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逆流性食道炎の症状を医学博士が徹底解説|胸やけ・呑酸から非典型症状まで完全ガイド

 

逆流性食道炎の症状を医学博士が徹底解説|胸やけ・呑酸から非典型症状まで完全ガイド

著者: 医学博士・消化器外科専門医 佐藤靖郎

福島県立医科大学大学院医学博士、臨床経験30年以上、がん診療連携パスの第一人者

最終更新日: 2026年1月28日

はじめに

「食後に胸がムカムカする」「酸っぱいものがこみ上げてくる」「夜中に咳が止まらない」――このような症状でお困りではありませんか?

逆流性食道炎(GERD: Gastroesophageal Reflux Disease)は、胃酸や胃内容物が食道に逆流することで、食道粘膜に炎症や潰瘍を起こす疾患です。

📊 逆流性食道炎の実態データ

  • 有病率: 日本人の10~20%(約1,500~3,000万人)
  • 増加傾向: 過去30年で約3倍に増加
  • 男女比: 男性がやや多い(男性1.5:女性1)
  • 発症年齢: 40~60代に多いが、若年層も増加中
  • QOL影響: 睡眠障害、食事制限、社会活動の制約
  • 再発率: 治療中止後6ヶ月で約80%が再発

消化器外科専門医として30年以上の臨床経験を持つ私が、逆流性食道炎の典型的症状から見逃しやすい非典型症状、合併症、診断法、効果的な治療法まで、エビデンスに基づいて徹底解説します。

逆流性食道炎(GERD)とは?

定義

逆流性食道炎は、下部食道括約筋(LES: Lower Esophageal Sphincter)の機能低下や、胃内圧の上昇により、胃酸や消化中の食物が食道に逆流し、食道粘膜に炎症(びらん・潰瘍)を起こす疾患です。

🔍 正常な食道と胃のしくみ

  • 食道: 長さ約25cm、咽頭から胃をつなぐ筋肉性の管
  • 下部食道括約筋(LES): 食道と胃の境界にある「弁」のような筋肉
    • 通常は閉じている(胃酸の逆流を防ぐ)
    • 飲食時のみ開く(食べ物を胃へ送る)
  • 胃: 強力な胃酸(pH 1~2)で食物を消化

GERDとGERの違い

用語 意味 特徴
GER
(Gastroesophageal Reflux)
胃食道逆流
(生理的現象)
誰にでも起こる
症状なし、短時間
GERD
(Gastroesophageal Reflux Disease)
胃食道逆流症
(病的状態)
症状あり、QOL低下
食道粘膜障害

GERDの分類

GERDは内視鏡検査の所見により以下の3つに分類されます:

  1. びらん性GERD(ERD: Erosive Reflux Disease)
    • 内視鏡で食道粘膜のびらん・潰瘍が確認できる
    • 全GERD患者の約30~40%
    • Los Angeles分類でグレード分け(A~D)
  2. 非びらん性GERD(NERD: Non-Erosive Reflux Disease)
    • 典型的な逆流症状があるが、内視鏡では粘膜障害が見えない
    • 全GERD患者の約60~70%
    • 日本人に多い
  3. バレット食道
    • 長期的な胃酸逆流により、食道下部の粘膜が胃粘膜様に変化
    • 食道腺癌のリスク(約0.5%/年)が上昇
    • 定期的な内視鏡フォローが必要

典型的症状(食道症状)

1. 胸やけ(Heartburn)

GERDの最も代表的な症状

  • 症状: 胸骨(みぞおちから胸の中央)の後ろが「焼けるような」「熱い」「チリチリする」感覚
  • 出現時期:
    • 食後30分~2時間(特に食べ過ぎ、脂肪分の多い食事後)
    • 就寝後(横になると逆流しやすい)
    • 前かがみの姿勢
  • 持続時間: 数分~数時間
  • 頻度: GERD患者の約70~80%に出現

2. 呑酸(どんさん、Acid Regurgitation)

胃酸が口まで逆流する症状

  • 症状: 「酸っぱい液体」「苦い液体」が口やのどまでこみ上げる
  • 特徴:
    • げっぷとともに起こることが多い
    • 食後、前かがみ、就寝時に多い
    • 口の中が酸っぱい、苦い
  • 頻度: GERD患者の約50~60%に出現

3. 嚥下障害(飲み込みにくさ)

  • 症状: 食べ物が「つかえる」「通りにくい」感覚
  • 原因:
    • 食道の炎症・浮腫
    • 食道狭窄(長期GERDの合併症)
    • 食道運動機能の低下
  • ⚠️ 重要: 嚥下障害がある場合は、食道がんなど重大疾患の除外が必要

4. 胸痛

  • 症状: 胸の中央~左側の痛み、圧迫感
  • 特徴:
    • 心臓の痛み(狭心症)と区別が困難なことがある
    • 食後、就寝時に多い
    • 制酸薬で改善することが多い
  • ⚠️ 注意: 胸痛がある場合は、まず心疾患の除外が最優先

非典型症状(食道外症状)

胃酸逆流が食道以外の部位に影響を及ぼす症状です。見逃されやすく、診断が遅れることがあります。

1. 呼吸器症状

慢性咳嗽(慢性の咳)

  • 特徴:
    • 8週間以上続く咳
    • 夜間~早朝に悪化
    • 横になると悪化
    • 痰が少ない、乾いた咳
  • メカニズム: 胃酸が気管に逆流(マイクロアスピレーション)、または食道の酸刺激が迷走神経反射で咳を誘発
  • 頻度: 慢性咳嗽の原因の約10~40%がGERD関連

喘息症状の悪化

  • 既存の喘息が悪化する
  • 夜間~早朝の喘息発作が増える
  • 喘息患者の約30~80%にGERDが合併

2. 咽喉頭症状(のど・声の症状)

咽喉頭違和感

  • 症状:
    • のどの「イガイガ」「ヒリヒリ」
    • のどの異物感、つかえ感
    • 頻繁な「咳払い」

声がれ(嗄声)

  • 症状: 声がかすれる、出にくい
  • 原因: 胃酸による声帯の炎症
  • 特徴: 朝起きた時に悪化(夜間逆流の影響)

慢性咽喉頭炎

  • のどの慢性的な炎症
  • 耳鼻咽喉科で「咽喉頭炎」と診断されるが、治療効果が乏しい場合はGERDを疑う

3. 口腔症状

  • 歯の酸蝕症: 胃酸で歯のエナメル質が溶ける
  • 口臭: 胃酸の逆流による

4. その他の症状

  • 睡眠障害: 夜間の逆流症状で目覚める、不眠
  • 悪心・嘔吐
  • 上腹部不快感、腹部膨満感

⚠️ 非典型症状の診断の難しさ

非典型症状のみでGERDを疑うのは困難です。他の疾患の除外が重要:

  • 慢性咳嗽: 喘息、後鼻漏、ACE阻害薬の副作用、肺疾患
  • 咽喉頭症状: 咽喉頭炎、扁桃炎、咽喉頭がん
  • 胸痛: 狭心症、心筋梗塞、肺塞栓症

専門医(呼吸器内科、耳鼻咽喉科、循環器内科)との連携診断が必要

逆流性食道炎の原因とリスク因子

主な原因

1. 下部食道括約筋(LES)の機能低下

  • 加齢(筋肉の弛緩)
  • 食道裂孔ヘルニア(横隔膜の裂孔から胃の一部が胸部に脱出)
  • 喫煙(ニコチンがLESを弛緩)
  • 薬剤: カルシウム拮抗薬、抗コリン薬、硝酸薬など

2. 胃内圧の上昇

  • 肥満(腹圧上昇)
  • 妊娠(子宮による胃の圧迫)
  • 過食
  • 腹部を締め付ける衣服

3. 胃酸分泌の増加

  • ストレス
  • 刺激物(カフェイン、アルコール、香辛料)
  • 高脂肪食(胃の排出遅延)

リスク因子

リスク因子 影響
肥満(BMI ≥25) リスク2~3倍
食道裂孔ヘルニア リスク3~4倍
喫煙 リスク1.5~2倍
飲酒(大量) リスク増加
高脂肪食 症状悪化
加齢(50歳以上) リスク増加
家族歴 リスク増加

GERD症状を悪化させる食品・飲料

  • 脂肪分の多い食事: 揚げ物、ファストフード、肉類
  • 酸性食品: 柑橘類、トマト、酢
  • 刺激物: 香辛料、唐辛子、コショウ
  • カフェイン: コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク
  • アルコール: 特に度数の高い酒
  • 炭酸飲料: 胃の膨満→逆流
  • チョコレート: LESを弛緩させる
  • ミント: LESを弛緩させる

逆流性食道炎の合併症

適切な治療を受けずに放置すると、以下の合併症を起こすリスクがあります。

1. 食道狭窄

  • 原因: 慢性炎症による瘢痕化
  • 症状: 嚥下障害、食べ物がつかえる
  • 治療: 内視鏡的バルーン拡張術、ブジー(拡張器)治療

2. バレット食道

  • 定義: 食道下部の扁平上皮が円柱上皮(胃粘膜様)に置換
  • リスク: 食道腺癌の発生リスク(年間約0.5%)
  • 対策: 定期的な内視鏡検査(1~3年ごと)、生検

3. 食道潰瘍

  • 症状: 強い胸痛、嚥下痛、出血(吐血、黒色便)
  • 治療: 強力な制酸薬(PPI)、内視鏡的止血術(出血時)

4. 出血・貧血

  • 慢性的な食道粘膜からの出血
  • 鉄欠乏性貧血

5. 誤嚥性肺炎

  • 夜間の胃酸逆流が気管に入り、肺炎を起こす
  • 高齢者で特に注意

🚨 危険なサイン(すぐに受診が必要)

  • 嚥下障害(食べ物が飲み込めない、つかえる)
  • 体重減少(意図しない減少)
  • 吐血(赤い血、コーヒー残渣様)
  • 黒色便(タール便)
  • 激しい胸痛(心疾患の除外が必要)
  • 貧血(ふらつき、息切れ、顔色不良)
  • 持続する嘔吐

→ これらの症状がある場合は、緊急で医療機関を受診してください

逆流性食道炎の診断

診断のステップ

  1. 問診・症状の確認
  2. PPIテスト(診断的治療)
  3. 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
  4. その他の検査(必要に応じて)

1. 問診

以下の項目を確認:

  • 症状の種類、程度、頻度、持続時間
  • 症状の出現時期(食後、就寝時など)
  • 増悪因子(食事内容、姿勢、ストレスなど)
  • 既往歴、内服薬
  • 生活習慣(喫煙、飲酒、食事、BMI)

2. PPIテスト(診断的治療)

  • 方法: プロトンポンプ阻害薬(PPI)を1~2週間試験的に投与
  • 判定: 症状が明らかに改善すればGERDの可能性が高い
  • 感度: 約70~80%
  • 利点: 簡便、非侵襲的
  • 注意: 改善しない場合は他の疾患を考慮、内視鏡検査を実施

3. 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

GERDの確定診断重大疾患の除外に最も重要な検査

実施すべきケース

  • アラームサインがある(嚥下障害、体重減少、出血など)
  • 50歳以上での初発症状
  • ✅ PPIテストで改善しない
  • ✅ 長期間(5年以上)のGERD症状
  • ✅ 食道がん・胃がんのリスクが高い(家族歴、喫煙歴など)
  • ✅ バレット食道のフォローアップ

内視鏡所見

  • びらん性GERD: 食道粘膜のびらん、潰瘍、発赤
  • 非びらん性GERD: 粘膜は正常~軽度発赤
  • バレット食道: 食道下部の円柱上皮化生

Los Angeles分類(びらん性GERDの重症度)

グレード 内視鏡所見
Grade A 粘膜傷害が5mm未満の線状びらん
Grade B 粘膜傷害が5mm以上の線状びらん(粘膜ひだに限局)
Grade C 粘膜傷害が複数の粘膜ひだにまたがるが、全周性ではない
Grade D 粘膜傷害が全周性

4. その他の検査

24時間pHモニタリング検査

  • 方法: 細いカテーテルを鼻から食道に挿入し、24時間食道内のpHを測定
  • 適応: 内視鏡で異常なし、かつPPIで効果不十分な場合
  • 利点: 逆流の頻度、時間、pHを客観的に評価

食道内圧測定(マノメトリー)

  • 食道の運動機能、LESの圧力を測定
  • 適応: 嚥下障害、手術前評価

胸部X線、心電図

  • 胸痛がある場合、心疾患や肺疾患の除外

逆流性食道炎の治療法

GERDの治療は段階的アプローチが基本です。

治療の3本柱

  1. 生活習慣の改善
  2. 薬物療法
  3. 外科的治療(難治例)

1. 生活習慣の改善

すべてのGERD患者に推奨される基本治療

食事療法

  • 避けるべき食品・飲料:
    • 脂肪分の多い食事(揚げ物、ファストフード)
    • 酸性食品(柑橘類、トマト)
    • 刺激物(香辛料、唐辛子)
    • カフェイン(コーヒー、紅茶)
    • アルコール
    • 炭酸飲料
    • チョコレート、ミント
  • 食事のタイミング:
    • 就寝3時間前までに夕食を済ませる
    • 1回の食事量を減らし、1日5~6回の分食
    • ゆっくり食べる(早食いを避ける)
    • よく噛む(一口30回以上)
  • 推奨される食品:
    • 低脂肪食(鶏肉、魚、豆腐)
    • 全粒穀物(玄米、オートミール)
    • 野菜(根菜類、葉物)
    • バナナ、メロン、リンゴ(酸性が低い果物)
  • 関連記事: 胃に優しい食べ物の詳細

体重管理

  • 肥満の場合は減量(BMI 18.5~24.9を目標)
  • 体重5~10%の減量で症状改善が期待できる

姿勢・睡眠

  • 食後すぐに横にならない(最低2~3時間は座位・立位を保つ)
  • 就寝時の頭側挙上(ベッドの頭側を15~20cm高くする、または枕を高くする)
  • 左側臥位で就寝(解剖学的に逆流しにくい)

禁煙

  • 喫煙はLESを弛緩させるため、禁煙は必須

衣服

  • 腹部を締め付ける衣服(ベルト、ガードルなど)を避ける

2. 薬物療法

GERDの主要治療

プロトンポンプ阻害薬(PPI)

第一選択薬

  • 代表的な薬剤: オメプラゾール(オメプラール)、ランソプラゾール(タケプロン)、ラベプラゾール(パリエット)、エソメプラゾール(ネキシウム)、ボノプラザン(タケキャブ)
  • 作用機序: 胃酸分泌を強力に抑制(約90%抑制)
  • 投与方法:
    • 初期治療: 4~8週間連日投与
    • 維持療法: 症状に応じて継続(オンデマンド療法、半量投与など)
  • 効果: 約80~90%の患者で症状改善
  • 副作用: 下痢、頭痛、長期使用で骨粗鬆症、ビタミンB12欠乏、腎障害(稀)

H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)

  • 代表的な薬剤: ファモチジン(ガスター)、ラニチジン
  • 作用機序: 胃酸分泌を中等度に抑制(約60~70%)
  • 適応: 軽度~中等度のGERD、PPIの副作用がある場合
  • 市販薬: ガスター10(OTC)

制酸薬

  • 代表的な薬剤: 水酸化アルミニウム・マグネシウム合剤(マーロックス)、炭酸水素ナトリウム
  • 作用: 胃酸を中和
  • 適応: 軽度の胸やけ、即効性あり(数分~15分)
  • 注意: 根本治療ではない、頓服的使用

消化管運動促進薬

  • 代表的な薬剤: モサプリド(ガスモチン)
  • 作用: 胃の排出促進、LES圧上昇
  • 適応: 胃もたれ、腹部膨満感を伴う場合

粘膜保護薬

  • 代表的な薬剤: レバミピド(ムコスタ)、スクラルファート
  • 作用: 食道粘膜を保護
  • 適応: PPIとの併用

3. 外科的治療

以下の場合に検討:

  • 薬物療法で効果不十分
  • 薬物療法の副作用が強い
  • 若年で長期薬物治療を避けたい
  • 食道裂孔ヘルニアが大きい
  • 合併症(食道狭窄、バレット食道など)

腹腔鏡下噴門形成術(Nissen fundoplication)

  • 方法: 胃底部を食道に巻き付け、LESを強化
  • 成功率: 約80~90%
  • 合併症: 嚥下困難、ガスの貯留

逆流性食道炎の予後と長期管理

予後

  • GERDは生命予後は良好な疾患
  • 適切な治療で約80~90%の患者で症状コントロール可能
  • ただし、慢性疾患であり、治療中止後の再発率は高い(約80%)
  • 長期的な維持療法が必要な場合が多い

長期管理のポイント

  1. 生活習慣の継続的改善(食事、体重、禁煙)
  2. 薬物療法の継続(オンデマンド療法、維持療法)
  3. 定期的な内視鏡検査(バレット食道、重症例は1~3年ごと)
  4. 症状の自己管理(トリガー因子の回避)

オンデマンド療法とは?

  • 症状が出た時だけPPIを服用
  • 適応: 軽度~中等度のGERD、症状が間欠的な患者
  • 利点: 薬剤使用量の削減、医療費の削減

逆流性食道炎の予防

  • 適正体重の維持(BMI 18.5~24.9)
  • 禁煙
  • 過度な飲酒を避ける
  • 脂肪分・刺激物の多い食事を避ける
  • 食後すぐに横にならない
  • 就寝3時間前までに夕食
  • ストレス管理(十分な睡眠、適度な運動、リラクゼーション)

よくある質問(FAQ)

Q1. 逆流性食道炎は治りますか?

A. GERDは慢性疾患であり、完全治癒は難しい場合が多いです。しかし、適切な治療(生活習慣改善+薬物療法)により、約80~90%の患者で症状を良好にコントロールできます。治療中止後は再発率が高いため、長期的な維持療法が必要なことがあります。

Q2. PPIは一生飲み続けないといけませんか?

A. 必ずしも一生飲み続ける必要はありません。軽度~中等度のGERDでは、オンデマンド療法(症状が出た時のみ服用)や、生活習慣改善で薬を減量・中止できる場合があります。ただし、重症例、バレット食道、食道狭窄などの合併症がある場合は、長期的な維持療法が推奨されます。自己判断での中止は再発リスクが高いため、必ず主治医と相談してください。

Q3. 胸やけと心臓の痛みの見分け方は?

A. 両者の区別は困難な場合があります。以下の特徴を参考にしてください:

項目 逆流性食道炎 心疾患(狭心症など)
痛みの性質 焼けるような、チリチリ 圧迫感、締め付け
出現時期 食後、就寝時 労作時、安静時
持続時間 数分~数時間 通常5~15分
改善因子 制酸薬で改善 安静、ニトログリセリン

⚠️ 重要: 胸痛がある場合は、まず心疾患を除外することが最優先です。特に50歳以上、糖尿病、高血圧、喫煙歴、家族歴がある方は、必ず循環器内科を受診してください。

Q4. 逆流性食道炎は食道がんになりますか?

A. 一般的なGERDは直接食道がんにはなりません。ただし、バレット食道(長期GERDの合併症)がある場合は、食道腺癌のリスクが上昇します(年間約0.5%)。バレット食道と診断された場合は、定期的な内視鏡検査(1~3年ごと)が推奨されます。

Q5. コーヒーは絶対に飲んではいけませんか?

A. 絶対禁止ではありませんが、カフェインはLESを弛緩させ、症状を悪化させる可能性があります。症状がある時期は控えることをお勧めしますが、症状が安定していれば、少量(1日1~2杯程度)なら許容される場合もあります。また、カフェインレスコーヒーへの変更も選択肢です。ただし、個人差があるため、自分の症状との関連を観察してください。

Q6. 妊娠中の逆流性食道炎はどうすればいいですか?

A. 妊娠中は約50~80%の女性がGERD症状を経験します。まずは生活習慣の改善(食事の分食、就寝時の頭側挙上、左側臥位など)を試みてください。症状が強い場合は、制酸薬一部のH2ブロッカーは妊娠中でも比較的安全とされています。ただし、必ず産婦人科医に相談してから服用してください。

Q7. 市販薬で対処できますか?

A. 軽度の症状であれば、市販のH2ブロッカー(ガスター10など)や制酸薬で一時的に対処できる場合があります。ただし、2週間以上使用しても改善しない場合や、症状が頻繁に出る場合は、必ず医療機関を受診してください。また、アラームサイン(嚥下障害、体重減少、出血など)がある場合は、すぐに受診が必要です。

関連記事: 整腸剤・胃薬の選び方

Q8. 逆流性食道炎の人が避けるべき薬はありますか?

A. 以下の薬剤はLESを弛緩させたり、胃粘膜を刺激したりするため、注意が必要です:

  • カルシウム拮抗薬(高血圧薬)
  • 硝酸薬(狭心症薬)
  • 抗コリン薬
  • NSAID(非ステロイド性抗炎症薬: イブプロフェン、ロキソニンなど)
  • ビスホスホネート(骨粗鬆症薬)

これらの薬を服用中の方は、主治医に相談し、代替薬や対策を検討してください。

Q9. 運動はしてもいいですか?

A. 適度な運動は推奨されます。ウォーキング、ヨガ、水泳などの軽~中等度の運動は、体重管理やストレス軽減に有効です。ただし、食後すぐの運動や、腹圧がかかる運動(腹筋運動、重量挙げ、激しいランニングなど)は症状を悪化させる可能性があるため、食後2~3時間は避けることをお勧めします。

Q10. 子どもも逆流性食道炎になりますか?

A. はい、子どももGERDになります。特に乳幼児では、LESが未発達なため、生理的な逆流(ミルクの吐き戻しなど)が多く見られます。多くは成長とともに自然に改善します。ただし、以下の症状がある場合は、小児科を受診してください:

  • 頻繁な嘔吐、体重増加不良
  • 慢性的な咳、喘息症状
  • 食事拒否、機嫌が悪い
  • 睡眠障害

まとめ

逆流性食道炎(GERD)は、日本人の10~20%が罹患する非常に身近な消化器疾患です。胸やけ、呑酸などの典型的症状だけでなく、咳、喘息、咽喉頭症状などの非典型症状でも現れることがあり、見逃されやすい疾患でもあります。

🔑 逆流性食道炎の重要ポイント

  • 典型的症状: 胸やけ、呑酸、胸痛、嚥下障害
  • 非典型症状: 慢性咳嗽、喘息、咽喉頭症状、声がれ
  • 危険サイン: 嚥下障害、体重減少、出血
  • 診断: PPIテスト、上部消化管内視鏡検査
  • 治療: 生活習慣改善+PPI(第一選択)
  • 予後: 適切な治療で約80~90%が改善
  • 長期管理: 維持療法、定期的フォローアップ
  • 合併症: バレット食道、食道狭窄、食道腺癌(稀)

症状でお悩みの方は、「たかが胸やけ」と放置せず、早めに消化器内科を受診し、専門医の診断・治療を受けることをお勧めします。GERDは適切な対応により、QOLを大幅に改善できる疾患です。

30年以上の臨床経験を持つ消化器外科専門医として、患者さん一人ひとりの症状に寄り添った診療を心がけています。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

著者プロフィール

佐藤靖郎 医学博士・消化器外科専門医

  • 福島県立医科大学大学院 医学博士取得
  • 臨床経験30年以上
  • がん診療における地域連携パスの第一人者
  • 医療法人社団康悦会理事長
  • Medical Gaia Network(NPO)理事長

消化器疾患の診断・治療、医療連携、地域医療の発展に尽力。多文化共生による地域活性化など、医療を軸とした幅広い社会貢献活動を展開。

最終更新日: 2026年1月28日

※ 本記事は医学的情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

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