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逆流性胃炎とは?原因・症状・対処を内科医が解説

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逆流性胃炎とは?原因・症状・対処を内科医が解説

「食後に胸やけがする」「のどがひりひりする」「みぞおちが重い」――そのような症状が続く場合、胃酸や胃内容物の逆流が関わっている可能性があります。

「逆流性胃炎」は医学的に厳密に定義された病名ではありませんが、胃の炎症と逆流症状が重なって起こる状態を指す言葉として、日常的に広く使われています。本記事では、逆流性胃炎という言葉の意味を整理したうえで、原因・症状・対処法・受診の目安をわかりやすく解説します。

本記事は情報提供を目的としており、診断・治療には必ず医師の診察が必要です。

逆流性胃炎とは?まずは「逆流性食道炎」との違いを整理

逆流性胃炎という言葉が使われる場面

「逆流性胃炎」という言葉は、医療機関の診断名というよりも、患者さんが体感する症状をまとめた俗称的な表現として使われることが多い言葉です。Web上でも検索されますが、正式な医学用語ではありません。

胃炎と逆流の関係

胃の粘膜に炎症が起きた状態を「胃炎」といいます。一方、胃酸や胃の内容物が食道・のどに向かって逆流する状態を「胃食道逆流症(GERD)」と呼びます。この2つが同時に起こっている状態が、俗に「逆流性胃炎」と呼ばれる場面に相当します。

似た病名との違い(逆流性食道炎・胃炎・胃食道逆流症)

用語 意味
逆流性食道炎 胃酸の逆流によって食道粘膜に炎症・びらんが生じた状態
胃食道逆流症(GERD) 逆流性食道炎を含む、逆流症状全般の総称
胃炎 胃粘膜の炎症(急性・慢性など種類がある)
逆流性胃炎 上記が混在した状態を指す俗称的表現

逆流性胃炎の主な原因

胃酸や胃内容物の逆流が起こる仕組み

食道と胃の境目には「下部食道括約筋(LES)」と呼ばれる筋肉があり、ふだんは胃の内容物が食道へ逆流しないよう弁の役割を果たしています。この筋肉が緩むと、胃酸や胃内容物が食道へ逆流しやすくなります。

食生活や生活習慣が関わる要因

  • 過食・早食い:胃への負担が増し、逆流しやすくなる
  • 脂質の多い食事・刺激物(辛いもの・酸味の強いもの):胃酸分泌を促進する
  • アルコール・カフェイン・炭酸飲料:LESを緩める作用がある
  • 食後すぐに横になる習慣:重力の助けがなくなるため逆流が起こりやすい
  • 喫煙:LESの機能低下につながることが知られている

体質・加齢・薬の影響で起こりやすくなるケース

加齢とともにLESの筋力が低下することがあります。また、肥満では腹圧が高まりやすく、逆流のリスクが上がります。一部の降圧薬・抗コリン薬・鎮痛薬(NSAIDs)なども胃粘膜に影響することがあります。服用中の薬がある場合は、担当医へご相談ください。

逆流性胃炎でみられやすい症状

胸やけ、呑酸、みぞおちの不快感

胸やけ(胸が焼けるような感覚)や呑酸(のどや口に酸っぱいものが上がってくる感覚)は、逆流症状を代表する訴えです。みぞおちの重さ・痛みを伴うこともあります。

のどの違和感、咳、声のかすれ

胃酸がのどや気道まで達すると、のどの異物感・慢性的な咳・声がれを引き起こすことがあります。これらは「咽喉頭逆流症(LPR)」とも呼ばれ、耳鼻科的症状として現れることもあります。

胃もたれや吐き気など胃炎に近い症状

胃粘膜の炎症が加わると、胃もたれ・吐き気・食欲不振・上腹部の不快感が現れることがあります。びらん性胃炎と症状が重なる場合もあり、区別には医師による診察・検査が重要です。

症状が続くときに考えたい他の病気

胃・食道の炎症以外に考えられる疾患

似た症状が、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆石症・狭心症などで起きることもあります。胸部や腹部の症状は原因が多様なため、自己判断のみで見過ごすことは避けてください。

胃潰瘍や機能性ディスペプシアとの見分け方

機能性ディスペプシアは、検査で明らかな異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれ・早期満腹感・上腹部不快感が続く疾患です。逆流症状と混在することも多く、問診と内視鏡検査を組み合わせて鑑別します。

受診を急ぐべき症状

以下の症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。

  • 吐血・黒色便(タール便)
  • 急激な体重減少
  • 食物が飲み込めない(嚥下困難)
  • 胸の激しい痛みや締め付け感

受診の目安|内科や消化器内科を受診したほうがよいケース

症状が長引く・繰り返す

胸やけやみぞおちの不快感が2週間以上続く、または繰り返す場合は、消化器内科・内科への受診をお勧めします。

市販薬で改善しない

市販の制酸薬やH2ブロッカーを服用しても症状が改善しない場合は、原因の精査が必要です。

体重減少、吐血、黒色便がある

前述の危険信号に該当する場合は、早急な受診が必要です。

医療機関で行う診察・検査

問診で確認するポイント

症状の種類・頻度・悪化する状況・食生活・服用中の薬・既往歴などを確認します。

必要に応じて行う検査(胃カメラなど)

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は、食道・胃粘膜の状態を直接観察できる最も確実な検査です。炎症の有無・程度・潰瘍・ポリープの確認、さらにピロリ菌の検査も行えます。

診断の考え方と重症度の見方

逆流性食道炎の重症度はロサンゼルス分類(Grade A〜D)で評価されます。内視鏡で異常が見られなくても症状がある場合は「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」と診断されることがあります。

逆流性胃炎の対処法

食後すぐ横にならない・就寝前の飲食を避ける

食後最低2〜3時間は横にならないことが推奨されます。就寝時は頭部を10〜15cm程度高くすると逆流を起こりにくくなります。

食事内容や量を見直す

1回の食事量を減らし、腹八分目を意識することが大切です。脂質の多い食事・チョコレート・コーヒー・アルコール・炭酸飲料・柑橘類・酢の物は症状を悪化させやすいとされます。

肥満・喫煙・飲酒との関係を見直す

肥満の改善は腹圧を下げ、逆流リスクの低減につながります。禁煙・節酒も症状改善に有効とされています。

薬による治療

胃酸を抑える薬が使われることがある

プロトンポンプ阻害薬(PPI)カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が第一選択薬として使われることが多く、胃酸分泌を抑え、炎症の回復を助けます。

症状や状態に応じた薬の選択

消化管の運動を促す薬(消化管運動機能改善薬)や、粘膜保護薬が組み合わされることもあります。薬の選択・用量は症状の程度や検査結果をもとに医師が判断します。

市販薬を使うときの注意点

市販のH2ブロッカーや制酸薬は一時的な症状緩和に使えますが、2週間以上使用しても改善しない場合は医師への相談が必要です。自己判断での長期服用は、重篤な疾患の発見を遅らせるリスクがあります。

日常生活で再発予防のためにできること

姿勢・睡眠・食べ方の工夫

食後は座位を保ち、ゆっくりよく噛んで食べることが大切です。就寝時は左側を下にした体位が逆流を起こりにくくするとの報告があります。

服装や腹圧に関わる習慣の見直し

ベルトを強く締める・コルセットを常用するなど腹部を圧迫する習慣は腹圧を高め、逆流を促しやすくなります。ゆとりのある衣服を選ぶようにしましょう。

再発しやすい人が意識したいこと

ストレスは胃酸分泌や消化管運動に影響します。適度な運動・十分な睡眠・ストレスマネジメントを心がけることが再発予防につながります。

逆流性胃炎を放置しないほうがよい理由

食道やのどへの影響

胃酸の逆流が長期間続くと、食道粘膜が胃粘膜に近い細胞へと変化するバレット食道を来すことがあります。バレット食道は食道腺がんのリスク因子の一つとして知られています。

長引く症状による生活への支障

慢性的な胸やけや不眠は、日常生活の質(QOL)を大きく損ないます。早期に適切な対処を行うことで、症状コントロールが改善しやすくなります。

自己判断のみで様子を見るリスク

似た症状で胃がん食道がんが隠れていることもあります(胃がんの症状について詳しくはこちら)。症状が長引く場合は、自己判断だけで経過観察を続けず、医療機関を受診することをお勧めします。

たまプラーザ周辺で受診を考える方へ

内科・消化器内科で相談しやすい症状

  • 胸やけ・呑酸が2週間以上続いている
  • 市販薬を使っても改善しない
  • 胃もたれや吐き気が慢性的にある
  • のどの違和感・慢性的な咳が気になる

受診前に整理しておくとよい情報

受診の際には、①症状が始まった時期、②症状が出やすい状況(食後・就寝時など)、③現在服用中の薬、④既往歴を整理しておくとスムーズです。

よくある質問(FAQ)

逆流性胃炎は自然に治ることがありますか?

軽度の逆流症状であれば、食事・生活習慣の改善によって症状が落ち着くことがあります。ただし、症状が繰り返す・長引く場合は自然回復を待つだけでなく、医師の診察を受けることをお勧めします。

胸やけがあるだけでも受診したほうがよいですか?

胸やけが2週間以上続く、または週に2日以上起こる場合は受診の目安とされています。一時的なものであっても気になるようであれば、気軽にご相談ください。

食べてはいけないものはありますか?

「絶対に禁止」というものはありませんが、脂質の多い食事・チョコレート・コーヒー・アルコール・炭酸飲料・柑橘類・香辛料は症状を悪化させやすいとされます。個人差があるため、ご自身の症状との関連を観察してみてください。

胃カメラは必要ですか?

症状が続く場合や、市販薬で改善しない場合は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)によって食道・胃の状態を直接確認することが重要です。炎症の有無・程度・他の疾患の鑑別に役立ちます。

逆流性胃炎はうつりますか?

逆流症状自体はうつりません。ただし、逆流性胃炎の背景にピロリ菌感染が関わっている場合、ピロリ菌は感染経路を介して広がる可能性があります。気になる方はピロリ菌の検査についても医師にご相談ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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