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HDLコレステロールとは?|内科医がわかりやすく解説

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HDLコレステロールとは?|内科医がわかりやすく解説

健康診断の結果票でよく目にする「HDLコレステロール」。「善玉コレステロール」とも呼ばれ、数値が低いと動脈硬化や心臓病のリスクと関係するとされています。本記事では、HDLコレステロールの働きや基準値、低下する原因、生活習慣での対処法まで、内科医の監修のもとわかりやすく解説します。数値が気になる方の受診判断の参考になれば幸いです。

HDLコレステロールとは?

HDLは「善玉コレステロール」と呼ばれる理由

HDL(High-Density Lipoprotein)は「高比重リポたんぱく」のことで、血液中のコレステロールを末梢組織から肝臓へと回収・運搬する役割を担っています。LDL(低比重リポたんぱく)が肝臓から末梢へコレステロールを運ぶのとは逆方向の働きをするため、「善玉コレステロール」と呼ばれています。

コレステロールの中でHDLが果たす役割

HDLは血管壁に沈着した余分なコレステロールを取り除き、動脈硬化の進行を抑制する方向に働くとされています。コレステロール自体は細胞膜やホルモンの材料として体に欠かせない物質ですが、バランスが崩れると健康上の問題につながります。HDLはその「バランスを保つ」うえで重要な役割を果たしています。

HDLコレステロールの基準値

健康診断での一般的な目安

日本動脈硬化学会のガイドライン(2022年版)では、HDLコレステロールの低値の基準は40mg/dL未満とされており、これが「低HDLコレステロール血症」の診断基準のひとつとなっています。一般的に40mg/dL以上が望ましい水準とされています。

数値が低い・高いときの考え方

  • 40mg/dL未満:低HDLコレステロール血症として、脂質異常症の診断基準に該当します。生活習慣の見直しや医師への相談が推奨されます。
  • 40〜59mg/dL:標準的な範囲とされることが多いですが、ほかの脂質値や生活習慣と合わせて総合的に評価します。
  • 60mg/dL以上:一般に「高め」とされますが、必ずしも問題があるわけではありません(後述)。

数値はあくまでも目安であり、診断・治療の判断は医師による総合的な評価が必要です。

HDLコレステロールが低いとどうなる?

動脈硬化との関係

HDLコレステロールが低い状態が続くと、血管壁にコレステロールが蓄積しやすくなり、動脈硬化(血管が硬く狭くなる変化)が進行しやすくなるとされています。動脈硬化は自覚症状が出にくいため、健康診断の数値から早期に気づくことが大切です。

心筋梗塞・脳梗塞のリスクとの関連

動脈硬化が冠動脈(心臓の血管)に及ぶと心筋梗塞、脳の血管に及ぶと脳梗塞のリスクが高まります。HDLコレステロールの低値はこれらの心血管疾患リスクを高める因子のひとつとして、多くの疫学研究で報告されています。ただし、HDLだけで発症リスクが決まるわけではなく、高血圧・糖尿病・喫煙・肥満なども複合的に関与します。

HDLコレステロールが高いときは問題?

高値でもすぐに治療が必要とは限らない理由

HDLが高い(60mg/dL超など)場合、一般的には心血管リスクが低い傾向があるとされますが、極端に高い場合(90〜100mg/dL超など)は、稀に遺伝的な要因や特定の病態との関連が指摘されることもあります。高値だからといって自己判断で心配しすぎる必要はありませんが、気になる場合は医師に相談するとよいでしょう。

ほかの脂質項目とあわせて見る大切さ

HDLコレステロールの数値は単独で判断するより、LDLコレステロール・中性脂肪・総コレステロールとの比率や組み合わせで評価することが重要です。たとえば、HDLが正常でもLDLが著しく高い場合はリスクが高まります。

HDLコレステロールと脂質異常症

LDLコレステロール、中性脂肪との違い

脂質異常症(以前の高脂血症)は、LDLコレステロール高値・HDLコレステロール低値・中性脂肪高値のいずれか、または複数が該当する状態です。それぞれ役割や影響が異なり、HDLは「低いほど」、LDL・中性脂肪は「高いほど」リスクが高まるとされています。

健康診断で一緒に確認したい項目

健康診断では以下の項目を合わせて確認することが推奨されています。

項目 望ましい目安(参考)
HDLコレステロール 40mg/dL以上
LDLコレステロール 120mg/dL未満(リスクによる)
中性脂肪 150mg/dL未満
空腹時血糖 100mg/dL未満

※上記はあくまで参考値です。個人のリスク因子によって目標値は異なります。

HDLコレステロールが低くなる主な原因

生活習慣の影響

  • 運動不足:身体活動量が少ないとHDLが低下しやすいとされています
  • 喫煙:喫煙はHDLを低下させる主要な因子のひとつです
  • 肥満・内臓脂肪の蓄積:特にお腹まわりの脂肪が多いと低下しやすい傾向があります
  • 糖質・飽和脂肪酸の過剰摂取:食生活の偏りも影響します

体質や病気、薬の影響

糖尿病・甲状腺機能低下症・慢性腎臓病などの疾患でも低下する場合があります。また、一部の降圧薬(β遮断薬など)や副腎皮質ステロイドの長期使用によって影響を受けることもあります。体質(遺伝的要因)が関与しているケースもあるため、生活習慣を改善しても数値が改善しない場合は医師に相談することをお勧めします。

HDLコレステロールを改善するには

食事で意識したいポイント

  • 不飽和脂肪酸(オメガ3系)を含む食品を積極的に取り入れる(青魚、えごま油、くるみなど)
  • 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の過剰摂取を控える(加工食品、菓子類など)
  • 食物繊維を多く含む野菜・海藻・豆類を意識する
  • アルコールの過剰摂取を避ける

運動・体重管理・禁煙の重要性

有酸素運動(ウォーキング・水泳・軽いジョギングなど)を週150分以上継続することが、HDL上昇に有効とされています(日本動脈硬化学会ガイドライン参照)。適正体重の維持と禁煙も、HDL改善に有効な手段として広く推奨されています。

生活習慣の見直しで気をつけたいこと

急激な食事制限や過度な運動は逆効果になることもあります。無理のない範囲で継続することが大切で、必要に応じて管理栄養士や医師と相談しながら取り組むことが望ましいです。

受診の目安

健康診断でHDLコレステロールが低いと言われたら

健康診断でHDLコレステロールが40mg/dL未満と指摘された場合や、「要注意」「要再検査」の判定を受けた場合は、一度内科への受診をご検討ください。症状がなくても、脂質バランスの乱れは進行しやすいため、早めの確認が安心です。

早めに内科を受診したほうがよいケース

  • 複数回の健診でHDLが低値を繰り返している
  • LDLコレステロールや中性脂肪も同時に異常を指摘されている
  • 高血圧・糖尿病・肥満など他のリスク因子がある
  • 家族に心筋梗塞や脳梗塞の既往がある

医療機関では何をする?

問診・採血・追加検査の流れ

初診時には、生活習慣(食事・運動・喫煙・飲酒)や既往歴、服用中の薬などを確認する問診のほか、空腹時の採血で脂質4項目(HDL・LDL・中性脂肪・総コレステロール)を精密に測定します。必要に応じて血糖・肝機能・甲状腺ホルモンなどの追加検査が行われることがあります。

治療が必要かどうかの判断

生活習慣の改善で対応できる場合と、薬物療法が必要な場合があります。治療の必要性は、脂質値の程度・他のリスク因子の有無・既往疾患などを総合的に判断して決定されます。

HDLコレステロールについて医師が伝えたいこと

数値だけで自己判断しないこと

健診結果の数値はあくまで「スクリーニングの指標」です。単一の数値だけで病気かどうかは判断できず、ほかの検査値・生活背景・遺伝的要因など、複合的な評価が必要です。数値を見て不安になりすぎず、まずは医師に相談することをお勧めします。

定期的な健診と継続的な管理の大切さ

脂質異常は自覚症状がほとんどないため、定期的な健診によるモニタリングが最も重要な予防手段のひとつです。一度改善しても生活習慣が元に戻ると数値も戻りやすいため、継続的な管理と定期受診が大切です。

よくある質問(FAQ)

HDLコレステロールが低いと必ず病気ですか?

低値だからといって、直ちに「病気」と確定するわけではありません。ただし、40mg/dL未満は脂質異常症の診断基準のひとつであり、放置すると動脈硬化のリスクが高まる可能性があります。生活習慣の見直しとともに、医師への相談をお勧めします。

HDLコレステロールだけ低い場合も受診が必要ですか?

はい、HDLコレステロールのみが低い場合も、受診して総合的に評価してもらうことが望ましいです。他の脂質値や生活習慣を合わせて確認することで、より適切なアドバイスを受けることができます。

食事だけでHDLコレステロールは上がりますか?

食事の改善は有効ですが、それだけで大きく改善するケースは多くありません。有酸素運動・禁煙・体重管理との組み合わせがより効果的とされています。食事・運動・禁煙を合わせて取り組むことが推奨されます。

健康診断で再検査になったらどうすればよいですか?

受診の際は、できれば空腹時(前日夜から絶食)に採血できる内科を受診するとより正確な結果が得られます。健診結果票をお持ちいただくとスムーズです。ご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。

薬でHDLコレステロールを上げる治療はありますか?

現在のところ、HDLを直接・選択的に上昇させる薬剤の選択肢は限られています。脂質異常症の治療にはスタチン系薬・フィブラート系薬などが使われますが、これらの薬の選択は医師が個々の状態を総合的に判断して行います。自己判断でのサプリメント使用は医師に相談のうえ検討してください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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