おならよく出る病気とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
「最近おならがよく出て気になる」「これは病気のサインなのか?」と心配される方は少なくありません。おならが増える原因は、食習慣や飲み込みの癖など生活上の要因から、過敏性腸症候群(IBS)・便秘・食物不耐症といった医療的な状態まで多岐にわたります。本記事では、おならがよく出るときに考えられる病気・原因・受診の目安・対処法を、消化器内科的な視点からわかりやすく解説します。
なお、おならに関するより広い基本情報は、親ピラーページ「おならがよく出るとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】」もあわせてご覧ください。
おならがよく出るのは病気?まず知っておきたい基本
おならが増える仕組みと、正常な範囲
おならは、腸内で発生したガスが肛門から排出されたものです。ガスの発生源は主に2つあります。ひとつは食事や会話の際に飲み込んだ空気(嚥下空気)、もうひとつは腸内細菌が食物繊維や糖質を発酵・分解する際に産生するガスです。
成人が1日に排出するおならの回数は、一般的に5〜20回程度とされており、この範囲に収まっていれば多くの場合は生理的な範囲内と考えられます。ただし、個人差は大きく「回数」だけで正常か否かを判断することは難しいため、腹痛・腹部膨満・下痢・便秘など他の症状が伴うかどうかが重要な判断材料になります。
食事や飲み込みなど、病気以外の主な原因
食習慣や生活習慣がおならを増やすことはよくあります。早食い、会話しながらの食事、炭酸飲料の過剰摂取などは空気を過剰に飲み込む「空気嚥下症」に近い状態を招きます。また、豆類・キャベツ・玉ねぎなど発酵しやすい食品の摂取や、乳製品に含まれる乳糖の消化が苦手な場合にもガスが増えやすくなります。
おならがよく出るときに考えられる病気
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)は、腸に器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛・便通異常・腹部膨満・おならの増加が繰り返されるものです。日本消化器病学会のガイドラインでも、IBSは機能性腸疾患の代表的な疾患として位置づけられており、ストレスや腸管の過敏性が発症に関与するとされています。
便秘
便が腸内に長時間停滞すると、腸内細菌による発酵が進み、ガスが大量に発生します。便秘が続くほどガスも蓄積しやすく、おならの回数や腹部膨満感が増す傾向があります。
腸内環境の乱れ・腸内細菌の変化
抗菌薬の使用・食生活の偏り・加齢などにより腸内細菌のバランスが崩れると、ガスを産生しやすい菌が増加し、おならが増えることがあります。腸内フローラの多様性が低下することが一因とも考えられています。
食物不耐症(乳糖不耐症など)
乳糖不耐症は、牛乳などに含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素(ラクターゼ)が不足しているために、乳糖が小腸で消化されずに大腸へ到達し、腸内細菌によって発酵・ガス化する状態です。日本人を含むアジア系の方に比較的多くみられます。お腹にガスが溜まる原因についてはこちらもご参考ください。
胃腸炎・感染症
ウイルス性・細菌性の胃腸炎では、腸の蠕動運動や腸内細菌叢が一時的に乱れるため、おならの増加や下痢を伴うことがあります。多くは自然回復しますが、症状が長引く場合は受診が必要です。
炎症性腸疾患やその他の消化器疾患
クローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や、小腸・大腸の吸収不良を起こす疾患では、慢性的な下痢・腹部膨満・おならの増加が現れることがあります。これらは血便や体重減少を伴うことも多く、早期の専門的な評価が必要です。
病気以外でおならが増えやすい生活習慣
早食い・会話しながらの食事
食事中に空気を過剰に飲み込む「空気嚥下」により、腸内のガス量が増えます。ゆっくりよく噛んで食べることが基本的な対策です。
炭酸飲料、豆類、乳製品などの食事内容
豆類・ブロッコリー・玉ねぎ・りんごなどは腸内発酵が起こりやすく、ガスを生じやすい食品です。炭酸飲料も直接ガスを補給する要因となります。
ストレスや緊張
精神的なストレスや緊張は、腸の蠕動運動や腸管の過敏性に影響を与えます。特にIBSでは、ストレスが症状の引き金になりやすいと考えられています。
便をためやすい生活
運動不足・水分不足・不規則な排便習慣は便秘を招き、ガスの蓄積につながります。
こんな症状があれば受診を考えましょう
腹痛、腹部膨満、下痢・便秘を伴う場合
おならが増えるだけでなく、腹痛や腹部膨満・便通異常が続く場合は、IBSや消化器疾患が関与している可能性があるため、内科や消化器内科への受診をご検討ください。
体重減少、血便、発熱がある場合
血便・原因不明の体重減少・発熱・夜間の腹痛などは、炎症性腸疾患や大腸がんなどの器質的疾患を示すサインである可能性があります。これらの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
急に増えた、長く続く、生活に支障がある場合
明らかな誘因なくおならが急に増えた場合、数週間以上にわたって続く場合、または日常生活に支障が出ている場合も、受診の目安と考えましょう。
受診するなら何科?内科で相談できること
問診で確認される内容
食事内容・排便状況・症状の経過・ストレスの有無・服用中の薬などを確認します。生活習慣や既往歴も重要な情報になります。
必要に応じて行う検査
血液検査・便検査・腹部超音波検査・内視鏡検査(大腸カメラ)などを症状に応じて検討します。乳糖不耐症が疑われる場合は、乳糖負荷試験を行うこともあります。
治療や対処の基本方針
原因に応じて、食事指導・生活習慣の改善・整腸薬・消化管機能調整薬・IBSに対する薬物療法などを組み合わせて対応します。治療方針は医師の診察・検査結果に基づいて決定されます。
おならを減らすために今日からできる対処法
食べ方を見直す
ゆっくりよく噛んで食べ、食事中の会話は程々にしましょう。ストローを使った飲み物も空気を飲み込みやすいため注意が必要です。
便秘対策をする
水分を十分に摂り(目安として1日1.5〜2L)、食物繊維を含む野菜や海藻を取り入れ、適度な運動を継続することが便秘の改善・予防につながります。
原因になりやすい食品を把握する
乳製品・豆類・炭酸飲料・一部の野菜(キャベツ・玉ねぎ等)がご自身の症状と関連していないかを食事日記などで確認することが有効です。ただし、過度な食品制限は栄養の偏りにつながるため、医師・管理栄養士に相談しながら進めましょう。
ストレスケアと生活リズムの調整
十分な睡眠・規則正しい食事・リラクゼーション(軽い運動・入浴など)によって腸の調子が整いやすくなることが知られています。女性の方のおならの原因と対処についてはこちらも参考になります。
やってはいけない自己判断と注意点
市販薬だけで様子を見る際の注意
市販の整腸薬や消化酵素薬は、一時的な症状緩和に役立つことがありますが、原因が特定されないまま長期服用し続けることは適切ではありません。
ネット情報だけで病気を決めつけない
インターネット上の情報は参考程度にとどめ、症状の診断・治療は必ず医師の診察を前提として行ってください。
症状が強いときは早めに医療機関へ
血便・激しい腹痛・発熱・急激な体重減少を伴う場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診することが大切です。
おならがよく出る病気に関するよくある誤解
「おならが多い=大きな病気」とは限らない
おならが多い原因の多くは食習慣・便秘・腸内環境の変化など、生活上の要因です。ただし、他の症状が伴う場合は医師への相談が適切です。
においの強さだけで病気は判断できない
においの強さはタンパク質・硫黄含有食品の摂取量や腸内細菌の状態によって変わるため、においだけで疾患の有無を判断することはできません。においが強い場合のくわしい解説はおならゆで卵みたいな臭いの原因・対処もご参照ください。
年齢や性別だけで原因は決められない
おならの増加は、若い方・高齢者・男女ともに起こり得ます。年齢や性別は一定の傾向を示すことはありますが、個別の診察・検査に基づいた評価が必要です。
まとめ:おならがよく出るときは原因を整理して受診の目安を確認
おならがよく出る原因には、食習慣・便秘・腸内環境の乱れ・食物不耐症から、IBS・炎症性腸疾患などの消化器疾患まで幅広い可能性があります。回数だけでなく、腹痛・便通異常・血便・体重減少などの併発症状を確認し、気になる症状が続く場合は内科・消化器内科への受診をご検討ください。
よくある質問(FAQ)
おならが多いのはストレスだけが原因ですか?
ストレスはIBSや腸管の過敏性を通じておならを増やす要因のひとつですが、食習慣・便秘・腸内細菌のバランス・食物不耐症など複数の要因が絡み合うことが多く、ストレスだけが原因とは言い切れません。
便秘だとおならが増えるのはなぜですか?
便が大腸に長く停滞するほど、腸内細菌による発酵が進み、水素・二酸化炭素・メタンなどのガスが多く発生します。これがおならの増加や腹部膨満感につながります。
おならの回数が多いとき、何日続いたら受診すべきですか?
明確な基準があるわけではありませんが、腹痛・血便・体重減少・発熱などの症状が伴う場合は速やかに受診してください。これらを伴わない場合でも、2〜3週間以上続き生活に支障があるようであれば、一度医師に相談することをお勧めします。
乳製品をとるとおならが増えるのは病気ですか?
乳糖不耐症の可能性が考えられます。乳糖不耐症はアジア系の方に多く、疾患というよりも酵素量の個人差によるものです。ただし、症状が強い場合や他の症状を伴う場合は、医師に相談し適切な評価を受けることが大切です。
おならのにおいが強いときは病気の可能性がありますか?
においはタンパク質の多い食事・硫黄含有食品(卵・肉類・玉ねぎなど)の摂取や腸内細菌のバランスによって変わります。食事内容を変えてもにおいが強く続く場合や、他の症状を伴う場合は一度消化器内科に相談することをお勧めします。
子どもや高齢者でおならが増える場合も同じ原因ですか?
基本的なメカニズムは共通しますが、子どもでは乳糖不耐症や食物アレルギー・感染性胃腸炎が多く、高齢者では便秘・腸内細菌叢の変化・薬剤の影響なども加わりやすい傾向があります。年齢に応じた適切な評価が必要ですので、気になる場合は医師にご相談ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。