
大腸がんの初期症状を医学博士が徹底解説|早期発見のサインと検査・治療法完全ガイド
1. 大腸がんとは?基礎知識と疫学
1-1. 大腸がんの定義
大腸がん(colorectal cancer)は、大腸粘膜から発生する悪性腫瘍です。以下の特徴があります:
大腸がんの主な特徴
- 発生部位: 結腸がん(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)、直腸がん
- 発生メカニズム: 約80%は腺腫(良性ポリープ)から癌化(腺腫-癌シークエンス)
- 進行速度: 腺腫から癌化まで通常5〜10年(早期発見の機会あり)
- 転移経路: リンパ行性転移、血行性転移(肝臓・肺)、腹膜播種
1-2. 日本における疫学データ
国立がん研究センターの最新統計(2023年)によると、大腸がんの発生状況は以下の通りです:
| 項目 | データ |
|---|---|
| 年間罹患数 | 約150,000人(2023年) |
| 年間死亡数 | 約52,000人(がん死亡原因第2位) |
| 罹患率ランキング | 男性3位、女性2位 |
| 発症年齢(ピーク) | 60〜70代(50歳以降に急増) |
| 男女比 | 約1.5:1(男性にやや多い) |
| 好発部位 | S状結腸・直腸(約60%)、上行結腸(20%) |
| 5年生存率(全体) | 約70%(早期発見で95%以上) |
※参考: 国立がん研究センター「がん統計」、日本大腸肛門病学会
1-3. 大腸がんの発生メカニズム
大腸がんの約80%は、腺腫(良性ポリープ)→異型度増加→癌化という過程を経て発生します。これを「腺腫-癌シークエンス(adenoma-carcinoma sequence)」と呼びます。
🔬 腺腫から大腸がんへの進展過程
- 正常粘膜
- ↓ 遺伝子変異(APC遺伝子)
- 小さな腺腫(5mm以下)
- ↓ さらなる遺伝子変異の蓄積(K-ras、DCC、p53など)
- 大きな腺腫(10mm以上)、異型度増加
- ↓ 高度異型
- 早期大腸がん(粘膜内・粘膜下層浸潤)
- ↓ 深達度増加
- 進行大腸がん(筋層・漿膜浸潤、リンパ節・遠隔転移)
💡 この過程は通常5〜10年かかるため、定期的な大腸内視鏡検査でポリープを切除すれば、大腸がんの90%以上が予防可能
⚠️ 早期発見の重要性
大腸がんは、以下の理由から早期発見が極めて重要です:
- ステージ0〜I(早期がん): 5年生存率95%以上
- ステージIV(進行がん・転移あり): 5年生存率15〜20%
- 早期がんは内視鏡切除で完治可能(開腹手術不要)
- 定期検診で早期発見率80%以上
→ 50歳以上は5年に1回の大腸内視鏡検査が推奨
2. 大腸がんの初期症状|7つの重要なサイン
大腸がんの初期症状は非常に分かりにくく、早期では無症状のことが多いです。しかし、以下のサインが2週間以上続く場合は、必ず医療機関を受診してください。
2-1. 血便・下血(最も重要な初期サイン)
📌 症状の特徴
- 出現率: 大腸がん患者の70〜80%に出現
- 血便の色:
- 左側大腸・直腸がん: 鮮血便(赤い血)、便の表面に付着
- 右側大腸がん: 暗赤色便・黒色便(タール便)、便全体が黒っぽい
- 特徴: 持続性(1〜2回で終わらない)、痛みを伴わないことが多い
🔬 発生メカニズム
- がん組織の脆弱性 → 便の通過時に出血
- 腫瘍表面の潰瘍形成 → 持続的な出血
- 腫瘍血管の破綻 → 大量出血(まれ)
💡 痔との鑑別ポイント
| 項目 | 痔(いぼ痔・切れ痔) | 大腸がん |
|---|---|---|
| 出血のタイミング | 排便時のみ | 排便時以外も血便 |
| 血の色 | 鮮血(便器・紙に付着) | 便に混じる(暗赤色〜黒色も) |
| 痛み | あり(特に切れ痔) | なし(初期) |
| その他の症状 | 肛門の腫れ・痒み | 便通異常・体重減少 |
⚠️ 「痔だと思っていたら大腸がんだった」というケースが多数報告されています。血便が続く場合は必ず大腸内視鏡検査を受けてください。
2-2. 便通異常(便秘と下痢の交替)
📌 症状の特徴
- 出現率: 大腸がん患者の40〜60%
- パターン:
- 便秘と下痢の交替(最も特徴的)
- 慢性便秘(特に左側大腸がん)
- 原因不明の下痢(3週間以上持続)
- 特徴: 今まで便通が正常だった人に突然起こる
🔬 発生メカニズム
- 腫瘍による腸管狭窄 → 便秘
- 腸管運動の異常 → 下痢
- 粘液分泌の増加 → 粘液便・下痢
- 狭窄部より口側の便貯留 → 便秘後に下痢(交替)
2-3. 便が細くなる(鉛筆状便)
📌 症状の特徴
- 出現率: 大腸がん患者の20〜30%(特に左側大腸・直腸がん)
- 外観: 鉛筆のように細い便、平べったい便
- 意味: 腸管狭窄のサイン(腫瘍が腸管内腔を狭くしている)
💡 正常な便との比較
- 正常な便: 直径2〜3cm、バナナ状
- 細い便: 直径1cm以下、鉛筆状・紐状
⚠️ 便が細くなる症状は要注意
便が細くなる症状が2週間以上続く場合、大腸がんによる腸管狭窄の可能性があります。放置すると腸閉塞に至ることもあるため、速やかに医療機関を受診してください。
2-4. 腹痛・腹部違和感
📌 症状の特徴
- 出現率: 大腸がん患者の30〜50%
- 部位:
- 右側大腸がん: 右下腹部痛
- 左側大腸がん: 左下腹部痛
- 直腸がん: 下腹部全体の鈍痛
- 性質: 持続性の鈍痛、間欠的な痙攣性疼痛
- 増悪因子: 食後、排便前
🔬 発生メカニズム
- 腫瘍の増大 → 腸管壁の伸展 → 鈍痛
- 腸管狭窄 → 腸管内圧上昇 → 痙攣性疼痛
- 腫瘍の漿膜浸潤 → 腹膜刺激 → 持続痛
- 腸閉塞 → 激痛・腹部膨満
2-5. 原因不明の貧血
📌 症状の特徴
- 出現率: 大腸がん患者の40〜60%(特に右側大腸がん)
- タイプ: 鉄欠乏性貧血
- 症状: 動悸、息切れ、疲労感、めまい、顔面蒼白
- 検査値: ヘモグロビン<10 g/dL(中等度〜重度貧血)
🔬 発生メカニズム
腫瘍からの慢性的な微量出血が続くことで、徐々に鉄が失われ、鉄欠乏性貧血に至ります。特に右側大腸がんでは、便が液状のため血便に気づきにくく、貧血が初発症状となることが多いです。
⚠️ 原因不明の貧血は大腸がんを疑う
特に50歳以上の男性で、原因不明の鉄欠乏性貧血がある場合、必ず大腸内視鏡検査を受けてください。食事摂取が十分なのに貧血が進行する場合は、消化管出血(大腸がん、胃がん等)の可能性があります。
2-6. 体重減少
📌 症状の特徴
- 出現率: 大腸がん患者の30〜50%(進行がんで高頻度)
- 程度: 3ヶ月で5kg以上、6ヶ月で10kg以上の減少
- 原因: 食欲不振、がん悪液質、栄養吸収障害
🔬 発生メカニズム
- がん細胞の増殖 → エネルギー消費増加
- 炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)の産生 → 筋肉分解、脂肪分解
- 食欲不振 → 摂取カロリー減少
- 腸管狭窄 → 食事摂取困難
2-7. 残便感・テネスムス(しぶり腹)
📌 症状の特徴
- 出現率: 直腸がん患者の50〜70%
- 症状: 便意を感じるのに便がほとんど出ない、少量の粘血便のみ
- 頻度: 1日10回以上トイレに行くことも
- 特徴: 直腸がんに特徴的な症状
🔬 発生メカニズム
直腸内の腫瘍が直腸粘膜を刺激することで、常に「便が溜まっている」という感覚(偽便意)が生じます。実際には便は少量しかないため、排便しても残便感が残ります。
※関連記事: 大腸ポリープの症状と治療、潰瘍性大腸炎の症状
3. 大腸がんの進行症状|見逃せないサイン
大腸がんが進行すると、以下のような症状が出現します。これらの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診してください。
3-1. 腸閉塞(イレウス)
📌 症状の特徴
- 激しい腹痛(間欠的な痙攣性疼痛)
- 腹部膨満(お腹がパンパンに張る)
- 嘔吐(腸内容物の逆流)
- 排便・排ガス停止
🔬 発生メカニズム
腫瘍が腸管内腔を完全に閉塞し、便や腸液が通過できなくなります。緊急手術が必要となることが多いです。
🚨 緊急受診が必要な症状
- 激しい腹痛が持続(6時間以上)
- 腹部全体が硬く膨満
- 嘔吐を繰り返す
- 排便・排ガスが全くない
→ 直ちに救急外来を受診してください
3-2. 穿孔(せんこう)
📌 症状の特徴
- 突然の激しい腹痛
- 発熱(38℃以上)
- 腹膜刺激症状(腹部全体が板のように硬い)
- ショック症状(血圧低下、冷や汗)
🔬 発生メカニズム
腫瘍が腸管壁を貫通し、腸内容物が腹腔内に漏れ出します。腹膜炎・敗血症を引き起こし、生命に危険が及ぶため、緊急手術が必要です。
3-3. 転移症状
📌 肝転移
- 右季肋部痛、肝腫大
- 黄疸(皮膚・眼球が黄色くなる)
- 腹水、肝機能障害
📌 肺転移
- 咳、血痰
- 呼吸困難、胸痛
📌 腹膜播種
- 腹水貯留、腹部膨満
- 全身倦怠感、悪液質
※関連記事: クローン病の症状、過敏性腸症候群の症状
4. 大腸がんのステージ分類と予後
4-1. TNM分類とステージ
大腸がんのステージは、T(腫瘍の深達度)、N(リンパ節転移)、M(遠隔転移)の3要素で決定されます。
| ステージ | 深達度(T) | リンパ節転移(N) | 遠隔転移(M) | 5年生存率 |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 粘膜内(Tis) | なし(N0) | なし(M0) | ほぼ100% |
| I | 粘膜下層〜筋層(T1-2) | なし(N0) | なし(M0) | 95%以上 |
| II | 漿膜下層〜漿膜(T3-4a) | なし(N0) | なし(M0) | 85〜90% |
| III | T1-4 | あり(N1-2) | なし(M0) | 70〜80% |
| IV | T any | N any | あり(M1) | 15〜20% |
4-2. ステージ別の治療方針
📌 ステージ0〜I(早期がん)
- 治療: 内視鏡的切除(EMR、ESD)または手術
- リンパ節郭清: 不要または縮小郭清
- 予後: 5年生存率95%以上、ほぼ完治
📌 ステージII(進行がん・リンパ節転移なし)
- 治療: 手術(結腸切除術・直腸切除術)
- 術後化学療法: 高リスク症例で検討
- 予後: 5年生存率85〜90%
📌 ステージIII(リンパ節転移あり)
- 治療: 手術 + 術後化学療法(FOLFOX、CapeOX等)
- 化学療法期間: 6ヶ月
- 予後: 5年生存率70〜80%
📌 ステージIV(遠隔転移あり)
- 治療: 化学療法 + 分子標的薬 ± 手術(転移巣切除可能な場合)
- 薬剤: FOLFOX/FOLFIRI + ベバシズマブ/セツキシマブ等
- 予後: 5年生存率15〜20%(切除可能転移では30〜40%)
💡 早期発見の重要性
ステージ0〜Iの早期がんで発見されれば、5年生存率95%以上、ほぼ完治が期待できます。一方、ステージIVまで進行すると、5年生存率は15〜20%まで低下します。早期発見が生存率を大きく左右するため、定期的な検診が極めて重要です。
5. 大腸がんの検査・診断|早期発見の方法
5-1. 便潜血検査(一次スクリーニング)
📌 検査の特徴
- 方法: 便中のヘモグロビン(血液)を免疫法で検出
- 費用: 約1,000〜2,000円(保険適用)
- 精度: 大腸がんの検出率60〜80%、進行がんで90%
- 利点: 簡便、非侵襲的、自宅で採取可能
- 欠点: 早期がん・ポリープは検出困難(検出率20〜40%)、偽陰性あり
⚠️ 便潜血陰性でも安心できない
便潜血検査が陰性でも、大腸がんや大腸ポリープが存在する可能性があります。50歳以上は、便潜血検査の結果に関わらず、5年に1回の大腸内視鏡検査が推奨されます。
5-2. 大腸内視鏡検査(確定診断・最重要)
📌 検査の特徴
- 方法: 肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を観察
- 所要時間: 20〜40分
- 費用: 3割負担で約6,000〜10,000円(観察のみ)
- 精度: 最も正確、診断と治療を同時に実施可能
- 生検: 疑わしい病変があれば組織を採取 → 病理診断
📌 内視鏡所見の評価
- 腫瘍の位置: 盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸
- 大きさ: mm単位で計測
- 形態: 0型(表在型)、1型(腫瘤型)、2型(潰瘍限局型)、3型(潰瘍浸潤型)、4型(びまん浸潤型)
- 色調: 発赤、白色、褐色
- 表面性状: 平滑、顆粒状、潰瘍形成
5-3. CT・MRI検査(病期診断)
📌 CT検査
- 目的: 腫瘍の深達度評価、リンパ節転移、遠隔転移(肝臓・肺)の検索
- 方法: 造影CT(ヨード造影剤静注後に撮影)
- 精度: リンパ節転移の検出率60〜70%、肝転移の検出率80〜90%
📌 MRI検査
- 目的: 直腸がんの局所浸潤評価(特に肛門近くの腫瘍)
- 利点: 軟部組織のコントラストに優れる、放射線被曝なし
- 適応: 直腸がん、肝転移の詳細評価
5-4. 腫瘍マーカー
📌 主な腫瘍マーカー
- CEA(癌胎児性抗原): 正常値<5 ng/mL、大腸がんで上昇(60〜70%)
- CA19-9: 正常値<37 U/mL、消化器癌のマーカー
📌 腫瘍マーカーの限界
- 早期がんでは上昇しないことが多い(感度50%以下)
- 進行がんで上昇(感度60〜70%)
- 診断には不向き → 主に術後の再発モニタリングに使用
💡 大腸がんの確定診断には、大腸内視鏡検査+生検が必須です。
5-5. PET-CT検査
📌 検査の特徴
- 目的: 全身の転移巣検索、再発診断
- 方法: 放射性ブドウ糖(FDG)を静注し、がん細胞の集積を画像化
- 利点: 全身を一度に評価可能
- 欠点: 高額(自費で約10万円)、保険適用は限定的
6. 大腸がんの治療法|最新のアプローチ
6-1. 内視鏡的切除(早期がんの第一選択)
📌 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
- 適応: 10〜20mmの早期がん、粘膜内癌
- 方法: 粘膜下層に生理食塩水を注入し、スネアで切除
- 利点: 入院1〜3日、体への負担が少ない
📌 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
- 適応: 20mm以上の早期がん、粘膜内癌
- 方法: 電気メスで粘膜下層を剥離し、一括切除
- 利点: 一括切除可能、再発率低い(2〜3%)
- 欠点: 高難度、時間がかかる(1〜3時間)、穿孔リスク(2〜5%)
6-2. 外科手術
📌 腹腔鏡下手術
- 適応: ステージ0〜III
- 方法: 腹部に5〜10mmの小さな穴を開け、カメラと鉗子を挿入して手術
- 術式: 結腸切除術、直腸切除術、リンパ節郭清
- 利点: 創が小さい、術後疼痛軽減、回復早い(入院7〜10日)
📌 ロボット支援手術
- 適応: 直腸がん(特に肛門に近い腫瘍)
- 方法: ダ・ヴィンチ手術システムを使用
- 利点: 精密な操作、肛門温存率向上、神経温存
- 欠点: 高額(保険適用あり)、限られた施設のみ
📌 開腹手術
- 適応: 進行がん、腹腔鏡手術困難例、緊急手術(穿孔・腸閉塞)
- 方法: 腹部を10〜20cm切開し、腫瘍を切除
- 入院: 10〜14日
📌 人工肛門(ストーマ)
- 適応: 肛門に近い直腸がん、肛門温存困難例、緊急手術
- 種類: 永久ストーマ、一時的ストーマ(吻合部保護、後に閉鎖)
- 生活: ストーマケアの習得、専門看護師(WOCナース)のサポートあり
6-3. 化学療法
📌 術後補助化学療法(アジュバント療法)
- 適応: ステージIII、高リスクステージII
- 目的: 微小転移の根絶、再発予防
- レジメン:
- FOLFOX(フォルフォックス): 5-FU + ロイコボリン + オキサリプラチン
- CapeOX(ケープオックス): カペシタビン + オキサリプラチン
- UFT/LV: UFT + ロイコボリン(経口薬)
- 期間: 6ヶ月
- 効果: 再発リスク30〜40%減少
📌 進行・再発大腸がんに対する化学療法
- 適応: ステージIV、術後再発
- レジメン:
- FOLFOXまたはFOLFIRI(フォルフィリ)
- 分子標的薬の併用:
- ベバシズマブ(アバスチン®): 血管新生阻害薬
- セツキシマブ(アービタックス®): EGFR阻害薬(RAS野生型のみ)
- パニツムマブ(ベクティビックス®): EGFR阻害薬
- ラムシルマブ(サイラムザ®): VEGFR-2阻害薬
- 効果: 生存期間延長(中央値24〜30ヶ月)
6-4. 放射線療法
📌 直腸がんの術前化学放射線療法
- 適応: 進行直腸がん(ステージII〜III)
- 目的: 腫瘍縮小、局所再発率低下、肛門温存率向上
- 方法: 放射線照射(45〜50Gy)+ 5-FU系抗がん剤
- 効果: 局所再発率40% → 10〜15%に低下
6-5. 免疫療法
📌 免疫チェックポイント阻害薬
- 適応: MSI-High(マイクロサテライト不安定性高頻度)の大腸がん(全体の約5%)
- 薬剤:
- ニボルマブ(オプジーボ®)
- ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)
- イピリムマブ(ヤーボイ®)+ ニボルマブ併用
- 効果: 奏効率40〜55%、持続的な効果
7. 大腸がんのリスク因子と予防法
7-1. リスク因子
📌 変更不可能なリスク因子
- 年齢: 50歳以上でリスク急増
- 家族歴: 第一度近親者に大腸がん患者がいるとリスク2〜3倍
- 遺伝性大腸がん症候群:
- 家族性大腸腺腫症(FAP): APC遺伝子変異、100%大腸がん化
- リンチ症候群: MMR遺伝子変異、大腸がんリスク70〜80%
- 炎症性腸疾患: 潰瘍性大腸炎・クローン病の長期罹患(10年以上)
📌 変更可能なリスク因子
- 肥満: BMI≥25でリスク1.5倍、BMI≥30で2倍
- 喫煙: リスク1.5〜2倍、特に若年発症リスク高い
- 過度の飲酒: 1日エタノール換算50g以上でリスク1.5倍
- 赤肉・加工肉の過剰摂取: 週500g以上でリスク1.3〜1.5倍
- 運動不足: リスク1.3〜1.5倍
- 糖尿病: リスク1.3〜1.5倍
7-2. 予防法
🔹 食事
- 推奨:
- 食物繊維を多く摂る(野菜・果物・全粒穀物): 1日25〜30g
- 魚・鶏肉中心の食事
- カルシウム・ビタミンD補給(乳製品、サプリメント)
- ヨーグルト・発酵食品(腸内環境改善)
- 避ける:
- 赤肉(牛肉・豚肉・羊肉)の過剰摂取(週500g以下)
- 加工肉(ソーセージ・ハム・ベーコン)
- 過度のアルコール(1日エタノール換算20g以下)
- 高脂肪食、揚げ物
🔹 運動
- 推奨: 週150分以上の中等度運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)
- 効果: 大腸がんリスク20〜30%減少
🔹 体重管理
- 目標: BMI 18.5〜24.9(適正体重維持)
- 肥満のリスク: BMI≥30で大腸がんリスク2倍
🔹 禁煙
- 喫煙のリスク: 大腸がんリスク1.5〜2倍
- 禁煙の効果: 禁煙10年後にリスクが非喫煙者と同程度に低下
🔹 大腸ポリープの切除
- 効果: 大腸がんリスク80〜90%減少
- 推奨: 大腸内視鏡検査で発見されたポリープは切除
7-3. スクリーニング(早期発見)
📅 推奨されるスクリーニング
- 40歳以上: 年1回の便潜血検査
- 50歳以上: 5年に1回の大腸内視鏡検査(初回)
- 大腸がんの家族歴あり: 40歳または家族の発症年齢-10歳のいずれか早い方から大腸内視鏡検査
- 遺伝性大腸がん症候群(FAP、リンチ症候群): 10〜20代から定期的な内視鏡検査
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病): 発症後8〜10年から1〜2年毎の内視鏡検査
💡 大腸内視鏡検査による早期発見・早期切除で、大腸がんの発生を80〜90%予防できます。
※関連記事: 胃に優しい食べ物の選び方、善玉菌を増やす方法
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 大腸がんの初期症状はありますか?
A. 大腸がんの初期症状は非常に分かりにくく、早期では無症状のことが多いです。主な初期サインとしては、血便(便に血が混じる)、便通異常(便秘と下痢の交替)、便が細くなる、腹部違和感、原因不明の貧血などがあります。これらの症状が2週間以上続く場合は、必ず医療機関を受診してください。
Q2. 大腸がんの血便はどんな色ですか?
A. 大腸がんの血便の色は、がんの発生部位によって異なります。
左側大腸・直腸がん: 鮮血便(赤い血)、便の表面に付着
右側大腸がん: 暗赤色便・黒色便(タール便)、便全体が黒っぽい
痔との違い: 痔は排便時のみ出血、大腸がんは便に血が混じる
血便が続く場合は必ず大腸内視鏡検査を受けてください。
Q3. 大腸がんは早期発見できれば治りますか?
A. はい、大腸がんは早期発見できれば治癒率が非常に高いがんです。
ステージ0(上皮内がん): 5年生存率ほぼ100%、内視鏡切除で完治
ステージI: 5年生存率95%以上、手術で完治可能
ステージII: 5年生存率85〜90%
定期的な大腸内視鏡検査により、大腸がんの90%以上が予防・早期発見可能です。
Q4. 大腸がんになりやすい人の特徴は?
A. 大腸がんのリスクが高い人の特徴:
① 50歳以上
② 大腸がん・大腸ポリープの家族歴あり
③ 肥満(BMI≥25)
④ 喫煙
⑤ 過度の飲酒
⑥ 赤肉・加工肉の過剰摂取
⑦ 運動不足
⑧ 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の既往
これらに該当する方は、40歳から定期的な大腸内視鏡検査を推奨します。
Q5. 大腸がん検診は何歳から受けるべきですか?
A. 40歳以上: 年1回の便潜血検査
50歳以上: 5年に1回の大腸内視鏡検査(初回)
大腸がんの家族歴あり: 40歳または家族の発症年齢-10歳から大腸内視鏡検査開始
便潜血検査陽性の場合: 年齢に関わらず速やかに大腸内視鏡検査を受けてください。早期発見により治癒率90%以上が期待できます。
Q6. 大腸がんの手術後の生活はどうなりますか?
A. 大腸がん手術後の生活は、手術方法により異なります。
腹腔鏡手術: 術後1〜2週間で退院、1ヶ月で通常生活復帰
人工肛門なし: ほぼ通常の生活可能、排便回数が増える場合あり(徐々に改善)
人工肛門(ストーマ)造設: ストーマケアの習得が必要、専門看護師のサポートあり
定期的なフォローアップ(3〜6ヶ月毎)で再発チェックが重要です。
まとめ|早期発見が命を救う
大腸がんは日本人のがん罹患数で上位を占めますが、早期発見できれば治癒率90%以上と極めて予後の良いがんです。以下のポイントを押さえましょう:
- 初期症状は分かりにくい → 無症状のことが多い
- 血便・便通異常・便が細くなるなどのサインを見逃さない
- 50歳以上は5年に1回の大腸内視鏡検査を受ける
- 便潜血検査陽性なら必ず大腸内視鏡検査を受ける
- 家族歴がある方は40歳から検査開始
- 大腸ポリープを切除すれば大腸がんの90%が予防可能
- 生活習慣の改善(食物繊維、運動、禁煙、適正体重)
- ステージ0〜Iで発見されれば5年生存率95%以上
血便・便通異常・原因不明の貧血などの症状がある場合、「ただの便秘」「痔だろう」と自己判断せず、早めに消化器内科を受診してください。30年以上の臨床経験を持つ専門医として、大腸がんの早期発見・早期治療により、あなたとご家族の命を守るお手伝いをいたします。
免責事項
本記事は医学的情報の提供を目的としており、特定の治療法や医薬品の使用を推奨するものではありません。症状や治療法については、必ず医師にご相談ください。自己判断での治療中断や薬の変更は危険です。
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