健康診断肝臓ひっかかる20代とは?原因・症状・対処を内科医が解説
健康診断で「肝臓の数値が高い」と指摘されると、驚く方も多いかもしれません。20代でも肝機能異常は決して珍しくなく、生活習慣や体質、薬・サプリメントの影響など、さまざまな原因が考えられます。多くの場合は自覚症状がないため放置されがちですが、早めに原因を把握し、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。本記事では、20代が健康診断で肝臓の数値にひっかかりやすい理由と、その対処法について内科医の監修のもとわかりやすく解説します。
健康診断で「肝臓がひっかかる」とは?20代でも起こる理由
肝臓の数値で見られる主な項目(AST・ALT・γ-GTPなど)
健康診断では、肝機能を確認するために以下の血液検査値が用いられます。
- AST(GOT):肝臓のほか心臓や筋肉にも含まれる酵素。肝細胞が傷つくと血中に漏れ出す
- ALT(GPT):主に肝臓に存在する酵素で、肝障害に比較的特異的な指標(→詳しくはaltとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】)
- γ-GTP:アルコールや薬の影響を受けやすく、飲酒習慣の指標にもなる(→詳しくはγ-gtpとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】)
- ALP・ビリルビン:胆道系疾患の評価に用いられることが多い
各検査項目の基準値は検査機関によって異なりますが、一般的にAST・ALTはそれぞれ30〜40 U/L以下、γ-GTPは50 U/L以下(男性)が正常範囲の目安とされています。
「再検査」「要精密検査」「経過観察」の違い
健診結果に記載される指示は、数値の高さや他の検査所見によって異なります。「経過観察」は軽度の異常で定期的な確認が推奨されるケース、「再検査」は一定期間後に改めて検査を行うケース、「要精密検査」は速やかに医療機関での詳細な検査が必要なケースです。いずれの区分であっても、指示内容を医師に確認することが望ましいといえます。
20代で肝機能異常を指摘される主な原因
脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝疾患
近年、若年層でも食生活の乱れや運動不足を背景に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が増加しています。脂肪肝は肥満体型だけでなく、痩せ型の方にも生じることがあります。詳しくは親ページ脂肪肝とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。
飲酒習慣による影響
20代は飲酒機会が増えやすい年代です。アルコールは肝細胞に直接ダメージを与えるため、習慣的な飲酒でAST・ALT・γ-GTPが上昇します。
薬・サプリメント・市販薬の影響
解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)、漢方薬、プロテインパウダー、ダイエットサプリ、筋トレ系サプリなど、市販品でも肝臓の数値に影響を与えることがあります。服用歴の確認は診察時の重要な情報です。
ウイルス性肝炎などの感染症
B型・C型肝炎ウイルスへの感染や、EBウイルス・サイトメガロウイルスによる急性肝炎も20代では見逃せない原因のひとつです。自覚症状がないまま感染が持続するケースもあります。
激しい運動や筋肉の炎症で数値が上がることもある
ASTは肝臓だけでなく筋肉にも含まれます。健診前日に激しい筋トレをした場合、ASTが一時的に高値を示すことがあります。ALTは比較的肝臓特異性が高いため、両者を比較することが診断の参考になります。
肝臓の数値が高いときに出ることがある症状
自覚症状がないまま進むことが多い理由
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、かなり傷んでいても自覚症状が出にくい特徴があります。そのため健康診断が早期発見のきっかけになることが多くあります。
だるさ・食欲不振・右上腹部の違和感など
肝機能が低下すると、全身のだるさ、食欲不振、軽い吐き気、右上腹部(肝臓のある位置)の重苦しい感じが現れることがあります。ただしこれらは他の疾患でも起こり得るため、症状だけでは判断できません。
受診を急いだほうがよい症状
以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 濃い褐色の尿(ビール色の尿)
- 強いだるさや意識のぼんやり感
- 腹部の強い張り・痛み
健康診断でひっかかった後にまず確認したいこと
健診結果のどの項目が異常だったか
AST・ALT・γ-GTPのどれが高いか、あるいは複数が高いかによって、原因の推定や次の検査方針が変わります。数値の種類と程度を確認しておきましょう。
前日の飲酒・食事・運動の影響
前日に飲酒した、深夜に食事をした、激しい運動をした場合は一時的に数値が上がることがあります。これらの条件を排除した上で再検査を行うことで、真の異常かどうかを判断しやすくなります。
既往歴・服薬歴・サプリの確認
内科を受診する際は、普段服用している薬やサプリメント(種類・量・期間)を必ずお伝えください。これらが肝酵素上昇の原因になっている場合があります。
何科を受診すべき?内科での診療の流れ
まずは内科・消化器内科の受診が基本
肝機能異常の精査には、内科または消化器内科の受診が基本です。かかりつけ医に相談するか、消化器内科を標榜するクリニックに相談することをお勧めします。
問診・採血・腹部エコーで確認する内容
初診では問診(生活習慣・薬歴・飲酒量など)、採血による肝機能・ウイルスマーカーの確認、腹部超音波(エコー)検査による肝臓の形態評価が行われることが一般的です。
必要に応じて追加される検査
腹部エコーで異常が疑われる場合や、数値が高い場合にはCT検査・MRI検査、肝炎ウイルスの精密検査が追加されることもあります。
20代で考えやすい生活習慣の見直しポイント
食事バランスと体重管理
高カロリー・高脂質・高糖質な食事は脂肪肝のリスクを高めます。野菜・たんぱく質・食物繊維をバランスよく摂る食習慣が基本です。体重が増加傾向にある場合は適切な体重管理も重要です。
飲酒量の見直し
厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」として1日純アルコール量20g程度(ビール中瓶1本相当)を目安として示しています。週2日以上の休肝日を設けることも推奨されます。
運動のしすぎ・直前の激しい筋トレにも注意
健診前日や当日の激しい筋トレは、一時的にASTを上昇させることがあります。健診前は激しい運動を控えることが望ましいといえます。
睡眠不足やストレスとの関係
睡眠不足や慢性的なストレスは、肝機能に直接的な影響を与えるとのエビデンスは限られていますが、不規則な生活全体が肝臓に負担をかける要因になりえます。規則正しい生活リズムを心がけましょう。
放置するとどうなる?肝機能異常を軽く見ないほうがよい理由
脂肪肝から進行する可能性
脂肪肝を放置すると、一部のケースでは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へ進行し、さらに肝線維化・肝硬変へと移行するリスクがあることが知られています。すべての脂肪肝が重症化するわけではありませんが、定期的な経過観察が大切です。
肝炎や肝障害の早期発見の重要性
ウイルス性肝炎は早期に発見し適切に管理することで、慢性化・重症化を防ぎやすくなります。健診の異常値を「たまたま高かっただけ」と自己判断することなく、医師に相談することが肝要です。
受診の目安|この場合は早めに医療機関へ
再検査を勧められたとき
健診結果に「要再検査」「要精密検査」と記載されている場合は、放置せず2〜4週間以内を目安に医療機関を受診することをお勧めします。
数値が高く、症状もあるとき
AST・ALTがいずれも100 U/Lを超えるような高値の場合、あるいは体のだるさや食欲不振などの症状を伴う場合は、できるだけ早期に受診してください。
黄疸・強いだるさ・濃い尿などがあるとき
これらの症状が現れた場合は急性肝障害・急性肝炎の可能性があり、速やかに内科・消化器内科を受診することが必要です。
当院でのご相談について
健診異常の原因確認と今後の方針
AIプラスクリニックたまプラーザでは、健康診断で肝臓の数値の異常を指摘された方に対し、採血・腹部エコーなどを組み合わせた原因の確認と、今後の生活習慣指導・経過観察の方針についてご相談いただけます。
たまプラーザ周辺で受診先を探している方へ
「健診結果を持参して相談したい」「どの科に行けばよいかわからない」という方も、まずはお気軽にお問い合わせください。ご予約・お問い合わせよりご連絡ください。
よくある質問(FAQ)
健康診断で肝臓の数値が高いと言われたら、すぐに病院へ行くべきですか?
数値の程度や結果に記載された指示(経過観察・再検査・要精密検査)によって異なります。黄疸や強いだるさ、濃い尿など明らかな症状がある場合は早急な受診が必要です。「経過観察」程度であっても、2〜3ヵ月以内に改めて内科で確認することをお勧めします。
20代で肝機能異常があっても、症状がなければ様子見でよいですか?
肝臓は症状が出にくい臓器です。症状がないからといって、異常値を放置することはお勧めできません。原因を特定しないままでは適切な対策が取れないため、一度医師に相談することが大切です。
AST・ALT・γ-GTPのどれが高いときに注意が必要ですか?
いずれが高い場合も注意が必要ですが、ALTが高い場合は肝臓の障害が疑われやすく、γ-GTPのみが高い場合は飲酒や薬の影響が比較的多いとされています。ASTとALTの両方が高い場合は肝細胞傷害の可能性がより高く、精査が推奨されます。
前日にお酒を飲むと健診結果に影響しますか?
はい、前日の飲酒はγ-GTPを中心に数値を上昇させることがあります。健診前日・当日の飲酒は控えることが一般的に推奨されています。
サプリメントでも肝臓の数値は上がりますか?
はい、プロテイン、ダイエットサプリ、漢方系サプリ、一部のビタミン・ミネラルサプリなどが肝機能異常の原因になることが報告されています。服用中のものがある場合は受診時に必ずお伝えください。
再検査ではどのようなことを調べますか?
採血による肝機能(AST・ALT・γ-GTP・ALP・ビリルビンなど)の再確認、肝炎ウイルスマーカー(B型・C型)の検査、腹部超音波検査などが一般的です。結果に応じてCT・MRIなどの画像検査が追加されることもあります。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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