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便秘の薬の種類と選び方|消化器外科医・医学博士が解説

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便秘の薬の種類と選び方|医学博士が解説

便秘に悩んでいる方は多く、市販の便秘薬を手に取ったことがある方も少なくないでしょう。しかし「薬の種類が多くてどれを選べばよいかわからない」「飲み続けても大丈夫なのか不安」といった疑問の声もよく耳にします。

便秘の薬は、あくまでも「排便を助ける補助的な手段」の一つです。便秘の原因や体質、年齢、持病によって適した薬は異なります。また、薬を選ぶ前に便秘そのものの状態を正しく把握することが大切です。

この記事では、便秘薬の種類・選び方・注意点を、消化器外科専門医の立場から医学的根拠に基づいてご説明します。あくまでも参考情報であり、実際の診断・治療は医師の診察を前提としてください。

便秘とは何か|まず整理したい基本

厚生労働省や日本消化器病学会のガイドラインでは、「排便回数が週3回未満」や「排便困難感・残便感が続く状態」が便秘の目安として示されています。ただし個人差が大きく、毎日排便があっても残便感や強いいきみが続く場合も便秘として扱われることがあります。

便秘には大きく分けて、一時的な便秘(急性便秘)慢性便秘があります。旅行や食事の変化、ストレスによる一時的なものとは異なり、慢性便秘は数週間以上続く状態を指します。慢性便秘の場合、生活習慣の見直しに加えて薬物療法が検討されることもあります。

便秘の薬の主な種類

便秘薬は、作用の仕組みによっていくつかの種類に分類されます。市販薬と処方薬のいずれにも複数の種類があります。全体の構造を把握しておくと、自分の状態に合ったものを医師・薬剤師に相談しやすくなります。

便をやわらかくする薬

浸透圧性下剤とも呼ばれ、腸内の水分を保持したり引き込んだりすることで便をやわらかくし、排便を促す薬です。代表的なものに酸化マグネシウムがあります。比較的穏やかな作用で使いやすいとされており、医療機関でも広く使われています。詳しくは酸化マグネシウム 便秘薬の解説記事もご覧ください。なお、腎機能が低下している方では高マグネシウム血症のリスクがあるため、使用前に医師・薬剤師への確認が必要です。

腸を刺激して動きを促す薬

刺激性下剤は、腸の神経や粘膜を刺激して腸の蠕動(ぜんどう)運動を高める薬です。センノシドやビサコジルなどが代表例で、即効性が期待できる一方、長期連用による腸の蠕動機能への影響が指摘されており、使い方に注意が必要です。頓用(とんよう)として使用する場面に向いているとされています。

漢方由来の成分を含む便秘薬(例:大黄などを含む処方)も刺激性下剤に分類されます。タケダ漢方便秘薬のような市販の漢方系便秘薬も、この仕組みをもとにしています。

便の量を増やす薬

食物繊維を主成分とする膨張性下剤は、腸内で水分を吸収して膨張し、便の容量を増やして排便を促します。効果が穏やかで自然な排便に近いとされていますが、十分な水分と一緒に服用することが重要です。水分が不足すると腸で詰まるリスクもあるため、飲み方の注意を守ってください。

直腸に作用する薬

坐薬や浣腸は、直腸内に直接作用して排便を促します。便秘が続いて便が直腸付近に留まっている場合に使われることが多く、比較的速い効果が期待できます。ただし浣腸を繰り返し使うことで直腸の感覚が変化する可能性もあるため、継続使用には注意が必要です。

処方薬で使われる便秘薬

近年、慢性便秘症の治療薬として新しい種類の処方薬も使われるようになっています。小腸での水分分泌を増やすクロライドチャネル活性化薬(ルビプロストン)や、腸の神経に作用するグアニル酸シクラーゼC受容体作動薬(リナクロチド)、胆汁酸の再吸収を抑えるIBAT阻害薬(エロビキシバット)などが挙げられます。これらは医師の診断のもとで処方されるものです。

便秘の薬の選び方

まずは便秘の原因とタイプを見分ける

便秘は原因によってタイプが異なります。水分不足や食物繊維の不足、運動不足による生活習慣性の便秘、痛み止めや鉄剤など他の薬の影響による薬剤性の便秘、腸の機能の問題による機能性便秘、大腸がんや腸閉塞など器質的疾患による器質的便秘などが代表的です。

特に急に始まった便秘や、血便・体重減少・強い腹痛を伴う場合は、器質的疾患の可能性を除外するために医師への相談が優先されます。

軽い便秘に向く選び方

旅行中や食事の変化など一時的な便秘であれば、市販薬を試すことも一つの選択肢です。まずは食物繊維系や浸透圧性下剤から検討し、薬剤師に相談しながら選ぶことをお勧めします。

便が硬い・出にくい場合の選び方

硬便や強いいきみが必要な場合は、便をやわらかくする薬(浸透圧性下剤など)が選択の候補になります。排便困難感や残便感が続く場合も、原因を確認するために医師への相談を検討してください。

何日出ていないかで考える

数日間の便秘であれば市販薬を試すことも考えられますが、1〜2週間以上続く場合や、症状が強い場合は医療機関の受診が勧められます。

高齢者・妊娠中・子どもの注意点

高齢者では腎機能や心機能の低下があることも多く、薬の選択に注意が必要です。妊娠中は刺激性下剤の一部は使用を避けるべきとされており、妊娠・授乳中の薬の使用は必ず産婦人科医・薬剤師に確認してください。子どもへの使用も年齢・体重に合わせた対応が必要です。

持病がある場合の注意点

腎機能障害のある方は酸化マグネシウムの使用に注意が必要です。心疾患や糖尿病のある方も、電解質バランスへの影響などを考慮して医師・薬剤師に相談したうえで使用してください。

便秘薬を使うときの注意点

依存や効きにくさへの注意

刺激性下剤を長期間連用すると、腸が刺激に慣れて効果が出にくくなる(耐性)ことがあると報告されています。市販薬であっても、長期・大量使用は避け、継続する場合は医師・薬剤師に相談することが大切です。

副作用と受診の目安になる症状

腹痛、吐き気、激しい下痢、血便、腹部の強い張り、嘔吐などが現れた場合は、使用を中断して医療機関を受診してください。

飲み合わせ・併用に注意する薬

酸化マグネシウムは一部の抗菌薬や骨粗鬆症治療薬などと相互作用があるとされています。サプリメントを含めて他に服用しているものがある場合は、薬剤師や医師に伝えてください。

薬以外で見直したい便秘対策

食事で意識したいこと

食物繊維(野菜・海藻・豆類・きのこなど)や、1日1.5〜2リットル程度の水分摂取、乳酸菌・ビフィズス菌を含む発酵食品は、腸内環境の維持に関与するとされています。ただし、これだけで改善するかどうかは個人差があります。

生活習慣と排便習慣

便意を感じたら我慢せず、特に朝食後のトイレ時間を確保することで排便リズムが整いやすくなることがあります。適度な運動も腸の蠕動運動を助けるとされています。

市販薬でよい場合と受診した方がよい場合

市販薬の検討がしやすいケース

旅行・食事変化・ストレスなど明らかな原因が思い当たる一時的な便秘で、他に症状がない場合は市販薬で様子を見ることも考えられます。

受診を優先したいケース

以下のような状況では、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

  • 急に始まった強い便秘
  • 血便・粘血便がある
  • 原因不明の体重減少がある
  • 強い腹痛・腹部膨満がある
  • 嘔吐を伴う
  • 市販薬を使っても改善しない
  • 2週間以上便秘が続いている

便秘と間違えやすい病気

腸閉塞や大腸の病気

大腸がん、過敏性腸症候群(便秘型)、腸閉塞などが便秘の背景にある場合があります。特に血便や腹痛を伴う便秘は、医療機関での内視鏡検査などが必要となる場合があります。

甲状腺や全身の病気

甲状腺機能低下症、糖尿病性神経障害、パーキンソン病なども便秘の原因になり得ます。便秘以外にも体の変化がある場合は、総合的な評価が必要です。

よくある質問

便秘薬は毎日飲んでもよいですか?

薬の種類によって考え方が異なります。浸透圧性下剤は比較的連用しやすいとされていますが、刺激性下剤の連日使用は注意が必要です。いずれも、継続使用する場合は医師・薬剤師に相談してください。

便秘薬が効かないときはどうすればよいですか?

自己判断で量を増やすことは避けてください。効果が感じられない場合は、便秘の原因が別にある可能性も考えられます。医療機関での相談をお勧めします。

便秘薬はくせになりますか?

すべての便秘薬が「くせになる」わけではありませんが、刺激性下剤の長期連用では耐性が生じやすいとの報告があります。正しい使い方を守り、長く使う場合は医師に相談するとよいでしょう。

便秘薬を飲んでも出ないときは浣腸を使ってよいですか?

添付文書の注意事項を確認してから使用してください。腹痛が強い、腸閉塞が疑われるような状況では使用しないことが原則です。症状が強い場合や判断に迷う場合は受診してください。

受診の目安・まとめ

便秘の薬は種類が多く、体の状態や便秘のタイプによって適したものが異なります。市販薬を活用する場合も、薬剤師に相談しながら選ぶことが大切です。長期間改善しない便秘、急に始まった便秘、血便などの危険サインが伴う場合は、自己判断を続けず医療機関を受診してください。

うんこ(排便の状態)や便の性状に変化があるときも、受診の参考にしてください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師・医学博士/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長/専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。

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