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腸内細菌の検査|医学博士がわかりやすく解説【たまプラーザ】

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腸内細菌検査とは?わかること・種類・結果の見方を消化器外科医が解説

腸内には数百種類、数十兆個ともいわれる細菌が生息しており、その集まりは「腸内フローラ(腸内マイクロバイオーム)」と呼ばれています。近年、この腸内細菌のバランスが消化機能だけでなく、免疫・代謝・精神面など幅広い健康領域と関係している可能性が研究で示されてきたことから、自分の腸内環境を把握したいというニーズが高まっています。本記事では、腸内細菌検査の仕組みや活用方法について、消化器外科専門医の立場から解説します。

腸内細菌検査とは

腸内細菌検査とは、腸内に生息する細菌の種類や量、バランスを調べる検査です。一般的には便(糞便)を検体として用い、含まれるDNAを解析することで菌の構成を把握します。従来は培養法が主流でしたが、現在では次世代シーケンサーを用いたDNA解析技術により、培養が難しい嫌気性菌を含む多くの菌種を検出できるようになっています。

腸内細菌検査でわかること

検査では主に以下のような情報が得られます。

  • 菌の多様性(多様性指数):どれだけ多くの種類の菌が存在するか
  • 代表的な菌群の割合:ビフィズス菌・乳酸菌・ファーミキューテス門・バクテロイデス門など主要な菌群の傾向
  • 食生活や生活習慣との関連:食物繊維の摂取量や運動習慣との相関として参考情報が得られる場合がある

ただし、腸内細菌検査はあくまでも「体質の一部を知る手がかり」であり、疾患の診断を行うものではありません。現時点では、ある菌種の多寡が直接ある病気を引き起こすと断定できる根拠は限られており、結果はあくまで健康管理の参考情報として活用するものです。

腸内細菌検査の主な種類

腸内細菌検査には、大きく分けて次の種類があります。

種類 概要
市販・民間の腸内フローラ解析サービス インターネットや薬局で申し込めるキット型。自宅で採便し郵送する
医療機関が提供する腸内細菌検査 クリニックや病院が自費診療の一環として提供
健診オプションとしての検査 人間ドックや企業健診のオプション項目として組み込まれている場合がある
研究・臨床目的の検査 大学病院や研究機関が治験・観察研究の一環として実施

なお、検査会社によって解析する菌の種類、報告される指標、レポートの詳しさは大きく異なります。申し込み前に検査内容を確認することが重要です。

腸内細菌検査はどんな人に向いているか

以下のような方が検査を検討するケースが多くみられます。

  • 便通の乱れ(便秘・下痢が続く)が気になる方
  • 食生活や生活習慣を見直したい方
  • 健康管理の参考情報を増やしたい方
  • 腸内環境に興味があり、自分の傾向を知りたい方

一方、便通異常・腹痛・血便・体重減少などの症状がある場合は、腸内細菌検査の結果だけで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。症状の原因を調べるためには、医師の診察や内視鏡検査など適切な医療機器・手段が必要です。

過敏性腸症候群(IBS)の症状(腹痛を伴う便通異常)がある場合も、専門医への相談が優先されます。詳しくは過敏性腸症候群の解説記事もご参照ください。

腸内細菌検査の流れ

民間の腸内フローラ解析サービスを利用する場合の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 申込・キット受け取り:公式サイトや薬局でキットを申し込み、採便キットを受け取る
  2. 採便:専用容器に少量の便を採取する(採取量は少量で十分な場合が多い)
  3. 返送:指定の方法で検体を郵送する
  4. 解析・結果確認:結果はWeb上やアプリで確認できるサービスが多く、返送後2〜4週間程度が目安(サービスにより異なる)

採便時の注意点として、抗菌薬(抗生物質)を服用中または服用直後は腸内細菌のバランスが大きく変化しているため、服薬終了後に採取することが一般的に推奨されています。検査前の食事制限については、サービスにより指示が異なるため、各検査会社の案内を確認してください。

検査結果の見方と注意点

結果レポートには、菌の多様性スコア・主要菌群の割合・同年代との比較などが含まれていることが多いです。見方のポイントは以下の通りです。

  • 多様性が高い=良い腸内環境の傾向:一般的に菌の種類が多いほど腸内環境が安定している可能性が示唆されていますが、「多様性が低いから病気」と断定することはできません
  • 特定の菌の多寡:レポートに「ビフィズス菌が少ない」などの記載があっても、それ単独では健康状態を確定できない点に留意が必要です
  • 比較はあくまで参考値:同年代・同性別との比較もあくまで統計的な傾向であり、個人の健康状態とは切り離して考える必要があります

腸内細菌研究は現在も進展中の分野であり、科学的に十分解明されていない部分も多く残っています。結果を過度に心配したり、逆に過信したりせず、生活習慣の振り返りのきっかけとして活用することが望ましいです。

腸内細菌検査を受ける前に知っておきたいこと
  • 検査精度と対象菌種:解析手法(16S rRNA解析・メタゲノム解析など)によって検出できる菌の種類や精度が異なります
  • 服薬・食事の影響:抗菌薬・整腸剤・プロバイオティクス製品の摂取が結果に影響する可能性があります
  • 結果は変動する:腸内細菌のバランスは食事・体調・季節などで変化します。一度の結果が固定した体質を示すわけではありません
  • 継続的な管理への活用:単発の結果に一喜一憂するのではなく、生活習慣改善の指針として、時間を置いて再検査する使い方も一つの方法です
腸内環境を整えるためにできること

腸内環境の改善に関して、現時点で一般的に推奨されている生活習慣は以下の通りです(個人差があります)。

  • 食物繊維を豊富に含む食品の摂取:野菜・豆類・全粒穀物など
  • 発酵食品の摂取:ヨーグルト・納豆・みそ・ぬか漬けなど
  • 適度な運動:ウォーキングや軽い有酸素運動が腸の動きを助ける可能性があります
  • 十分な睡眠:腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれる関係にあり、睡眠不足が腸内環境に影響する可能性が示唆されています
  • ストレス管理:慢性的なストレスは腸の機能に影響することが知られています

プロバイオティクスやプレバイオティクスのサプリメント・特定食品については、一定の研究報告はあるものの、効果には個人差があり、特定製品の効能を断定することはできません。

腸内細菌検査と医療機関での検査の違い
項目 健康管理目的の腸内細菌検査 医療機関での検査
目的 腸内環境の傾向把握・生活習慣の参考 症状の評価・疾患の診断
主な対象 症状のない健康管理に関心がある方 便通異常・血便・腹痛などの症状がある方
保険適用 原則なし(自費) 医師が必要と判断した場合に適用される場合あり

血便・粘液便・原因不明の体重減少・持続する腹痛・発熱などの症状がある場合は、腸内細菌検査ではなく、医療機関での診察・内視鏡検査などが優先されます。

大腸の精密検査については大腸内視鏡検査の解説記事もあわせてご覧ください。また、検査を受けるべき状況の目安については大腸内視鏡検査 受けた方がいい人もご参照ください。

腸内細菌検査の費用と保険適用

市販・民間の腸内フローラ解析サービスは自費が基本であり、費用は検査の種類や解析の詳しさによって異なります(目安として数千円〜数万円程度の幅があります)。医療機関が提供する検査も、健康管理目的の場合は自費診療となるのが一般的です。

一方、医師が症状の原因を調べるために行う便培養検査などは、保険診療の対象となる場合があります。保険適用の有無については受診先の医療機関にご確認ください。

なお、大腸内視鏡検査の費用については大腸内視鏡検査 費用の記事で詳しく解説しています。

腸内細菌検査はどこで受けられるか
  • 民間の腸内フローラ解析サービス:インターネット申込型。自宅で採便し郵送するキット型が主流
  • 医療機関(クリニック・病院):消化器内科・内科などで自費診療として提供している場合がある
  • 健診施設・人間ドック:オプション検査として取り扱っている施設がある
  • 薬局・ドラッグストア:一部の薬局でキットを販売している場合がある

申し込み前に確認しておきたいポイントは以下の通りです。

  • どのような菌を対象に、どのような手法で解析するか
  • レポートの内容(項目・比較対象・説明の詳しさ)
  • 結果についての相談体制があるか(医師や管理栄養士によるフォローがあるか)
よくある質問

Q. 検査前に食事制限は必要ですか?
A. サービスによって案内が異なります。検査キットに同封される案内や、申込先の指示に従ってください。

Q. 便の量が少ない場合はどうすればよいですか?
A. 多くの検査は少量の採取で対応できるよう設計されていますが、採取量の目安は各サービスの案内でご確認ください。

Q. 何度も検査を受けるべきですか?
A. 腸内細菌のバランスは変動するため、生活習慣を変えた後に再検査して比較するという活用方法もあります。ただし、受検頻度については目的に応じて判断してください。

Q. 服薬中でも受けられますか?
A. 特に抗菌薬(抗生物質)を服用中・服用直後は結果に影響が出やすいため、服薬状況を検査会社に確認することを推奨します。

受診の目安

以下のような症状がある場合は、腸内細菌検査の前にまず医療機関を受診することを強くお勧めします

  • 血便・黒色便・粘液を伴う便
  • 原因不明の体重減少
  • 持続する腹痛・腹部不快感
  • 発熱を伴う下痢
  • 便通の急激な変化(数週間以上続く下痢・便秘)

これらは大腸疾患・炎症性腸疾患・感染症などのサインである可能性があります。自己判断で様子を見ることは避け、消化器科・内科などの専門医にご相談ください。

まとめ

腸内細菌検査は、自分の腸内環境の傾向を把握し、食生活や生活習慣を見直す手がかりとして活用できる有用なツールです。ただし、現時点では健康管理の参考情報の一つであり、疾患の診断を代替するものではありません。結果の解釈は科学的に確立されていない部分も多く、過信・過度な不安のどちらも避けることが大切です。

気になる症状がある場合や、検査結果をもとにより具体的なアドバイスを求める場合は、消化器専門医への相談をご検討ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。

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