おなら多いの原因|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
おならが多いと感じる原因の多くは、食事内容・食べ方・腸内環境・便秘といった生活習慣に関連しています。ただし、まれに過敏性腸症候群や消化器疾患など、医療機関での診察が必要な状態が隠れていることもあります。本記事では、おならが多くなる仕組みと原因を医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。なお、本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状の診断・治療は医師の診察が前提となります。
親ピラー記事もあわせてご参照ください:おならがよく出るとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】
おならが多いのはなぜ?まず知っておきたい基本
おならはなぜ出るのか
おならは、腸内に蓄積したガスが肛門から排出される生理現象です。腸内のガスは主に、食事や飲み物と一緒に飲み込んだ空気(窒素・酸素)と、腸内細菌が食物繊維や糖類を分解する際に産生するガス(水素・二酸化炭素・メタンなど)から構成されます。
1日に出るおならの目安
健康な成人でも、1日に10〜20回程度おならが出るとされており、これは生理的な範囲内です。ガスの総量は1日あたり200〜2,000mL程度とされています。回数や量には個人差があり、食事内容によっても大きく変動します。
「多い」と感じるのはどんなときか
明確な医学的定義はありませんが、「普段より明らかに回数が増えた」「お腹の張りやガス感を伴う」といった場合に、多くの方が「おならが多い」と感じます。原因を知ることで、適切な対処につながります。
おならが多い主な原因
食事の内容によるもの
食物繊維や発酵性の高い糖質(FODMAP)が多い食品は、腸内細菌による発酵を促し、ガスの産生量を増やします。豆類・いも類・キャベツ・玉ねぎなどが代表例です。
空気をのみ込みやすい習慣
食事中に会話をしながら食べる、急いで食べる、炭酸飲料を飲む、ガムや飴を口にするといった習慣は、空気の嚥下(えんげ)量を増やし、腸内のガス量増加につながります。
腸内環境の変化
腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れると、ガスを産生しやすい細菌が増え、おならの量や臭いが変化することがあります。抗菌薬の使用後や食生活の急激な変化後に起こりやすいとされています。
便秘によるガスのたまり
便秘になると腸内での食物の停滞時間が延び、腸内細菌による発酵が過剰になります。その結果、ガスが腸内に蓄積し、おならの回数や腹部の張り感が増すことがあります。
ストレスや自律神経の乱れ
自律神経は腸の運動(蠕動運動)をコントロールしています。ストレスや睡眠不足によって自律神経のバランスが乱れると、腸の動きが不規則になり、ガスの排出リズムが乱れることがあります。
薬の影響で増えることもある
一部の薬(糖尿病治療薬のα-グルコシダーゼ阻害薬、一部の抗菌薬、緩下薬など)は腸内のガス産生を増やす可能性があります。薬を服用中におならが増えたと感じたら、自己判断で中止せず、処方医や薬剤師にご相談ください。
食べ物・飲み物で増えやすいもの
豆類・いも類・野菜類など
大豆・えんどう豆・さつまいも・ブロッコリー・キャベツ・玉ねぎなどは、消化されにくいオリゴ糖や食物繊維を多く含み、腸内発酵によるガス産生を促しやすい食品です。
乳製品で増える場合
乳糖(ラクトース)を分解する酵素(ラクターゼ)の活性が低い方では、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品を摂取した後におならや腹部膨満感が生じやすくなります(乳糖不耐症)。
炭酸飲料やアルコール
炭酸飲料は直接的に消化管への二酸化炭素供給を増やします。アルコールは腸の粘膜を刺激し、腸の動きを乱すことがあります。
人工甘味料や糖アルコール
ソルビトール・マンニトール・キシリトールなどの糖アルコールは小腸で吸収されにくく、大腸で発酵されてガスを産生しやすい特性があります。シュガーレス食品やダイエット飲料に多く含まれています。
生活習慣で見直したいポイント
早食い・ながら食い
早食いやスマートフォンを見ながらの食事は、咀嚼(そしゃく)が不十分になり空気を多く飲み込む原因になります。ひと口ひと口をよく噛み、落ち着いて食べることが基本です。
口呼吸やガム・飴の習慣
口で呼吸する習慣や、ガム・飴を常用する習慣も、知らず知らずのうちに空気を大量に取り込む原因となります。
姿勢や運動不足
長時間の座位や運動不足は腸の蠕動運動を低下させ、ガスのたまりやすい状態をつくります。ウォーキングなどの軽い運動が腸の動きをサポートします。
便秘を悪化させる生活リズム
朝食を抜く・水分が少ない・トイレを我慢するといった習慣は便秘を悪化させ、結果としてガスの蓄積を促します。規則正しい生活リズムを意識することが大切です。
病気が隠れていることはある?
過敏性腸症候群
腹痛・便通異常・腹部膨満感を繰り返す機能性腸疾患で、おならの増加を伴うことがあります。ストレスとの関連が指摘されており、専門的な診断・管理が助けになる場合があります。
便秘症
慢性的な便秘そのものが診断名となることがあります。排便習慣の改善や薬物療法で対応します。
乳糖不耐症・食物不耐症
特定の食品成分を消化・吸収しにくい体質で、おならの増加や下痢・腹痛の原因になります。食事記録をつけると原因食品の特定に役立つことがあります。
胃腸炎や腸の炎症
感染性胃腸炎や炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎など)も、腸内環境を乱し、おならの増加や腹部症状の原因になります。
受診を考えるべきケース
下記のような症状が伴う場合は、消化器疾患の可能性を念頭に、医療機関への受診をご検討ください。詳しくは後述の「医療機関を受診する目安」をご覧ください。
自分でできる対策
食べ方をゆっくりにする
一口ごとによく噛み、20〜30分程度かけて食事をすることで、空気の飲み込みを減らすことができます。
ガスが増えやすい食品を調整する
豆類・いも類・発酵しやすい糖類を一時的に控えめにし、おならの変化を確認してみましょう。ただし栄養バランスへの配慮も必要です。
便秘対策をする
水分を1日1.5〜2L程度を目安に摂り、食物繊維(特に水溶性食物繊維)を適度に摂取し、朝食後にトイレへ行く習慣をつけることが基本です。
軽い運動を取り入れる
1日20〜30分のウォーキングでも、腸の蠕動運動を促す効果が期待されます。腹部マッサージも補助的な対処として取り上げられています。
ストレスケアを意識する
十分な睡眠、趣味の時間、深呼吸・ストレッチなど、自分に合ったストレス解消法を意識的に取り入れましょう。
医療機関を受診する目安
おなら以外の症状があるとき
腹痛・下痢・嘔吐・発熱などを伴う場合は、消化器疾患のサインである可能性があります。
急に増えた・長く続くとき
2〜3週間以上にわたっておならが明らかに増えている、またはお腹の張りが続く場合は受診を検討してください。
体重減少や血便があるとき
意図しない体重減少・黒色便・血便を伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
腹痛・腹部膨満が強いとき
日常生活に支障をきたすほどの腹痛や強い腹部膨満感がある場合も、受診の目安となります。
病院では何をするの?
問診で確認する内容
症状の経過・食事内容・排便の状況・服薬歴・ストレス状況などを詳しく伺います。
必要に応じた検査
腹部超音波検査・血液検査・便検査、必要に応じて大腸内視鏡検査などを行い、器質的疾患(実際に腸に病変があるかどうか)を確認します。
原因に応じた治療の考え方
食事指導・生活習慣改善・整腸薬・便秘治療薬・過敏性腸症候群の薬物療法など、原因と症状に応じた対応が選択されます。
受診先の目安
内科と消化器内科の違い
一般内科は幅広い症状に対応し、まずの相談窓口として適しています。消化器内科は腸・胃など消化管の専門的な検査・治療を行います。
まず相談しやすい診療科
迷ったときはまず内科(一般内科)にご相談ください。症状によって消化器内科への紹介や内視鏡検査の案内を受けることができます。
よくある質問(FAQ)
おならが多いのは病気ですか?
おならが多いこと自体は、必ずしも病気とは限りません。多くは食事内容・食べ方・便秘などの生活習慣が原因です。ただし、腹痛・血便・体重減少などの症状を伴う場合は、医療機関への受診をお勧めします。
おならを減らす食べ物はありますか?
ヨーグルト(乳糖不耐症がない場合)や水溶性食物繊維を含む食品(海藻・納豆など)は腸内環境を整える助けになる場合があります。一方で豆類・いも類・炭酸飲料は一時的に控えることでガスが減少する方もいます。ただし体質や腸内環境には個人差があります。
便秘になるとおならは増えますか?
はい、便秘によって腸内の食物残渣が長時間滞留すると、腸内細菌による発酵が過剰になり、ガス産生が増加することがあります。便秘の改善がおならの軽減につながるケースは少なくありません。
市販薬で対処してもよいですか?
整腸薬(ビフィズス菌・乳酸菌配合製剤など)や消化酵素配合薬など、薬局で入手できる製品を試すことは一般的に行われています。ただし、症状が長く続く場合や他の症状を伴う場合は、自己判断での対処を続けずに医療機関にご相談ください。
何日くらい続いたら受診したほうがよいですか?
明確な基準はありませんが、2〜3週間以上改善しない場合や、腹痛・体重減少・血便など他の症状を伴う場合は早めに受診することをお勧めします。「様子をみようか迷う」という段階でも、お気軽にご相談いただけます。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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