血液がんの検査|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
「血液検査でがんはわかるのか?」と不安を感じて検索された方は少なくありません。結論からお伝えすると、血液検査は血液がんを疑うきっかけになることはありますが、血液検査だけでがんの有無を断定することはできません。本記事では、血液検査でわかること・わからないこと、血液がんの検査の流れについて、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。
なお、本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の診断・治療については必ず医師にご相談ください。
血液検査で「がんはわかる」のか?まず結論
血液検査だけでがんの有無を断定できない理由
血液検査は、貧血・感染症・肝機能・腎機能などを幅広く確認できる有用な検査です。しかし、血液検査の数値が「正常範囲内」であっても、がんが存在する可能性を完全には否定できません。逆に数値が異常であっても、がん以外の原因であることも多くあります。がんの診断には、画像検査・内視鏡検査・病理検査などを組み合わせた総合的な評価が必要です。
血液検査がきっかけで精密検査につながるケース
一方で、健康診断の血液検査で白血球数の異常や貧血が指摘され、精密検査を経て血液がんが発見されるケースは実際にあります。血液検査は「異常のサインに気づくきっかけ」として重要な役割を担っています。
そもそも「血液検査 がん」で検索される理由
健康診断や人間ドックで異常値を指摘された
健診で「白血球が多い」「貧血」「LDHが高い」などと指摘されると、がんとの関連が心配になるのは自然なことです。
がんの可能性を早く知りたい
家族にがんの既往がある方や、体調不良が続く方が「早期に可能性を確認したい」と思うのは理解できます。ただし、正確な判断には医師による診察と検査が不可欠です。
体調不良の原因を調べたい
原因不明の倦怠感・体重減少・発熱などが続く場合、血液検査はその原因を探る第一歩になります。
血液検査で確認する主な項目
血球系の異常(貧血・白血球・血小板)
赤血球・白血球・血小板の数や形態をみる血算(CBC)は、血液がんの発見に特に重要です。白血球数の著しい増加・減少、血小板の異常、原因不明の貧血は精査のきっかけになります。
炎症反応や臓器機能をみる項目
CRP(C反応性蛋白)・LDH(乳酸脱水素酵素)・β₂ミクログロブリン・肝機能・腎機能などの値は、体内の異常や臓器への影響を把握するうえで参考になります。
腫瘍マーカーの位置づけ
腫瘍マーカーとは、がん細胞が産生する特定の物質を血液中で測定する指標です。ただし、後述するようにスクリーニング(一次検診)としての精度には限界があります。
末梢血塗抹や追加検査が必要になることもある
血算で異常がみられた場合、顕微鏡で血液細胞の形態を詳しく確認する末梢血塗抹検査が追加されることがあります。これにより、白血病細胞などの異常な細胞が見つかることがあります。
血液検査で見つかることがある血液がん
白血病
骨髄で白血球が異常に増殖する病気です。急性白血病では白血球数の急激な変動・芽球(未熟な血液細胞)の出現が血液検査で確認されることがあります。慢性型では健診で偶然発見されるケースもあります。
悪性リンパ腫
リンパ節や臓器に発生するがんです。血液検査では貧血・LDH上昇・リンパ球の異常などが手がかりになりますが、確定診断にはリンパ節の生検(病理検査)が必要です。
多発性骨髄腫
形質細胞ががん化する病気で、血液中の異常なタンパク質(Mタンパク)増加・貧血・高カルシウム血症・腎機能低下などが検査上の所見として現れることがあります。
どのような異常がきっかけになるか
白血球数の著明な増減、原因不明の貧血・血小板減少、LDH高値、炎症反応(CRP)の持続的な高値などが、血液がんを疑う検査の異常として挙げられます。
血液検査でわかりにくいがんもある
早期がんは血液検査だけでは見逃されることがある
胃がん・大腸がん・肺がんなどの固形がんは、早期の段階では血液検査に明確な異常が出ないことが多く、血液検査のみでは発見が難しいとされています。
がんの部位によって異常が出にくい場合
臓器や部位によっては、腫瘍が進行するまで血液に影響が出にくいものもあります。
腫瘍マーカーが正常でも否定できない理由
腫瘍マーカーが正常範囲内であっても、がんが存在する可能性は否定できません。日本癌治療学会・日本臨床腫瘍学会のガイドラインでも、腫瘍マーカーは診断の補助的指標として位置づけられています。
腫瘍マーカーとは何か
どんなときに使う検査か
腫瘍マーカーは主に、がんの治療効果の評価・再発モニタリングのために用いられます。また、症状や画像所見と組み合わせることで診断の補助に活用されます。
スクリーニングよりも補助的な役割
一般的なスクリーニング(健常者への一斉検査)としての利用には限界があり、単独での確定診断には用いられません。
偽陽性・偽陰性が起こることがある
腫瘍マーカーは炎症・良性疾患・妊娠などでも上昇することがあります(偽陽性)。逆にがんが存在していても正常値を示す場合があります(偽陰性)。数値の解釈は必ず医師に相談してください。
がんが疑われるときに行う追加検査
画像検査(X線・CT・MRI・超音波)
腫瘍の位置・大きさ・広がりを確認するために用いられます。CTやMRIはより詳細な情報を得られます。
内視鏡検査
消化管のがんが疑われる場合、胃カメラ(上部消化管内視鏡)や大腸カメラ(下部消化管内視鏡)が有効です。詳しくは内視鏡検査とは?選び方・使い方を内科医が解説【たまプラーザ】をご参照ください。また、PET検査(PETスキャン)についてはペットとはの検査|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】もあわせてご覧ください。
骨髄検査や病理検査
血液がんが疑われる場合、骨髄穿刺・生検によって骨髄の細胞を直接調べる検査が行われます。確定診断には病理検査(細胞・組織の顕微鏡検査)が不可欠です。
診断は総合的に行う必要がある
がんの診断は、血液検査・画像検査・内視鏡・病理検査などを組み合わせて、専門医が総合的に判断します。血液検査の結果だけで結論を出すことはありません。
受診を考えたほうがよい血液検査の異常
以下のような所見が確認された場合は、医療機関への受診を検討してください(症状の程度は個人差があります)。
- 貧血が続く:原因不明・治療しても改善しない場合
- 白血球や血小板の異常を指摘された:著しい増加・減少
- 原因不明の炎症反応高値が続く:CRP・LDHの持続的高値
- 体重減少・発熱・寝汗などの症状がある:血液がんに特徴的な「B症状」と呼ばれる症状群
血液がんの検査は何科を受診する?
まずは内科・かかりつけ医へ
健診結果に不安がある場合は、まず内科・かかりつけ医へご相談ください。問診・診察・追加検査を通じて、専門医紹介の必要性を判断します。
必要に応じて血液内科や専門医へ紹介
血液がんが疑われる場合は、血液内科への紹介が行われます。地域連携のもと、適切なタイミングで専門医につなぐことが重要です。
受診時に持参したい検査結果
健診結果・過去の採血データ・お薬手帳があると、医師が状況を把握しやすくなります。
検査を受ける前に知っておきたいこと
採血前の注意点
一般的に、空腹時採血が推奨される項目(血糖・中性脂肪など)があります。受診前に医療機関の指示を確認してください。
検査結果だけで自己判断しない
数値の意味は、その方の年齢・病歴・症状などと合わせて判断する必要があります。インターネットの情報だけで結論を出さないことが大切です。
不安が強いときの相談先
「数値が気になるが何科に行けばよいかわからない」という場合も、内科・かかりつけ医への相談が第一歩です。
当院でのご相談について
健康診断異常の再確認
健診で血液検査の異常値を指摘された方の再検査・評価を行っています。
血液がんが心配な症状の相談
貧血・体重減少・発熱・リンパ節の腫れなど、気になる症状についてお気軽にご相談ください。
必要に応じた精密検査のご案内
当院での対応が難しい検査については、専門医療機関への紹介状を作成します。ご予約・お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。
よくある質問(FAQ)
血液検査でがんはどのくらいの確率でわかりますか?
がんの種類・病期・検査項目によって大きく異なります。血液がんでは血算異常から発見されることがありますが、固形がんの早期発見を血液検査のみに頼ることは難しいとされています。確率を一概に示すことはできず、症状・検査・画像を組み合わせた総合判断が基本です。
腫瘍マーカーが高いと必ずがんなのですか?
いいえ、必ずしもそうではありません。炎症・良性腫瘍・妊娠などでも上昇することがあります(偽陽性)。腫瘍マーカー単独でがんの診断を行うことはなく、他の検査と組み合わせて総合的に評価します。
採血で異常がなくてもがんの可能性はありますか?
あります。特に早期の固形がんでは、血液検査に異常が出ない場合がほとんどです。気になる症状がある場合は、血液検査が正常であっても医師に相談することをお勧めします。
血液がんは健康診断で見つかりますか?
慢性型の白血病や多発性骨髄腫などは、健診の血算や生化学検査の異常をきっかけに発見されることがあります。一方、急性型は症状が出てから発見されるケースが多いです。
血液検査で異常があったら、すぐに大きな病院へ行くべきですか?
必ずしもそうではありません。まずはかかりつけ医・内科を受診し、追加検査や紹介の必要性を医師に判断してもらうのが適切です。自己判断での受診先選びは混乱を招くこともあります。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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