逆流性食道炎の治療|医学博士が解説する最新治療と生活改善【2026年版】 - AIプラスクリニックたまプラーザ
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逆流性食道炎の治療|医学博士が解説する最新治療と生活改善【2026年版】

 

逆流性食道炎の治療|医学博士が解説する最新治療と生活改善【2026年版】

「胸やけがひどい」「ゲップが止まらない」「喉に酸っぱいものが上がってくる」──これらの症状にお悩みではありませんか?

逆流性食道炎(GERD: Gastroesophageal Reflux Disease)は、現代人に急増している疾患で、日本人の約10~20%が罹患していると推定されています。

本記事では、臨床経験30年以上の医学博士が、逆流性食道炎の治療法を徹底解説します。

1.1 逆流性食道炎とは

逆流性食道炎は、胃酸や胃内容物が食道に逆流し、食道粘膜に炎症を引き起こす疾患です。

正式名称と英語表記

  • 日本語:逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)
  • 英語:Gastroesophageal Reflux Disease(GERD)
  • 略称:胃食道逆流症

1.2 なぜ胃酸が逆流するのか

食道と胃の境界には下部食道括約筋(LES: Lower Esophageal Sphincter)という「弁」があり、通常は胃酸の逆流を防いでいます。

逆流が起こる主な原因

  • LESの機能低下:加齢、肥満、喫煙
  • 腹圧の上昇:肥満、妊娠、便秘
  • 食道裂孔ヘルニア:LESが正常な位置からずれる
  • 胃酸の過剰分泌:ストレス、暴飲暴食
  • 胃排出遅延:胃の動きが悪い

1.3 逆流性食道炎の疫学

逆流性食道炎は、先進国で急増している疾患です。

日本の現状(2026年)

  • 有病率:約10~20%(推定1,000万人以上)
  • 増加率:過去20年で約2倍
  • 男女比:男性1.5:女性1
  • 年齢:50~60代に多い
  • 再発率:薬剤中止後50~80%

1.4 増加している理由

  1. 食生活の欧米化:高脂肪食、過食
  2. 肥満の増加:腹圧上昇
  3. 高齢化:LES機能の低下
  4. ストレス社会:胃酸分泌亢進
  5. ヘリコバクター・ピロリ菌の減少:胃酸分泌抑制効果の消失

ピロリ菌と逆流性食道炎の関係

意外かもしれませんが、ピロリ菌の除菌が進んだことで、逆流性食道炎が増加しています。

ピロリ菌は胃粘膜を傷つけますが、同時に胃酸分泌を抑制する作用もあります。除菌後、胃酸分泌が正常化すると、逆流症状が出現することがあります。

2. 逆流性食道炎の主な症状

2.1 典型的な症状

逆流性食道炎の2大症状は、胸やけ呑酸(どんさん)です。

主要症状

  • 胸やけ:胸骨の後ろが焼けるような不快感
  • 呑酸:酸っぱい液体が喉まで上がってくる
  • ゲップ:頻繁なゲップ
  • 胸痛:心臓病と間違われることも
  • 嚥下困難:食べ物がつかえる感じ
  • 咽喉頭症状:喉の違和感、声がれ、慢性咳嗽

2.2 非典型的な症状(食道外症状)

逆流性食道炎は、食道以外の症状も引き起こします。

呼吸器症状

  • 慢性咳嗽:夜間や早朝に悪化
  • 喘息様症状:喘鳴、呼吸困難
  • 誤嚥性肺炎:高齢者で注意

耳鼻咽喉科症状

  • 咽喉頭違和感:ヒステリー球様症状
  • 声がれ:慢性喉頭炎
  • 慢性副鼻腔炎

歯科症状

  • 歯の酸蝕症:エナメル質の溶解
  • 口内炎

2.3 診断方法

逆流性食道炎の診断には、以下の検査を行います。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

最も重要な検査です。食道粘膜の炎症の程度を直接観察します。

ロサンゼルス分類(LA分類)

内視鏡所見による重症度分類:

  • Grade N:正常
  • Grade M:軽度発赤
  • Grade A:5mm以下の粘膜障害
  • Grade B:5mm以上の粘膜障害
  • Grade C:粘膜障害が全周の50%以上
  • Grade D:粘膜障害が全周の75%以上

PPI(プロトンポンプ阻害薬)テスト

診断的治療として、PPIを1~2週間投与し、症状が改善すれば逆流性食道炎と診断します。

24時間pH・インピーダンスモニタリング

鼻から細いチューブを挿入し、24時間の食道内pHと逆流回数を測定します。

適応

  • PPIが無効な場合
  • 手術を検討する場合
  • 非びらん性GERD(NERD)の診断

2.4 鑑別診断

逆流性食道炎と似た症状を示す疾患:

  • 狭心症・心筋梗塞:胸痛の鑑別が重要
  • 食道がん:嚥下困難、体重減少
  • 好酸球性食道炎:若年者の嚥下困難
  • 機能性ディスペプシア:上腹部症状
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍

3. 逆流性食道炎の治療方針

3.1 治療の3本柱

逆流性食道炎の治療は、以下の3つのアプローチを組み合わせます。

  1. 薬物療法:胃酸分泌抑制、粘膜保護
  2. 生活習慣改善:食事、姿勢、体重管理
  3. 手術療法:難治例に対する外科的治療

3.2 治療のゴール

  • 短期目標:症状の改善、炎症の治癒
  • 長期目標:再発予防、QOL(生活の質)の維持
  • 合併症予防:バレット食道、食道腺癌の予防

3.3 治療の流れ

ステップ1:初期治療(導入期)

  • PPI標準用量を4~8週間投与
  • 生活習慣指導を開始
  • 症状の改善を評価

ステップ2:維持療法

  • 症状が改善したらPPI減量またはオンデマンド療法
  • 定期的なフォローアップ
  • 生活習慣改善の継続

ステップ3:難治例への対応

  • PPI倍量投与
  • 他剤への変更・追加
  • 24時間pHモニタリング
  • 手術の検討

3.4 治療の個別化

患者の状態に応じて、治療をカスタマイズします。

重症度による分類

  • 軽症(Grade M・A):H2ブロッカーまたはPPI低用量
  • 中等症(Grade B):PPI標準用量
  • 重症(Grade C・D):PPI倍量、長期投与

特殊な状況

  • 高齢者:副作用に注意、薬剤相互作用
  • 妊婦:H2ブロッカー優先
  • 小児:体重に応じた投与量
  • 食道外症状:PPIの長期・高用量投与

 

 

4. 薬物療法の詳細

4.1 プロトンポンプ阻害薬(PPI)

PPI(Proton Pump Inhibitor)は、逆流性食道炎治療の第一選択薬です。

PPIの作用機序

胃壁細胞のプロトンポンプ(H+/K+-ATPase)を阻害し、胃酸分泌を約90%抑制します。

主なPPI製剤

一般名 商品名 標準用量
オメプラゾール オメプラール 20mg 1日1回
ランソプラゾール タケプロン 15~30mg 1日1回
ラベプラゾール パリエット 10~20mg 1日1回
エソメプラゾール ネキシウム 20mg 1日1回
ボノプラザン タケキャブ 20mg 1日1回

ボノプラザン(タケキャブ)の特徴

2015年登場の新世代PPIで、以下の利点があります:

  • 即効性:投与初日から効果発現
  • 酸抑制持続:24時間安定
  • 食事の影響なし:いつでも服用可能
  • CYP2C19遺伝子多型の影響なし:個人差が少ない

PPIの効果

  • 症状改善率:70~90%(4~8週間)
  • 粘膜治癒率:80~90%(8週間)
  • 再発率:中止後50~80%(6か月以内)

PPIの副作用

  • 頭痛、下痢:約2~5%
  • 骨折リスク:長期使用(1年以上)で軽度上昇
  • 腸内細菌叢の変化:Clostridium difficile感染のリスク
  • ビタミンB12・マグネシウム欠乏:長期使用
  • 認知症リスク:最近の研究で関連性は否定的

4.2 H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)

H2ブロッカーは、胃壁細胞のH2受容体を遮断し、胃酸分泌を約60~70%抑制します。

主なH2ブロッカー

一般名 商品名 標準用量
ファモチジン ガスター 20mg 1日2回
ラニチジン ザンタック 150mg 1日2回
ニザチジン アシノン 150mg 1日2回

H2ブロッカーの使い分け

  • 軽症例:第一選択として使用可能
  • 妊婦:PPIより安全性が高い
  • PPI無効例:夜間の酸分泌抑制に追加
  • 市販薬:ガスター10など

4.3 その他の薬剤

消化管運動機能改善薬

胃腸の動きを改善し、胃内容物の排出を促進します。

  • モサプリド(ガスモチン):5mg 1日3回
  • イトプリド(ガナトン):50mg 1日3回
  • ドンペリドン(ナウゼリン):10mg 1日3回

粘膜保護薬

食道粘膜を保護し、炎症を軽減します。

  • アルギン酸ナトリウム(アルロイドG):胃酸を中和
  • レバミピド(ムコスタ):粘膜修復促進
  • スクラルファート(アルサルミン):粘膜保護

制酸薬

即効性があり、症状の緊急対応に使用します。

  • 水酸化アルミニウム・マグネシウム(マーロックス)
  • 炭酸水素ナトリウム(重曹)

4.4 維持療法とオンデマンド療法

維持療法

毎日定期的にPPIを服用し、再発を予防します。

  • 適応:重症例、食道狭窄、バレット食道
  • 用量:標準用量または半量
  • 期間:数か月~数年

オンデマンド療法

症状が出たときだけPPIを服用する方法です。

  • 適応:軽症~中等症、症状再発例
  • 方法:症状出現時に服用、3~7日間継続
  • 利点:薬剤費削減、副作用リスク低減

4.5 難治例への対応

PPI標準用量で効果不十分な場合の対応:

PPIの最適化

  • 倍量投与:朝・夕2回服用
  • 服薬タイミング:食前30分が最適
  • PPI変更:ボノプラザンへの変更

併用療法

  • PPI + H2ブロッカー:夜間の酸分泌抑制
  • PPI + 消化管運動機能改善薬:胃排出促進
  • PPI + 粘膜保護薬:食道粘膜保護強化

再評価

  • 内視鏡再検査:炎症の程度確認
  • 24時間pHモニタリング:酸抑制効果の確認
  • 機能性食道疾患の除外:心因性要因の評価

5. 生活習慣改善による治療

薬物療法と同じくらい重要なのが生活習慣の改善です。

5.1 食事療法

避けるべき食品

  • 高脂肪食:揚げ物、脂身の多い肉(LES圧低下)
  • チョコレート:LES圧低下
  • カフェイン:コーヒー、紅茶、緑茶(胃酸分泌亢進)
  • アルコール:LES圧低下、胃酸分泌亢進
  • 炭酸飲料:胃の膨満、逆流促進
  • 香辛料:唐辛子、わさび(粘膜刺激)
  • 柑橘類・トマト:酸性食品
  • ペパーミント:LES圧低下

推奨される食品

  • 低脂肪食:鶏むね肉、白身魚
  • 食物繊維:野菜、果物、全粒穀物
  • たんぱく質:豆腐、納豆、卵
  • 消化の良い炭水化物:うどん、おかゆ

食事の取り方

  • 少量頻回食:1回の食事量を減らし、回数を増やす
  • よく噛む:ゆっくり食べる
  • 就寝前3時間は食べない:夜間の逆流予防
  • 水分補給:食事中の水分は控えめに

5.2 姿勢と睡眠

就寝時の工夫

  • 上体挙上:枕を高くする、ベッドの頭側を15~20cm上げる
  • 左側臥位:左を下にして寝ると逆流しにくい
  • 腹部圧迫を避ける:うつぶせ寝は避ける

日常の姿勢

  • 前かがみ姿勢を避ける:腹圧上昇
  • 食後すぐに横にならない:2~3時間は起きている
  • 腹部を締め付けない:ベルト、コルセット

5.3 体重管理

肥満は逆流性食道炎の最大のリスク因子です。

減量の効果

  • BMI 25以上の人:5kg減量で症状が50%改善
  • 腹圧の低下:逆流回数が減少
  • LES機能の改善

BMIと逆流性食道炎

  • BMI 18.5~24.9:正常
  • BMI 25~29.9:リスク2倍
  • BMI 30以上:リスク3~4倍

5.4 禁煙・節酒

喫煙の影響

  • LES圧の低下
  • 唾液分泌の減少:食道の自浄作用低下
  • 食道粘膜の血流低下:治癒遅延

アルコールの影響

  • LES圧の低下
  • 胃酸分泌の亢進
  • 食道粘膜の直接刺激

5.5 ストレス管理

ストレスは胃酸分泌を亢進させ、症状を悪化させます。

ストレス対策

  • 十分な睡眠:7~8時間
  • 適度な運動:ウォーキング、水泳
  • リラクゼーション:ヨガ、瞑想、深呼吸
  • 趣味の時間:ストレス発散

5.6 薬剤の見直し

以下の薬剤は逆流性食道炎を悪化させることがあります:

LES圧を低下させる薬剤

  • カルシウム拮抗薬:降圧薬
  • 硝酸薬:狭心症治療薬
  • 抗コリン薬:過活動膀胱治療薬
  • ベンゾジアゼピン系:睡眠薬・抗不安薬

食道粘膜を刺激する薬剤

  • NSAIDs:ロキソニン、ボルタレン
  • ビスホスホネート製剤:骨粗鬆症治療薬
  • テトラサイクリン系抗生物質

これらの薬剤を服用している場合は、主治医に相談し、代替薬や服用方法の工夫を検討しましょう。

6. 手術療法(外科的治療)

6.1 手術の適応

以下の場合、手術を検討します:

  • 薬物療法抵抗性:PPI倍量でも効果不十分
  • 重度の食道裂孔ヘルニア
  • バレット食道:前癌病変
  • 若年者:長期薬物療法を避けたい
  • 薬剤副作用:PPIの長期使用が困難
  • 呼吸器合併症:誤嚥性肺炎、喘息の悪化

6.2 腹腔鏡下噴門形成術(ニッセン法)

現在の標準手術です。

手術の概要

  • 術式:胃底部を食道に巻き付け、LESを補強
  • アプローチ:腹腔鏡(5~10mm × 4~5か所)
  • 手術時間:約2~3時間
  • 入院期間:5~7日間

ニッセン法の種類

  • 完全噴門形成術:360度巻き付け
  • 部分噴門形成術(Toupet法):270度巻き付け
  • Dor法:180度巻き付け

6.3 手術の効果

  • 症状改善率:85~90%
  • 薬剤からの離脱:約80%
  • QOL改善:明らか

6.4 手術の合併症

術中合併症

  • 出血:約1%
  • 臓器損傷:食道、胃、脾臓(約1~2%)

術後合併症

  • 嚥下困難:一過性(約10~15%)、持続性(約3~5%)
  • ガス膨満症候群:ゲップができない(約5~10%)
  • 下痢:一過性(約10%)
  • 再発:約5~10%(5年以内)

6.5 その他の手術法

LINX手術(磁気括約筋増強術)

磁気ビーズのリングをLES周囲に装着し、逆流を防ぎます。

  • 利点:低侵襲、ゲップ可能
  • 欠点:MRI撮影に制限

Stretta手術(高周波治療)

内視鏡的にLESに高周波を当て、組織を引き締めます。

  • 利点:外科的侵襲なし
  • 欠点:効果が限定的、再発率高い

 

 

7. 合併症と長期管理

7.1 逆流性食道炎の合併症

適切な治療を行わないと、以下の合併症が生じる可能性があります。

食道狭窄

慢性的な炎症により、食道が瘢痕化して狭くなる状態です。

  • 症状:嚥下困難、食べ物のつかえ
  • 頻度:約5~10%
  • 治療:内視鏡的拡張術、PPI長期投与

バレット食道

食道粘膜が胃粘膜様の円柱上皮に置き換わる状態で、食道腺癌の前癌病変です。

  • 有病率:GERD患者の約10~15%
  • 癌化率:年間0.1~0.5%
  • 診断:内視鏡検査+生検
  • 管理:定期的な内視鏡サーベイランス(1~3年ごと)
  • 治療:PPI長期投与、異形成があれば内視鏡的切除

食道腺癌

バレット食道から発生する癌で、欧米で急増しています。

  • リスク因子:バレット食道、長期GERD、肥満、喫煙
  • 症状:嚥下困難、体重減少、胸痛
  • 予後:早期発見で5年生存率80%以上

呼吸器合併症

  • 慢性咳嗽:夜間の逆流による刺激
  • 喘息の悪化:約70%のGERD患者が喘息症状
  • 誤嚥性肺炎:高齢者で注意
  • 特発性肺線維症:GERDとの関連が指摘

7.2 長期管理の重要性

逆流性食道炎は慢性疾患であり、長期的な管理が必要です。

定期フォローアップ

  • 軽症~中等症:年1回の診察
  • 重症:3~6か月ごとの診察
  • バレット食道:1~3年ごとの内視鏡検査

内視鏡サーベイランス

以下の場合、定期的な内視鏡検査が推奨されます:

  • バレット食道:1~3年ごと
  • 高度異形成:3~6か月ごと
  • 食道狭窄:拡張術後のフォロー

7.3 再発予防

薬剤中止後の再発率は50~80%と高いため、以下の対策が重要です。

維持療法またはオンデマンド療法

  • 重症例:維持療法(PPI半量または標準用量を継続)
  • 軽症~中等症:オンデマンド療法(症状時のみ服用)

生活習慣の継続

  • 体重管理
  • 食事療法
  • 禁煙・節酒
  • 就寝時の上体挙上

8. 最新治療とエビデンス(2026年版)

8.1 ボノプラザン(タケキャブ)の普及

2015年に登場したボノプラザンは、従来のPPIを上回る効果が確認されています。

最新のエビデンス

  • 治癒率:8週間で95%以上(従来PPI:80~90%)
  • 症状改善:投与初日から効果発現
  • 維持療法:再発率が従来PPIより低い

8.2 LINX手術の進化

磁気括約筋増強術(LINX)は、欧米で2012年に承認され、日本でも導入が進んでいます。

最新の成績

  • 症状改善率:約85%
  • PPI離脱率:約75%
  • 嚥下困難:ニッセン法より少ない
  • 再手術率:約5%

8.3 内視鏡的抗逆流粘膜切除術(ARMS)

日本で開発された新しい内視鏡治療です。

ARMSの特徴

  • 方法:内視鏡で食道胃接合部の粘膜を切除し、瘢痕化させてLESを強化
  • 利点:外科的侵襲なし、入院不要
  • 効果:症状改善率70~80%
  • 課題:長期成績の蓄積が必要

8.4 カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)

ボノプラザンに続く新世代のP-CABが開発中です。

開発中の薬剤

  • テゴプラザン:韓国で承認済み
  • フェキソプラザン:臨床試験中

8.5 腸内細菌叢と逆流性食道炎

最新の研究で、腸内細菌叢の乱れが逆流性食道炎に関与することが判明しています。

プロバイオティクスの可能性

  • 乳酸菌・ビフィズス菌の補充
  • PPIの副作用軽減:腸内細菌叢の改善
  • 炎症抑制効果

8.6 個別化医療(プレシジョン・メディシン)

遺伝子情報に基づく治療の研究が進んでいます。

CYP2C19遺伝子多型

  • Rapid Metabolizer(RM):PPIの効果が低い→ボノプラザンが有効
  • Poor Metabolizer(PM):PPIの効果が高い

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 逆流性食道炎は完治しますか?

A. 完治は難しく、再発率が高い慢性疾患です。

薬物療法で症状は改善しますが、薬剤中止後の再発率は50~80%です。生活習慣改善と維持療法の継続が重要です。

Q2. PPIはいつまで飲み続ける必要がありますか?

A. 重症度と症状により異なります。

  • 軽症~中等症:4~8週間の初期治療後、オンデマンド療法に移行可能
  • 重症・バレット食道:長期維持療法が推奨(数年~生涯)

Q3. PPIの長期使用は安全ですか?

A. 多くの研究で、適切な使用であれば安全性は高いと確認されています。

骨折リスク、ビタミンB12欠乏などの報告がありますが、頻度は低く、定期的な検査でモニタリング可能です。

Q4. 市販薬で治療できますか?

A. 軽症であれば市販薬で一時的な改善は可能ですが、根本的な治療には医療機関の受診が必要です。

  • 市販薬:ガスター10(H2ブロッカー)、太田胃散(制酸薬)
  • 受診が必要な症状:2週間以上続く胸やけ、嚥下困難、体重減少

Q5. 妊娠中の逆流性食道炎はどうすればよいですか?

A. 妊娠中は安全性の高いH2ブロッカーが推奨されます。

  • 第一選択:H2ブロッカー(ファモチジン)
  • PPIの使用:必要な場合は主治医と相談
  • 生活習慣改善:上体挙上、少量頻回食、左側臥位

Q6. コーヒーは絶対に飲んではいけませんか?

A. 絶対ではありませんが、症状がある場合は控えましょう。

カフェインレスコーヒーやデカフェに変更する、1日1杯程度に制限するなどの工夫が有効です。

Q7. 運動は逆流性食道炎に良いですか?

A. 適度な運動は有効ですが、激しい運動や食後すぐの運動は避けましょう。

  • 推奨:ウォーキング、水泳、軽いジョギング
  • 避ける:腹圧がかかる運動(腹筋運動、重量挙げ)、食後2時間以内の運動

Q8. ストレスと逆流性食道炎の関係は?

A. ストレスは胃酸分泌を亢進させ、症状を悪化させます。

ストレス管理(十分な睡眠、リラクゼーション、趣味の時間)が重要です。心因性の要因が強い場合は、心療内科との連携も検討します。

10. まとめ:逆流性食道炎の適切な治療で快適な生活を

逆流性食道炎は、現代人に急増している慢性疾患ですが、適切な治療と生活習慣改善により、症状をコントロールできます。

逆流性食道炎治療の重要ポイント

  1. 薬物療法:PPIが第一選択、ボノプラザン(タケキャブ)が最新
  2. 生活習慣改善:体重管理、食事療法、禁煙・節酒、上体挙上
  3. 手術療法:薬物療法抵抗性、若年者、バレット食道に検討
  4. 長期管理:維持療法またはオンデマンド療法、定期的なフォローアップ
  5. 合併症予防:バレット食道の内視鏡サーベイランス

当クリニックでの診療

AIプラスクリニックたまプラーザでは、消化器専門医による逆流性食道炎の診断・治療を行っています。

  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ):鼻からの経鼻内視鏡も可能
  • PPIテスト:診断的治療
  • 個別化治療:患者様の症状・重症度に応じた最適な治療
  • 生活習慣指導:栄養士・看護師による丁寧なサポート
  • 手術が必要な場合:連携病院をご紹介

こんな症状があれば、すぐにご相談ください

  • 胸やけが週2回以上ある
  • 酸っぱいものが喉まで上がってくる
  • 食べ物がつかえる感じがする
  • 夜間の咳や喘息様症状がある
  • 市販薬では改善しない
  • 体重が減少している

「たかが胸やけ」と放置せず、早めに消化器内科を受診しましょう。適切な治療で、快適な生活を取り戻すことができます。

記事監修

佐藤 靖郎
医療法人社団康悦会 理事長
医学博士
臨床経験30年以上

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神奈川県横浜市青葉区美しが丘1-5-2
TEL: 045-909-0117
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