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# ピロリ菌検査でわかること|種類・流れ・結果の見方まで消化器外科専門医が解説

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胃の不調が続いたとき、あるいは健康診断や人間ドックで「ピロリ菌の検査を勧められた」というご経験をお持ちの方は少なくないかもしれません。ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃炎や胃・十二指腸潰瘍、さらには胃がんとの関連が医学的に認められており、国内外のガイドラインでも検査・除菌の重要性が示されています。本記事では、ピロリ菌検査の目的・種類・受け方から、検査結果の解釈や除菌後のフォローまで、消化器外科専門医の視点でわかりやすく解説します。

ピロリ菌検査とは

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に定着するらせん形の細菌です。感染すると胃の粘膜に炎症(慢性胃炎)を引き起こし、長期にわたってさまざまな消化器疾患のリスクと関連することが知られています。

ピロリ菌検査とは、現在この菌が胃の中に存在しているかどうか、あるいは過去に感染歴があるかどうかを調べる検査の総称です。検査の方法は複数あり、それぞれ精度や適応が異なります。「どの検査を選ぶか」は、症状の有無・年齢・既往歴・受診目的などを踏まえ、医師と相談しながら決めることが大切です。

ピロリ菌検査が必要とされる理由

日本ヘリコバクター学会のガイドラインをはじめ、国内外の医学的知見において、ピロリ菌感染は以下の疾患と関連することが示されています。

  • 慢性胃炎・胃粘膜萎縮
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 胃がん(特に腸型胃がん)
  • 胃MALTリンパ腫 など

国立がん研究センターや厚生労働省の情報でも、ピロリ菌感染は胃がんの主要なリスク因子として位置づけられています。感染していても自覚症状のない方は多く、症状がない段階で把握しておくことが、早期対応への第一歩になります。

どんな人が検査を受けるべきか

以下に該当する方は、医師への相談を検討するとよいでしょう。

  • 胃痛・胃もたれ・胸やけなど消化器症状が続いている方
  • 内視鏡検査で慢性胃炎や胃粘膜萎縮を指摘された方
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍を過去に経験した方
  • 胃がんや胃潰瘍の家族歴がある方
  • 健康診断・人間ドックでピロリ菌検査を勧められた方
  • 年齢的なリスクを踏まえて予防的に確認したい方

ただし、検査の適応や方法は個人の状態によって異なります。自己判断で検査キットを購入する前に、まずは医療機関にご相談されることをお勧めします。

ピロリ菌検査の主な種類

ピロリ菌検査には大きく「内視鏡を使わない方法(非侵襲的検査)」と「内視鏡を使う方法(侵襲的検査)」があります。

尿素呼気試験(UBT)

現在感染しているかどうかを調べる方法として、精度が高く広く使われている検査です。ピロリ菌が持つ酵素(ウレアーゼ)が尿素を分解する性質を利用し、特殊な薬剤(標識尿素)を服用したあとに呼気を採取して分析します。

  • 精度:感度・特異度ともに高く、現感染の判定に適しています
  • 負担:採血や内視鏡が不要で、身体的な負担が少ない
  • 注意点:検査前2週間程度はプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの胃薬を中止する必要があります。また抗菌薬服用後は偽陰性になる場合があるため、医師への事前申告が重要です

便中抗原検査

便の中に含まれるピロリ菌の抗原(たんぱく質成分)を調べる方法です。自宅での採便が可能なため、受診前後の負担が比較的少ない検査です。除菌治療後の判定(除菌成功かどうかの確認)にも使用されます。

  • 注意点:こちらも胃薬(PPI)の影響を受けるため、服用中の方は事前に医師へご相談ください

血清抗体検査

血液中のピロリ菌に対する抗体(IgG抗体)を測定する方法です。採血のみで実施できるため、健診などで広く行われています。

  • 留意点:除菌後も一定期間抗体が残存するため、現在の感染を判定するには向かない場合があります。過去感染と現感染の区別が難しく、陽性であっても他の方法で確認する必要があることがあります

ピロリ菌検査 血液では、血液検査(血清抗体検査)の詳しい仕組みや精度について、さらに詳しく解説しています。あわせてご参照ください。

内視鏡を使う検査

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を行う際に、胃の粘膜組織を採取してピロリ菌を調べる方法です。主に以下の3種類があります。

  • 迅速ウレアーゼ試験:組織をウレアーゼ含有の試験液に入れて変色を確認。短時間で結果が得られます
  • 培養法:組織を培養して菌の有無を確認。時間がかかりますが除菌薬の感受性確認にも活用されます
  • 鏡検法(組織鏡検法):組織を染色して顕微鏡で菌を直接観察します

内視鏡検査は胃の粘膜状態の評価と同時にピロリ菌の確認ができるため、消化器症状がある方や胃炎・潰瘍を疑う場面で特に有用です。内視鏡検査では、胃カメラの検査全般についてわかりやすく解説していますので、ご興味のある方はご覧ください。

検査の流れ

  1. 受診・問診:現在の症状、服用中の薬(特に胃薬・抗菌薬)、既往歴を医師に伝えます
  2. 検査方法の選択:症状や目的に応じて医師が適切な検査を提案します
  3. 検査実施:尿素呼気試験・便中抗原検査・採血、あるいは内視鏡検査を実施
  4. 結果説明:検査の種類によって結果が出るまでの時間は異なります(当日〜数日後)
  5. 次のステップ確認:陽性だった場合は除菌治療の適応について医師と相談します

検査前に知っておきたい注意点

検査の種類 胃薬(PPI等)の影響 食事制限 その他の注意点
尿素呼気試験 要中止(約2週間前から) 検査前は絶食が必要 抗菌薬服用後は間隔をあける
便中抗原検査 要中止(約2週間前から) 特になし 採便方法の説明を確認
血清抗体検査 影響は少ない 特になし 除菌後の陽性継続に注意
内視鏡検査(迅速ウレアーゼ試験等) 要中止(約2週間前から) 検査前は絶食が必要 組織採取を伴う場合がある

服用中の薬はすべて医師に申告してください。自己判断で薬を中止したり変更したりすることは避けていただく必要があります。

検査結果の見方

  • 陽性(ピロリ菌あり):現在感染している可能性が高い状態です。ただし検査方法によっては偽陽性(実際には感染していないのに陽性)が出る場合もあります
  • 陰性(ピロリ菌なし):感染していない可能性が高い状態ですが、偽陰性(実際には感染しているが陰性と出る)のリスクもゼロではありません。特に胃薬服用中の場合には注意が必要です

一度の検査だけで判断するのではなく、症状や状況に応じて複数の方法で確認することもあります。結果の解釈は必ず医師に行っていただくことが大切です。

陽性だった場合に考えられること

ピロリ菌陽性と判定された場合、日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは原則として除菌治療が推奨されています。一般的な除菌治療(一次除菌)は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)+2種類の抗菌薬を7日間服用する方法です。

除菌治療は必ず医師の処方のもとで行うものです。自己判断での服用や中断は避けてください。また、除菌の適否は基礎疾患や服用中の薬によっても異なりますので、主治医との相談が欠かせません。

除菌後の確認検査

除菌治療終了後は、除菌が成功したかどうかの確認検査(除菌判定)が必要です。治療終了から4週間以上が経過した後に、尿素呼気試験または便中抗原検査を用いて判定するのが一般的です(血清抗体検査は判定に適していません)。

一次除菌が不成功の場合は、薬剤を変更した二次除菌が行われます。除菌後も定期的な内視鏡検査を受け、胃粘膜の状態を確認することが推奨されています。

費用の目安と保険適用

ピロリ菌検査の保険適用については、以下の点を押さえておくとよいでしょう。

  • 保険診療が適用される場合:内視鏡検査で胃炎・潰瘍などが確認された場合、または胃潰瘍・十二指腸潰瘍・早期胃がんなど一定の疾患と診断された場合に保険適用となります
  • 自費診療になる場合:症状がなく健康確認目的で検査を受ける場合、健診での実施など、保険適用の条件を満たさない場合は自費となります

費用は受診する医療機関や検査方法によって異なります。詳細はピロリ菌検査費用の記事で、保険適用の条件や自費診療の費用感についてさらに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

検査を受ける医療機関の選び方

  • 消化器内科・内科:胃の症状がある場合や、内視鏡検査を希望する場合に適しています
  • 消化器外科:消化器疾患の診断・治療を包括的に行う専門科です
  • 健診機関:症状がなく予防的に確認したい場合、健診機関での実施も選択肢のひとつです

いずれの場合も、症状が気になる方は健診ではなく医療機関への受診を優先されることをお勧めします。

ピロリ菌検査のよくある質問

ピロリ菌検査は痛いですか

尿素呼気試験・便中抗原検査・血清抗体検査は、痛みや身体的な負担がほとんどありません。内視鏡検査を伴う場合は、のどへの挿入感を感じることがありますが、鎮静剤(静脈麻酔)を使用することで負担を軽減できる場合があります。検査前に医師や看護師にご相談ください。

健康診断で受けられますか

健診・人間ドックによっては、血清抗体検査や尿素呼気試験がオプションとして含まれている場合があります。ただし保険適用にはならないことが多く、自費となります。症状がある場合は健診ではなく医療機関での受診をお勧めします。

ピロリ菌は家族にうつりますか

ピロリ菌の感染経路は完全には解明されていませんが、主に幼少期の経口感染(口を介した感染)が関与していると考えられています。家族内での感染経路については、現時点で断定的なことはいえませんが、同居する家族にも感染している可能性は否定できません。ピロリ菌 原因では、感染経路や感染しやすい状況についてより詳しく解説しています。

除菌したら再感染しませんか

除菌後の再感染率は成人では低いとされていますが、ゼロではありません。除菌後も定期的な検査や内視鏡フォローが推奨されます。

症状がなくても検査したほうがよいですか

ピロリ菌感染は無症状のまま経過することも多くあります。症状の有無だけでなく、年齢・家族歴・胃炎の既往なども踏まえて判断する必要があります。「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、気になる方は一度医師にご相談されることをお勧めします。

受診の目安

以下のような症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。

  • 胃痛・みぞおちの痛みが続く
  • 胃もたれ・食欲不振・吐き気が改善しない
  • 黒い便(タール便)や血便がある
  • 吐血があった
  • 体重が急に減少した
  • 健診や他院でピロリ菌陽性・胃炎・潰瘍を指摘された

特に黒い便・吐血・急な体重減少は、消化器疾患のサインである可能性があります。これらの症状がある場合はお早めに医療機関を受診してください。

まとめ

ピロリ菌検査は、胃炎・潰瘍・胃がんのリスク把握において重要な役割を担っています。主な検査方法には尿素呼気試験・便中抗原検査・血清抗体検査・内視鏡を使った検査があり、それぞれ特徴が異なります。検査前の薬剤確認・食事制限の有無など準備も検査ごとに異なるため、事前に医師への確認が欠かせません。陽性の場合は、医師の指示のもとで除菌治療を検討し、除菌後は判定検査とその後のフォローを継続することが大切です。ご自身の状態に合った検査・治療について、まずは消化器専門医にご相談ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。

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