オンライン予約はこちら

萎縮性胃炎の症状|内科医がわかりやすく解説

健康ブログ

健康で楽しい生活を送る

萎縮性胃炎の症状|内科医がわかりやすく解説

萎縮性胃炎は、胃の粘膜が慢性的な炎症によって薄く変化(萎縮)した状態です。自覚症状が乏しいケースも多く、「胃が不調な気がするけれど、どの程度深刻なのかわからない」という方も少なくありません。本記事では、萎縮性胃炎の症状・原因・診断・治療について、消化器専門医の監修のもとわかりやすく解説します。気になる症状がある場合は、ご自身での判断に頼らず消化器内科・内科への受診をご検討ください。

萎縮性胃炎とは?まず知っておきたい基礎知識

胃炎の中での「萎縮性胃炎」の位置づけ

胃炎は大きく急性胃炎と慢性胃炎に分けられます。萎縮性胃炎は慢性胃炎の一型で、長期にわたる炎症によって胃粘膜の腺組織(胃酸や消化酵素を分泌する細胞)が減少・薄くなった状態を指します。日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、慢性胃炎の多くがヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)感染を背景に発症するとされています。

ヘリコバクター・ピロリ菌との関係

ピロリ菌は胃の粘膜に持続的に感染し、慢性炎症を引き起こします。感染が長く続くと、胃粘膜の萎縮が進行しやすいことが知られています。日本では中高年を中心に感染者が多く、萎縮性胃炎の主な原因として位置づけられています。

萎縮性胃炎の症状

初期に自覚しにくいことが多い理由

胃粘膜の萎縮は徐々に進行するため、初期段階では自覚症状が現れにくいのが特徴です。胃酸の分泌低下に伴い、むしろ「痛み」が感じられにくくなる場合もあります。そのため、健診や別の理由で行った検査で偶然発見されるケースも少なくありません。

よくみられる症状

萎縮性胃炎でよくみられる症状として、以下が挙げられます。

  • みぞおち周辺の不快感・鈍い痛み
  • 胃もたれ・重い感じ
  • 食後の膨満感(食べると早く満腹になる)
  • むかつき・吐き気
  • げっぷが増える
  • 食欲不振

これらの症状は軽度であったり、症状の出方に波があったりするため、「なんとなく胃の調子が悪い」程度に受け止められることもあります。

症状がない場合でも注意したいケース

症状がまったくなくても、ピロリ菌に感染していたり、内視鏡検査で萎縮が確認されていたりする場合は、定期的な経過観察が推奨されます。特に中高年でピロリ菌の既往歴がある方や、家族に胃がんの既往がある方は、無症状であっても消化器内科への相談が望まれます。

萎縮性胃炎と似た症状が出る病気

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

みぞおちの痛みや胃もたれは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍でも現れます。潰瘍の場合は空腹時に痛みが強くなる、食後に症状が変化するなどの特徴がみられることがありますが、症状だけでの鑑別は難しく、内視鏡検査が重要です。詳しくはびらん性胃炎とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご参照ください。

逆流性食道炎

胸やけ・胃もたれ・酸っぱいものが上がる感覚(呑酸)は、逆流性食道炎の代表的な症状です。萎縮性胃炎と合併することもあるため、胃カメラで食道から胃にかけて総合的に確認することが大切です。

機能性ディスペプシア

胃もたれ・早期満腹感・みぞおちの不快感があっても、内視鏡などの検査で器質的な異常が見当たらない場合を機能性ディスペプシアと呼びます。萎縮性胃炎との症状の重なりが大きく、詳細な検査と診察による鑑別が必要です。詳しくは親ピラーページ「機能性ディスペプシアとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】」をご覧ください。

胃がんとの見分けが必要な理由

萎縮性胃炎と胃がんは、初期段階では症状が似ていることがあります。自覚症状だけで胃がんを否定することはできないため、気になる症状が続く場合は内視鏡検査による確認が重要です。詳しくは胃がんの症状|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】をご参照ください。

萎縮性胃炎の原因

ピロリ菌感染が最も多い原因

萎縮性胃炎の原因として最も頻度が高いのがピロリ菌感染です。ピロリ菌は幼少期に感染することが多く、成人になるまで気づかないまま慢性炎症が続くことがあります。

加齢や生活習慣との関係

加齢に伴い胃粘膜が薄くなる変化は自然にも生じますが、塩分の多い食事・喫煙・過度の飲酒・ストレスなどの生活習慣が炎症を助長するとされています。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの薬剤が胃粘膜に影響を及ぼす場合もあります。

自己判断しにくい背景

萎縮の程度や範囲は外から判断できず、内視鏡や病理検査(生検)によって初めて確認できます。「胃が弱いだけ」と思い込んで受診を先延ばしにすることが、診断の遅れにつながることがあります。

受診の目安

こんな症状があるときは内科・消化器内科へ

  • みぞおちの不快感・鈍痛が2週間以上続く
  • 食後の膨満感・胃もたれが繰り返す
  • 食欲不振が続く
  • 吐き気・むかつきが頻繁にある

早めの受診がすすめられる危険サイン

  • 体重の原因不明な減少
  • 黒色便(タール便)または血便
  • 嚥下困難(食べ物が飲み込みにくい)
  • 貧血症状(立ちくらみ・疲れやすさ)

救急受診を考えるべき症状

激しい腹痛・大量の吐血・意識の低下がある場合は、ただちに救急受診をご検討ください。

萎縮性胃炎の診断方法

問診と診察で確認すること

症状の経過・期間・ピロリ菌感染歴・家族歴・服用薬などを詳しく伺います。腹部の触診も行い、症状のパターンを整理します。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)

萎縮性胃炎の診断には上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が最も重要です。胃粘膜の色調変化・血管透見(血管が透けて見える)・ひだの平坦化などを直接観察できます。必要に応じて組織の一部を採取(生検)し、病理診断を行います。

ピロリ菌検査と関連検査

ピロリ菌の有無は、内視鏡時の迅速ウレアーゼ試験・血液や尿の抗体検査・尿素呼気試験・便中抗原検査などで調べます。血液検査では、ペプシノゲン法(胃粘膜萎縮の程度を推定する検査)が行われることもあります。

必要に応じて行う追加検査

貧血や栄養状態の確認のための血液検査、腹部超音波検査などが追加されることがあります。

萎縮性胃炎の治療

原因に応じた治療の考え方

治療の基本は原因への対処です。ピロリ菌が確認された場合は除菌治療が優先されます。症状が強い場合は薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせます。

ピロリ菌除菌治療

ピロリ菌の除菌には、2種類の抗菌薬と胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)を1週間服用する一次除菌が標準的です。除菌成功後は炎症の進行が抑えられることが期待されており、日本ヘリコバクター学会ガイドラインでも推奨されています。一次除菌が不成功の場合は二次除菌へ移行します。

症状をやわらげる薬物治療

胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬・H₂受容体拮抗薬)・胃粘膜保護薬・消化管運動改善薬などが、症状に応じて処方されます。

生活習慣の見直し

食事・飲酒・喫煙の改善は薬物療法と並行して重要です(後述)。

放置するとどうなる?注意したい合併症と経過

胃粘膜の変化と長期的なリスク

萎縮が進行すると、胃粘膜の一部が腸の粘膜に似た細胞に置き換わる「腸上皮化生」が生じることがあります。これは前がん病変の一つとして位置づけられており、注意が必要な変化です。

胃がんリスクとの関係

萎縮性胃炎(特にピロリ菌感染を伴う場合)は、胃がんのリスク因子の一つとして知られています。ただし、萎縮性胃炎があれば必ず胃がんになるわけではなく、定期的な内視鏡検査による経過観察が重要です。

定期的な経過観察が大切な理由

萎縮の程度や腸上皮化生の有無によって、内視鏡検査の間隔(1〜3年ごとなど)を医師が判断します。自覚症状がなくても、定期検査を継続することが早期発見につながります。

日常生活で気をつけたいこと

食事で意識したいポイント

  • 塩分の多い食事(漬物・塩辛・加工食品)を控える
  • 香辛料・刺激物の過剰摂取を避ける
  • 規則正しい食事リズムを心がける
  • 早食い・過食を避け、よく噛んで食べる

飲酒・喫煙との関係

過度の飲酒と喫煙はいずれも胃粘膜への刺激となり、炎症を悪化させる可能性があります。禁煙・節酒を意識することが、胃粘膜の保護につながります。

症状があるときの過ごし方

症状が強い時期は消化のよい食事を心がけ、ストレスや睡眠不足にも注意してください。市販の胃薬で一時的に症状が改善しても、根本的な原因の評価なしに自己対処を続けることは適切とはいえません。

たまプラーザで受診を考えている方へ

胃の症状が続くときに相談しやすい診療科

みぞおちの不快感・胃もたれ・食欲不振などが2週間以上続く場合は、内科または消化器内科への受診をご検討ください。ピロリ菌感染が疑われる場合や、過去に胃炎の指摘を受けたことがある場合も、一度専門的な評価を受けることをおすすめします。

胃カメラやピロリ菌検査を受けるタイミング

「症状がないから大丈夫」ではなく、40歳を超えた方でピロリ菌検査未受診の方、健診で「胃に異常あり」と指摘された方は、早めの受診が望まれます。受診のご相談はご予約・お問い合わせからお気軽にどうぞ。

よくある質問(FAQ)

萎縮性胃炎は自然に治りますか?

ピロリ菌感染による萎縮性胃炎は、原因を取り除かない限り自然に改善することは難しいとされています。除菌治療により炎症の進行が抑えられることは期待できますが、すでに生じた萎縮が完全に元通りになるかどうかは個人差があります。医師の指示のもとで適切な治療・経過観察を行うことが重要です。

症状がなくても治療や検査は必要ですか?

ピロリ菌感染が確認されている場合や、内視鏡で萎縮が認められている場合は、症状の有無に関わらず治療・定期検査が推奨されます。無症状であっても経過観察をしっかり続けることが、リスク管理の観点から大切です。

ピロリ菌を除菌すると症状はすぐ改善しますか?

除菌後に症状が改善する方もいますが、効果の現れ方や時期には個人差があります。除菌が成功しても胃粘膜の回復には時間がかかる場合があり、除菌後も定期的な内視鏡検査を継続することが推奨されています。

萎縮性胃炎があると必ず胃がんになりますか?

萎縮性胃炎はリスク因子の一つですが、萎縮性胃炎があれば必ず胃がんになるわけではありません。定期的な内視鏡検査を受け、異常の早期発見に努めることが大切です。過度に心配しすぎず、医師と相談しながら経過を管理することをおすすめします。

胃薬を飲み続ければ様子を見てもよいですか?

市販の胃薬は一時的な症状緩和に役立つことがありますが、萎縮性胃炎の根本的な診断・治療を代替するものではありません。症状が続く場合は市販薬のみで対応せず、医療機関での検査を受けることをおすすめします。

関連記事

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

AIプラスクリニックたまプラーザのご案内

たまプラーザで内科・消化器の気になる症状がある方へ。胃もたれ・みぞおちの不快感・食欲不振など、「念のため確認したい」というご相談も歓迎しております。胃カメラやピロリ菌検査など、受診の目安や検査内容についてもお気軽にお問い合わせください。

ご予約・お問い合わせ

TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)

初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。

AIプラスクリニックたまプラーザ
こんにちは!ご質問にお答えします。

・診療時間や予約方法
・アクセス方法
・診療科目について

サイト内の記事も参考に回答しますので、お気軽にお尋ねください。