大腸がんの初期症状を医学博士が徹底解説|早期発見のサインと検査・治療法完全ガイド
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大腸がんの初期症状を医学博士が徹底解説|早期発見のサインと検査・治療法完全ガイド

 

大腸がんの初期症状を医学博士が徹底解説|早期発見のサインと検査・治療法完全ガイド

大腸がん(結腸がん・直腸がん)は、日本人のがん罹患数で男性3位、女性2位を占め、年間約15万人が新たに診断されています。大腸がんの最大の特徴は、早期発見できれば治癒率が90%以上と極めて高いことです。しかし、初期症状は非常に分かりにくく、多くの患者さんが「ただの便秘」「痔だろう」と見過ごしてしまいます。本記事では、30年以上の消化器外科臨床経験を持つ医学博士が、大腸がんの初期症状について医学的根拠に基づいて詳しく解説します。血便・便通異常・腹痛などの早期サインから、ステージ分類、検査方法、最新治療法、予後まで、専門医の視点から包括的にお伝えします。

1. 大腸がんとは?基礎知識と疫学

1-1. 大腸がんの定義

大腸がん(colorectal cancer)は、大腸粘膜から発生する悪性腫瘍です。以下の特徴があります:

大腸がんの主な特徴

  • 発生部位: 結腸がん(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)、直腸がん
  • 発生メカニズム: 約80%は腺腫(良性ポリープ)から癌化(腺腫-癌シークエンス)
  • 進行速度: 腺腫から癌化まで通常5〜10年(早期発見の機会あり)
  • 転移経路: リンパ行性転移、血行性転移(肝臓・肺)、腹膜播種

1-2. 日本における疫学データ

国立がん研究センターの最新統計(2023年)によると、大腸がんの発生状況は以下の通りです:

項目 データ
年間罹患数 約150,000人(2023年)
年間死亡数 約52,000人(がん死亡原因第2位)
罹患率ランキング 男性3位、女性2位
発症年齢(ピーク) 60〜70代(50歳以降に急増)
男女比 約1.5:1(男性にやや多い)
好発部位 S状結腸・直腸(約60%)、上行結腸(20%)
5年生存率(全体) 約70%(早期発見で95%以上)

※参考: 国立がん研究センター「がん統計」、日本大腸肛門病学会

1-3. 大腸がんの発生メカニズム

大腸がんの約80%は、腺腫(良性ポリープ)→異型度増加→癌化という過程を経て発生します。これを「腺腫-癌シークエンス(adenoma-carcinoma sequence)」と呼びます。

🔬 腺腫から大腸がんへの進展過程

  1. 正常粘膜
  2. ↓ 遺伝子変異(APC遺伝子)
  3. 小さな腺腫(5mm以下)
  4. ↓ さらなる遺伝子変異の蓄積(K-ras、DCC、p53など)
  5. 大きな腺腫(10mm以上)、異型度増加
  6. ↓ 高度異型
  7. 早期大腸がん(粘膜内・粘膜下層浸潤)
  8. ↓ 深達度増加
  9. 進行大腸がん(筋層・漿膜浸潤、リンパ節・遠隔転移)

💡 この過程は通常5〜10年かかるため、定期的な大腸内視鏡検査でポリープを切除すれば、大腸がんの90%以上が予防可能

⚠️ 早期発見の重要性

大腸がんは、以下の理由から早期発見が極めて重要です:

  • ステージ0〜I(早期がん): 5年生存率95%以上
  • ステージIV(進行がん・転移あり): 5年生存率15〜20%
  • 早期がんは内視鏡切除で完治可能(開腹手術不要)
  • 定期検診で早期発見率80%以上

→ 50歳以上は5年に1回の大腸内視鏡検査が推奨

2. 大腸がんの初期症状|7つの重要なサイン

大腸がんの初期症状は非常に分かりにくく、早期では無症状のことが多いです。しかし、以下のサインが2週間以上続く場合は、必ず医療機関を受診してください。

2-1. 血便・下血(最も重要な初期サイン)

📌 症状の特徴

  • 出現率: 大腸がん患者の70〜80%に出現
  • 血便の色:
    • 左側大腸・直腸がん: 鮮血便(赤い血)、便の表面に付着
    • 右側大腸がん: 暗赤色便・黒色便(タール便)、便全体が黒っぽい
  • 特徴: 持続性(1〜2回で終わらない)、痛みを伴わないことが多い

🔬 発生メカニズム

  1. がん組織の脆弱性 → 便の通過時に出血
  2. 腫瘍表面の潰瘍形成 → 持続的な出血
  3. 腫瘍血管の破綻 → 大量出血(まれ)

💡 痔との鑑別ポイント

項目 痔(いぼ痔・切れ痔) 大腸がん
出血のタイミング 排便時のみ 排便時以外も血便
血の色 鮮血(便器・紙に付着) 便に混じる(暗赤色〜黒色も)
痛み あり(特に切れ痔) なし(初期)
その他の症状 肛門の腫れ・痒み 便通異常・体重減少

⚠️ 「痔だと思っていたら大腸がんだった」というケースが多数報告されています。血便が続く場合は必ず大腸内視鏡検査を受けてください。

2-2. 便通異常(便秘と下痢の交替)

📌 症状の特徴

  • 出現率: 大腸がん患者の40〜60%
  • パターン:
    • 便秘と下痢の交替(最も特徴的)
    • 慢性便秘(特に左側大腸がん)
    • 原因不明の下痢(3週間以上持続)
  • 特徴: 今まで便通が正常だった人に突然起こる

🔬 発生メカニズム

  1. 腫瘍による腸管狭窄 → 便秘
  2. 腸管運動の異常 → 下痢
  3. 粘液分泌の増加 → 粘液便・下痢
  4. 狭窄部より口側の便貯留 → 便秘後に下痢(交替)

2-3. 便が細くなる(鉛筆状便)

📌 症状の特徴

  • 出現率: 大腸がん患者の20〜30%(特に左側大腸・直腸がん)
  • 外観: 鉛筆のように細い便、平べったい便
  • 意味: 腸管狭窄のサイン(腫瘍が腸管内腔を狭くしている)

💡 正常な便との比較

  • 正常な便: 直径2〜3cm、バナナ状
  • 細い便: 直径1cm以下、鉛筆状・紐状

⚠️ 便が細くなる症状は要注意

便が細くなる症状が2週間以上続く場合、大腸がんによる腸管狭窄の可能性があります。放置すると腸閉塞に至ることもあるため、速やかに医療機関を受診してください。

2-4. 腹痛・腹部違和感

📌 症状の特徴

  • 出現率: 大腸がん患者の30〜50%
  • 部位:
    • 右側大腸がん: 右下腹部痛
    • 左側大腸がん: 左下腹部痛
    • 直腸がん: 下腹部全体の鈍痛
  • 性質: 持続性の鈍痛、間欠的な痙攣性疼痛
  • 増悪因子: 食後、排便前

🔬 発生メカニズム

  1. 腫瘍の増大 → 腸管壁の伸展 → 鈍痛
  2. 腸管狭窄 → 腸管内圧上昇 → 痙攣性疼痛
  3. 腫瘍の漿膜浸潤 → 腹膜刺激 → 持続痛
  4. 腸閉塞 → 激痛・腹部膨満

2-5. 原因不明の貧血

📌 症状の特徴

  • 出現率: 大腸がん患者の40〜60%(特に右側大腸がん)
  • タイプ: 鉄欠乏性貧血
  • 症状: 動悸、息切れ、疲労感、めまい、顔面蒼白
  • 検査値: ヘモグロビン<10 g/dL(中等度〜重度貧血)

🔬 発生メカニズム

腫瘍からの慢性的な微量出血が続くことで、徐々に鉄が失われ、鉄欠乏性貧血に至ります。特に右側大腸がんでは、便が液状のため血便に気づきにくく、貧血が初発症状となることが多いです。

⚠️ 原因不明の貧血は大腸がんを疑う

特に50歳以上の男性で、原因不明の鉄欠乏性貧血がある場合、必ず大腸内視鏡検査を受けてください。食事摂取が十分なのに貧血が進行する場合は、消化管出血(大腸がん、胃がん等)の可能性があります。

2-6. 体重減少

📌 症状の特徴

  • 出現率: 大腸がん患者の30〜50%(進行がんで高頻度)
  • 程度: 3ヶ月で5kg以上、6ヶ月で10kg以上の減少
  • 原因: 食欲不振、がん悪液質、栄養吸収障害

🔬 発生メカニズム

  1. がん細胞の増殖 → エネルギー消費増加
  2. 炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)の産生 → 筋肉分解、脂肪分解
  3. 食欲不振 → 摂取カロリー減少
  4. 腸管狭窄 → 食事摂取困難

2-7. 残便感・テネスムス(しぶり腹)

📌 症状の特徴

  • 出現率: 直腸がん患者の50〜70%
  • 症状: 便意を感じるのに便がほとんど出ない、少量の粘血便のみ
  • 頻度: 1日10回以上トイレに行くことも
  • 特徴: 直腸がんに特徴的な症状

🔬 発生メカニズム

直腸内の腫瘍が直腸粘膜を刺激することで、常に「便が溜まっている」という感覚(偽便意)が生じます。実際には便は少量しかないため、排便しても残便感が残ります。

※関連記事: 大腸ポリープの症状と治療潰瘍性大腸炎の症状

3. 大腸がんの進行症状|見逃せないサイン

大腸がんが進行すると、以下のような症状が出現します。これらの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診してください。

3-1. 腸閉塞(イレウス)

📌 症状の特徴

  • 激しい腹痛(間欠的な痙攣性疼痛)
  • 腹部膨満(お腹がパンパンに張る)
  • 嘔吐(腸内容物の逆流)
  • 排便・排ガス停止

🔬 発生メカニズム

腫瘍が腸管内腔を完全に閉塞し、便や腸液が通過できなくなります。緊急手術が必要となることが多いです。

🚨 緊急受診が必要な症状

  • 激しい腹痛が持続(6時間以上)
  • 腹部全体が硬く膨満
  • 嘔吐を繰り返す
  • 排便・排ガスが全くない

→ 直ちに救急外来を受診してください

3-2. 穿孔(せんこう)

📌 症状の特徴

  • 突然の激しい腹痛
  • 発熱(38℃以上)
  • 腹膜刺激症状(腹部全体が板のように硬い)
  • ショック症状(血圧低下、冷や汗)

🔬 発生メカニズム

腫瘍が腸管壁を貫通し、腸内容物が腹腔内に漏れ出します。腹膜炎・敗血症を引き起こし、生命に危険が及ぶため、緊急手術が必要です。

3-3. 転移症状

📌 肝転移

  • 右季肋部痛、肝腫大
  • 黄疸(皮膚・眼球が黄色くなる)
  • 腹水、肝機能障害

📌 肺転移

  • 咳、血痰
  • 呼吸困難、胸痛

📌 腹膜播種

  • 腹水貯留、腹部膨満
  • 全身倦怠感、悪液質

※関連記事: クローン病の症状過敏性腸症候群の症状

4. 大腸がんのステージ分類と予後

4-1. TNM分類とステージ

大腸がんのステージは、T(腫瘍の深達度)、N(リンパ節転移)、M(遠隔転移)の3要素で決定されます。

ステージ 深達度(T) リンパ節転移(N) 遠隔転移(M) 5年生存率
0 粘膜内(Tis) なし(N0) なし(M0) ほぼ100%
I 粘膜下層〜筋層(T1-2) なし(N0) なし(M0) 95%以上
II 漿膜下層〜漿膜(T3-4a) なし(N0) なし(M0) 85〜90%
III T1-4 あり(N1-2) なし(M0) 70〜80%
IV T any N any あり(M1) 15〜20%

4-2. ステージ別の治療方針

📌 ステージ0〜I(早期がん)

  • 治療: 内視鏡的切除(EMR、ESD)または手術
  • リンパ節郭清: 不要または縮小郭清
  • 予後: 5年生存率95%以上、ほぼ完治

📌 ステージII(進行がん・リンパ節転移なし)

  • 治療: 手術(結腸切除術・直腸切除術)
  • 術後化学療法: 高リスク症例で検討
  • 予後: 5年生存率85〜90%

📌 ステージIII(リンパ節転移あり)

  • 治療: 手術 + 術後化学療法(FOLFOX、CapeOX等)
  • 化学療法期間: 6ヶ月
  • 予後: 5年生存率70〜80%

📌 ステージIV(遠隔転移あり)

  • 治療: 化学療法 + 分子標的薬 ± 手術(転移巣切除可能な場合)
  • 薬剤: FOLFOX/FOLFIRI + ベバシズマブ/セツキシマブ等
  • 予後: 5年生存率15〜20%(切除可能転移では30〜40%)

💡 早期発見の重要性

ステージ0〜Iの早期がんで発見されれば、5年生存率95%以上、ほぼ完治が期待できます。一方、ステージIVまで進行すると、5年生存率は15〜20%まで低下します。早期発見が生存率を大きく左右するため、定期的な検診が極めて重要です。

5. 大腸がんの検査・診断|早期発見の方法

5-1. 便潜血検査(一次スクリーニング)

📌 検査の特徴

  • 方法: 便中のヘモグロビン(血液)を免疫法で検出
  • 費用: 約1,000〜2,000円(保険適用)
  • 精度: 大腸がんの検出率60〜80%、進行がんで90%
  • 利点: 簡便、非侵襲的、自宅で採取可能
  • 欠点: 早期がん・ポリープは検出困難(検出率20〜40%)、偽陰性あり

⚠️ 便潜血陰性でも安心できない

便潜血検査が陰性でも、大腸がんや大腸ポリープが存在する可能性があります。50歳以上は、便潜血検査の結果に関わらず、5年に1回の大腸内視鏡検査が推奨されます。

5-2. 大腸内視鏡検査(確定診断・最重要)

📌 検査の特徴

  • 方法: 肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を観察
  • 所要時間: 20〜40分
  • 費用: 3割負担で約6,000〜10,000円(観察のみ)
  • 精度: 最も正確、診断と治療を同時に実施可能
  • 生検: 疑わしい病変があれば組織を採取 → 病理診断

📌 内視鏡所見の評価

  • 腫瘍の位置: 盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸
  • 大きさ: mm単位で計測
  • 形態: 0型(表在型)、1型(腫瘤型)、2型(潰瘍限局型)、3型(潰瘍浸潤型)、4型(びまん浸潤型)
  • 色調: 発赤、白色、褐色
  • 表面性状: 平滑、顆粒状、潰瘍形成

5-3. CT・MRI検査(病期診断)

📌 CT検査

  • 目的: 腫瘍の深達度評価、リンパ節転移、遠隔転移(肝臓・肺)の検索
  • 方法: 造影CT(ヨード造影剤静注後に撮影)
  • 精度: リンパ節転移の検出率60〜70%、肝転移の検出率80〜90%

📌 MRI検査

  • 目的: 直腸がんの局所浸潤評価(特に肛門近くの腫瘍)
  • 利点: 軟部組織のコントラストに優れる、放射線被曝なし
  • 適応: 直腸がん、肝転移の詳細評価

5-4. 腫瘍マーカー

📌 主な腫瘍マーカー

  • CEA(癌胎児性抗原): 正常値<5 ng/mL、大腸がんで上昇(60〜70%)
  • CA19-9: 正常値<37 U/mL、消化器癌のマーカー

📌 腫瘍マーカーの限界

  • 早期がんでは上昇しないことが多い(感度50%以下)
  • 進行がんで上昇(感度60〜70%)
  • 診断には不向き → 主に術後の再発モニタリングに使用

💡 大腸がんの確定診断には、大腸内視鏡検査+生検が必須です。

5-5. PET-CT検査

📌 検査の特徴

  • 目的: 全身の転移巣検索、再発診断
  • 方法: 放射性ブドウ糖(FDG)を静注し、がん細胞の集積を画像化
  • 利点: 全身を一度に評価可能
  • 欠点: 高額(自費で約10万円)、保険適用は限定的

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6. 大腸がんの治療法|最新のアプローチ

6-1. 内視鏡的切除(早期がんの第一選択)

📌 内視鏡的粘膜切除術(EMR)

  • 適応: 10〜20mmの早期がん、粘膜内癌
  • 方法: 粘膜下層に生理食塩水を注入し、スネアで切除
  • 利点: 入院1〜3日、体への負担が少ない

📌 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

  • 適応: 20mm以上の早期がん、粘膜内癌
  • 方法: 電気メスで粘膜下層を剥離し、一括切除
  • 利点: 一括切除可能、再発率低い(2〜3%)
  • 欠点: 高難度、時間がかかる(1〜3時間)、穿孔リスク(2〜5%)

6-2. 外科手術

📌 腹腔鏡下手術

  • 適応: ステージ0〜III
  • 方法: 腹部に5〜10mmの小さな穴を開け、カメラと鉗子を挿入して手術
  • 術式: 結腸切除術、直腸切除術、リンパ節郭清
  • 利点: 創が小さい、術後疼痛軽減、回復早い(入院7〜10日)

📌 ロボット支援手術

  • 適応: 直腸がん(特に肛門に近い腫瘍)
  • 方法: ダ・ヴィンチ手術システムを使用
  • 利点: 精密な操作、肛門温存率向上、神経温存
  • 欠点: 高額(保険適用あり)、限られた施設のみ

📌 開腹手術

  • 適応: 進行がん、腹腔鏡手術困難例、緊急手術(穿孔・腸閉塞)
  • 方法: 腹部を10〜20cm切開し、腫瘍を切除
  • 入院: 10〜14日

📌 人工肛門(ストーマ)

  • 適応: 肛門に近い直腸がん、肛門温存困難例、緊急手術
  • 種類: 永久ストーマ、一時的ストーマ(吻合部保護、後に閉鎖)
  • 生活: ストーマケアの習得、専門看護師(WOCナース)のサポートあり

6-3. 化学療法

📌 術後補助化学療法(アジュバント療法)

  • 適応: ステージIII、高リスクステージII
  • 目的: 微小転移の根絶、再発予防
  • レジメン:
    • FOLFOX(フォルフォックス): 5-FU + ロイコボリン + オキサリプラチン
    • CapeOX(ケープオックス): カペシタビン + オキサリプラチン
    • UFT/LV: UFT + ロイコボリン(経口薬)
  • 期間: 6ヶ月
  • 効果: 再発リスク30〜40%減少

📌 進行・再発大腸がんに対する化学療法

  • 適応: ステージIV、術後再発
  • レジメン:
    • FOLFOXまたはFOLFIRI(フォルフィリ)
    • 分子標的薬の併用:
      • ベバシズマブ(アバスチン®): 血管新生阻害薬
      • セツキシマブ(アービタックス®): EGFR阻害薬(RAS野生型のみ)
      • パニツムマブ(ベクティビックス®): EGFR阻害薬
      • ラムシルマブ(サイラムザ®): VEGFR-2阻害薬
  • 効果: 生存期間延長(中央値24〜30ヶ月)

6-4. 放射線療法

📌 直腸がんの術前化学放射線療法

  • 適応: 進行直腸がん(ステージII〜III)
  • 目的: 腫瘍縮小、局所再発率低下、肛門温存率向上
  • 方法: 放射線照射(45〜50Gy)+ 5-FU系抗がん剤
  • 効果: 局所再発率40% → 10〜15%に低下

6-5. 免疫療法

📌 免疫チェックポイント阻害薬

  • 適応: MSI-High(マイクロサテライト不安定性高頻度)の大腸がん(全体の約5%)
  • 薬剤:
    • ニボルマブ(オプジーボ®)
    • ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)
    • イピリムマブ(ヤーボイ®)+ ニボルマブ併用
  • 効果: 奏効率40〜55%、持続的な効果

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7. 大腸がんのリスク因子と予防法

7-1. リスク因子

📌 変更不可能なリスク因子

  • 年齢: 50歳以上でリスク急増
  • 家族歴: 第一度近親者に大腸がん患者がいるとリスク2〜3倍
  • 遺伝性大腸がん症候群:
    • 家族性大腸腺腫症(FAP): APC遺伝子変異、100%大腸がん化
    • リンチ症候群: MMR遺伝子変異、大腸がんリスク70〜80%
  • 炎症性腸疾患: 潰瘍性大腸炎・クローン病の長期罹患(10年以上)

📌 変更可能なリスク因子

  • 肥満: BMI≥25でリスク1.5倍、BMI≥30で2倍
  • 喫煙: リスク1.5〜2倍、特に若年発症リスク高い
  • 過度の飲酒: 1日エタノール換算50g以上でリスク1.5倍
  • 赤肉・加工肉の過剰摂取: 週500g以上でリスク1.3〜1.5倍
  • 運動不足: リスク1.3〜1.5倍
  • 糖尿病: リスク1.3〜1.5倍

7-2. 予防法

🔹 食事

  • 推奨:
    • 食物繊維を多く摂る(野菜・果物・全粒穀物): 1日25〜30g
    • 魚・鶏肉中心の食事
    • カルシウム・ビタミンD補給(乳製品、サプリメント)
    • ヨーグルト・発酵食品(腸内環境改善)
  • 避ける:
    • 赤肉(牛肉・豚肉・羊肉)の過剰摂取(週500g以下)
    • 加工肉(ソーセージ・ハム・ベーコン)
    • 過度のアルコール(1日エタノール換算20g以下)
    • 高脂肪食、揚げ物

🔹 運動

  • 推奨: 週150分以上の中等度運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)
  • 効果: 大腸がんリスク20〜30%減少

🔹 体重管理

  • 目標: BMI 18.5〜24.9(適正体重維持)
  • 肥満のリスク: BMI≥30で大腸がんリスク2倍

🔹 禁煙

  • 喫煙のリスク: 大腸がんリスク1.5〜2倍
  • 禁煙の効果: 禁煙10年後にリスクが非喫煙者と同程度に低下

🔹 大腸ポリープの切除

  • 効果: 大腸がんリスク80〜90%減少
  • 推奨: 大腸内視鏡検査で発見されたポリープは切除

7-3. スクリーニング(早期発見)

📅 推奨されるスクリーニング

  • 40歳以上: 年1回の便潜血検査
  • 50歳以上: 5年に1回の大腸内視鏡検査(初回)
  • 大腸がんの家族歴あり: 40歳または家族の発症年齢-10歳のいずれか早い方から大腸内視鏡検査
  • 遺伝性大腸がん症候群(FAP、リンチ症候群): 10〜20代から定期的な内視鏡検査
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病): 発症後8〜10年から1〜2年毎の内視鏡検査

💡 大腸内視鏡検査による早期発見・早期切除で、大腸がんの発生を80〜90%予防できます。

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8. よくある質問(FAQ)

Q1. 大腸がんの初期症状はありますか?

A. 大腸がんの初期症状は非常に分かりにくく、早期では無症状のことが多いです。主な初期サインとしては、血便(便に血が混じる)、便通異常(便秘と下痢の交替)、便が細くなる腹部違和感原因不明の貧血などがあります。これらの症状が2週間以上続く場合は、必ず医療機関を受診してください。

Q2. 大腸がんの血便はどんな色ですか?

A. 大腸がんの血便の色は、がんの発生部位によって異なります。
左側大腸・直腸がん: 鮮血便(赤い血)、便の表面に付着
右側大腸がん: 暗赤色便・黒色便(タール便)、便全体が黒っぽい
痔との違い: 痔は排便時のみ出血、大腸がんは便に血が混じる
血便が続く場合は必ず大腸内視鏡検査を受けてください。

Q3. 大腸がんは早期発見できれば治りますか?

A. はい、大腸がんは早期発見できれば治癒率が非常に高いがんです。
ステージ0(上皮内がん): 5年生存率ほぼ100%、内視鏡切除で完治
ステージI: 5年生存率95%以上、手術で完治可能
ステージII: 5年生存率85〜90%
定期的な大腸内視鏡検査により、大腸がんの90%以上が予防・早期発見可能です。

Q4. 大腸がんになりやすい人の特徴は?

A. 大腸がんのリスクが高い人の特徴:
① 50歳以上
② 大腸がん・大腸ポリープの家族歴あり
③ 肥満(BMI≥25)
④ 喫煙
⑤ 過度の飲酒
⑥ 赤肉・加工肉の過剰摂取
⑦ 運動不足
⑧ 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の既往
これらに該当する方は、40歳から定期的な大腸内視鏡検査を推奨します。

Q5. 大腸がん検診は何歳から受けるべきですか?

A. 40歳以上: 年1回の便潜血検査
50歳以上: 5年に1回の大腸内視鏡検査(初回)
大腸がんの家族歴あり: 40歳または家族の発症年齢-10歳から大腸内視鏡検査開始
便潜血検査陽性の場合: 年齢に関わらず速やかに大腸内視鏡検査を受けてください。早期発見により治癒率90%以上が期待できます。

Q6. 大腸がんの手術後の生活はどうなりますか?

A. 大腸がん手術後の生活は、手術方法により異なります。
腹腔鏡手術: 術後1〜2週間で退院、1ヶ月で通常生活復帰
人工肛門なし: ほぼ通常の生活可能、排便回数が増える場合あり(徐々に改善)
人工肛門(ストーマ)造設: ストーマケアの習得が必要、専門看護師のサポートあり
定期的なフォローアップ(3〜6ヶ月毎)で再発チェックが重要です。

まとめ|早期発見が命を救う

大腸がんは日本人のがん罹患数で上位を占めますが、早期発見できれば治癒率90%以上と極めて予後の良いがんです。以下のポイントを押さえましょう:

  1. 初期症状は分かりにくい → 無症状のことが多い
  2. 血便・便通異常・便が細くなるなどのサインを見逃さない
  3. 50歳以上は5年に1回の大腸内視鏡検査を受ける
  4. 便潜血検査陽性なら必ず大腸内視鏡検査を受ける
  5. 家族歴がある方は40歳から検査開始
  6. 大腸ポリープを切除すれば大腸がんの90%が予防可能
  7. 生活習慣の改善(食物繊維、運動、禁煙、適正体重)
  8. ステージ0〜Iで発見されれば5年生存率95%以上

血便・便通異常・原因不明の貧血などの症状がある場合、「ただの便秘」「痔だろう」と自己判断せず、早めに消化器内科を受診してください。30年以上の臨床経験を持つ専門医として、大腸がんの早期発見・早期治療により、あなたとご家族の命を守るお手伝いをいたします。

著者プロフィール

医学博士・消化器外科専門医 佐藤靖郎

福島県立医科大学大学院で医学博士を取得した消化器外科の専門医として、30年以上の豊富な臨床経験を持つ医療界のリーダー。国立国際医療研究センター病院での研修を皮切りに、済生会若草病院外科部長兼診療部長、横浜医療センター外科医長兼救命救急センター副部長など要職を歴任。

がん診療における地域連携パスの第一人者として、多数の著書・論文を発表し、医療連携分野での先駆的な取り組みを推進。現在は医療法人社団康悦会理事長、株式会社アポロ会長、Medical Gaia Network(NPO)理事長として、医療・介護・地域活性化の3つの領域で地域社会の健康と活力向上に取り組んでいます。

免責事項

本記事は医学的情報の提供を目的としており、特定の治療法や医薬品の使用を推奨するものではありません。症状や治療法については、必ず医師にご相談ください。自己判断での治療中断や薬の変更は危険です。

最終更新日: 2026年1月29日著者: 医学博士・消化器外科専門医 佐藤靖郎

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