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十二指腸潰瘍とは?原因・症状・対処を医学博士が解説【たまプラーザ】

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十二指腸潰瘍とは?原因・症状・治療・再発予防まで消化器専門医が解説

導入:十二指腸潰瘍とは何か
十二指腸潰瘍とは、胃の出口に続く「十二指腸」の粘膜が傷ついて欠損した状態をいいます。胃潰瘍と並んで消化性潰瘍の代表的な疾患のひとつであり、日本消化器病学会のガイドラインでも診断・治療の標準化が進んでいる疾患です。
症状が似ている胃潰瘍との違い、原因として重要なピロリ菌感染や服薬との関連、さらに診断の流れや治療法、日常生活での注意点まで、本記事では消化器外科専門医の立場から医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。気になる症状がある場合は、自己判断せず必ず医師の診察をお受けください。
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十二指腸潰瘍の基礎知識
十二指腸の位置と役割
[十二指腸](/juunishichou/)は、胃の幽門部(出口)に続く消化管の一部で、小腸の最初の約25cmの部分を指します。その名のとおり、指12本分の長さに由来する名称です。十二指腸は膵臓からの膵液と胆嚢からの胆汁を受け取り、食物の消化吸収において重要な役割を果たしています。[十二指腸がどのあたりにあるか](/juunishichou-doko/)は、みぞおちのやや右寄りから腹部の深部に位置し、外から直接触れることはできません。
十二指腸潰瘍の病態
十二指腸潰瘍は、粘膜を守る防御因子(粘液・血流など)と粘膜を傷つける攻撃因子(胃酸・ペプシンなど)のバランスが崩れることで生じます。十二指腸の粘膜は胃酸にさらされやすい環境にあり、特に球部(胃に近い部分)に潰瘍が形成されやすいとされています。
胃潰瘍との違い
胃潰瘍と十二指腸潰瘍はどちらも消化性潰瘍ですが、いくつかの点で異なります。十二指腸潰瘍は比較的若年者にも見られ、空腹時や夜間に痛みが出やすいとされています。一方、胃潰瘍は食後に症状が現れやすい傾向があります。詳しい比較は後述の「胃潰瘍・十二指腸潰瘍の違いを整理」の項でご説明します。
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十二指腸潰瘍の主な原因
ピロリ菌感染
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染は、十二指腸潰瘍の最も重要な原因のひとつとされています。ピロリ菌は胃の粘膜に定着し、炎症を引き起こすとともに粘膜の防御機能を低下させます。その結果、胃酸による粘膜傷害が起こりやすくなると考えられています。日本消化器病学会のガイドラインでも、ピロリ菌陽性の十二指腸潰瘍に対する除菌治療の重要性が示されています。
NSAIDs・解熱鎮痛薬の影響
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、関節痛や頭痛などに広く使用される薬剤ですが、プロスタグランジンの産生を抑制することで胃や十二指腸の粘膜防御機能を低下させることがあります。市販の解熱鎮痛薬にもNSAIDsが含まれているものがありますので、長期服用の際には注意が必要です。
胃酸分泌や生活習慣の関与
喫煙は胃酸分泌を増加させ、粘膜の血流を低下させることが知られており、潰瘍の発症・再発に関与する可能性があります。過度の飲酒、過度のストレス、不規則な食生活なども悪化要因になり得ると考えられています。ただし、これらは単独で必ず潰瘍を引き起こすとは言えず、複合的な要因として捉えることが重要です。
まれな原因
ゾリンジャー・エリソン症候群は、膵臓や十二指腸にできる腫瘍(ガストリノーマ)が大量のガストリンを産生し、過剰な胃酸分泌を引き起こす病態です。頻度は低いものの、難治性の潰瘍や多発潰瘍がみられる場合には鑑別が必要となります。
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十二指腸潰瘍の症状
みぞおちの痛み
十二指腸潰瘍の代表的な症状として、みぞおちの痛み(心窩部痛)があります。空腹時や夜間に痛みが出やすいとされており、食事をとることで一時的に和らぐ場合もあります。ただし、症状の出方には個人差があります。
吐き気・胸やけ・胃もたれ
みぞおちの痛みのほかに、吐き気、胸やけ、胃もたれといった消化器症状が現れることもあります。これらの症状は他の消化器疾患でも起こり得るため、症状だけで自己判断することは難しい場合があります。
黒色便・吐血
潰瘍部位から出血が起こると、黒色便(タール便)や吐血が現れることがあります。黒色便は血液が消化管を通る過程で変色したものであり、消化管出血のサインである可能性があります。このような症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
無症状のこともある
十二指腸潰瘍があっても自覚症状がほとんどない場合もあります。健康診断や他の疾患の検査で偶然発見されることもあるため、定期的な健診が潰瘍の早期発見につながることがあります。
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診断の流れ
問診と診察
診断の第一歩は丁寧な問診です。症状の内容・期間、服薬歴(特にNSAIDsやアスピリンなど)、既往歴、喫煙・飲酒の状況などを確認します。これらの情報は、原因の特定や治療方針の決定に役立ちます。
胃カメラ(上部消化管内視鏡)
確定診断には上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が最も有用とされています。潰瘍の部位・大きさ・深さ、出血の有無を直接確認できるほか、必要に応じて組織を採取(生検)して詳しく調べることも可能です。胃がんとの鑑別においても重要な検査です。
ピロリ菌検査
ピロリ菌感染の有無を調べる方法には、呼気検査(尿素呼気試験)、便抗原検査、血清抗体検査、内視鏡時の迅速ウレアーゼ試験や培養検査などがあります。それぞれに特徴があり、状況に応じて適切な検査が選択されます。
必要に応じた血液検査・画像検査
出血が疑われる場合には貧血の有無を確認する血液検査が行われます。穿孔(潰瘍が深くなり腸管に穴が開く状態)が疑われる際には、腹部X線や腹部CTなどの画像検査が必要になることがあります。
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治療の基本
胃酸を抑える薬物療法
十二指腸潰瘍の治療では、胃酸分泌を抑える薬が中心的な役割を果たします。プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)などが使用されます。これらは胃酸の産生を効果的に抑制することで、潰瘍の治癒を促すとされています。
ピロリ菌除菌治療
ピロリ菌感染が確認された場合、除菌治療が行われます。除菌には複数の抗菌薬と酸分泌抑制薬を組み合わせた内服療法が一般的です。除菌が成功することで潰瘍の再発リスクが低下する可能性があると報告されていますが、治療の効果には個人差があります。除菌後も定期的なフォローアップが大切です。
NSAIDsの見直し
NSAIDsが潰瘍の原因または悪化要因と考えられる場合、可能であれば中止または他の薬剤への変更が検討されます。ただし、自己判断で服薬を中断することはほかの病状の悪化につながる可能性がありますので、必ず主治医にご相談ください。
出血や穿孔がある場合の対応
出血が確認された場合は内視鏡的止血術が行われることがあります。穿孔(腸管に穴が開いた状態)や大量出血などの重症例では、緊急手術が必要となることもあります。このような場合は入院による管理が求められます。
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日常生活で気をつけること
服薬は医師の指示に従う
症状が軽くなったからといって自己判断で薬を中断すると、潰瘍が完全に治癒しないまま再燃するリスクがあります。処方された期間はしっかり服薬を続けることが大切です。
胃に負担をかけにくい生活
刺激の強い食品(香辛料、酸味の強い食品など)は過剰に摂取しないようにすることが一般的に勧められています。喫煙は粘膜の回復を妨げる可能性があるため、禁煙が望ましいとされています。過度の飲酒も控え、規則正しい食生活と十分な睡眠を心がけることが、胃腸の負担軽減につながると考えられます。
再発予防の考え方
再発予防のためには、潰瘍の原因を明らかにし、それに対応した治療を継続することが重要です。ピロリ菌感染があれば除菌の確認、NSAIDsが原因であれば処方の見直しなど、個々の状況に合わせた対応を主治医と相談しながら進めることが勧められます。
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放置すると起こり得る合併症
出血
潰瘍が深くなると血管が傷つき、出血が起こることがあります。慢性的な少量出血が続くと貧血が進行することがあり、大量出血の場合は緊急の処置が必要になります。
穿孔
潰瘍がさらに深く進行すると、十二指腸の壁に穴が開く「穿孔」が起こることがあります。腹腔内に消化液が漏れ出すと腹膜炎を引き起こし、生命に関わる緊急事態となります。
狭窄
潰瘍が繰り返すことで瘢痕(傷跡)が形成され、十二指腸が狭くなる「狭窄」が起こることがあります。食物の通過が障害され、嘔吐や食欲不振などの症状につながる場合があります。
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胃潰瘍・十二指腸潰瘍の違いを整理
痛みの出るタイミング
十二指腸潰瘍では空腹時や夜間に痛みが出やすい傾向があるとされています。一方、胃潰瘍は食後に痛みが現れやすいとされています。ただし、これらはあくまで傾向であり、個人差があります。
好発部位と背景因子
十二指腸潰瘍は十二指腸の球部に好発し、ピロリ菌感染との関連が特に強いとされています。胃潰瘍は胃の前庭部や小彎に多く見られ、NSAIDsの影響や高齢者に多い傾向があります。
受診・検査の必要性
症状だけで胃潰瘍か十二指腸潰瘍かを判断することは困難です。また、胃がんなど他の重大な疾患が隠れている可能性もあるため、自己判断せず内視鏡検査を含む医師の診察を受けることが重要です。
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よくある質問
十二指腸潰瘍は自然に治ることがある?
軽度の潰瘍が自然に軽快することはあり得ますが、原因(ピロリ菌感染やNSAIDs服用など)が取り除かれないままでは再発するリスクがあります。また、無症状のまま出血や穿孔が進行することもあるため、自然経過に任せず医師の診察を受けることを推奨します。
食事は何を避ければよい?
特定の食品を厳格に禁止するよりも、バランスのよい食事を心がけることが基本です。刺激の強い食品や過度の飲酒は避けることが一般的に勧められていますが、個人差があります。具体的な食事指導については、主治医や管理栄養士にご相談ください。
市販薬で対応できる?
市販の制酸薬や胃薬で一時的に症状が和らぐことはありますが、診断が確定していない状態での自己対応には限界があります。症状が繰り返す場合や強い痛みがある場合は、速やかに医療機関を受診されることを推奨します。また、市販の解熱鎮痛薬(NSAIDs)を服用している場合は、その使用についても医師に相談してください。
再発しやすい?
ピロリ菌の除菌が成功した場合は再発リスクが低下すると報告されていますが、NSAIDs継続使用や喫煙など他の要因がある場合は再発する可能性があります。原因に応じた対応と定期的なフォローアップが再発予防において重要です。
ピロリ菌がいなければ起こらない?
ピロリ菌感染は重要な原因のひとつですが、NSAIDsの服用、ストレス、ゾリンジャー・エリソン症候群など、ピロリ菌感染がなくても十二指腸潰瘍が発症することがあります。症状がある場合は、ピロリ菌の有無にかかわらず医師の診察を受けることが大切です。
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受診の目安
早めに消化器内科・消化器外科を受診したい症状
– みぞおちの痛みが数日以上続く
– 空腹時や夜間に繰り返しみぞおちが痛む
– 食欲が低下している、食べると気持ち悪い
– 体重が特に理由なく減っている
– 胸やけ・吐き気が続く
すぐに医療機関を受診すべき症状
– 黒色便(タール便)が出た
– 赤い血を吐いた(吐血)
– 突然の強い腹痛
– ふらつきや立ちくらみを伴う
救急受診を考える状況
– 吐血や大量の血便で顔色が悪く、意識が朦朧としている
– 腹部全体が板のように硬く、激しい痛みが続く(穿孔の疑い)
– 冷や汗、脈が速い、ぐったりしているなど全身状態が悪い
これらの症状がある場合は迷わず救急医療機関を受診してください。
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まとめ
[十二指腸潰瘍](/12yubichoukaiyou/)は、ピロリ菌感染やNSAIDsの使用、生活習慣など複合的な要因によって起こる消化性潰瘍です。みぞおちの痛みや空腹時・夜間の痛みが典型的な症状ですが、無症状のこともあります。出血や穿孔などの合併症に進行することもあるため、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
診断には上部消化管内視鏡検査が有用であり、ピロリ菌感染が確認された場合は除菌治療が再発予防につながる可能性があります。症状が改善しても自己判断で服薬を中断せず、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。また、食道との境界部にある[食道裂孔ヘルニア](/hiatal-hernia/)など関連する消化器疾患についても、気になる症状があれば合わせてご相談ください。
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関連記事
– [食道裂孔ヘルニア](/hiatal-hernia/)
– [12指腸潰瘍](/12yubichoukaiyou/)
– [十二指腸](/juunishichou/)
– [十二指腸 どこ](/juunishichou-doko/)
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科
福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。
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