年を取るとおならがよく出るとは?原因・症状・対処を内科医が解説
加齢に伴いおならが増えたと感じる方は少なくありません。腸の動きの変化や腸内環境の変化、食事内容・食べ方の変化など、さまざまな要因が重なって起こることが多く、必ずしも病気が原因とは限りません。ただし、急激な変化や強い腹痛・血便などを伴う場合は、消化器疾患が関係している可能性があるため、内科を受診することが大切です。本記事では、加齢とおならの関係を医学的な観点からわかりやすく解説します。
年を取るとおならがよく出る?まず知っておきたいこと
加齢で「ガスが増えた」と感じやすい理由
腸内には常に一定量のガスが存在しています。加齢に伴い、腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下したり、腸内細菌のバランスが変化したりすることで、ガスの産生量や排出のタイミングが変わりやすくなります。また、消化機能の低下により食物が腸内に長くとどまることも、ガス増加の一因と考えられています。
すべてが病気とは限らない
おならが増えたからといって、必ずしも病気が隠れているわけではありません。食事内容や食べ方の変化、水分摂取不足、ストレスなど、生活習慣の変化だけで増えることも多くあります。まずは原因を整理し、生活の見直しから始めることが基本的な対応の第一歩です。
年齢とともにおならが増えやすくなる主な原因
腸の動きの変化
加齢とともに腸の蠕動運動が緩やかになると、食物の消化・移送に時間がかかり、腸内でのガス産生が増えやすくなります。
噛む回数や食べ方の変化で空気を飲み込みやすくなる
早食いや口を開けて食べる習慣、歯の問題による咀嚼(そしゃく)不足などで、食事中に空気(窒素・酸素)を飲み込む量が増えます。これが腸内のガス量を押し上げる原因になります。
食事内容の変化と消化しにくい食品
豆類・キャベツ・玉ねぎ・ブロッコリーなど、発酵・分解されやすい食物繊維や糖類(FODMAPと呼ばれる成分を含む食品)は、腸内細菌による分解の過程でガスを発生させやすい食品です。また、乳糖を十分に消化できない乳糖不耐症の傾向は加齢とともに強まる場合があります。
便秘によるガスのたまり
便秘になると腸内に便がとどまる時間が長くなり、腸内細菌による発酵が進んでガスが増えやすくなります。加齢・運動不足・水分不足は便秘を起こしやすくする要因です。便秘とおならの関係についてはおならが多いとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。
腸内環境の変化
加齢に伴い、腸内の善玉菌(ビフィズス菌など)の割合が低下し、相対的にガスを多く産生する菌が増えることがあります。これが腸内環境の変化によるガス増加の一因とされています。
ストレスや自律神経の影響
ストレスや不規則な生活は自律神経のバランスを乱し、腸の動きに影響を与えます。過敏性腸症候群(IBS)をはじめとする機能性腸疾患では、ストレスがガスの増加や腹部不快感を引き起こすことが知られています。
おならが多いときに一緒に起こりやすい症状
お腹の張り・腹部膨満感
ガスが腸内にたまると、お腹が張ったような不快感(腹部膨満感)を覚えることがあります。お腹にガスが溜まるとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も参考にしてください。
げっぷが増える
食事中の空気の飲み込みが増えると、おならだけでなくげっぷも増えることがあります。
腹痛・不快感
腸内ガスの増加や腸の動きの変化により、腹部の違和感や軽い痛みを感じる場合があります。
便秘や下痢を伴うことがある
おならの増加とともに便通の乱れを伴う場合は、過敏性腸症候群や消化器疾患が関係していることがあります。
生活習慣で見直したいポイント
ゆっくり食べて空気を飲み込みにくくする
食事はよく噛んで、ゆっくり食べることで飲み込む空気の量を減らすことができます。一口30回を目安にした咀嚼が、消化改善にも役立ちます。
便秘対策として水分・食物繊維を見直す
1日1.5〜2リットル程度の水分摂取と、適切な食物繊維(野菜・海藻・果物など)の摂取は、便通を整える基本です。ただし、過剰な食物繊維摂取はかえってガスを増やす場合があるため、量を調整しながら取り入れてください。
ガスが増えやすい食品を把握する
豆類・炭水化物(特に小麦に多い糖類)・キャベツ・乳製品(乳糖不耐症の場合)などはガスを増やしやすい食品です。全て避ける必要はありませんが、自分の症状との関係を確認しながら量を調整することが望ましいとされています。
アルコール・炭酸飲料との付き合い方
炭酸飲料は腸内のガス量を直接増やし、アルコールは腸の動きを乱す可能性があります。過剰摂取は控えめにすることをお勧めします。
適度な運動で腸の動きを整える
ウォーキングなどの軽い有酸素運動は腸の蠕動運動を促し、便通改善にも役立つとされています。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」においても、適度な身体活動が腸の健康維持に寄与するとされています。
受診の目安|こんな症状があるときは内科へ
急におならが増えた
これまでと明らかに異なる速さでおならが増えた場合は、消化器疾患が隠れている可能性があります。
強い腹痛やお腹の張りが続く
ガスが多く腸の動きが阻害されている可能性があり、腸閉塞などの緊急性のある病気が否定できません。
体重減少、血便、発熱を伴う
これらの症状が重なる場合は、炎症性腸疾患・大腸がん・腸内感染など、より重篤な原因が考えられます。早めに内科または消化器内科を受診してください。
便秘や下痢が長引く
2〜3週間以上続く便通異常は、過敏性腸症候群やその他の消化器疾患のサインである場合があります。
生活改善でも改善しない
食事・運動など生活習慣の見直しを1〜2週間継続しても症状が変わらない場合は、受診を検討してください。
受診・相談のご予約はこちら(ご予約・お問い合わせ)からお気軽にどうぞ。
内科では何を確認するのか
問診で確認する内容
症状の始まった時期・頻度・食事内容・排便状況・体重変化・内服薬の有無などを確認します。
必要に応じて行う検査
腹部エコー(超音波)・血液検査・便検査・大腸内視鏡検査などが行われる場合があります。
考えられる主な病気
便秘症・過敏性腸症候群・食物不耐症・腸内感染症・炎症性腸疾患・大腸がんなどが鑑別の対象となります。
おならが多いときに考えられる病気
便秘症
腸内に便がとどまることでガスが増えます。加齢に伴い発症リスクが高まります。
過敏性腸症候群
ストレスなどを契機にお腹の調子が乱れ、ガス・腹痛・便通異常を繰り返す機能性疾患です。
胃腸炎や腸内感染
ウイルスや細菌による感染で一時的におならや下痢が増えることがあります。
食物不耐症
乳糖不耐症やグルテン関連の消化障害(セリアック病など)が原因となる場合があります。
腸閉塞など緊急性のある病気
腸が詰まることでガスが排出できなくなり、強い腹痛・腹部膨満・嘔吐を伴います。疑われる場合は速やかに受診が必要です。
受診までにできるセルフチェック
いつから増えたか
特定の食事・環境変化・薬の開始時期と一致しないか確認しましょう。
食事との関係
特定の食品を食べた後に増えるか記録しておくと、受診時の参考になります。
便通の変化
おならの増加と同時に便秘・下痢・便の性状変化がないか確認してください。
お腹の痛みや体重変化の有無
腹痛や体重減少がある場合は、受診の優先度を高めることをお勧めします。
日常生活での対処と予防
食事日記をつける
何を食べたときにガスが増えるかを記録することで、自分に合った食事内容を把握しやすくなります。
便通を整える
毎日決まった時間にトイレに行く習慣・十分な水分・適切な食物繊維・軽い運動を組み合わせることが基本です。
ストレスケアを意識する
十分な睡眠・リラクゼーション・趣味の時間を確保することで、自律神経のバランスを整えることが腸の健康にもつながります。
市販薬を使う前に確認したいこと
整腸薬・便秘薬・消化酵素薬などが市販されていますが、症状の原因が不明な場合や長引く場合は、自己判断で使用を続けず医師に相談することをお勧めします。特に下剤の長期使用は腸の機能に影響する場合があります。
よくある質問(FAQ)
年を取ると本当におならは増えますか?
加齢に伴う腸の蠕動運動の低下・腸内細菌バランスの変化・消化機能の変化などにより、おならが増えやすくなることはあります。ただし、個人差が大きく、加齢だけが原因とは限りません。
おならが多いのは腸内環境が悪いからですか?
腸内細菌のバランスの乱れはガス増加の一因となり得ますが、食事内容・便秘・空気の飲み込みなど、他の要因も複合的に関わることが多いです。
おならの臭いが強いときは何が原因ですか?
硫黄を含む食品(肉類・卵・ネギ類など)の摂取や、腸内でたんぱく質が分解される際に発生する硫化水素などの物質が臭いの原因となります。臭いが急に強くなった場合は、食事内容とともに腸の状態を確認することをお勧めします。詳しくはおならゆで卵みたいな臭いとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】をご覧ください。
おならが増えたとき、市販薬で様子を見てもよいですか?
軽度の症状であれば整腸薬などを短期間試すことは一般的に行われていますが、症状が2週間以上続く場合や、腹痛・血便・体重減少などを伴う場合は市販薬で対応せず、医師の診察を受けることを優先してください。
何科を受診すればよいですか?
まずは内科または消化器内科への受診をお勧めします。症状に応じて、必要な検査や専門的な治療へとつなげることができます。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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