢性的に臭いが強い場合は消化器内科への相談が適切です。
ストレスでおならは増えますか?
はい。ストレスは自律神経を介して腸の動きに影響し、腸内ガスの産生や排出のパターンが変化することがあります。特に試験・仕事・人間関係などのストレスが重なる時期に症状が悪化する方も少なくありません。
便秘だとおならが増えるのはなぜですか?
便が腸内に長くとどまると、腸内細菌が食物残渣を発酵・分解する時間が長くなり、ガスの産生量が増えます。また、便がガスの出口を一部ふさぐことで、腹部膨満感やおならの増加につながります。
どのくらい続いたら受診したほうがよいですか?
2週間以上症状が続く場合、または血便・体重減少・発熱・強い腹痛を伴う場合は、早めに内科・消化器内科を受診することをお勧めします。
食べ物だけで改善することはありますか?
食事性が原因の場合は、ガスを産生しやすい食品を控えたり、食べ方を見直すことで症状が改善することがあります。ただし、IBSや消化器疾患が背景にある場合は、食事改善だけでは不十分なこともあるため、症状が続く場合は医師への相談をお勧めします。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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