HDLコレステロール高いどうなるとは?原因・症状・対処を内科医が解説
HDLコレステロールとは?「善玉コレステロール」と呼ばれる理由
HDLコレステロールの主な働き
HDL(High-Density Lipoprotein)コレステロールは、血管壁などに蓄積した余分なコレステロールを肝臓へ回収・輸送する働きを担っています。この「逆転送」の機能によって動脈硬化の進行を抑える方向に作用すると考えられており、「善玉コレステロール」と呼ばれています。
LDLコレステロールとの違い
一方のLDL(Low-Density Lipoprotein)コレステロールは、肝臓から末梢組織へコレステロールを運ぶ役割を担います。LDLが過剰になると血管壁にコレステロールが蓄積し、動脈硬化を促進するリスクがあることから「悪玉コレステロール」と呼ばれます。HDLとLDLはそれぞれ異なる方向にコレステロールを運ぶ、いわば対になる存在です。
詳しくは親ピラーページ HDLコレステロールとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】 もご参照ください。
検査結果で見るHDLコレステロールの基準値
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、HDLコレステロールの低値(40mg/dL未満)が脂質異常症の診断基準の一つとなっています。一般的に60mg/dL以上を「高め」、100mg/dL以上は「著しく高い」とみなすことが多く、80〜100mg/dLを超えてくると医師による評価が勧められる場合があります。
HDLコレステロールが高いとどうなる?
HDLが高いこと自体は基本的に悪いとは限らない
HDLは動脈硬化予防に関わるとされているため、適度に高い範囲(例:60〜90mg/dL程度)であれば、健康上のリスクとして直ちに問題視されるわけではありません。定期的な経過観察を続けながら、総合的な脂質バランスを確認することが大切です。
「高すぎる」ときに考えられること
近年の研究では、HDLコレステロールが極端に高い場合(100mg/dL超を目安とする見解もあります)、必ずしも心血管リスクが低いわけではないという報告も出ています。HDLの機能そのものが低下している可能性や、遺伝的背景、あるいは他の疾患が潜んでいる場合もあるため、単純に「高ければ高いほど良い」とは言い切れない側面があります。
生活習慣や体質との関係
飲酒習慣・有酸素運動・遺伝的体質などがHDLを上昇させる主な要因です。生活習慣に起因する場合は、その習慣全体を見直すことが重要です。
HDLコレステロールが高くなる原因
遺伝的な体質によるもの
CETP(コレステリルエステル転送タンパク)欠損症などの遺伝的要因によってHDLが高値になることがあります。日本人に比較的多い体質とされており、家族内で同様の傾向が見られる場合には遺伝的背景が疑われます。
飲酒習慣との関係
アルコールはHDLコレステロールを上昇させることが知られています。ただし、飲酒量が増えれば肝臓や膵臓への負担、中性脂肪の上昇など、他のリスクも同時に高まります。「HDLが高いから飲酒は問題ない」という解釈は避けるべきです。
薬剤や基礎疾患が影響する場合
一部の薬剤(ステロイドなど)や甲状腺機能亢進症などの基礎疾患がHDLの上昇に関連することがあります。他に気になる症状がある場合は、これらとの関連を医師に確認することが大切です。
検査条件や一時的な変動
採血前の食事内容、運動、脱水状態などによって検査値が一時的に変動することもあります。単回の検査結果だけで判断するのではなく、複数回の測定で確認することが推奨されます。
症状はある?HDLコレステロールが高いときの自覚症状
多くは無症状で健診で見つかる
HDLコレステロールが高い状態は、多くの場合自覚症状がなく、健康診断や血液検査で初めて気づくケースがほとんどです。
関連する体調変化や見逃しやすいサイン
飲酒やその他の生活習慣が原因となっている場合、倦怠感・疲れやすさ・右季肋部の違和感(肝機能低下のサイン)などを伴うことがあります。これらは直接HDLの上昇が引き起こすというよりも、背景にある生活習慣や疾患に関連したサインです。
受診や精密検査が必要なケース
HDLが著しく高い場合
100mg/dL以上など極端な高値が確認された場合、遺伝性疾患や二次性の原因が潜んでいないか精査することが望ましいです。
LDLや中性脂肪など他の脂質異常を伴う場合
HDLが高くても、LDLや中性脂肪が異常値を示している場合は脂質異常症全体として評価・対処が必要です。コレステロールとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】 も参考にしてください。
肝機能異常や糖代謝異常を指摘された場合
飲酒に起因するHDL上昇では、肝機能検査(AST・ALT・γ-GTPなど)の異常を同時に指摘されることがあります。血糖値やHbA1cとあわせて総合的に確認することが重要です。
動脈硬化や家族歴がある場合
心筋梗塞・脳梗塞などの動脈硬化性疾患の家族歴がある場合は、HDL単独ではなく全体的な心血管リスクの評価を受けることが勧められます。
内科で行う主な確認項目と検査
問診で確認するポイント
飲酒量・運動習慣・服用中の薬・家族歴・既往歴などを確認します。
血液検査で見る項目
HDL・LDL・総コレステロール・中性脂肪(TG)・non-HDLコレステロール・肝機能(AST・ALT・γ-GTP)・血糖・HbA1c・甲状腺機能(TSH・FT4)などが評価対象となります。
必要に応じて行う追加検査
動脈硬化の評価には頸動脈エコーやABI(足首上腕血圧比)などが用いられることがあります。
HDLコレステロールが高いときの対処法
まずは再検査・経過観察が必要なことがある
一度の検査結果だけでなく、複数回の測定で傾向を確認することが大切です。
生活習慣で見直したいポイント
飲酒習慣の見直し
飲酒によるHDL上昇が疑われる場合は、休肝日の設定や飲酒量の減少が推奨されます。厚生労働省の「健康日本21」では、節度ある適度な飲酒量として1日あたり純アルコール約20g(ビール中瓶1本程度)を目安としています。
体重管理と運動習慣
適度な有酸素運動(1日30分程度のウォーキングなど)はHDLを健全なレベルで維持するのに役立ちます。体重の適正化も脂質バランス全体に好影響を与えます。
食事で意識したいこと
飽和脂肪酸(動物性脂肪など)の過剰摂取を控え、魚・野菜・大豆製品・食物繊維を取り入れたバランスの良い食事を心がけましょう。ただし、HDLが高い場合に特定の食品を「避けるべき」とする明確な根拠は現時点では限定的です。
薬が必要になることはある?
HDLそのものを下げる治療より原因への対応が中心
現時点では、HDLが高いこと自体を薬で下げる治療は一般的ではありません。飲酒や薬剤など原因が特定できる場合は、その要因への対処が優先されます。
動脈硬化リスク全体をふまえた治療方針
LDLが高い・中性脂肪が高いなど他の脂質異常を合併している場合は、動脈硬化リスク全体を踏まえてスタチンなどの薬物療法が検討されます。治療方針は医師との相談のもとで決定されます。善玉コレステロールとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】 もあわせてご覧ください。
HDLコレステロールが高い人が気をつけたい生活習慣
健診結果を毎年比較する
1年ごとの変化を確認することで、傾向や異常の早期発見に繋がります。
LDLコレステロールや中性脂肪も一緒に確認する
HDL単独の評価ではなく、脂質プロファイル全体で健康状態を把握することが大切です。
喫煙・飲酒・運動習慣を見直す
喫煙はHDLを低下させるリスク要因であり、禁煙は脂質バランス改善にも有効です。飲酒・運動については上述の通りです。
たまプラーザ周辺で受診を考える目安
健診で再検査を勧められたとき
健診結果票に「要再検査」「要精密検査」と記載されている場合は、速やかに内科を受診することをお勧めします。
症状がなくても相談したいとき
自覚症状がなくても、検査値の意味や生活習慣の見直し方についてご相談いただけます。
生活習慣病の総合的なチェックを受けたいとき
脂質異常症・糖尿病・高血圧など複数のリスクをまとめて評価したい場合も、内科での総合的な確認が有効です。ご予約・お問い合わせ よりお気軽にご連絡ください。
よくある質問(FAQ)
HDLコレステロールが高いのは良いことですか?
適度に高い範囲(おおよそ60〜90mg/dL程度)では、動脈硬化予防の観点から好ましいとされています。ただし、100mg/dLを超えるような極端な高値では、単純に「良い」とは言い切れない場合もあるため、医師による総合的な評価が推奨されます。
HDLが高いだけなら治療は不要ですか?
HDL単独で他の検査値に問題がなく、著しい高値でもない場合は、すぐに治療が必要なケースばかりではありません。ただし、定期的な経過観察と生活習慣の確認は継続することが大切です。
HDLコレステロールが高い原因で多いのは何ですか?
日本人では遺伝的なCETP欠損症と飲酒習慣が比較的多い原因として挙げられます。また、一部の薬剤や甲状腺機能亢進症が関与する場合もあります。
HDLが高いときに食事で避けるべきものはありますか?
HDLが高いこと自体を理由に特定の食品を避けるべきという明確な指針は現時点では限定的です。飲酒が原因と考えられる場合は節度ある飲酒を心がけ、全体的な脂質バランスを整える食事を意識することが基本となります。
健康診断でHDLが高いと言われたら、まず何をすべきですか?
まずは前回の健診結果と比較し、LDL・中性脂肪・肝機能なども含めた値全体を確認しましょう。「要再検査」と指摘された場合や、値が著しく高い場合は内科への受診が勧められます。
どのくらい高いと受診したほうがよいですか?
明確な統一基準はありませんが、100mg/dL以上の高値が繰り返し確認される場合や、他の検査項目でも異常を指摘されている場合は、内科で確認されることをお勧めします。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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