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大腸ポリープ切除は手術になるのか?内視鏡治療との違いを消化器外科専門医が解説

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大腸ポリープ切除は手術になるのか?内視鏡治療との違いを消化器外科専門医が解説

大腸ポリープを指摘されたとき、「切除は手術になるのだろうか」「入院が必要なのか」と不安に感じる方は少なくありません。結論からいえば、大腸ポリープの切除には内視鏡による治療外科的手術の両方が含まれており、どちらを選択するかは病変の大きさ・形状・性質によって異なります。本記事では、消化器外科専門医の立場から、切除の方法・流れ・費用・注意点をわかりやすく整理します。なお、具体的な診断・治療方針については必ず医師の診察を受けたうえでご判断ください。


大腸ポリープとは

大腸ポリープとは、大腸の粘膜(内壁)に生じた隆起性の病変の総称です。形状は有茎性(茎のあるキノコ状)、無茎性(平坦・広基性)など多様で、組織の種類によっても大きく異なります。

代表的な種類として以下があります。

  • 腺腫:最も多く、将来的に大腸がんへ移行しうる病変(腺腫-がん連関)
  • 鋸歯状病変:鋸歯状腺腫・広基性鋸歯状病変など、がんリスクがあるとされる
  • 過形成性ポリープ:一般にリスクが低いとされるが、組織確認が必要
  • 早期大腸がん:粘膜内にとどまる段階で発見された場合、内視鏡切除が適応になることがある

ポリープの種類はその場の内視鏡観察だけでは確定できず、切除後の病理組織検査によって診断が確定します。


大腸ポリープ切除は手術になるのか

「手術」という言葉は文脈によって意味が変わります。医療機関での説明や診断書・医療費通知では、内視鏡による切除を「内視鏡的ポリープ切除術」として手術給付金の対象とする保険商品もあります。一方、外科的に腹部を切開・切除する手術は「外科手術」と明確に区別されます。

区分 主な対象 身体への侵襲 入院の目安
内視鏡治療 比較的小さな病変・早期病変 比較的少ない 日帰り〜短期入院
外科手術 大きな病変・浸潤が疑われる場合など 大きい 入院が原則

いずれも健康保険の適用対象となりえます(適用の詳細は病変の種類・術式によります)。

内視鏡で切除する場合

内視鏡治療は、口または肛門から細長いスコープを挿入し、体の外側を切ることなく病変を切除する方法です。身体への負担が比較的少ないとされ、多くの施設で日帰り(外来)対応が行われています。ただし、日帰りか入院かは病変のリスクや患者さんの状態、施設の方針によって異なります

外科手術が検討される場合

以下のような状況では、外科的手術が検討されることがあります。

  • ポリープが非常に大きく、内視鏡で安全に一括切除できない
  • がん細胞がリンパ管・血管に浸潤している可能性がある
  • 内視鏡切除後の病理結果で追加切除(追加外科手術)が必要と判断された
  • 腸管の形状など解剖学的な理由で内視鏡アプローチが困難な場合

どんな大腸ポリープが切除の対象になるのか

大腸ポリープの切除適応は、日本消化器内視鏡学会や関連学会のガイドラインを参考に、担当医が総合的に判断します。

切除を勧められやすい大きさ・形

一般的に、以下のような所見が切除の検討につながります(あくまで目安であり、最終判断は医師が行います)。

  • 大きさ:5〜6mm以上の腺腫は切除が勧められることが多い
  • 形状:表面が不整、陥凹がある、出血しやすい病変
  • 茎の有無:有茎性か広基性かで切除法が変わる
  • 内視鏡観察での性状:表面の腺管構造(pit pattern)や血管構造の所見

経過観察でよい場合

5mm未満の過形成性ポリープなど、リスクが低いと判断された病変は経過観察になることがあります。ただし、どの病変を経過観察とするかは内視鏡所見・病理結果・患者さんの背景を踏まえた医師の判断によります。自己判断で放置することは推奨されません。


大腸ポリープの切除方法

大腸ポリープの切除には複数の内視鏡的手技があり、病変の大きさ・形状・性質に応じて使い分けられます。

ポリペクトミー

スネア(金属製のワイヤーループ)をポリープの茎や根元にかけ、高周波電流で焼き切る基本的な内視鏡切除法です。主に有茎性や亜有茎性のポリープに用いられます。

EMR(内視鏡的粘膜切除術)

病変の下に生理食塩水などを注入して粘膜を浮き上がらせ、スネアで切除する方法です。比較的平坦な病変や広基性ポリープに適用されることがあります。

ESDや外科手術が必要になることがあるケース

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、専用のナイフを用いて病変を一括切除する技術的難度の高い手技で、大きな早期がんや分割切除を避けたい病変に選択されることがあります。がんの深達度が深い・リンパ節転移リスクが高いと判断される場合は、腹腔鏡手術や開腹手術が検討されます。

詳しい切除方法の違いについては、大腸ポリープ切除の解説記事もあわせてご参照ください。


切除の流れ

事前診察と前処置

切除前には、問診・血液検査・内服薬の確認(抗血栓薬は休薬が必要な場合があります)が行われます。検査当日は腸内を空にするために下剤の服用と食事制限が必要です。前日から食事内容を調整することも一般的です。

当日の処置

来院後、下剤で腸管を洗浄し、鎮静剤(希望・適応に応じて)を使用した状態で大腸内視鏡を挿入します。病変を確認後、適切な手技で切除・止血を行います。処置全体の所要時間は病変の数・大きさにより異なりますが、内視鏡操作自体は数十分程度が目安とされています。

大腸内視鏡検査全般の流れについては、内視鏡検査の解説もご参照ください。

切除後の経過観察

切除した組織は病理検査に提出されます。結果(通常1〜2週間後)によっては、追加治療や次回内視鏡検査の間隔が変わります。病理結果の説明を受けるまでが治療の一連の流れです。


痛み・麻酔・入院の有無

内視鏡切除中の痛みの感じ方には個人差があります。多くの施設では鎮静剤(静脈麻酔)を使用するオプションがあり、ウトウトした状態で処置を受けることができます。全身麻酔は通常使用しません。

入院の有無は、病変の大きさ・出血リスク・切除法・患者さんの持病によって異なります。小さなポリープであれば日帰りで対応できることも多いですが、複数の病変がある・大きい・出血リスクが高い場合などは短期入院になることがあります。


保険適用と費用の考え方

内視鏡切除・外科手術ともに、原則として健康保険(公的医療保険)の適用対象です。患者さんの自己負担は通常1〜3割(年齢・所得区分による)です。

費用が変わる主な要因

  • 病変の数・大きさ・切除法(ポリペクトミー、EMR、ESDで診療報酬点数が異なる)
  • 日帰りか入院か(入院の場合は室料・食事代等が加算)
  • 病理組織検査の件数
  • 前処置・鎮静剤・止血クリップなどの追加処置
  • 高額療養費制度の適用(月の自己負担額が一定限度を超えた場合)

具体的な費用は施設・病変の状態によって異なるため、事前に医療機関にご確認ください。


切除後に起こりうる合併症と注意点

内視鏡切除は比較的安全な処置ですが、一定の割合で合併症が生じることがあります。代表的なものとして出血穿孔(腸壁に穴が開くこと)があります。いずれもまれですが、発生した場合は内視鏡的または外科的な処置が必要になることがあります。

帰宅後に注意したい症状

以下の症状が現れた場合は、速やかに処置を行った医療機関に連絡・受診することが大切です。

  • 強い腹痛・お腹の張り
  • 38℃以上の発熱
  • 鮮血性の血便・多量の出血
  • 気分不良・顔色不良

生活上の注意

食事・飲酒・激しい運動・入浴・仕事復帰の時期については、処置内容・病変の状況によって医師から個別に指示があります。一般的には切除当日〜数日は飲酒・激しい運動を控えるよう案内されることが多いですが、必ず担当医の指示に従ってください

切除後の日常生活や休養の目安については、大腸ポリープ切除後 何日休むの記事で詳しく解説しています。


再発予防と定期的な大腸内視鏡検査

大腸ポリープを切除しても、新たなポリープが生じることがあります。日本消化器内視鏡学会のサーベイランスガイドラインでは、切除した病変の種類・数・大きさに応じて次回内視鏡検査の間隔(通常1〜3年程度)が推奨されています。定期的な検査を継続することが、大腸がんの早期発見・予防につながると考えられています。


こんな人は大腸ポリープが見つかりやすい

以下に当てはまる方は、大腸ポリープが見つかりやすいとされています。詳しくは大腸ポリープができやすい人の解説記事もご参照ください。

  • 年齢:40歳以上、特に50歳以上
  • 家族歴:大腸がん・大腸ポリープの家族歴がある
  • 食生活:赤肉・加工肉の過剰摂取、食物繊維不足
  • 生活習慣:喫煙、多量飲酒、運動不足、肥満(BMI高値)
  • 既往歴:過去に大腸ポリープや大腸がんの指摘を受けたことがある

リスク因子があるからといって必ずポリープがあるわけではなく、反対にリスクが少なくても見つかることがあります。気になる方は消化器科での検査を検討してください。


よくある質問

大腸ポリープ切除は手術扱いですか?

医療保険(民間保険)の給付対象になるかどうかは、ご加入の保険の約款に依存します。内視鏡切除でも「手術」として給付対象になる商品があります。保険会社へのお問い合わせと、医療機関での診断書・手術証明書の取得が必要です。

日帰りで切除できますか?

小さな病変(数mm程度)であれば、日帰りで切除できる場合があります。ただし、病変の大きさ・数・出血リスク・内服薬の状況などによっては入院が必要になることがあります。事前の診察で担当医にご確認ください。

切除しないとどうなりますか?

すべての大腸ポリープが将来的にがんになるわけではありません。しかし腺腫などのリスクが高い病変は、長期間放置することで大腸がんへ移行する可能性が指摘されています。「切除が必要かどうか」は内視鏡所見や病理所見をもとに医師が判断するものですので、自己判断は避け、担当医へご相談ください。

検査で見つかったらその場で切除できますか?

施設の方針・体制、内服薬(特に抗血栓薬)の有無、患者さんへの事前説明の状況、病変の性状などによって、当日切除できる場合とできない場合があります。「大腸内視鏡検査と切除を同日に行う」ご希望がある場合は、受診前に医療機関へご確認いただくとスムーズです。

仕事や食事はいつから再開できますか?

切除の方法・規模・病変のリスクによって異なります。個人差もあるため、処置後に担当医から個別に指示を受け、それに従うことが重要です。一般的な目安については大腸ポリープ切除後 何日休むもご参照ください。


受診の目安

以下のような場合は、消化器内科・外科への相談をご検討ください。

  • 血便・便に血が混じる
  • 便通の変化(下痢・便秘が続く、便が細くなった)
  • 原因不明の貧血、体重減少
  • 大腸の定期健診(便潜血検査)で陽性と指摘された
  • 大腸がん・大腸ポリープの家族歴がある
  • 過去にポリープを切除したが、その後の検査を受けていない

症状がない場合でも、リスクがある方は定期的な検査が重要です。


まとめ:大腸ポリープ切除は「内視鏡治療」も含むが、状況によっては手術になる

大腸ポリープの切除は、小さな病変であれば内視鏡による日帰り処置で対応できる場合があります。一方で、病変が大きい・がんが疑われる・内視鏡で安全に取りきれないケースでは、外科的手術が選択されることもあります。「手術になるかどうか」は病変の性質と医師の判断に依存するため、まずは専門医による内視鏡検査と診断を受けることが出発点となります。

症状がなくても、リスク因子や健診での指摘がある方は、早めに消化器専門医への相談をお勧めします。


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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。


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