大腸がん検査の方法|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
大腸がんの検査方法には、便潜血検査・大腸内視鏡検査・画像検査などいくつかの種類があり、目的や症状によって使い分けられます。早期発見ができれば治療の選択肢が広がるため、検査の種類と流れをあらかじめ知っておくことが大切です。本記事では、各検査の特徴・流れ・受診の目安をわかりやすく解説します。
大腸がんの検査方法を知る前に:まず押さえておきたいこと
大腸がんとは?結腸がん・直腸がんの違い
大腸がんは、大腸(結腸+直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。大腸は結腸(上行・横行・下行・S状結腸)と直腸に分かれており、発生部位によって「結腸がん」「直腸がん」と呼ばれます。国立がん研究センターの統計によると、大腸がんは日本人に最も多いがんのひとつです。部位によって症状や治療方針が異なるため、どこに生じているかを把握することが重要です。
検査の目的は「見つけること」と「確定すること」
大腸がんの検査には、大きく分けて2つの目的があります。①症状がない段階でがんを見つけるスクリーニング(検診)、②異常を発見した後にがんかどうかを確定し、広がりを調べる精密検査・病期診断です。この2段階を意識すると、各検査の役割が理解しやすくなります。
大腸がんの主な検査方法
便潜血検査
便に血液が混じっていないかを調べる検査です。2日分の便を採取し、微量の血液をхимически(化学的に)検出します。体への負担が少なく、自宅で採取できるため、市区町村の大腸がん検診で広く用いられています。ただし、出血のないがんや小さなポリープでは陰性になる場合もあります。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
先端にカメラがついた細い管を肛門から挿入し、大腸の内部を直接観察する検査です。病変が疑われる部位から組織を採取(生検)して病理診断ができるほか、小さなポリープはその場で切除することも可能です。精度が高く、スクリーニングと精密検査の両方に活用されています。詳しくは内視鏡検査とは?選び方・使い方を内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。
画像検査(CT検査・MRI検査など)
CTは大腸がんの深達度・リンパ節転移・遠隔転移(肝臓・肺など)を調べるために用いられます。近年はCT colonography(仮想内視鏡)によって大腸内部を立体的に確認することも可能です。MRIは直腸がんの局所広がりの評価に特に有用とされています。
注腸造影検査
造影剤(バリウム)と空気を肛門から注入してX線撮影を行い、大腸の形状や狭窄・腫瘍の存在を確認する検査です。近年は大腸内視鏡検査やCT colonographyの普及により実施頻度は低下していますが、内視鏡が困難な場合などに行われることがあります。
血液検査でわかること・わからないこと
CEA・CA19-9などの腫瘍マーカーは血液検査で測定できます。ただし、早期がんでは正常値を示すことも多く、スクリーニングへの利用は推奨されていません。主に治療効果の判定や術後の再発モニタリングに使われます。
それぞれの検査でわかること
スクリーニング検査として向いているもの
便潜血検査は体への負担が少なく、広く集団検診に用いられます。日本消化器がん検診学会のガイドラインでも、対策型検診として推奨されています。
精密検査として必要になるもの
便潜血検査が陽性だった場合は、大腸内視鏡検査による精密検査が必要です。内視鏡では病変の有無・性状の確認と生検が可能であり、確定診断に不可欠です。
がんの広がりを調べる検査
がんと診断された後は、CT・MRI・PET検査などで病期(ステージ)を判定します。治療方針は病期によって大きく異なるため、正確な評価が重要です。
大腸がん検診で行われる検査方法
便潜血検査の流れ
市区町村の健診や職場健診で配布されるキットを使い、2日分の便を専用容器に採取して提出します。結果は数週間以内に通知されます。
陽性だった場合に次に行う検査
便潜血検査が陽性(要精密検査)の場合、大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。陽性イコールがんというわけではありませんが、必ず精密検査を受けることが大切です。
検診と保険診療の違い
市区町村の大腸がん検診(便潜血検査)は一定の自己負担で受けられます。症状がある場合や精密検査が必要な場合は保険診療の対象となり、費用の扱いが異なります。詳細はかかりつけ医や受診先にご確認ください。
大腸内視鏡検査の流れ
事前準備と食事制限
検査前日は消化のよい食事を取り、当日は腸内をきれいにするための下剤(腸管洗浄液)を服用します。
当日の検査の流れ
腸管洗浄後、検査台に横になった状態でカメラを挿入します。所要時間は概ね15〜30分程度ですが、ポリープ切除を行う場合はさらに時間がかかることがあります。
鎮静剤を使う場合の注意点
苦痛を和らげるために鎮静剤(鎮痛剤)を使用する場合があります。その際は、検査後に車・バイクの運転ができなくなりますので、交通手段を事前にご確認ください。
ポリープが見つかったときの対応
小さなポリープは内視鏡的に切除できる場合があります。切除後は出血・穿孔などの合併症に注意が必要なため、医師の指示に従って安静・食事制限を守ってください。大腸ポリープについてはポリープとは?|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】もあわせてご覧ください。
検査を受けたほうがよい症状・受診の目安
血便が出る
便に血液が混じる・トイレットペーパーに血がつく場合は、痔だと自己判断せず医師に相談することをお勧めします。
便が細い・残便感がある
便の形状の変化や残便感が続く場合は、大腸の狭窄を示している可能性があります。
便通異常が続く
下痢・便秘が交互に現れる、あるいは以前と排便習慣が変わった場合も受診の目安になります。
体重減少や貧血がある
原因不明の体重減少や貧血は、大腸がんをはじめとする消化器疾患の症状として現れることがあります。
家族歴がある場合に注意したいこと
家族に大腸がん・大腸ポリープの既往がある方は発症リスクが高まる場合があります。定期的な検査を検討してください。
検査方法の選び方
年齢や症状で変わる検査の考え方
40歳以上の方は大腸がん検診(便潜血検査)の定期受診が推奨されています。症状がある場合は年齢に関わらず医師への相談が先決です。
便潜血検査で要精密検査になった場合
必ず大腸内視鏡検査を受けてください。陽性でもがんでないケースは多いですが、放置すると発見が遅れるリスクがあります。
内視鏡が難しい場合に検討される検査
腸管の癒着や身体的な理由で内視鏡が困難な場合は、CT colonographyや注腸造影検査が検討されます。担当医とご相談ください。
大腸がん検査でよくある疑問
検査は痛い?つらい?
大腸内視鏡検査では腸管に空気を入れるため腹部不快感を伴うことがありますが、鎮静剤を使うことで苦痛を軽減できます。事前に担当医へご相談ください。
検査前の食事はどうする?
大腸内視鏡検査の前日は消化のよい食事、当日は絶食が基本です。具体的な指示は検査機関から説明があります。
検査結果はいつわかる?
内視鏡の観察所見は当日説明されます。生検(組織診)を行った場合は病理結果が出るまでに通常1〜2週間かかります。
異常がなかった場合も定期的に受けるべき?
異常がなかった場合も、大腸がんのリスクはゼロではありません。一般的に3〜5年ごとの定期検査が推奨されますが、リスクに応じて医師と相談の上で間隔を決めてください。
大腸がん検査を受けるときの注意点
持病や内服薬がある場合
糖尿病・高血圧・心疾患などの持病がある方は、検査前に担当医へ申告してください。血糖降下薬や降圧薬の服用タイミングを調整する場合があります。
妊娠中・授乳中の場合
妊娠中は放射線被曝を避けるため、CT・X線を用いた検査の実施には慎重な判断が必要です。必ず事前に医師へご相談ください。
出血しやすい体質や抗凝固薬内服中の場合
ワルファリン・DOACなどの抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の方は、内視鏡でのポリープ切除時に出血リスクが高まります。検査前に薬剤の休薬が必要になる場合があるため、自己判断で中止せず、必ず担当医に相談してください。
医師に相談したいケース
検査を先延ばしにしないほうがよい症状
血便・腹痛・体重減少・原因不明の貧血などの症状が続く場合は、早めに受診することをお勧めします。
以前にポリープや大腸がんを指摘された場合
過去にポリープや大腸がんを指摘・治療された方は、再発・新規病変の確認のために定期的な内視鏡検査が必要です。
迷ったときの受診先の選び方
「どこに行けばいいかわからない」という方は、まず内科・消化器内科を標榜するクリニックや病院にご相談ください。
まとめ:大腸がんの検査方法は症状と目的で選ぶ
大腸がんの検査は、目的(スクリーニング/精密検査/病期診断)と症状・身体状況に応じて選択されます。便潜血検査は手軽なスクリーニング手段ですが、陽性であれば大腸内視鏡検査による確認が必要です。症状がある場合は検診を待たずに医師への相談をご検討ください。
よくある質問(FAQ)
便潜血検査が陰性なら大腸がんの心配はありませんか?
陰性であってもがんが完全に否定されるわけではありません。出血を伴わないがんや小さなポリープは検出されないこともあります。症状がある場合や家族歴がある場合は、陰性でも医師にご相談ください。
大腸内視鏡検査と便潜血検査はどちらがよいですか?
それぞれ役割が異なります。便潜血検査は簡便なスクリーニング手段、大腸内視鏡検査は直接観察・組織採取が可能な精密検査です。症状がある場合は内視鏡検査が優先されることがあります。担当医とご相談の上で判断してください。
健診で異常がなくても大腸がんになることはありますか?
あります。健診の便潜血検査は出血を検出する検査であり、出血のないがんは見逃される可能性があります。定期的な受診と、症状出現時の早期相談が大切です。
大腸がん検査は何歳から受けるべきですか?
厚生労働省の指針では、40歳以上を対象とした大腸がん検診(便潜血検査)が推奨されています。家族歴やリスク因子がある方はより早い段階から医師に相談することをお勧めします。
検査でポリープが見つかったらその場で治療しますか?
小さなポリープは内視鏡検査中にそのまま切除できる場合があります。ただし、大きさ・形状・抗凝固薬の服用状況によっては、日程を改めて切除手術を行うこともあります。医師が状況を判断してご説明します。
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本記事の監修医師
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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