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アミロイドβが溜まる食べ物とは?食事と脳の健康の関係を専門医が解説

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アミロイドβが溜まる食べ物とは?食事と脳の健康の関係を専門医が解説

「アミロイドβが溜まりやすい食べ物がある」という情報をインターネットで目にしたことはありませんか。記憶力の低下が気になりはじめた方や、ご家族の認知機能に不安を感じている方にとって、食事との関係は非常に気になるテーマです。ただし、この問いに対しては「特定の食べ物がアミロイドβを直接増やす」という明確なエビデンスは現時点では限定的です。

この記事では、消化器外科専門医・医学博士の佐藤靖郎医師の監修のもと、アミロイドβと食事の関係を医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。食事はあくまで生活習慣全体のひとつの要素です。正しい知識を持ったうえで、無理なく続けられる生活習慣を考えていきましょう。

アミロイドβとは何か

アミロイドβ(アミロイドベータ)は、脳内で通常つくられるたんぱく質の断片の一種です。健康な状態では脳内で産生・分解・排出のバランスが保たれていますが、何らかの要因でこのバランスが崩れると、脳内に蓄積していく可能性があることが研究で示されています。

アルツハイマー型認知症との関連が国内外で研究されており、アミロイドβの蓄積が認知機能と何らかの関係を持つとする報告があります。ただし、「アミロイドβが検出された=認知症になる」という単純な図式ではなく、加齢とともにある程度蓄積すること自体は必ずしも異常とはいえないことも知られています。診断や評価は医師が行うものであり、自己判断は禁物です。

「アミロイドβが溜まる食べ物」はあるのか

結論からいえば、特定の食べ物がアミロイドβを直接増加させると断定できる科学的根拠は、現時点では限定的です。

インターネット上では「この食べ物を食べるとアミロイドβが増える」「この食品を避ければ認知症を防げる」という情報が見受けられますが、現在の医学研究はそこまで単純ではありません。食事の影響は、特定の食品というよりも食習慣全体として、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満といった生活習慣病を介して、脳の健康に関わってくると考えられています。

食事と認知症リスクの関係

厚生労働省の認知症施策や各種学会ガイドラインでは、認知症のリスク因子として高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・喫煙・過度な飲酒などが挙げられています。これらの多くは食事と深く関わっており、食事習慣を改善することでリスク因子を減らせる可能性があるとされています。

つまり、「アミロイドβに直接作用する食べ物」という考え方よりも、生活習慣病を予防・管理する食事が、結果として脳の健康を維持しやすい環境につながりうるという理解が、現在の医学的見解に沿ったものです。

できるだけ控えたい食べ方・食品の傾向
塩分の多い食事

食塩の摂り過ぎは高血圧の大きなリスク因子です。高血圧は脳血管への負担を増やす可能性があり、脳の健康にとって好ましくないとされています。加工食品(インスタント食品・練り物・漬物)や外食への偏りは塩分過多につながりやすいため、日本高血圧学会は1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることを推奨しています。

飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を多く含む食品

揚げ物、脂身の多い肉、バター・ラードを多用した菓子類などに多く含まれる飽和脂肪酸や、マーガリン・ショートニングに含まれるトランス脂肪酸は、脂質異常症のリスクを高めやすいとされています。脂質異常症は動脈硬化の一因となり、脳への血流にも影響しうるため、日常的な摂りすぎには注意が必要です。

糖分の多い飲料・菓子類

清涼飲料水やエナジードリンク、甘い間食類は、気づかないうちにエネルギー過多につながりやすい食品です。過剰な糖分の摂取は血糖値の急上昇・急下降を招きやすく、糖尿病リスクの上昇に関わることが知られています。食後の血糖コントロールが乱れやすい生活が続くことは、血管の健康にとっても好ましくないと考えられています。

アルコールの飲みすぎ

多量の飲酒は肝臓をはじめ全身の臓器に負担をかけるとともに、脳の神経にも影響しうるとされています。厚生労働省の「健康日本21」では、節度ある適度な飲酒量の目安として1日あたり純アルコール約20g(ビール中瓶1本相当)が示されています。個人差もあるため、飲酒量について不安がある方は医師にご相談ください。

食事で意識したい食品・栄養素
魚・大豆製品・卵などのたんぱく質源

脳を含む全身の細胞は、たんぱく質を材料として維持されています。肉類に偏りすぎず、魚(特に青魚)や豆腐・納豆などの大豆製品を組み合わせて、良質なたんぱく質をバランスよく摂ることが勧められます。

野菜・海藻・きのこ・豆類

これらの食品に豊富に含まれる食物繊維は、腸内環境を整え、血糖値の急上昇を穏やかにする働きがあるとされています。また、ビタミンやミネラルも多く、毎食の副菜として取り入れやすい食品群です。1日350gの野菜摂取が目標とされています(厚生労働省「健康日本21」)。

果物

果物にはビタミンCやカリウム、ポリフェノール類が含まれており、適量であれば日常の栄養補給に役立ちます。一方で果糖を含むため、食べ過ぎはエネルギー過多や血糖値上昇につながりうることを念頭に置き、1日の目安量(約200g程度)を意識して取り入れましょう。

オリーブオイルや青魚に含まれる脂質

脂質を「すべて控える」のではなく、質を意識することが大切です。オリーブオイルに含まれるオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)や、サバ・イワシ・サンマなどの青魚に含まれるDHA・EPA(多価不飽和脂肪酸)は、血中脂質の状態に好ましい影響を与える可能性が研究されています。ただし油脂はカロリーが高いため、適量を心がけることが大切です。

アミロイドβを意識する人向けの食事の考え方
地中海食・和食を参考にした組み立て

野菜・魚・豆類・全粒穀物・良質な油脂を中心とした「地中海食」は、認知機能との関連を示す観察研究が複数あります。和食も野菜・魚・大豆製品を組み合わせる点では共通項があります。特別な食材を取り寄せるより、主食・主菜・副菜をそろえるバランスのよい食事を継続することが基本です。

食べる順番と食べ過ぎ対策

野菜や汁物から先に食べることで食後の血糖値上昇が穏やかになりやすいとされています。よく噛んで食べること、夜遅い時間帯の過食を避けることも、過体重の予防につながります。消化にいい食べ物を意識することも、胃腸への負担を減らすうえで参考になります。

1日の食事例(参考)
食事 コンビニ・外食での代替案
雑穀ご飯・みそ汁・納豆・小松菜のおひたし おにぎり+豆腐味噌汁+小さいサラダ
魚定食(焼き魚・ご飯・野菜の煮物・汁物) 海鮮系の定食・幕の内弁当+野菜汁
サバ塩焼き・ひじきの煮物・豆腐・麦ご飯 焼き魚定食・サラダチキン+野菜スープ

食事以外で大切な生活習慣
運動

有酸素運動(ウォーキング・水泳など)は脳への血流を維持する観点から研究が積み重ねられています。厚生労働省は、成人の身体活動指針として1日60分程度の歩行を目安として示しています。まずは1日10分多く歩くことから始めることも有効です。

睡眠

睡眠中には脳内の老廃物が排出されやすいとされており、睡眠の質と量はアミロイドβの代謝とも関連する可能性が研究されています。睡眠不足や極端に不規則な生活リズムは健康全般に影響しやすいため、7時間程度の睡眠確保が推奨されています。

禁煙

喫煙は血管にダメージを与え、脳血管の健康にも不利に働く可能性があるとされています。認知症リスク因子として複数のガイドラインで言及されており、禁煙支援外来の活用も選択肢のひとつです。

生活習慣病の管理

高血圧・糖尿病・脂質異常症はいずれも自覚症状が乏しいまま進行することがあります。定期的な健康診断の受診と、異常値が指摘された場合の医療機関への早期相談が重要です。腎臓に悪い食べ物の過剰摂取も、生活習慣病の進行を後押しする場合があるため、食事全体の見直しとあわせて確認するとよいでしょう。

こんな情報に注意:ネット上の誇大表現やサプリメント

「アミロイドβを除去する食品」「認知症が治る健康食品」などの断定的な表現は、医療広告ガイドライン(厚生労働省)に照らしても問題のある表現です。サプリメントや健康食品は食品であり、医薬品ではありません。医師が行う診断・治療の代わりにはならず、効果・効能の保証もできません。情報を選ぶ際は、厚生労働省・国立長寿医療研究センター・日本神経学会などの公的機関・学会の情報を参照することをお勧めします。

よくある質問
アミロイドβが溜まりにくい食べ物はありますか?

現時点では「これを食べれば溜まりにくい」と断定できる食品は確認されていません。特定食品への依存より、野菜・魚・豆類・全粒穀物を組み合わせたバランスのよい食事を継続することが、脳の健康を維持するうえで合理的な考え方です。

コーヒーや緑茶は認知症予防に役立ちますか?

コーヒーや緑茶(カテキン・カフェインなど)と認知機能に関する研究は複数存在しますが、「予防効果が確実にある」と結論づけるには根拠がまだ十分ではありません。過剰摂取はカフェインの影響(睡眠障害・動悸など)が生じることもあるため、嗜好品として適量を楽しむ範囲にとどめましょう。

サプリメントで対策できますか?

特定のサプリメントが認知症を予防または治療できるとするエビデンスは、現時点では十分に確立されていません。食事のバランスを補う補助的な役割を担うことはあっても、サプリメント単独での予防効果を保証することはできません。使用を検討する際は医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

若い世代でも食事に気をつけたほうがよいですか?

認知症に限らず、生活習慣病の予防は若年期からの取り組みが有効とされています。40〜50代から食事・運動・睡眠の習慣を整えることは、将来の健康維持という観点から意義があります。お腹にたまる食べ物を含む食べ方のクセを若いうちから見直しておくことも、長期的には役立ちます。

受診の目安

以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関(脳神経内科・神経内科・認知症専門外来など)へのご相談をお勧めします。

  • 物忘れの頻度が増え、日常生活(仕事・家事・会話)に支障が生じてきた
  • 以前できていたことができなくなった、判断力が落ちてきたと感じる
  • 家族や周囲から「最近おかしい」と指摘されることが増えた
  • 急に認知機能が低下したように感じる

加齢によるもの忘れとの区別は自己判断が難しく、専門的な評価が必要です。不安を感じたら、一人で抱え込まずにまず医療機関にご相談ください。

まとめ

「アミロイドβが溜まる食べ物」を単独で特定できる根拠は現時点では限定的です。大切なのは、塩分・飽和脂肪酸・過剰な糖分・過度な飲酒といった生活習慣病リスクを高める食べ方を見直しつつ、野菜・魚・豆類・全粒穀物を中心としたバランスのよい食事を継続することです。

食事とあわせて、適度な運動・十分な睡眠・禁煙・生活習慣病の管理を組み合わせた生活習慣全体の見直しが、脳の健康を長期的に支えることにつながると考えられています。気になる症状や疑問がある場合は、ぜひ医療機関にご相談ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。

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