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お酒しゃっくりとは?原因・症状・対処を内科医が解説

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お酒しゃっくりとは?原因・症状・対処を内科医が解説

お酒を飲んでいるときや飲んだ後に突然しゃっくりが出る――そのような経験をお持ちの方は少なくありません。多くの場合は短時間で自然に止まる一時的な症状ですが、長時間続く場合や繰り返す場合は消化器や神経系の病気が関係していることもあります。本記事では、お酒としゃっくりの関係を医学的な観点からわかりやすく解説します。


お酒を飲むとしゃっくりが出るのはなぜ?

しゃっくりの正体は「横隔膜のけいれん」

しゃっくり(医学的には「吃逆〔きつぎゃく〕」と呼びます)は、胸腔と腹腔を仕切る「横隔膜」が不随意に収縮(けいれん)することで起こります。横隔膜が急激に収縮すると、声帯が閉じるタイミングと重なり、あの特徴的な「ヒック」という音が生じます。通常は数分以内に自然と落ち着きますが、刺激が続くと繰り返しやすくなります。

お酒がきっかけで起こりやすい理由

アルコールは複数の経路を通じて横隔膜やその周辺の神経・臓器を刺激します。胃の膨張、食道への刺激、横隔膜を支配する横隔神経(迷走神経も含む)への影響などが組み合わさることで、しゃっくりが起きやすくなると考えられています。


お酒しゃっくりの主な原因

胃がふくらんで横隔膜が刺激される

飲み物を一定量以上飲むと胃が拡張し、横隔膜を下から押し上げるようなかたちで刺激します。これがしゃっくりを誘発する最も一般的なメカニズムです。

炭酸や早飲みで空気を飲み込みやすい

ビールやハイボールなど炭酸を含む飲み物は、液体だけでなく大量のガスも胃に送り込みます。また早飲みすると空気も一緒に飲み込みやすくなり、胃の膨張をさらに促します。

アルコールの刺激で食道や胃が敏感になる

アルコール自体が食道や胃の粘膜を直接刺激し、粘膜の炎症や収縮運動の乱れを引き起こすことがあります。これが横隔膜や迷走神経への刺激につながり、しゃっくりを誘発します。

冷たい飲み物・辛いおつまみ・会話中の飲酒も関係することがある

温度変化(冷たい飲み物)、辛い食べ物、会話しながらの飲食による空気の飲み込みなど、複数の要因が重なるとしゃっくりはより起こりやすくなります。


どんなときに起こりやすい?よくある場面

飲み会や宴会で出やすいケース

賑やかな場では飲食のペースが速くなりがちです。話しながら飲む、立て続けに乾杯するといった状況は、空気の飲み込みや早飲みを招きやすく、しゃっくりのリスクが高まります。

空腹時や短時間で多量に飲んだとき

胃が空の状態でアルコールを飲むと刺激が強くなりやすく、また短時間で多量に摂取すると胃が急速に膨張します。

ビール・ハイボールなど炭酸酒を飲んだとき

炭酸ガスによる胃の膨張は比較的速く起こるため、炭酸を含むアルコール飲料はしゃっくりを引き起こしやすい傾向があります。


お酒しゃっくりは何分・何時間で止まる?

一時的なしゃっくりの目安

一般的なしゃっくりの多くは数分以内に自然と止まります。お酒を飲んでいる最中に起きた場合も、飲むペースを落とし少し休めば自然に治まることがほとんどです。

長引くしゃっくりで考えること

一般的に48時間以上続く場合は「持続性しゃっくり」、1か月以上続く場合は「難治性しゃっくり」と分類されます(参考:Rome Foundation等の基準)。このような場合は消化器疾患や神経疾患、代謝異常など背景に病気が隠れている可能性があり、医療機関への受診が推奨されます。


まず試したい対処法

飲酒をいったんやめて休む

しゃっくりが出た際は、まず飲酒をいったん中断し、しばらく安静にすることが大切です。原因となっている刺激を取り除くことが基本です。

水やぬるめの飲み物を少しずつ飲む

ぬるめの水をゆっくりと少量ずつ飲むことで、食道や胃の刺激が和らぎ、しゃっくりが落ち着くことがあります。

ゆっくり深呼吸して落ち着く

ゆっくりとした深呼吸は横隔膜の動きをある程度整える働きがあるとされています。腹式呼吸を意識しながらゆっくり息を吸い込み、数秒止めてからゆっくり吐き出すと効果的なことがあります。

食事や会話のペースを整える

飲食のペースをゆっくりにし、会話中はいったん立ち止まって飲むなど、空気の飲み込みを減らすことを意識しましょう。


やってはいけない対処法・注意したいこと

無理に飲み続けない

しゃっくりが出ているにもかかわらず飲み続けると、胃への刺激が増して症状が長引いたり、吐き気などの不快感を招いたりすることがあります。

むせやすい方法は避ける

「水を一気に飲む」「頭を下げる」などの民間的な対処法には、誤嚥(飲み物や食べ物が気道に入ること)のリスクが伴うものもあります。特に飲酒中は嚥下機能が低下しやすいため注意が必要です。

強い刺激や過度な自己流対策に頼りすぎない

強い刺激(例:驚かせる)や根拠の薄い民間療法を繰り返し試すことは、かえって体に負担をかける場合があります。


受診を考える目安

しゃっくりが長時間続く・何度も繰り返す

48時間以上しゃっくりが続く、あるいは飲酒のたびに毎回必ず起こるといった状況は、一度医療機関に相談することをお勧めします。

胸やけ、吐き気、腹痛、飲み込みにくさを伴う

これらの症状が同時にある場合は、逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアなどの消化器疾患が関係している可能性があります。また喉の違和感が続く場合も、消化器系の評価が必要なことがあります。

発熱、息苦しさ、神経症状がある

発熱・呼吸困難・手足のしびれなどを伴う場合は、感染症や神経疾患など緊急性のある状態を否定する必要があります。速やかに受診してください。

飲酒に関係なくしゃっくりが続く場合

お酒を飲んでいない状況でも繰り返ししゃっくりが出る場合は、消化器・神経・代謝など別の原因が考えられます。早めに内科を受診することをお勧めします。


何科を受診すればよい?

まずは内科で相談できる

しゃっくりの症状は、まずかかりつけ医や内科で相談できます。問診や身体診察で症状の全体像を確認してもらいましょう。

症状によって消化器内科などが適することもある

胃・食道の症状を伴う場合は消化器内科が適していることがあります。神経症状がある場合は神経内科が必要になることもあります。


医療機関ではどんなことを確認する?

飲酒量や発症状況の聞き取り

どのような飲み方をしたか、いつ頃から症状が出たか、どのくらいの時間続いているかといった情報が診断の手がかりになります。

胃や食道、神経系の病気の有無を確認することがある

必要に応じて上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や血液検査、画像検査などが行われることがあります。背景にある疾患を適切に評価・治療することが、しゃっくりの根本的な改善につながります。


お酒しゃっくりを繰り返さないための予防の工夫

飲むペースをゆっくりにする

一気飲みや連続乾杯は避け、自分のペースで少量ずつ飲むよう心がけましょう。

空腹で飲まない

食事と一緒に、あるいは食事の後で飲むことで、胃への刺激を和らげることができます。

炭酸や刺激の強いものを控えめにする

炭酸飲料や辛いおつまみはしゃっくりを誘発しやすいため、頻繁にしゃっくりが出る方は量や頻度を意識してみましょう。

体調が悪い日は飲酒を避ける

体調不良時は消化器の働きが低下していることが多く、通常より少量のアルコールでも症状が出やすくなります。


よくある質問(FAQ)

Q. お酒をやめるとしゃっくりは止まりますか?

飲酒中に起こったしゃっくりは、飲酒をやめて胃の刺激が落ち着くことで自然に止まることがほとんどです。ただし、消化器疾患など別の原因がある場合は、飲酒をやめても症状が続くことがあります。

Q. ビールでしゃっくりが出やすいのはなぜですか?

ビールは炭酸ガスを多く含むため、飲むと胃の中でガスが発生し、短時間で胃が膨張します。この膨張が横隔膜を刺激することで、しゃっくりが起きやすくなると考えられています。

Q. しゃっくりが出たまま寝ても大丈夫ですか?

数分以内に止まる一時的なしゃっくりであれば、過度に心配する必要はありません。ただし、横になると胃酸が逆流しやすくなる方(逆流性食道炎など)は注意が必要です。また、しゃっくりが続いたまま深く眠れない、あるいは何時間も止まらない場合は医療機関に相談してください。

Q. 市販薬で止められますか?

日本では、一般的なしゃっくり専用の市販薬はほとんどありません。しゃっくりが長時間続く場合には、自己判断で薬を使うよりも医療機関を受診し、適切な診察を受けることをお勧めします。

Q. 毎回お酒でしゃっくりが出るのは病気ですか?

必ずしも病気とは限りませんが、毎回出るということはそれだけ横隔膜への刺激が強い状況が繰り返されている可能性があります。飲み方の見直しで改善することも多いですが、胸やけや飲み込みにくさなど消化器症状を伴う場合は、消化器疾患の可能性もあるため一度内科を受診されることをお勧めします。


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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員/全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー/神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役


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