内科医監修・生活習慣改善ガイド
内臓脂肪を減らす方法とは|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
内臓脂肪を減らすためには、食事・運動・生活習慣の三つをバランスよく見直すことが基本です。特定の食品や運動だけに頼るより、継続できる無理のない取り組みを積み重ねることが、長期的な改善につながります。本記事では、内臓脂肪が増える仕組みから、日常生活で実践しやすい具体的な方法まで、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。
内臓脂肪を減らす方法とは?まず知っておきたい基本
内臓脂肪と皮下脂肪の違い
体脂肪には大きく「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があります。内臓脂肪は腹腔内の腸のまわりに蓄積する脂肪で、皮下脂肪は皮膚のすぐ下につく脂肪です。内臓脂肪はつきやすく落としやすいという特徴がある一方で、過剰に蓄積すると生活習慣病のリスクを高めるとされています。腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)はメタボリックシンドロームの診断基準の一つとして、厚生労働省や各学会でも指標として用いられています。
内臓脂肪が増えやすい主な原因
内臓脂肪が増える主な原因は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り続けることです。具体的には、食べすぎ・運動不足・睡眠不足・ストレス・飲酒・喫煙などが複合的に関与します。男性や閉経後の女性は内臓脂肪がつきやすい傾向があるとされており、年齢とともに基礎代謝が低下することも一因です。
内臓脂肪を減らす方法の基本は「食事・運動・生活習慣」の見直し
1日で変えるより、継続できる方法が大切
内臓脂肪は急激なダイエットで一気に減らそうとするよりも、無理のない範囲で食事・運動・生活習慣を少しずつ整えることが現実的で安全です。日本肥満学会のガイドラインでは、肥満の改善には現体重の3〜5%程度の緩やかな減量が推奨されており、急激な制限は筋肉量の低下や栄養不足を招くことがあります。
医師の診察が必要になるケース
健診で腹囲・血圧・血糖・脂質の異常を指摘された場合や、持病がある場合は、自己判断のみで進めるのではなく、医師に相談しながら取り組むことが大切です。
内臓脂肪を減らす食事のポイント
摂取エネルギーを適正にする
1日に必要なエネルギー量は年齢・性別・活動量によって異なります。急激なカロリー制限は体調不良の原因になることがあるため、管理栄養士や医師の指導のもとで適正量を把握することが望ましいとされています。
主食・主菜・副菜をそろえて食べる
「主食(ごはん・パン・麺)」「主菜(魚・肉・卵・大豆製品)」「副菜(野菜・きのこ・海藻)」をバランスよく組み合わせることは、厚生労働省の「食事バランスガイド」でも推奨されています。一品だけに偏る食生活は、栄養バランスを崩すことがあります。
糖質や脂質のとり方を見直す
精製された炭水化物(白米・白パン・砂糖など)や、飽和脂肪酸を多く含む食品(揚げ物・加工肉など)のとりすぎは、内臓脂肪の蓄積と関連することが知られています。ただし糖質や脂質を極端にゼロにすることは不要であり、「量とバランスを整える」という意識が重要です。
食物繊維をしっかりとる
食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑えたり、腸内環境を整えたりする働きがあります。野菜・豆類・きのこ・海藻・全粒穀物などから積極的にとることが推奨されています。
間食・夜食・アルコールを減らす工夫
アルコールは肝臓での脂肪合成を促進し、内臓脂肪の蓄積に影響することが知られています。「休肝日を設ける」「量を少しずつ減らす」など、急にやめるのが難しい場合は段階的に取り組む方法が現実的です。夜遅い時間の食事や間食も、エネルギーの消費が少ない時間帯に摂取することになるため、できる範囲で見直すことが望まれます。
内臓脂肪を減らすためにおすすめの運動
有酸素運動を習慣化する
ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなどの有酸素運動は、内臓脂肪の減少に効果があるとされています。日本肥満学会や各種ガイドラインでは、週150分以上(1日30分×週5日程度)の中強度有酸素運動が目安として挙げられています。
筋力トレーニングを組み合わせる
有酸素運動に加えて筋力トレーニングを組み合わせることで、基礎代謝の維持・向上が期待されます。スクワットや腕立て伏せなど、自宅でできるものから始めるのも一つの方法です。なお、筋肉量の維持はサルコペニア(筋肉量低下)の予防としても重要な観点です。
まずは日常の活動量を増やす
エレベーターよりも階段を使う、一駅前で降りて歩く、こまめに立ち上がるなど、日常生活のなかで活動量を意識的に増やすことも積み重ねとして有効です。
内臓脂肪を減らす生活習慣の整え方
睡眠不足を避ける
睡眠不足は食欲を増進させるホルモン(グレリン)の分泌を高め、満腹感を伝えるホルモン(レプチン)を低下させることが研究で示されています。7時間前後の睡眠を確保することが推奨されています。
ストレスをため込みすぎない
慢性的なストレスはコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の分泌を促し、内臓脂肪の蓄積と関連するとされています。適度な気分転換・休養を日常に取り入れることが大切です。
喫煙習慣を見直す
喫煙は内臓脂肪の蓄積リスクを高めることが知られています。禁煙は内臓脂肪の改善だけでなく、心血管疾患や肺疾患のリスク低減にも関連しています。
食べる時間帯と生活リズムを整える
食事の時間帯を一定に保ち、毎日の生活リズムを規則正しく整えることは、体内時計(概日リズム)の乱れを防ぎ、代謝の安定に寄与するとされています。
内臓脂肪はどれくらいで減る?目安と考え方
すぐに変化しない理由
食事・運動の改善を始めてから内臓脂肪の変化が体感されるまでには、一般的に数週間から数ヵ月程度かかることが多いとされています。体重の数値だけに一喜一憂せず、継続的な取り組みを維持することが重要です。
体重だけでなく腹囲や健診結果も確認する
体重が変わらなくても、腹囲が縮小したり健診の血液データ(中性脂肪・血糖・肝機能など)が改善したりすることがあります。複数の指標で経過を確認することが、モチベーション維持にもつながります。中性脂肪と健康の関係については別記事でも詳しく解説しています。
内臓脂肪を減らすと期待される健康上のメリット
脂質異常症・高血圧・血糖異常との関係
内臓脂肪の過剰蓄積は、脂質異常症・高血圧・血糖異常(インスリン抵抗性)などと深く関連していることが多くの研究で示されています。内臓脂肪を適切な水準に保つことは、これらの生活習慣病リスクの管理においても重要な位置づけとされています。
脂肪肝が気になる人の注意点
内臓脂肪の蓄積は脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患:MASLD)のリスクとも関連しています。脂肪肝は自覚症状が出にくいため、健診の肝機能検査(ALT・AST・γ-GTP)や腹部超音波検査で確認することが推奨されます。気になる方は医療機関にご相談ください。
やりがちだけど注意したい「内臓脂肪を減らす方法」
極端な食事制限
急激なカロリー制限や特定の栄養素を完全に排除する食事法は、筋肉量の低下・栄養欠乏・リバウンドのリスクがあります。自己判断での極端な制限は推奨されません。
特定食品だけに頼る方法
「〇〇を食べるだけで内臓脂肪が減る」という情報はインターネット上に多数見られますが、科学的根拠が十分でないものも少なくありません。特定の食品の過剰摂取はバランスを崩す可能性があります。
サプリメントや機器の使い方に関する注意点
サプリメントや美容機器には、内臓脂肪への作用について科学的に証明されていないものが含まれる場合があります。購入・使用の際は表示・エビデンスを確認し、判断が難しい場合は医師にご相談ください。
こんな場合は医療機関に相談を
健診で腹囲や血液検査の異常を指摘された
健診でメタボリックシンドロームの基準項目(腹囲・血圧・血糖・脂質)に異常を指摘された場合は、生活習慣の改善とあわせて医療機関での評価が望まれます。
体重が短期間で増減している
意図しない体重の急激な増加や減少は、内分泌疾患(甲状腺疾患など)や消化器疾患が関係している場合があります。自己判断せず医師に相談することをお勧めします。
持病がある、または服薬中である
糖尿病・高血圧・脂質異常症・心疾患などの持病がある方、または現在服薬中の方は、食事・運動の制限や変更が治療に影響することがあるため、必ず主治医に相談のうえ取り組んでください。
自分で続けても改善がみられない
数ヵ月継続しても腹囲・体重・健診値に変化がみられない場合や、どこから手をつけるべきか迷っている場合も、専門家のサポートを活用することが有効です。ご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。
医師が解説する、内臓脂肪を減らすための現実的な続け方
目標設定のコツ
「3ヵ月で体重を3%減らす」など、具体的かつ無理のない短期目標を立てることが継続のコツです。「絶対に毎日やる」よりも「週の大半に取り組む」という柔軟な目標設定の方が、長続きしやすい傾向があります。
生活に取り入れやすい優先順位の決め方
すべてを一度に変えようとすると続きにくいため、まず「食事の夜遅い時間を早める」「週3回10分歩く」など、自分が取り組みやすいものから一つ選んで始めることが現実的です。生活リズムを崩さずに組み込める方法を選ぶことが、長期的な習慣化につながります。
なお、食事制限と運動のバランスについては、16時間ダイエット(間欠的断食)とは何かでも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
よくある質問(FAQ)
内臓脂肪を減らすには何から始めるのがよいですか?
まず「現在の生活習慣を把握する」ことが第一歩です。食事・運動・睡眠のなかで改善しやすいものから一つ取り組み、徐々に範囲を広げていく方法が無理なく続けやすいとされています。
お腹だけを集中的に痩せることはできますか?
いわゆる「部分痩せ」は医学的に難しいとされています。腹筋運動はお腹の筋力強化には有効ですが、その部位の脂肪だけを選択的に燃焼させることはできません。全身の代謝を高める食事・有酸素運動の継続が、内臓脂肪の減少に結びつきます。
内臓脂肪は運動だけで減りますか?
運動は内臓脂肪の減少に効果的ですが、食事の見直しを伴わないと十分な効果が出にくいこともあります。食事と運動の組み合わせが、より効率的なアプローチとされています。
年齢が高くても内臓脂肪は減らせますか?
年齢とともに基礎代謝は低下しますが、適切な食事・運動・生活習慣の改善によって、年齢を問わず内臓脂肪を減らすことは可能とされています。ただし持病や体力に応じた方法を選ぶ必要があるため、医師や専門家への相談が助けになります。
健診で内臓脂肪の蓄積を指摘されたら、どの診療科を受診すべきですか?
内科(一般内科・生活習慣病外来)が最初の相談窓口として適しています。血液検査・腹部超音波など、必要な検査を総合的に判断してもらえます。当クリニックでもご相談を承っていますので、ご予約・お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立国病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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