おならがよくでるとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
おならがよく出る状態は、多くの場合、食生活や腸内環境・生活習慣と関係しており、適切な対処で改善が期待できます。ただし、腹痛や血便など他の症状を伴う場合や、長期間続く場合は、消化器疾患が背景にある可能性もあるため、医療機関への相談が望まれます。本記事では、おならがよく出る原因・症状・日常でできる対処法を、消化器内科の観点からわかりやすく解説します。
おならがよくでるとは?まず知っておきたいこと
おならは誰にでも起こる自然な現象
おなら(放屁)は、腸内でガスが発生・蓄積し、肛門から排出される生理的な現象です。食事中に飲み込んだ空気や、腸内細菌が食物を分解・発酵する際に生じる水素・二酸化炭素・メタンなどが主な成分です。日常的に起こる自然な現象であり、それ自体が異常というわけではありません。
「回数が多い」と感じる目安はある?
一般的に、健康な成人のおならの回数は1日に10〜20回程度とされており、これは正常範囲内と考えられています(参考:国内外の消化器学会の見解)。ただし、個人差が大きく、「以前より明らかに増えた」「日常生活に支障がある」と感じる場合は、原因を確認することが大切です。回数の絶対値よりも、変化や他の症状との組み合わせを意識するとよいでしょう。
おならがよくでる主な原因
空気を飲み込みやすい習慣
食事中の早食い、会話しながらの食事、ストローを使った飲み物、ガムをよく噛む習慣などは、空気(主に窒素・酸素)を多く飲み込む「空気嚥下症(呑気症)」につながります。飲み込んだ空気の一部は腸に達し、おならとして排出されます。
食べ物や飲み物の影響
豆類・ブロッコリー・キャベツ・玉ねぎなど、発酵しやすい食品を多く摂ると腸内でガスが発生しやすくなります。詳しくは後述の「おならの回数が増えやすい食べ物・飲み物」をご参照ください。
腸内細菌の働きと発酵
腸内細菌は食物繊維や糖質を分解・発酵する際にガスを生成します。腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスが乱れると、ガス産生が増えることがあります。抗菌薬の服用後など、腸内環境が変化した際に起こりやすい傾向があります。
便秘や腸の動きの低下
腸の蠕動運動が低下すると、食物や腸内細菌が産生したガスが腸内に滞留しやすくなります。便秘はガスの排出を妨げるため、おならの回数増加や腹部膨満感につながることがあります。
ストレスや緊張による影響
精神的なストレスや緊張は、自律神経を介して腸の動きに影響を与えます。腸の蠕動が乱れることでガスが溜まりやすくなるほか、緊張時に空気を多く飲み込む傾向もみられます。
薬の影響で増えることもある
一部の薬(糖尿病治療薬のα-グルコシダーゼ阻害薬、緩下薬など)は、腸内でのガス産生を増やすことが知られています。服薬開始後におならが増えた場合は、処方医や薬剤師に相談することをおすすめします。
おならの回数が増えやすい食べ物・飲み物
ガスがたまりやすい食品の例
- 豆類(大豆・小豆・ひよこ豆など)
- アブラナ科の野菜(ブロッコリー・キャベツ・カリフラワーなど)
- ねぎ・玉ねぎ・にんにく
- さつまいも・ごぼうなど食物繊維が豊富な野菜
これらは腸内細菌のエサとなりやすく、発酵によるガス産生が増えやすい食品です。
乳製品や小麦で気になるとき
乳糖(ラクトース)を分解する酵素が不足している「乳糖不耐症」の方は、牛乳や乳製品摂取後にガスや下痢が起こりやすくなります。また、グルテンを含む小麦製品でも同様の症状が出る場合があり、お腹にガスが溜まる原因と関連することがあります。
炭酸飲料やアルコールとの関係
炭酸飲料は飲み込む炭酸ガスが増え、げっぷやおならの増加につながります。アルコールは腸の粘膜に刺激を与え、腸内環境を乱す要因となることがあります。
おならがよくでるときに一緒にみられる症状
お腹の張り・膨満感
腸内にガスが溜まると、お腹が張る・膨らんでいる感じが現れることがあります。食後に特に強くなるケースが多くみられます。
便秘・下痢
おならの増加と便通の変化(便秘・下痢、または両方が交互に)が同時にみられる場合は、過敏性腸症候群(IBS)など腸の機能的な問題が関係している可能性があります。
腹痛や不快感
ガスが腸内に溜まることで、腹部のけいれんや鈍い痛み・不快感が生じることがあります。
げっぷが増える場合
空気嚥下が多い場合、おならとあわせてげっぷも増えることがあります。どちらも飲み込んだ空気の排出経路であるためです。
生活の中でできる対処法
ゆっくり食べて空気の飲み込みを減らす
一口ずつよく噛み、食事にかける時間を意識して確保することが大切です。食事中の会話を極力減らす、ストローの使用を控えるなども効果的とされています。
食事内容を見直す
ガスが溜まりやすい食品を一時的に控え、症状が改善するか確認する方法があります。ただし、栄養バランスを崩さないよう注意が必要です。女性でおならが増えやすい原因についても食事との関連を含めて解説しています。
適度な運動で腸の動きを促す
ウォーキングや軽いストレッチなど、無理のない範囲の有酸素運動は腸の蠕動運動を促し、ガスの排出を助ける可能性があります。
便秘対策をする
水分を十分に摂る、食物繊維を適切に取り入れる、排便の習慣をつけるなど、便秘の改善はガスの滞留軽減にもつながります。
ストレスケアを意識する
十分な睡眠・休息、リラクゼーション法(入浴、軽い運動など)を取り入れ、腸と自律神経のバランスを整えることを心がけましょう。
市販薬やサプリを使う前に知っておきたいこと
整腸剤・消泡薬などの考え方
市販の整腸剤(乳酸菌製剤など)は腸内環境の改善を目的として用いられます。消泡薬(ジメチコンなど)は腸内のガスの泡を消す作用があるとされています。いずれも一時的な対症療法であり、根本的な原因へのアプローチではありません。
自己判断で長く続けないほうがよい場合
市販薬を使っても症状が改善しない場合や、腹痛・血便・体重減少など他の症状を伴う場合は、自己判断での継続は避け、医療機関を受診することが望まれます。
受診の目安
おならだけでなく症状が続く場合
おならの増加が2〜4週間以上続き、生活に支障をきたす場合は受診をご検討ください。
早めに内科を受診したほうがよいサイン
- 血便・黒色便がある
- 原因不明の体重減少
- 強い腹痛が続く
- 発熱を伴う
- 急に症状が悪化した
上記のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
何科を受診すればよいか
まずは内科・消化器内科への受診が適しています。症状に応じて専門的な検査が行われます。
医療機関ではどのように調べるか
問診で確認すること
おならの回数・臭い・いつから始まったか、食事内容、排便状況、服薬歴、ストレスの有無などを詳しく確認します。
必要に応じて行う検査
- 血液検査:炎症反応・栄養状態の確認
- 腹部超音波検査:腸や臓器の状態の確認
- 大腸内視鏡検査:腸の粘膜を直接観察する
- 呼気検査:乳糖不耐症・ヘリコバクター・ピロリ菌などの確認
検査の内容は症状や状況に応じて医師が判断します。
考えられる病気
過敏性腸症候群
腸に器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛・腹部不快感・便通異常(便秘・下痢など)が繰り返される機能性疾患です。ガス・おならの増加も代表的な症状の一つです。
便秘症
慢性的な便秘はガスの滞留を引き起こし、おならの増加・膨満感の原因となります。
食物不耐症
乳糖不耐症やグルテン関連障害など、特定の食物成分を消化・吸収しにくい体質により、腸内でのガス産生が増えることがあります。
胃腸の病気が隠れている場合
大腸ポリープ・大腸がん・炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)などが背景にある場合もあります。特に血便・体重減少を伴う場合は早期の受診が重要です。おならが多い状態と関連する疾患についても参考にしてください。
日常で記録しておくと役立つこと
食事・症状・便の状態をメモする
いつ・何を食べたか、おならの回数・臭い、便の状態(硬さ・回数・色)、腹部症状の有無を日々記録しておくと、原因の特定に役立ちます。
受診時に伝えるポイント
- 症状が始まった時期と経過
- 食事内容と症状の関連(特定の食品後に悪化するか)
- 服用中の薬・サプリメント
- ストレスや生活の変化
よくある質問(FAQ)
おならが1日に何回も出るのは異常ですか?
1日10〜20回程度は正常範囲とされています。ただし、急に回数が増えた、他の症状を伴うという場合は受診の目安になります。
おならが多いのに臭くないのはなぜですか?
おならの臭いの主な原因は、硫黄を含むガス(硫化水素など)です。臭いが少ない場合は、主成分が無臭の窒素・水素・二酸化炭素であることが多く、必ずしも問題があるとは限りません。
朝だけおならが多いのは問題ありますか?
睡眠中は腸の蠕動運動が低下し、ガスが腸内に溜まりやすくなります。起床後に腸が活発になりおならが増えるのは、多くの場合生理的な現象です。ただし、他の症状を伴う場合は相談することをおすすめします。
女性でおならが増えやすい原因はありますか?
女性は月経周期に伴うホルモン変動(特に黄体ホルモンの増加)が腸の蠕動運動に影響し、月経前後に便秘やガスが増えやすくなることがあります。詳しくは女性のおならが増えやすい原因をご覧ください。
おならを我慢し続けるのは体に悪いですか?
我慢したガスは腸内に滞留し、腹部膨満感や不快感を強める可能性があります。社会的な状況への配慮は大切ですが、長時間の我慢は腸への負担につながる場合があります。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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