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しぶり腹とは?原因・症状・対処を内科医が解説

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しぶり腹とは?原因・症状・対処を内科医が解説

「トイレに行きたいのに、ほとんど出ない」「排便後もすっきりしない」――そのような症状はしぶり腹(テネスムス)と呼ばれ、感染性腸炎や過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、大腸がんなど、さまざまな原因が背景にある可能性があります。本記事では、しぶり腹の意味・症状・原因から、受診のタイミングや対処法まで、消化器内科の観点からわかりやすく解説します。


しぶり腹とは?まずは意味をわかりやすく解説

しぶり腹(テネスムス)とはどんな症状か

しぶり腹とは、強い便意があるにもかかわらず、排便しても便がほとんど出ない、またはまったく出ない状態を指します。医学的には「テネスムス(Tenesmus)」と呼ばれ、直腸・肛門周囲に慢性的な刺激や炎症が生じることで起こります。排便後も「もっと出るはず」という感覚(残便感)が続くことが多く、何度もトイレに行きたくなるのが特徴です。

「腹痛」や「下痢」との違い

腹痛は腸管全体の痙攣や炎症による痛みであり、下痢は便の水分量が増して軟便・水様便が続く状態です。しぶり腹は「便意と排便のギャップ」が主体であり、腹痛や下痢を伴うこともありますが、それ自体とは区別される症状です。単なる下痢や腹痛と混同されやすいため、症状の正確な把握が診断の第一歩となります。


しぶり腹で起こりやすい症状

便意があるのに少ししか出ない

最も典型的な症状です。強い便意を感じてトイレへ向かっても、出るのは少量の便や粘液だけ、という状態が繰り返されます。

何度もトイレに行きたくなる

残便感が続くために、短時間のうちに何度もトイレに行かざるを得なくなることがあります。日常生活や仕事に支障をきたすこともあります。

下腹部の痛みや残便感を伴うことがある

直腸周囲の刺激や炎症によって、下腹部のにぶい痛みや圧迫感が生じることがあります。排便後も残便感が消えず、不快感が続く場合があります。

便に血が混じる、発熱がある場合も

炎症性腸疾患や感染性腸炎、大腸がんなどが原因の場合、粘血便(粘液と血が混じった便)や発熱を伴うことがあります。これらのサインがある場合は速やかな医療機関への受診が必要です。


しぶり腹の主な原因

感染性腸炎

細菌(カンピロバクター、赤痢菌、サルモネラなど)やウイルスによる腸管感染は、しぶり腹の代表的な原因の一つです。特に細菌性腸炎では直腸粘膜の炎症が強く出やすく、しぶり腹が目立ちます。

過敏性腸症候群(IBS)

腸管に器質的な異常がなく、腹痛・便通異常を繰り返す機能性疾患です。ストレスや食事が引き金になることが多く、便秘型・下痢型・混合型があります。しぶり腹はIBSの症状として現れることがあります。詳しくは腹式呼吸とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】でもご紹介しているとおり、腸と自律神経のつながりが深く関係しています。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

大腸や消化管に慢性的な炎症が起こる疾患です。潰瘍性大腸炎では大腸の粘膜が広範に炎症を起こし、粘血便としぶり腹が主要症状となります。クローン病でも病変部位によってしぶり腹が生じます。いずれも長期的な管理が必要な疾患です。

便秘や直腸の刺激

便が直腸内に長時間とどまることで直腸が刺激され、出ない状態で便意だけが続くことがあります。

大腸がん・直腸がんなどの病気

直腸がんが腸管を狭くすることで、しぶり腹が起こることがあります。体重減少・貧血・血便などを伴う場合は特に注意が必要です。

痔や肛門周囲の病気

内痔核や直腸脱なども、直腸・肛門周囲の刺激を通じてしぶり腹の原因になることがあります。


受診を考えたほうがよい症状

血便や黒い便がある

血便(赤い血)や黒い便(タール便)は消化管出血のサインである可能性があります。

強い腹痛、発熱、嘔吐を伴う

感染性腸炎や炎症性腸疾患の活動期に多く、全身状態の評価が必要です。

水分がとれない、脱水が疑われる

嘔吐や下痢が重なると脱水になりやすく、高齢者では特に注意が必要です。

症状が長引く、繰り返す

2週間以上しぶり腹が続く場合や、繰り返す場合は原因の精査が勧められます。

体重減少や貧血がある

原因不明の体重減少・貧血はがんや炎症性腸疾患のサインになることがあります。

高齢者や基礎疾患がある場合

免疫機能が低下している方は症状が急変しやすく、早めの受診が望まれます。


しぶり腹の検査と診断

問診で確認するポイント

症状の始まった時期、便の性状・回数、食事の内容、発熱・血便の有無、渡航歴や周囲の感染状況などを確認します。

必要に応じて行う検査

血液検査(炎症マーカー・貧血の確認)、便培養(感染菌の同定)、腹部エコーなどを行います。

大腸カメラが勧められるケース

症状が長引く場合、血便がある場合、50歳以上で初めてしぶり腹が出た場合、大腸がんや炎症性腸疾患が疑われる場合には、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)による粘膜の直接確認が有用です。


しぶり腹の対処法

まずは安静と水分補給を意識する

腸への負担を減らすため、安静を保ち、経口補水液などで水分・電解質を補給することが基本です。

刺激物やアルコールは控える

辛い食べ物・脂っこい食事・アルコールは腸の炎症を助長することがあります。

自己判断で下痢止めを使わないほうがよい場合

感染性腸炎の場合、止瀉薬(下痢止め)を使うと腸内の菌・毒素の排出が妨げられ、症状が悪化するリスクがあります。原因が不明な段階では、自己判断での服薬は控えることが望まれます。

便秘が関係する場合の注意点

便秘が引き金になっているケースでは、水分摂取・食物繊維の確保が助けになることがあります。ただし、症状の原因を医師に確認した上で対処することが重要です。


医療機関での治療

原因に応じた治療が行われる

しぶり腹の治療は原因疾患によって異なります。自己判断での治療は避け、医師の診察を受けることが大切です。

感染性腸炎の場合

原因菌に応じて抗菌薬が使用されることがありますが、ウイルス性の場合は対症療法(安静・水分補給)が中心です。

IBSや炎症性腸疾患の場合

IBSには腸管機能調節薬・抗不安薬・食事療法などが用いられます。潰瘍性大腸炎やクローン病は、ガイドラインに基づいた薬物療法(5-ASA製剤・ステロイド・生物学的製剤など)が行われます。

痔や肛門の病気が原因の場合

外用薬・坐薬による保存的治療や、必要に応じて外科的処置が検討されます。


しぶり腹を予防するためにできること

手洗い・食事管理で感染予防

食前・トイレ後の手洗いを徹底し、生肉・生魚の取り扱いに注意することで感染性腸炎のリスクを下げられます。

便秘をためない生活習慣

水分を十分に摂り、適度な運動・規則的な排便習慣を心がけることが便秘予防につながります。

腸に負担をかけにくい食事と睡眠

食物繊維を含む食事(野菜・海藻・豆類)・発酵食品を取り入れ、十分な睡眠と休息で腸内環境を整えることが大切です。ストレス管理も腸の健康に深く関わっています。


しぶり腹についてよくある誤解

「少し出るから軽い症状」とは限らない

「少量でも排便があるから大丈夫」と考える方もいますが、炎症性腸疾患や大腸がんでも同様の症状が現れることがあります。症状の軽重だけで原因の深刻さを判断しないことが重要です。

下痢止めで悪化することがある

前述のとおり、感染性腸炎が原因の場合、市販の止瀉薬が症状を悪化させる場合があります。

放置せず原因を見極めることが大切

しぶり腹は「様子を見れば治る」と思われがちですが、長引く・繰り返す場合は背景に治療が必要な疾患が隠れていることがあります。


しぶり腹で受診するなら何科?

まずは内科・消化器内科へ

しぶり腹の原因は多岐にわたるため、まずは内科または消化器内科を受診し、問診・検査によって原因を特定することが重要です。

早めの受診が望ましいケース

血便・発熱・強い腹痛・体重減少・貧血・症状の長期化などがある場合は、早めに医療機関へご相談ください。受診の際はご予約・お問い合わせからもお気軽にどうぞ。


よくある質問(FAQ)

しぶり腹は自然に治ることがありますか?

感染性腸炎など一時的な原因の場合、安静・水分補給で数日以内に改善することがあります。ただし、症状が1〜2週間以上続く場合や、血便・発熱を伴う場合は医療機関の受診をお勧めします。

しぶり腹があるとき、市販薬は使ってもよいですか?

市販の整腸剤(ビフィズス菌・乳酸菌製剤など)は比較的安全に使えますが、止瀉薬(ロペラミドなど)は感染性腸炎の場合に悪化させることがあります。原因が不明な段階では、自己判断での服薬は控え、まず医師に相談することが望まれます。

しぶり腹と下痢は同じ症状ですか?

異なります。下痢は水様・軟便が繰り返される状態、しぶり腹は強い便意があるのに便がほとんど出ない状態です。両方が同時に見られることもありますが、それぞれ意味が異なります。

しぶり腹で病院に行く目安はありますか?

①血便・粘血便がある、②38℃以上の発熱がある、③症状が2週間以上続く・繰り返す、④体重が減っている、⑤高齢または基礎疾患がある――これらのいずれかに当てはまる場合は、早めに内科・消化器内科を受診することをお勧めします。

しぶり腹は大腸がんの症状のこともありますか?

大腸がん、特に直腸がんでは、腫瘍が腸管を狭くすることでしぶり腹・血便・残便感が起こることがあります。ただし、しぶり腹の原因の多くは感染性腸炎やIBSなど別の疾患です。過度な心配は不要ですが、症状が長引く・血便を伴う場合は医師の診察と必要に応じた内視鏡検査を受けることが大切です。


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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)

医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医

専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴:

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:

厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。


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