
「胃カメラはオエッとなって苦しい」「大腸カメラは激痛で途中で止まることもある」――そんな話を聞いて、検査をためらっていませんか。内視鏡検査の痛みには個人差がありますが、胃カメラ・大腸カメラともに痛みが起こる原因は明らかになっており、鎮静剤や経鼻内視鏡、医師の挿入技術などで負担を抑える方法があります。
本記事では、主に以下の3点について詳しく解説します。
- 胃カメラ・大腸カメラそれぞれの痛みの実際と、痛みが起こる原因
- 痛みを減らす具体的な方法(鎮静剤・経鼻/経口・脱力のコツ)
- 痛みを感じやすい人の特徴と、痛みが少ない検査・医療機関の選び方
なお、実際の症状や持病の有無によって適した検査方法は異なります。本記事は一般的な情報提供を目的としているため、最終的な検査方法の選択や実施については、必ず専門の医療機関へご相談ください
内視鏡検査は本当に痛い?胃カメラ・大腸カメラの痛みの実際
内視鏡検査は「必ず激しく痛むもの」ではなく、痛みの感じ方には大きな個人差があります。近年は鎮静剤や経鼻内視鏡など負担を抑える手段が広がっており、「痛そうだから」という不安のみを理由に検査を敬遠する必要性は、以前に比べて低くなっているといえます。
そもそも内視鏡検査は、胃がんや大腸がんなどを早期に見つけるために極めて重要な検査です。厚生労働省のがん検診の指針では、胃がん検診の方法として胃部エックス線検査とともに胃内視鏡検査が位置づけられています。また、大腸がん検診で便潜血検査が陽性となった場合、その後の精密検査として大腸内視鏡検査が行われます。このように内視鏡検査は、自覚症状や検診結果に基づいて医学的な必要性が判断される、健康管理において極めて重要な役割を持つ検査です。
だからこそ、痛みへの不安だけで検査を先延ばしにしてしまうのは避けたいところです。次の章からは、痛みの感じ方の個人差と、胃カメラ・大腸カメラで痛みの種類がどう違うのかを順に見ていきます。
痛みの感じ方には個人差がある
内視鏡検査の痛みの強さは人によって大きく異なり、一概に「痛い」「痛くない」と決めつけることはできません。同じ検査を受けても、ほとんど苦痛を感じない人もいれば、強い不快感を覚える人もいます。
痛みの感じ方には、体質や緊張の度合い、過去の腹部の手術歴、検査を担当する医師の技術など、さまざまな要因が関わります。たとえば、もともと喉の反射が出やすい人は胃カメラで苦しさを感じやすく、お腹の手術を受けたことがある人は大腸カメラで痛みが出やすい傾向があります。一方で、リラックスして力を抜けている人や、鎮静剤を使った人では、苦痛が軽く済むことも少なくありません。
ここで知っておきたいのは、内視鏡検査を受ける人の誰もが激しい痛みを経験するわけではない、ということです。インターネット上には「激痛だった」という体験談も見られますが、それはあくまで一部の人の感想であり、すべての人に当てはまるものではありません。過度に不安を抱くことなく、ご自身の状態に合わせた苦痛の軽減策をあらかじめ把握しておくことが、安心して検査に臨むための鍵となります。
胃カメラと大腸カメラでは痛みの種類が違う
胃カメラと大腸カメラでは、苦痛を感じる「場所」と「種類」が異なります。この違いを事前に把握しておくことで、ご自身が懸念されている苦痛に対してどのような対策が有効かを整理しやすくなります。
胃カメラ(胃内視鏡検査)では、スコープが喉を通るときの不快感や、いわゆる「オエッ」となる咽頭反射が苦痛の中心になります。口からスコープを入れる場合、舌の根元にスコープが触れることで反射が起こりやすくなります。
一方、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)では、スコープがお腹の中の腸を進むときの張りや、腸が引っ張られるような痛みが中心です。喉の反射ではなく、お腹の中の圧迫感やつっぱり感として感じられるのが特徴です。
このように、胃カメラは主に「咽頭(喉)周辺」、大腸カメラは「腹部(お腹)周辺」と、不快感や痛みが生じるポイントが明確に異なります。次章以降では、それぞれの痛みの原因をより具体的に解説していきます。
胃カメラ(胃内視鏡検査)が痛い・苦しい原因
胃カメラの苦痛は、大きく分けて「喉を通るときの咽頭反射」「胃を膨らませる送気による膨満感」「緊張や不安といった心理的な要因」の3つが関係しています。その原因を詳しく理解しておくことで、それぞれの苦痛に対してどのような対策が有効かを選択しやすくなり、過度な不安を軽減することにつながります。
胃カメラはスコープを口や鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の内側を直接観察する検査です。微小な病変を見落とさないためにはスコープをスムーズに進め、胃をある程度膨らませる必要があるため、その過程でいくつかの不快感が生じます。ただし、これらはいずれも理由のある生理的な反応であり、力の抜き方や検査方法の選択によって大幅にやわらげることが可能です。
以下では、3つの原因をそれぞれ詳しく見ていきます。
喉を通るときの咽頭反射(オエッとなる反射)
胃カメラで最も多く挙げられる苦痛が、スコープが喉を通過するときに起こる咽頭反射です。これは、舌の根元(舌根部)あたりに異物が触れることで、体が反射的に異物を排出しようとする「嘔吐反射」と呼ばれる自然な防御反応です。
この反射は誰にでも起こりうるものですが、その強さには個人差があります。傾向として、比較的お若い方や、普段からうがいの際などに嘔吐反射が生じやすい方に強く出ることがあります。また、検査に対する恐怖心や緊張が強いと、交感神経が優位になり反射が出やすくなる傾向があります。
咽頭反射をやわらげるには、検査中に「いかにリラックスして力を抜けるか」が重要なポイントとなります。喉や肩に力が入ると通り道が狭くなり、かえって反射が起こりやすくなるため、全身の力を抜き、鼻から吸って口からゆっくり吐く腹式呼吸を意識することで、過度な緊張が和らぎ、反射を抑制しやすくなります。なお、検査前には喉に局所麻酔(咽頭麻酔)を行うのが一般的であり、これによって喉の粘膜の感度を下げて刺激を軽減します。
胃を膨らませる送気による膨満感
胃の内側は普段はしぼんだ状態になっているため、すみずみまで精密に観察するためには、胃を膨らませて粘膜のヒダを伸ばす必要があります。このとき、スコープの先端から空気(または炭酸ガス)を送り込むため、お腹が張る感覚や、げっぷを我慢しなければならない不快感が生じます。
この膨満感は病的な痛みとは異なり、検査の進行に伴う一時的なものであり、検査終了後にガスが排出・体内へ吸収されることで自然に軽快します。特に、体内への吸収が空気の数百倍早いとされる「炭酸ガス(CO2)」を導入している医療機関では、検査後の張りがより速やかに和らぐ仕組みになっています。
緊張・不安など心理的な要因
「痛そう」「苦しそう」という事前の強い緊張や不安も、実際の苦痛の感じ方に大きく影響を与えます。心理的なストレスは、痛覚を過敏にさせ、体の反応を通じて不快感を増幅させることが分かっています。
検査前に過度に緊張すると、無意識のうちに喉や肩、腹壁の筋肉が硬直してしまいます。その結果、咽頭反射が誘発されやすくなったり、お腹の張りをより強く感じてしまったりするという悪循環に陥ることがあります。
もし不安や恐怖心が強い場合には、事前に医師や看護師へその旨を伝えていただくことをおすすめします。検査の全体的な流れをあらかじめ把握して見通しを立てることや、後述する鎮静剤(静脈麻酔)を適切に使用することで、心理的な負担を大幅にやわらげることができます。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が痛い原因
大腸カメラの痛みや不快感は、「腸が引き伸ばされたり送気で張ったりすること」「腸の曲がり角や過去の癒着、腹部手術歴の影響」「医師の挿入技術」といった要因が複雑に関係しています。これらは大腸固有の構造やお腹の内部状態と深く関わっており、人によって痛みの出方が異なるのが特徴です。
大腸カメラは、肛門からスコープを挿入し、曲がりくねった大腸の最深部(盲腸)まで進めて戻りながら粘膜を観察する検査です。大腸はもともとお腹の中で複雑に折れ曲がった臓器であるため、スコープがその屈曲部を通過するときや、観察のために腸を膨らませるときに、痛みに似たつっぱり感や圧迫感が生じやすくなります。
以下では、大腸カメラにおいて痛みや不快感を引き起こす主な原因について、項目ごとに整理して解説します。

以下では、痛みの主な原因を一つずつ整理していきます。
腸が引き伸ばされる・送気で張ることによる痛み
大腸カメラにおける痛みの主な原因は、スコープの挿入によって「腸の壁が引き伸ばされること」と、観察のための「送気によるお腹の張り」です。スコープが腸の曲がり角(屈曲部)を通る際、腸が無理に押し押されると、腸を固定している腹膜が引っ張られて強い痛みを感じます。
大腸には周囲の組織に固定されている部分と、お腹の中で比較的自由に動く部分(S状結腸や横行結腸など)があります。スコープを進める過程でこの動きやすい部分が引き延ばされると、独特のつっぱるような痛みや強い違和感を覚えることになります。
また、胃カメラと同様に、大腸の粘膜を詳細に見るためには腸管を膨らませる必要があります。空気を過剰に注入すると腸壁が伸展して痛みの原因となるため、送気量を必要最小限に抑える工夫や、体内に速やかに吸収される炭酸ガス(CO2)の活用が、負担軽減のために広く用いられています。
腸の曲がり角・癒着・腹部手術歴の影響
患者様ご個人の腸の形状や過去の病歴によっても、痛みの出やすさは大きく変わります。特に「腸の屈曲が強いこと」や「過去の手術による癒着」は、痛みに直結しやすい要因です。
大腸の長さや固定の度合いには個人差があり、腸が長い方や、可動性が高い方の場合は、スコープが通過する際につっぱり感を覚えやすくなります。
さらに、過去に盲腸(虫垂炎)や婦人科系の疾患、帝王切開などのお腹の手術を受けた経験がある方は、手術の傷が治る過程で腸同士、あるいは腸と腹壁がくっつく「癒着」を起こしている場合があります。癒着があると腸の柔軟な動きが妨げられるため、スコープが進む際に引っ張られる力がダイレクトに伝わり、痛みを感じやすくなる傾向があります。
医師の挿入技術による違い
大腸カメラは、担当する医師のスコープ挿入技術によって患者様が感じる負担が変わりやすい検査であるといえます。
解剖学的な構造を熟知し、腸を無理に押し進めるのではなく、直線的に引き込みながら短く折りたたむように進める「軸保持短縮法」などの高度な挿入技術を用いることで、腸が過度に伸ばされるのを防ぎ、痛みを最小限に抑えることが可能です。
ただし、痛みの発生状況は腸の形状や癒着の有無といった個人差にも大きく左右されるため、挿入技術のみで全ての苦痛を完全に消失させられるわけではありません。そのため、痛みが心配な場合は、検査方法の工夫や鎮静剤の使用について事前に相談しておくことが大切です。
内視鏡検査の痛みを抑える方法
内視鏡検査の痛みを抑えるアプローチには、鎮静剤(静脈麻酔)の使用、胃カメラにおける経鼻・経口の選択、そして検査中における患者様ご自身の脱力や呼吸の工夫が挙げられます。これらの選択肢や工夫についてあらかじめ把握しておくことで、ご自身の体質や希望に合わせた負担の少ない検査方法を検討しやすくなります。
苦痛を軽減する方法は、大きく「医療的な措置」と「ご自身でできる工夫」に分類されます。医療的な措置には鎮静剤の投与や経鼻スコープの採用があり、ご自身でできる工夫には全身の余計な力を抜くことや正しい呼吸法の維持があります。どの組み合わせが最適であるかは、検査の目的、お一人おひとりの体質、持病の有無によって異なるため、医師と綿密に相談しながら決定していくのが基本となります。
以下では、それぞれの具体的な方法について解説します。
鎮静剤(静脈麻酔)を使う
鎮静剤(静脈麻酔)の使用は、点滴から適切な薬剤を投与し、うとうとと心地よくまどろんだような状態の中で検査を行う方法です。ほぼ眠っているのと変わらない感覚で検査を受けられるため、胃カメラ特有の咽頭反射や大腸カメラによる腸の張りといった苦痛・違和感を大幅にやわらげる効果が期待できます。
なお、鎮静剤を用いた静脈麻酔は、人工呼吸器等を用いて意識を完全に消失させる「全身麻酔」とは異なる点に留意する必要があります。鎮静下では医師からの呼びかけに対してうっすらと反応できる程度の浅い鎮静レベルであることが多く、検査の局面によっては多少の押される感覚などが残る場合もあります。薬剤の効き方には個人差があるため、すべての症例において完全に無痛となることを確約するものではありませんが、検査に伴う不安や心理的恐怖を取り除く上では非常に有効です。
鎮静剤には苦痛軽減という多大なメリットがある反面、医療的な注意点やデメリット、あるいは体質的に使用が制限される場合もあります。それぞれの特徴を正しく理解し、ご自身に適した選択を行うための参考にしてください。
鎮静剤のメリット・デメリットと受けられない人
日本消化器内視鏡学会の市民向け情報においても、鎮静薬の使用にはメリットと注意すべきデメリット(偶発症リスク)の両面が存在することが示されています。
| 区分 | 内容 |
| メリット | 検査中の苦痛や不安を感じにくくなる/喉の反射や腸の張りによる負担が軽くなりやすい/検査中の記憶が残りにくく、つらい印象が和らぎやすい |
| デメリット | 呼吸が弱くなる(呼吸抑制)ことがある/血圧が下がることがある/検査前後の記憶があいまいになる(健忘)ことがある/検査当日は車・バイク・自転車の運転ができない/まれにアレルギーなどの反応が起こることがある |
(参考:日本消化器内視鏡学会 市民向けFAQより調整)
これらのリスクに配慮し、鎮静剤を使用した検査中および検査後は、モニターを用いて血圧や呼吸状態、血液中の酸素飽和度(SpO2)を持続的に監視する体制が敷かれます。また、重篤な心疾患や呼吸器疾患の持病がある方、過去に特定の医薬品でアレルギーを起こしたことがある方などは、安全上の観点から鎮静剤の使用ができない、あるいは慎重な制限を設ける場合があります。鎮静剤の利用を希望される場合は、事前の診察時に必ず医師へ持病や服薬状況を正しく伝えてください。
胃カメラは「経鼻」と「経口」を選べる
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を口から挿入するか(経口内視鏡)、あるいは鼻から挿入するか(経鼻内視鏡)によっても、検査時の不快感の種類は変わってきます。
経鼻内視鏡では、経口スコープよりもさらに細い外径のスコープを使用します。鼻腔を通過して食道へと進むため、嘔吐反射の原因となる「舌の根元(舌根部)」にスコープが直接触れることがなく、特有の「オエッ」となる咽頭反射がほとんど起こらないのが最大の利点です。ただし、細い通り道である鼻の奥を通過させるため、人によっては鼻粘膜の圧迫感や特有のツンとした違和感を覚えることがあります。また、スコープが細い分、レンズの解像度が経口スコープに比べてわずかに劣る場合がある点や、送気による胃の膨満感自体は経鼻でも同様に生じる点に留意が必要です。
一方、経口内視鏡はそのまま挿入すると咽頭反射を誘発しやすいものの、高性能な高画質レンズによる精密な観察に適しており、鎮静剤を併用して完全にリラックスした状態で受ける場合には非常に適した選択肢となります。
| 比較項目 | 経鼻内視鏡(鼻から) | 経口内視鏡(口から) |
| 挿入経路 | 鼻から挿入 | 口から挿入 |
| 咽頭反射 | 起こりにくい | 起こりやすい |
| 主な不快感 | 鼻の奥の圧迫感・送気による膨満感 | 喉の反射・送気による膨満感 |
| 鎮静剤の併用 | 併用しやすい場合もある | 併用しやすい |
| 画質 | やや劣る場合がある | 優れている |
| 向いている人の傾向 | 喉の反射が強く出る人 | 鎮静下で楽に受けたい人 |
どちらの方法がより快適に受けられるかは、優先したい要素や鼻・喉の解剖学的な状態によって異なります。鼻腔が狭く経鼻が適さないケースもあるため、ご希望や不安な点がある場合は、事前に医師へ相談の上で選択することをおすすめします。
検査中にできる脱力・呼吸のコツ
医療的な手段だけでなく、検査中に自分でできる工夫によっても、苦痛をやわらげられる場合があります。とくに有効なのが、力を抜くことと、呼吸を整えることです。
緊張して喉や肩、お腹に力が入ると、咽頭反射が出やすくなったり、腸の張りを強く感じたりして、かえって苦痛が増しやすくなります。そのため、検査中はできるだけ肩の力を抜き、リラックスを心がけることが大切です。
呼吸については、鼻からゆっくり息を吸い、口からゆっくり吐くことを意識すると、反射や緊張がやわらぎやすくなります。また、検査中は医師や看護師の指示に合わせて、体勢を保ったり、体の向きを変えたりすることも、スムーズな検査と苦痛の軽減につながります。深呼吸でリラックスし、指示に従うことが、自分でできる負担軽減の基本といえます。
痛みを感じやすい人・痛みが少ない検査の選び方
内視鏡検査において、構造的あるいは心理的な要因から「痛みを感じやすい」とされる一定の傾向が存在します。ご自身がこれらに該当するかどうかをあらかじめ把握しておくことで、事前に適切な対策を講じることが可能になります。
重要なのは、痛みを感じやすい傾向にある方であっても、検査アプローチや医療機関の環境選びによって苦痛を大幅に軽減できる可能性があるという点です。ご自身の体質に不安がある方ほど、事前の情報収集と医師への相談が安心感につながります
痛みを感じやすい人の特徴
痛みの感じ方は千差万別ですが、医学的な背景や解剖学的な特徴から、不快感が生じやすいケースとして以下のような特徴が挙げられます。ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、該当するからといって必ずしも強い激痛を伴うわけではありません。
- 過去に腹部・骨盤内の手術歴がある方:虫垂炎や婦人科手術、帝王切開などの経験がある場合、お腹の中で腸管が周囲の組織と「癒着」を起こしていることがあり、スコープ通過時に腸が引っ張られて痛みを感じやすくなります。
- 解剖学的に大腸が長い、または可動性が高い方:大腸の長さや固定度合いには個人差があり、腸が長くお腹の中で動きやすい方は、スコープ挿入時に腸がたわみやすく、つっぱり感を覚えやすい傾向があります。
- 不安感や緊張が非常に強い方:恐怖心から無意識に腹壁や喉に強い力が入ってしまい、感覚神経が過敏になることで、通常以上の苦痛を感じてしまうことがあります。
- 若年層の方:一般的に、高齢の方に比べて若い方の方が喉の感度が高く、胃カメラの際に咽頭反射が強く出やすい傾向にあります。
痛みが少ない検査・医療機関を選ぶポイント
痛みが少ない検査・医療機関を選ぶポイント
苦痛の少ない内視鏡検査を受けるためには、事前に検査体制や医療機関の設備を客観的な指標で確認しておくことが有効です。具体的には、予約前に以下の項目をチェックすることをおすすめします。
- 鎮静剤(静脈麻酔)を用いた検査に対応しているか
- 胃カメラにおいて細径の経鼻内視鏡を選択できるか
- 消化器内視鏡の分野で十分な実績を持つ専門医が検査を担当するか
- 検査前の丁寧なカウンセリングや、万が一の偶発症に対する安全管理体制が整っているか
これらの要素は、医療機関がどの程度患者様の痛みに配慮しているかを測る客観的な指標となります。不安が強い方や持病をお持ちの方は、予約の段階で希望する検査方法や鎮静剤の使用可否について事前に問い合わせておくと確実です。ご自身の状態に適した検査アプローチをあらかじめ選択しておくことが、当日の身体的・精神的負担を軽減するための鍵となります。
よくある質問(FAQ)
内視鏡検査の痛みに関して、特に多く寄せられる疑問にお答えします。いずれも個人差があるため、詳しくは検査を受ける医療機関にご確認ください。
Q1. 胃カメラと大腸カメラ、どちらが痛いですか?
痛みの感じ方には個人差が非常に大きいため、一概にどちらがより痛いと断定することはできません。胃カメラは喉を通過する際の嘔吐反射、大腸カメラは腸管の伸展やお腹の張りというように、苦痛の質そのものが異なります。喉の感度が高い方は胃カメラに、過去に腹部の手術歴がある方は大腸カメラに対して、それぞれ負担を感じやすい傾向があります。
Q2. 鎮静剤の麻酔から覚めるまで、どのくらい院内で休む必要がありますか?
鎮静剤(静脈麻酔)を使用した場合、検査終了後は薬剤の影響が薄れるまで、院内に設けられたリカバリースペース(回復室)などでしばらく安静にしていただくのが一般的です。お休みいただく時間は、使用した薬剤の種類や量、個人の体質・代謝スピードによって異なり、個人差があります。具体的な休憩時間や当日の帰宅基準については、受診される医療機関の指示に従ってください。
Q3. 鼻からの胃カメラ(経鼻)が受けられない人はいますか?
経鼻内視鏡は鼻腔の細い通り道にスコープを挿入するため、慢性的な鼻炎などで鼻の通り道が極端に狭い方、鼻中隔湾曲症などの病気や変形がある方の場合は、挿入が困難であるか、あるいは受けられないことがあります。鼻の構造には個人差があるため、経鼻内視鏡を希望される場合は、対応が可能かどうか事前に医師へご相談ください。
Q4. 鎮静剤を使った日は車を運転できますか?
鎮静剤を使用した当日は、自動車、バイク、自転車などの運転は一切できません。薬剤の影響により、本人が自覚していなくても判断力や運動反射能力が一時的に低下するためであり、日本消化器内視鏡学会の指針でも運転を避けるよう厳格に定められています。検査当日は必ず公共交通機関を利用するか、ご家族の方などに送迎を依頼するようにしてください。
まとめ:原因を知れば、痛みを抑えて検査は受けられる
内視鏡検査に伴う痛みや不快感には個人差がありますが、それらが発生する医学的な原因は明確に分かっています。胃カメラにおいては喉の咽頭反射や送気による胃の膨満感、事前の緊張が主な原因であり、大腸カメラにおいては腸管が引き伸ばされることや屈曲部・癒着の影響、および挿入技術が苦痛に関わっています。
しかし、これらの不快感は鎮静剤の導入や細径の経鼻スコープの選択、検査中の脱力の工夫、さらには医師の高度な挿入技術によって、大幅にコントロールすることが可能です。鎮静剤にはメリットだけでなく注意すべき点もあるため、ご自身の体質や持病を考慮し、医師と十分に相談した上で最適な方法を選択することが推奨されます。
痛みに対する不安が強い場合は、検査を申し込む前に、検査方法のバリエーションや鎮静剤の使用実績について医療機関へ相談しておくと安心です。内視鏡検査は、胃がんや大腸がんなどの重篤な疾患を早期に発見し、健康を守るための前向きな一歩となります。痛みの原因とそれを防ぐための軽減策を正しく理解し、ご自身に合った負担の少ないアプローチで安心できる内視鏡検査の受診をご検討ください。
>免責事項:本記事に掲載されている医療および検査に関する情報は、2026年時点の一般的な医学的知見やガイドラインに基づく目安です。実際の痛みの感じ方や適切な検査アプローチには強い個人差があり、患者様の持病、過去の手術歴、服薬状況によって選択できる検査方法は異なります。特定の診断や治療結果を保証するものではありませんので、実際の検査方法の選択や受診の判断にあたっては、必ず専門の医療機関や主治医にご相談ください。
参考文献
監修者情報
AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
佐藤 靖郎
- 専門
- 消化器外科
公的役割・経歴
- 厚生労働省 全国のがん診療連携拠点病院において活用が可能な地域連携クリティカルパスモデルの開発 班研究員
- 全国保健所長会 地域保健推進事業 地域連携クリティカルパスの普及・推進に関する研究 地域連携パス推進班 アドバイザー
- 神奈川県がん診療連携協議会地域連携クリティカルパス部会 相談役