腹痛ガスとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
お腹にガスがたまって痛みを感じる「腹痛ガス」は、食事・便秘・ストレスなどさまざまな原因で起こります。多くの場合は生活習慣の見直しや市販薬で改善が期待できますが、発熱・血便・強い痛みが続く場合は別の病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診することが大切です。
腹痛とガスだまりの関係とは?
お腹にガスがたまると痛みが出る仕組み
腸管内には通常、100〜150mL程度のガスが存在しています。このガスが何らかの理由で過剰に産生されたり、排出されにくくなったりすると、腸が引き伸ばされて内圧が高まり、腹部の張りや痛みとして感じられます。腸管は伸展刺激に敏感な臓器であるため、ガスのたまり具合によっては鈍い痛みから鋭い痛みまでさまざまな症状が現れます。
「腹痛 ガス」で検索する人に多い症状
- 下腹部・左下腹部・右下腹部がズキズキ・ぎゅっとする
- 排ガス(おなら)や排便後に痛みが和らぐ
- お腹が張って苦しい(腹部膨満感)
- ゴロゴロ・グルグルとした腸の音がする
- 便秘または軟便・下痢を繰り返している
腹痛を起こすガスの主な原因
食事や食べ方の影響
豆類・いも類・キャベツなど食物繊維が豊富な食品は、腸内細菌による発酵でガスが増えやすくなります。また、乳糖不耐症の方は乳製品の摂取でガスが発生しやすい場合があります。
便秘によるガスの停滞
便が腸内に長時間とどまると、腸内細菌が便を分解してガスを産生し続けます。排便がスムーズでない状態が続くと、ガスが出口をふさがれた形になり、腹痛や膨満感が生じやすくなります。
ストレスや自律神経の乱れ
精神的なストレスは自律神経を介して腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を乱します。腸の動きが過剰になったり低下したりすることで、ガスの排出バランスが崩れ、腹痛やおなら・膨満感につながることがあります。
早食い・空気の飲み込み
食事中や飲み物を飲むときに空気を一緒に飲み込む「呑気症(どんきしょう)」も、腸内のガス量を増やす原因のひとつです。早食いや炭酸飲料の多飲はこの傾向を強めます。
腸の動きが低下しやすい生活習慣
運動不足・水分不足・不規則な食事時間は腸の蠕動運動を低下させ、ガスがたまりやすくなります。
こんな症状はガスだまり以外の可能性も
みぞおちの痛みが強い場合
みぞおちに強い痛みがある場合は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・急性膵炎なども考えられます。
発熱・嘔吐・下痢を伴う場合
急性胃腸炎・虫垂炎(盲腸)・腸炎などの感染症や炎症性疾患が疑われます。
血便・黒い便がある場合
消化管出血のサインである可能性があるため、速やかな受診が必要です。
痛みが続く、悪化する、繰り返す場合
ガスだまりは多くの場合、排ガス・排便によって症状が和らぎます。痛みが持続・悪化する、または定期的に繰り返す場合は、他の疾患との鑑別が必要です。
腹痛ガスのときに自分でできる対処法
お腹を温める
腹部を温めると腸の血流が改善され、蠕動運動が活発になります。カイロや温タオルを下腹部に当てる方法が手軽です。
軽い運動や体を動かす
ウォーキングや軽いストレッチは、腸の動きを促してガスを排出しやすくします。食後30分ほど散歩するだけでも効果が期待できます。
便秘対策をする
水分をこまめに補給し、食物繊維(特に水溶性)を含む食品を取り入れることで、便通の改善を図ります。詳しくはお腹にガスが溜まるとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。
食事内容と食べ方を見直す
よく噛んでゆっくり食べることで、空気の飲み込みを減らせます。ガスを増やしやすい食品の過剰摂取を控えることも大切です。
市販薬を使う前に確認したいこと
整腸薬(乳酸菌製剤)や消泡剤(ジメチコン配合薬)はガスの排出を助ける目的で使用されることがあります。ただし、強い痛みや発熱を伴う場合は市販薬で対処せず、医療機関を受診してください。
ガスがたまりやすい食べ物・飲み物
豆類・いも類・野菜類など
大豆・あずき・さつまいも・キャベツ・玉ねぎ・ブロッコリーなどはガス産生が多くなりやすい食品として知られています。
炭酸飲料やアルコール
炭酸飲料はそのまま腸内にガスを持ち込みます。アルコールは腸管の蠕動運動を変化させ、ガスの排出に影響することがあります。
人によって合わない食品
乳製品(乳糖不耐症)、小麦(グルテン過敏)など、個人差によってガスが増えやすい食品は異なります。気になる方は食事日記をつけて傾向を把握するとよいでしょう。
おならの回数や臭いが気になる方は、おならが多いとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も合わせてご覧ください。
受診の目安は?内科を受診したほうがよいケース
強い腹痛や急な症状がある
突然の激しい腹痛・嘔吐・発熱がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
食事や排便で改善しない
排ガスや排便後も痛みや張りが続く場合は、ガス以外の原因が考えられます。
便通異常を繰り返す
下痢と便秘を交互に繰り返す・便の形状や回数が長期的に変わっている場合は検査が必要です。
体重減少や貧血などを伴う
意図しない体重減少・倦怠感・貧血などを伴うときは、消化器系の疾患が疑われることがあり、早めの精査が望まれます。
医療機関ではどんな検査・診察を行う?
問診で確認すること
痛みの部位・性質・持続時間、排便の状態、食事内容、ストレスの有無などを詳しく確認します。
必要に応じて行う検査
腹部超音波検査(エコー)、血液検査、腹部X線検査などを行い、必要に応じて胃カメラ(上部内視鏡)や大腸カメラ(下部内視鏡)を実施することがあります。
考えられる主な病気
過敏性腸症候群(IBS)・便秘症・胃腸炎・胆のう炎・膵炎・腸閉塞などが鑑別対象となります。
腹痛ガスを繰り返さないための予防ポイント
規則正しい食生活
毎日同じ時間帯に食事を摂ることで、腸のリズムが整いやすくなります。
便秘をためない生活習慣
毎朝トイレに座る習慣、起床後に水を飲む習慣、適度な運動を組み合わせることで排便リズムを作ることが大切です。
ストレス対策と睡眠
質の高い睡眠とストレスの軽減は、自律神経のバランスを保つうえで重要です。
早食い・ながら食べを避ける
食事に集中し、一口ずつよく噛んでゆっくり食べることで、空気の飲み込みとガスの発生を抑えやすくなります。
こんな病気が隠れていることもある
過敏性腸症候群
腸の器質的な異常なく、腹痛・便通異常・膨満感が繰り返される機能性疾患です。ストレスとの関連が深く、若い世代にも多くみられます。
便秘症
慢性的な便の停滞がガスの産生・停滞を悪化させます。
胃腸炎
ウイルスや細菌による感染性胃腸炎では、腹痛・嘔吐・下痢とともにガスがたまることがあります。
胆のう・膵臓の病気
胆石症・胆のう炎・慢性膵炎などは、右上腹部や背中への放散痛と腹部膨満を伴うことがあります。
腸閉塞など緊急性のある病気
腸管が塞がれる腸閉塞(イレウス)では、強い腹痛・嘔吐・ガスや便が出なくなるといった症状が現れます。疑われる場合は緊急対応が必要です。
よくある質問(FAQ)
腹痛とガスだまりはどう見分ければいいですか?
ガスだまりが原因の腹痛は、おならや排便のあとに症状が和らぐことが多い点が特徴のひとつです。一方、痛みが持続する・強い・発熱や嘔吐を伴うといった場合は、ガス以外の疾患を考える必要があります。自己判断が難しい場合は医療機関での確認をお勧めします。
ガスだまりはどのくらいで治りますか?
食事や生活習慣が原因のガスだまりであれば、排ガス・排便後や数時間〜1日程度で症状が落ち着くことが多いです。ただし、繰り返す場合や数日続く場合は受診の検討を。
市販の整腸薬や胃腸薬は使ってもよいですか?
整腸薬(乳酸菌・ビフィズス菌配合)はガスの産生を抑える腸内環境を整える目的で使われます。一般的には使用自体に問題はありませんが、発熱・血便・激しい腹痛がある場合は市販薬で様子を見ず、速やかに受診してください。
受診するなら内科と消化器内科のどちらがよいですか?
どちらでも相談可能ですが、症状が繰り返す・長引く場合や内視鏡検査が必要と考えられる場合は消化器内科が適しています。まずはかかりつけの内科で相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらう流れも一般的です。
何度もお腹にガスがたまるのは病気ですか?
必ずしも病気とは限りませんが、過敏性腸症候群・便秘症・乳糖不耐症・慢性胃炎などが関与している場合もあります。繰り返す場合は原因を調べることが症状改善への近道です。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。