大腸がんの症状|医学博士が解説する警告サインと早期発見【2026年版】 - AIプラスクリニックたまプラーザ
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大腸がんの症状|医学博士が解説する警告サインと早期発見【2026年版】

大腸がんの症状|医学博士が解説する警告サインと早期発見【2026年版】

監修医師プロフィール

佐藤靖郎(医療法人社団康悦会理事長・医学博士)

福島県立医科大学大学院卒業。国立国際医療研究センター病院、済生会若草病院外科部長兼診療部長、横浜医療センター外科医長兼救命救急センター副部長を歴任。消化器外科領域での30年以上の豊富な臨床経験を持ち、大腸がんの診断・治療に多数携わる。がん診療における地域連携パスの第一人者として、早期発見・早期治療の重要性を啓発。現在はAIプラスクリニックたまプラーザで、最新の内視鏡検査技術を駆使した大腸がん早期発見に取り組んでいる。

 

📊 重要統計:大腸がんは日本人のがん罹患数第1位(年間約15万人)
早期発見により5年生存率95%以上、進行期では約20%まで低下

大腸がんは、日本人が最もかかりやすいがんの一つです。2026年現在、年間約15万人が新たに診断され、罹患数では全がん中第1位を占めています。しかし、早期に発見できれば5年生存率は95%以上と、治癒が十分に期待できる疾患でもあります。

本記事では、医学博士・外科医として30年以上の臨床経験を持つ私が、大腸がんの初期症状から進行症状まで、見逃してはいけない警告サインを徹底的に解説します。「血便」「便通異常」「腹痛」などの症状がある方、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるべきか迷っている方、ご家族に大腸がんの方がいて不安を感じている方まで、幅広く役立つ最新情報をお届けします。

⚠️ こんな症状がある方は要注意

  • 血便や便に血が混じる(鮮血または暗赤色)
  • 便が細くなった、残便感が続く
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 原因不明の腹痛や腹部膨満感
  • 体重が減少している(食欲はあるのに)
  • 慢性的な貧血や倦怠感

これらの症状が2週間以上続く場合は、早めに消化器内科・消化器外科を受診してください。

目次

  1. 大腸がんとは|基礎知識と統計データ
  2. 大腸がんの初期症状|早期発見の鍵となる警告サイン
  3. 進行した大腸がんの症状と併発症
  4. 大腸がんの原因とリスク因子
  5. 大腸がんの検査方法と診断プロセス
  6. 大腸がんのステージ分類と予後
  7. 大腸がんの治療法|最新の標準治療
  8. 大腸がんの予防と早期発見のための対策
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|早期発見が命を救う

1. 大腸がんとは|基礎知識と統計データ

1-1. 大腸がんの定義と発生部位

大腸がんは、大腸(結腸と直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。大腸は約1.5~2メートルの長さがあり、以下の部位に分けられます:

  • 盲腸:小腸との接続部
  • 上行結腸:右側を上に向かう部分
  • 横行結腸:腹部を横断する部分
  • 下行結腸:左側を下に向かう部分
  • S状結腸:S字型に曲がった部分
  • 直腸:肛門につながる最終部分

大腸がんの約70%は直腸とS状結腸に発生します。これは便が長時間滞留しやすく、発がん物質との接触時間が長いためと考えられています。

💡 大腸がんと結腸がん・直腸がんの違い医学的には、発生部位によって以下のように呼び分けます:

  • 結腸がん:盲腸からS状結腸までに発生
  • 直腸がん:直腸に発生
  • 大腸がん:結腸がんと直腸がんの総称

治療方針や手術方法が異なるため、正確な診断が重要です。

1-2. 大腸がんの統計データ(2026年最新)

項目 データ 備考
年間罹患者数 約15万人 全がん中第1位(男性2位、女性1位)
年間死亡者数 約5万人 がん死因の第2位
発症のピーク年齢 60~70代 50歳以降急増
男女比 男性1.4:女性1 男性がやや多い
ステージI期5年生存率 95%以上 早期発見の重要性
ステージIV期5年生存率 約20% 進行すると予後不良
📈 増加傾向:過去30年で罹患者数は約3倍に増加
食生活の欧米化・高齢化が主因と考えられています

1-3. 大腸がんの発生メカニズム

大腸がんの約90%は、良性のポリープ(腺腫)ががん化するというプロセスを経て発生します。これを「腺腫-がん連鎖(adenoma-carcinoma sequence)」と呼びます。

腺腫からがんへの進行プロセス

  1. 正常粘膜:健康な大腸粘膜
  2. 小さな腺腫(ポリープ):5mm以下、がん化リスク低い
  3. 大きな腺腫:10mm以上、がん化リスク上昇
  4. 早期がん:粘膜内~粘膜下層に限局
  5. 進行がん:筋層を超えて浸潤
  6. 転移:リンパ節や肝臓・肺などへ転移

🩺 専門医の視点腺腫から進行がんになるまで通常5~10年かかります。つまり、定期的に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けてポリープを切除すれば、大腸がんの発症を予防できるのです。これが大腸がん検診が極めて有効な理由です。

1-4. 大腸がんの分類

組織型による分類

  • 腺がん:大腸がんの95%以上を占める
  • 高分化腺がん:正常組織に近い構造、予後良好
  • 中分化腺がん:最も多いタイプ
  • 低分化腺がん:悪性度が高く、進行が速い
  • その他:粘液がん、印環細胞がん、扁平上皮がんなど(まれ)

形態による分類

  • 隆起型:腫瘍が腸管内腔に突出
  • 陥凹型:腫瘍が粘膜表面より陥没
  • 浸潤型:腸管壁を取り囲むように浸潤(予後不良)

2. 大腸がんの初期症状|早期発見の鍵となる警告サイン

⚠️ 重要な注意点早期の大腸がんはほとんど無症状です。症状が出た時点で既に進行している可能性があります。そのため、症状がなくても定期的な検診(便潜血検査や大腸内視鏡検査)が極めて重要です。

しかし、以下のような症状が現れた場合は、大腸がんの可能性を疑い、速やかに医療機関を受診してください。

2-1. 血便・下血(最も重要な初期症状)

血便は大腸がんの最も代表的な症状で、患者さんの約70~80%に見られます。しかし、痔(じ)や大腸憩室出血など良性疾患でも血便は起こるため、自己判断せず必ず検査を受けることが重要です。

血便の特徴と見分け方

特徴 大腸がんの血便 痔による血便
暗赤色~黒っぽい(がんの部位による) 鮮やかな赤色
出血のタイミング 便に混じる、便の表面に付着 排便後に滴る、紙に付く
痛み 通常痛みなし(初期) 排便時の痛みが多い
出血量 少量~中等量、持続的 少量~中等量、一時的
その他の症状 便通異常、体重減少を伴うことがある 肛門のかゆみ、腫れを伴う

💡 がんの部位による血便の色の違い

  • 直腸・S状結腸のがん:鮮紅色~暗赤色(肛門に近いため)
  • 横行結腸・上行結腸のがん:黒色便(タール便)(消化された血液)
  • 盲腸のがん:目に見える血便は少なく、貧血症状が先行することが多い

🩺 専門医の視点「痔だろう」と自己判断して放置した結果、進行した大腸がんが見つかるケースが非常に多いです。血便があったら、たとえ痔の既往があっても、必ず大腸内視鏡検査を受けてください。痔と大腸がんが併存していることもあります。

2-2. 便通異常(便秘・下痢・便の形状変化)

大腸がんによって腸管が狭くなると、便の通過障害が起こり、さまざまな便通異常が現れます。

具体的な症状

  • 便秘と下痢を繰り返す
    • がんによる腸管狭窄で便が通りにくくなり、その前後で便秘と下痢が交互に起こる
    • 特に左側結腸(下行結腸・S状結腸)のがんで多い
  • 便が細くなる(鉛筆状の便)
    • がんによって腸管が狭められ、便が細くなる
    • 直腸がん・S状結腸がんの特徴的症状
  • 残便感(便が出切らない感じ)
    • 直腸に腫瘍があると、常に便意を感じる
    • トイレに行っても少量しか出ない
  • 頻繁な便意
    • 1日に何度もトイレに行きたくなる
    • 直腸がんで特に多い症状
  • 粘液便
    • 透明~白濁した粘液が便に混じる
    • がん組織から分泌される粘液が原因

⚠️ 緊急受診が必要な症状

  • 突然の激しい腹痛と便秘(腸閉塞の可能性)
  • 便が全く出なくなった
  • 嘔吐を伴う腹痛
  • 腹部が異常に膨れている

これらは腸閉塞(イレウス)の症状で、緊急手術が必要になることがあります。すぐに救急外来を受診してください。

2-3. 腹痛・腹部不快感

大腸がんによる腹痛は、鈍痛や不快感として現れることが多く、胃腸炎や便秘と区別しにくい場合があります。

腹痛の特徴

  • がんの部位による痛みの場所
    • 右側結腸がん:右下腹部の鈍痛
    • 左側結腸がん:左下腹部の痛み
    • 直腸がん:下腹部~肛門近くの痛み
  • 間欠的な腹痛
    • 腸の蠕動運動に伴って痛みが強くなったり弱くなったりする
    • 食後に痛みが増すことがある
  • 腹部膨満感
    • お腹が張った感じ、ガスがたまった感じ
    • がんによる腸管狭窄で腸内容物が滞留するため
  • 腹部のしこり
    • 進行すると腹部を触って腫瘤を感じることがある
    • 特に右側結腸がん、やせ型の方で触知しやすい

2-4. 貧血症状(鉄欠乏性貧血)

特に右側結腸がん(上行結腸・盲腸)では、目に見える血便がなくても、慢性的な微量出血によって貧血が進行します。

貧血による症状

  • 易疲労感:少し動いただけで疲れる
  • 息切れ・動悸:階段を上ると息が切れる
  • 顔色が悪い:蒼白、唇や爪の色が薄い
  • めまい・立ちくらみ:立ち上がった時にふらつく
  • 頭痛・集中力低下:慢性的な頭痛、ボーッとする

🩺 専門医の視点健康診断で「鉄欠乏性貧血」と指摘された場合、特に男性や閉経後の女性では、必ず大腸がん検査を受けるべきです。月経のない方の鉄欠乏性貧血は、消化管出血(大腸がんを含む)を疑う重要なサインです。

2-5. 体重減少

進行した大腸がんでは、意図しない体重減少が見られます。

体重減少の原因

  • がんの代謝亢進:がん細胞が大量のエネルギーを消費
  • 食欲不振:腹部不快感や腹痛で食欲が低下
  • 消化吸収障害:がんによる腸管機能の低下
  • サイトカイン放出:がんから出る物質が全身に影響

⚠️ 注意すべき体重減少

  • 6ヶ月で5%以上の体重減少(例:60kg→57kg以下)
  • 食事量は変わらないのに体重が減る
  • 他の症状(血便、便通異常など)を伴う

これらに該当する場合は、速やかに医療機関を受診してください。

3. 進行した大腸がんの症状と併発症

大腸がんが進行すると、より重篤な症状や合併症が現れます。

3-1. 腸閉塞(イレウス)

腸閉塞は大腸がんの重大な合併症で、緊急手術が必要になることがあります。

腸閉塞の症状

  • 激しい腹痛:持続的または間欠的な強い痛み
  • 嘔吐:腸内容物が逆流し、吐き気・嘔吐
  • 便やガスが出ない:完全閉塞では排便・排ガスなし
  • 腹部膨満:腹部が異常に張る
  • 腹鳴の変化:金属音のような異常な腸音

⚠️ 腸閉塞の緊急度腸閉塞は緊急事態です。放置すると腸管が壊死し、穿孔(腸に穴が開く)して腹膜炎を起こし、命に関わります。上記の症状が急激に出現した場合は、すぐに救急外来を受診してください。

3-2. 腸管穿孔(穿孔性腹膜炎)

がんによって腸管壁が破れ、腸内容物が腹腔内に漏れ出す状態です。

穿孔の症状

  • 突然の激烈な腹痛:「刺されたような痛み」
  • 腹膜刺激症状:腹部全体が板のように硬くなる
  • 発熱・悪寒:敗血症の兆候
  • ショック状態:血圧低下、意識障害

穿孔は生命に直結する救急疾患で、即座の手術が必要です。

3-3. 転移による症状

大腸がんが他の臓器に転移すると、転移先に応じた症状が現れます。

肝転移

  • 右上腹部痛・重圧感
  • 黄疸:皮膚や白目が黄色くなる
  • 腹水:お腹に水が溜まる
  • 肝機能障害:倦怠感、食欲不振

肺転移

  • :持続する乾いた咳
  • 血痰:痰に血が混じる
  • 呼吸困難:息苦しさ
  • 胸痛:胸の痛み

腹膜播種(ふくまくはしゅ)

  • 腹水貯留:腹部の膨満
  • 腹痛:広範囲の腹痛
  • 腸閉塞:播種による腸管の癒着

骨転移

  • 持続的な骨の痛み:特に腰椎・骨盤
  • 病的骨折:軽微な外力で骨折
  • 脊髄圧迫症状:下肢麻痺、排尿障害

4. 大腸がんの原因とリスク因子

大腸がんの発症には、遺伝的要因と環境要因が複雑に関与しています。

4-1. 生活習慣関連リスク因子

食生活

  • 赤肉・加工肉の過剰摂取
    • 牛肉、豚肉、ハム、ソーセージなど
    • 週500g以上の摂取でリスク増加
    • ヘム鉄や発がん物質(N-ニトロソ化合物)が関与
  • 食物繊維不足
    • 便通を良くし、発がん物質の腸内滞留時間を短縮
    • 1日25g以上の摂取が推奨
  • 高脂肪・高カロリー食
    • 胆汁酸の過剰分泌→腸粘膜への刺激

飲酒・喫煙

  • 過度の飲酒
    • 1日あたりエタノール換算で23g以上(日本酒1合以上)でリスク増加
    • アルコール代謝産物(アセトアルデヒド)が発がんに関与
  • 喫煙
    • 非喫煙者と比べて1.3~1.5倍のリスク
    • 特にポリープ(腺腫)の発生リスクが高まる

肥満・運動不足

  • 肥満(BMI 25以上)
    • 内臓脂肪によるインスリン抵抗性→がんリスク増加
    • 特に男性で関連が強い
  • 運動不足
    • 週150分以上の中強度運動でリスク低下
    • 腸の蠕動運動促進、免疫機能向上

💡 大腸がんリスクを下げる食事

  • 食物繊維:野菜、果物、全粒穀物、海藻
  • カルシウム:牛乳、ヨーグルト、小魚
  • ビタミンD:魚、きのこ、日光浴
  • 葉酸:緑黄色野菜、豆類
  • 魚(EPA・DHA):サバ、イワシ、サンマ

4-2. 家族歴・遺伝的要因

家族性大腸がん

  • 一親等(親・兄弟姉妹・子)に大腸がん患者がいる
    • 2~3倍のリスク増加
    • 特に50歳未満での発症例がいる場合はリスク高い
  • 家族性大腸腺腫症(FAP)
    • APC遺伝子変異による遺伝性疾患
    • 数百~数千個のポリープが発生
    • 治療しなければほぼ100%がん化
  • リンチ症候群(HNPCC)
    • DNAミスマッチ修復遺伝子の変異
    • 若年発症(40~50代)が多い
    • 大腸がん以外(子宮がん、胃がんなど)のリスクも高い

🩺 専門医の視点家族歴がある方は、一般的な検診開始年齢(50歳)より早く、40歳から、または家族の発症年齢より10歳若い年齢から大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。

4-3. 既往疾患

炎症性腸疾患(IBD)

  • 潰瘍性大腸炎
    • 罹病期間が長いほど大腸がんリスク増加
    • 10年で約2%、20年で約8%、30年で約18%
    • 全大腸炎型で特にリスク高い
  • クローン病
    • 大腸病変がある場合、大腸がんリスク増加

糖尿病

  • 2型糖尿病患者は大腸がんリスクが1.3~1.5倍
  • インスリン抵抗性、高インスリン血症が関与

大腸ポリープの既往

  • 過去にポリープ(腺腫)を切除した人は再発リスクあり
  • 定期的なサーベイランス内視鏡が必要

4-4. 年齢

  • 50歳以降で急増:大腸がんの約90%は50歳以上で発症
  • 高齢になるほどリスク増加:70代がピーク
  • 近年、若年性大腸がん(50歳未満)も増加傾向
📊 リスク因子の累積効果
複数のリスク因子を持つと、リスクは相乗的に増加します
生活習慣の改善で予防可能ながんの代表例です

5. 大腸がんの検査方法と診断プロセス

大腸がんの診断には、便潜血検査から始まり、大腸内視鏡検査で確定診断を行います。

5-1. スクリーニング検査

便潜血検査(便ヘモグロビン検査)

  • 方法:2日間連続で便を採取し、血液(ヘモグロビン)の有無を調べる
  • 感度:進行がんの約80~90%、早期がんの約50%を検出
  • メリット:簡便、非侵襲的、費用が安い
  • デメリット:偽陰性(がんがあっても陰性)がある、ポリープは検出しにくい

⚠️ 便潜血陽性の場合便潜血検査で陽性となった場合、必ず大腸内視鏡検査を受けてください。「もう一度便潜血検査」は意味がありません。便潜血陽性者の約3~5%に大腸がんが見つかります。

5-2. 精密検査

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸がん診断のゴールドスタンダードで、直接大腸内を観察し、必要に応じて組織を採取(生検)できます。

  • 検査の流れ
    1. 前処置:前日から食事制限、当日朝に下剤で腸管洗浄
    2. 検査:肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を観察(約15~30分)
    3. 生検・ポリープ切除:異常があれば組織採取や切除
    4. 鎮静剤使用:希望に応じて眠った状態で検査可能
  • メリット
    • 診断と治療(ポリープ切除)が同時にできる
    • 全大腸を直接観察できる
    • 組織診断で確定診断が可能
  • デメリット
    • 前処置が必要(腸管洗浄)
    • まれに合併症(穿孔、出血):約0.1%
    • 検査に時間がかかる

🩺 専門医の視点大腸内視鏡検査は「痛い、つらい」というイメージがありますが、鎮静剤を使用すれば、ほとんどの方が眠っている間に終わります。当院では最新の細径スコープと鎮静法を用い、苦痛の少ない検査を心がけています。

CT コロノグラフィー(仮想大腸内視鏡)

  • 方法:CTで大腸を撮影し、コンピューター処理で3D画像を作成
  • メリット:内視鏡より苦痛が少ない、穿孔リスクがほぼない
  • デメリット:小さなポリープは見つけにくい、生検・切除ができない、被曝

注腸造影検査(バリウム検査)

  • 現在はほとんど行われていない(内視鏡の方が優れているため)

5-3. ステージング検査(病期診断)

大腸がんと診断された後、がんの進行度(ステージ)を正確に評価するために、以下の検査を行います。

CT検査(胸部・腹部・骨盤)

  • 肝臓、肺、リンパ節への転移の有無を確認
  • がんの周囲組織への浸潤の程度を評価

MRI検査(直腸がんの場合)

  • 直腸がんの局所進展度を詳細に評価
  • 手術方法の決定に重要

PET-CT検査

  • がん細胞の代謝活性を画像化
  • 遠隔転移の検出に有用
  • 再発診断にも使用

腫瘍マーカー(血液検査)

  • CEA(癌胎児性抗原):大腸がんで上昇
  • CA19-9:進行がんで上昇することがある
  • 診断より、治療効果判定や再発モニタリングに有用

6. 大腸がんのステージ分類と予後

大腸がんのステージ(病期)は、TNM分類に基づき、0期~IV期に分けられます。

6-1. TNM分類

  • T(原発腫瘍の深達度):がんが腸壁のどこまで浸潤しているか
  • N(リンパ節転移):リンパ節への転移の有無と個数
  • M(遠隔転移):肝臓・肺などへの転移の有無

6-2. ステージ分類と5年生存率

ステージ 状態 5年生存率 治療方針
0期 がんが粘膜内に限局 95%以上 内視鏡切除
I期 がんが粘膜下層~筋層まで 95%以上 手術(リンパ節郭清)
II期 がんが筋層を超えて浸潤 85~90% 手術±術後化学療法
III期 リンパ節転移あり 70~80% 手術+術後化学療法
IV期 遠隔転移あり 15~20% 化学療法±手術±分子標的薬
📈 早期発見の効果
ステージ0~I期で発見されれば、ほぼ完治が期待できます
定期検診による早期発見が最も重要です

7. 大腸がんの治療法|最新の標準治療

7-1. 内視鏡治療

早期がん(0期~一部のI期)が対象です。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

  • 2cm以下の平坦な病変
  • 粘膜層に限局するがん
  • 一括切除が可能

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

  • 2cm以上の大きな病変
  • 専用ナイフで粘膜下層を剥離
  • より確実な一括切除が可能

💡 内視鏡治療のメリット

  • 開腹手術不要(体への負担が少ない)
  • 入院期間が短い(1~3日程度)
  • 臓器機能を温存できる
  • 早期復帰が可能

7-2. 外科手術

I期~III期の標準治療は手術です。

結腸がん手術

  • 結腸部分切除術
    • がんを含む腸管とリンパ節を切除
    • 残った腸管をつなぎ合わせる(吻合)
    • 人工肛門は通常不要
  • 腹腔鏡手術
    • 小さな傷で手術(低侵襲)
    • 回復が早い、痛みが少ない
    • 現在の標準的アプローチ

直腸がん手術

  • 前方切除術
    • 肛門から離れた直腸がん
    • 肛門温存が可能
  • 低位前方切除術
    • 肛門に近い直腸がん
    • 一時的人工肛門が必要なことがある
  • 直腸切断術(マイルズ手術)
    • 肛門に非常に近い直腸がん
    • 永久的人工肛門(ストーマ)が必要

🩺 専門医の視点直腸がんでも、約70~80%の方は肛門を温存できます。術前化学放射線療法でがんを縮小させることで、さらに肛門温存率が向上しています。ストーマが必要になる場合でも、現在は管理が容易で、日常生活への支障は最小限です。

7-3. 化学療法(抗がん剤治療)

III期の術後補助化学療法、IV期の全身化学療法で使用します。

主な抗がん剤

  • 5-FU/ロイコボリン:基本的な抗がん剤
  • カペシタビン(ゼローダ):経口抗がん剤
  • オキサリプラチン(エルプラット):プラチナ製剤
  • イリノテカン(カンプト):トポイソメラーゼ阻害剤

代表的なレジメン(組み合わせ)

  • FOLFOX:5-FU + オキサリプラチン
  • FOLFIRI:5-FU + イリノテカン
  • CAPOX(XELOX):カペシタビン + オキサリプラチン

7-4. 分子標的薬

IV期大腸がんで化学療法と併用します。

抗VEGF抗体

  • ベバシズマブ(アバスチン)
    • がんの血管新生を阻害
    • 化学療法の効果を増強

抗EGFR抗体(RAS野生型のみ)

  • セツキシマブ(アービタックス)
  • パニツムマブ(ベクティビックス)
    • がん細胞の増殖シグナルを阻害
    • 遺伝子検査でRAS遺伝子に変異がない場合に有効

7-5. 放射線療法

主に直腸がんで使用します。

  • 術前化学放射線療法
    • 手術前にがんを縮小させる
    • 肛門温存率の向上
    • 局所再発率の低下
  • 術後放射線療法
    • 局所再発リスクが高い場合
  • 緩和的放射線療法
    • 骨転移の痛み軽減
    • 出血のコントロール

7-6. 免疫療法

マイクロサテライト不安定性高度(MSI-High)の大腸がんに有効です。

  • ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
  • ニボルマブ(オプジーボ)
    • 免疫チェックポイント阻害剤
    • 大腸がんの約5%がMSI-High
    • 非常に高い効果を示すことがある

8. 大腸がんの予防と早期発見のための対策

8-1. 一次予防(生活習慣の改善)

食生活の改善

  • 食物繊維を多く摂る:野菜、果物、全粒穀物、海藻(1日25g以上)
  • 赤肉・加工肉を控える:週500g以下に
  • 魚を積極的に摂る:週2回以上
  • カルシウム・ビタミンDを摂る:乳製品、魚、日光浴

生活習慣の改善

  • 適正体重の維持:BMI 18.5~25
  • 定期的な運動:週150分以上の中強度運動(ウォーキング、ジョギングなど)
  • 禁煙:喫煙は大腸がんリスクを1.3~1.5倍に
  • 節酒:1日エタノール23g以下(日本酒1合、ビール500ml程度)

💡 大腸がん予防に効果的な食品

  • 野菜(ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草)
  • 果物(りんご、バナナ、ベリー類)
  • 全粒穀物(玄米、全粒粉パン、オートミール)
  • 海藻(わかめ、昆布、ひじき)
  • 発酵食品(ヨーグルト、納豆、キムチ)
  • 魚(サバ、イワシ、サンマ)

8-2. 二次予防(早期発見・検診)

推奨される検診スケジュール

年齢・リスク 推奨検診 頻度
40~49歳(一般リスク) 便潜血検査 年1回
50歳以上(一般リスク) 便潜血検査+大腸内視鏡 便潜血:年1回、内視鏡:3~5年ごと
家族歴あり 大腸内視鏡 40歳から開始、3~5年ごと
ポリープ切除後 大腸内視鏡 1~3年ごと(ポリープの状態による)
炎症性腸疾患 大腸内視鏡 1~2年ごと(罹病期間による)

🩺 専門医の視点大腸がんは予防できるがんです。定期的な大腸内視鏡検査でポリープを切除すれば、大腸がんの発症を約70~90%予防できます。「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないうちに検査を受ける」ことが最も重要です。

8-3. 早期発見のためのセルフチェック

以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 血便(鮮血、暗赤色、黒色便)
  • 便通異常(便秘と下痢の繰り返し、便が細い)
  • 残便感、頻繁な便意
  • 原因不明の腹痛、腹部膨満感
  • 意図しない体重減少
  • 貧血(易疲労感、息切れ、顔色不良)

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 便潜血検査が陰性なら、大腸がんはありませんか?

A. いいえ。便潜血検査が陰性でも、大腸がんがある可能性はあります(偽陰性)。特に早期がんやポリープは検出しにくいです。リスク因子がある方や症状がある方は、便潜血検査の結果に関わらず、大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。

Q2. 痔があるので、血便は痔のせいだと思いますが、検査は必要ですか?

A. 必要です。痔と大腸がんは併存することがあります。血便の原因を自己判断せず、必ず大腸内視鏡検査で確認してください。

Q3. 大腸内視鏡検査は痛いですか?

A. 鎮静剤を使用すれば、ほとんどの方が眠っている間に検査が終わり、痛みを感じません。当院では患者さんの苦痛を最小限にする工夫をしています。

Q4. 家族に大腸がんの人がいます。私も検査を受けるべきですか?

A. はい。一親等(親、兄弟姉妹、子)に大腸がん患者がいる場合、リスクは2~3倍です。40歳から、または家族の発症年齢より10歳若い年齢から大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。

Q5. ポリープを切除したら、もう大腸がんにはなりませんか?

A. いいえ。ポリープを切除しても、新たにポリープができる可能性があります。定期的なサーベイランス内視鏡(通常1~3年ごと)が必要です。

Q6. 大腸がんの手術で人工肛門になりますか?

A. 結腸がんでは人工肛門はほとんど不要です。直腸がんでも約70~80%は肛門温存が可能です。肛門に非常に近い直腸がんの場合のみ、永久的人工肛門が必要になることがあります。

Q7. 進行した大腸がん(ステージIV)は治らないのですか?

A. ステージIVでも、化学療法や分子標的薬、免疫療法の進歩により、長期生存できる方が増えています。肝転移や肺転移を切除できる場合、治癒も期待できます。決して諦めず、専門医と相談してください。

Q8. 大腸がん予防に効果的なサプリメントはありますか?

A. カルシウムやビタミンDのサプリメントは、一定の予防効果が報告されています。ただし、サプリメントよりも、バランスの取れた食事と定期的な検診が最も重要です。

10. まとめ|早期発見が命を救う

大腸がんは、日本人が最もかかりやすいがんですが、早期発見により治癒が十分に期待できる疾患です。本記事の要点をまとめます。

📌 大腸がん 10のポイント

  1. 罹患数第1位:年間約15万人が新たに診断される
  2. 早期発見で治癒:ステージ0~I期の5年生存率は95%以上
  3. 主な症状:血便、便通異常、腹痛、体重減少、貧血
  4. 早期は無症状:症状がなくても定期検診が重要
  5. リスク因子:赤肉・加工肉、肥満、運動不足、喫煙、飲酒、家族歴
  6. 便潜血陽性→必ず内視鏡:「もう一度便潜血検査」は意味なし
  7. 大腸内視鏡が最重要:診断と治療(ポリープ切除)が同時にできる
  8. ポリープ切除で予防:大腸がんの70~90%を予防可能
  9. 50歳から検診開始:家族歴がある場合は40歳から
  10. 生活習慣改善で予防:食物繊維、運動、節酒、禁煙

🩺 消化器外科専門医からのメッセージ30年以上の臨床経験の中で、私は数多くの大腸がん患者さんと向き合ってきました。早期発見できた方は、ほぼ全員が元気に日常生活に戻られます。しかし、進行してから見つかった方の中には、残念ながら命を救えなかったケースもあります。

「あの時、検査を受けていれば…」という後悔をする方を一人でも減らしたい。これが私の願いです。

大腸がんは、予防できるがん、早期発見で治るがんです。血便や便通異常などの症状がある方はもちろん、症状がなくても50歳を過ぎたら、ぜひ一度、大腸内視鏡検査を受けてください。あなたとあなたの大切な家族の健康を守るために、今日から行動を始めましょう。

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監修:佐藤靖郎(医療法人社団康悦会理事長・消化器外科専門医・医学博士)
更新日:2026年1月30日
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