膵臓の読み方と膵臓がんの基礎知識を解説
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「膵臓」という漢字を見て、読み方に迷った経験はありませんか。正解は「すいぞう」です。読み方がわかれば、インターネットや医師からの説明も格段に理解しやすくなります。本記事では、膵臓の読み方・場所・役割といった基礎から、膵臓がんの特徴・検査・治療の考え方まで、患者さんとご家族が知っておきたい要点を整理します。個別の診断や治療方針は必ず主治医・専門医にご相談ください。
膵臓がんに関するより詳しい情報は、膵臓がんの基礎知識・全体像をまとめた解説ページもあわせてご参照ください。
膵臓の読み方は「すいぞう」|まずは基本の意味を確認
漢字の読み方と、「膵臓」「すい臓」の表記の違い
「膵臓」は「すいぞう」と読みます。「膵」は音読みで「すい」、「臓」は「ぞう」です。医療の現場や教科書では「膵臓」と漢字表記することが多く、一般向けの情報や行政の資料では「すい臓」とひらがな交じりで書かれることもあります。どちらも同じ臓器を指しており、意味の違いはありません。
膵臓がどこにある臓器か、簡単にイメージする
膵臓は、おなかの奥深く、胃の裏側(背中側)に横たわるように位置しています。外からは触れることができず、超音波検査やCTなどの画像検査がないと確認できません。この「見えにくさ」が、膵臓の病気を早期に発見しにくい理由の一つです。
膵臓はどんな臓器?体の中での役割をやさしく整理
消化を助ける働き
膵臓は1日に約1〜1.5リットルの「膵液(すいえき)」を分泌します。膵液にはたんぱく質・脂質・糖質を分解する消化酵素が含まれており、十二指腸に流れ込んで食べ物の消化を助けます。この働きを外分泌機能といいます。
血糖を調整する働き
膵臓には「ランゲルハンス島」と呼ばれる細胞の集まりがあり、インスリン(血糖を下げる)やグルカゴン(血糖を上げる)などのホルモンを血液中に直接分泌します。この働きを内分泌機能といいます。膵臓の機能が低下すると、糖尿病の発症や悪化につながることがあります。
膵臓が「沈黙の臓器」と呼ばれる理由
膵臓はおなかの奥深くにあり、痛みを感じる神経が少ないため、異常が起きても初期段階では症状が出にくい傾向があります。そのため「沈黙の臓器」と呼ばれ、がんが発見されるころにはある程度進行していることが少なくありません。
膵臓の場所と周囲の臓器との関係
胃のうしろ・背中側にある位置関係
膵臓は胃の後ろ、脊椎(背骨)の前面に沿うように位置しており、十二指腸・胆管・脾臓・腸間膜血管など多くの重要な臓器・血管が隣接しています。膵臓の位置と周囲との関係についての詳しい解説も参考にしてください。
膵頭部・膵体部・膵尾部の違い
膵臓は大きく3つの部位に分けられます。
| 部位 | 位置 | 隣接する主な構造 |
|---|---|---|
| 膵頭部(すいとうぶ) | 右側・十二指腸に接する | 胆管・十二指腸 |
| 膵体部(すいたいぶ) | 中央部 | 腸間膜血管・脊椎前面 |
| 膵尾部(すいびぶ) | 左側・脾臓に接する | 脾臓・左腎臓 |
「膵体部癌」など部位で何が変わるのか
発生する部位によって、症状の出方や手術の術式が異なります。膵頭部癌では胆管が圧迫されて黄疸(おうだん)が比較的早期に現れやすい一方、膵体部癌や膵尾部癌は症状が出にくく、より進行した状態で発見されることが多い傾向があります。
膵臓がんとは?膵臓のどこにできるがんなのか
膵臓がんの主な種類
膵臓がんのほとんど(約90%以上)は、膵管の細胞から発生する膵管腺癌(すいかんせんがん)です。そのほかにも、嚢胞性腫瘍(IPMN・粘液性嚢胞腫瘍など)や神経内分泌腫瘍など、性質の異なる腫瘍もあります。一般に「膵臓がん」と呼ぶ場合は膵管腺癌を指すことが多いです。
膵臓癌 致死率といわれる背景
国立がん研究センターのデータ(2022年統計)によると、膵臓がんの5年相対生存率は全ステージ合計で約14%(男女計)とされており、主要ながん種の中で最も低い水準の一つです(出典:国立がん研究センター がん統計)。致死率が高いとされる背景には、早期発見の難しさと、進行が速い性質が関係しています。ただし、これはあくまで統計上の数値であり、個々の患者さんの経過を示すものではありません。
早期発見が難しいとされる理由
膵臓は体の奥にあるため、超音波検査でも見えにくい部分があります。また、がんが小さいうちは無症状であることが多く、症状が現れたころには周囲の血管や臓器に浸潤(しみ込むように広がる)していることがあります。
膵臓がんでみられることがある症状
黄疸、背中の痛み、体重減少など
膵臓がんに関連して現れることがある主な症状には以下のものがあります。
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる):胆管が詰まることで起きる
- 背中や腰の鈍痛・痛み
- 体重の減少(食欲不振を伴う場合もある)
- 腹痛・消化不良
糖尿病の悪化や急な発症に注意が必要な場合
糖尿病の急激な悪化や、高齢になってから突然糖尿病を発症した場合、膵臓の異常が関係していることがあります。糖尿病の治療中に血糖コントロールが突然崩れた場合も、主治医への相談が推奨されます。
症状があっても他の病気との区別が必要な理由
背中の痛みや食欲不振は、胃炎・胆石症・腰痛など他の疾患でも起こります。症状だけで自己判断せず、専門医の診察と適切な検査を受けることが重要です。膵臓がんが発覚するきっかけや症状についての詳しい解説もご参考ください。
膵臓がんの主な検査と診断の流れ
血液検査・画像検査の位置づけ
血液検査では、CA19-9(腫瘍マーカー)やCEA、肝機能・胆道系酵素(ALP・γ-GTPなど)が確認されます。ただし、腫瘍マーカーは早期では上昇しないこともあり、正常値でも膵臓がんを完全に否定はできません。
超音波、CT、MRI、EUSなどの役割
| 検査 | 特徴 |
|---|---|
| 腹部超音波(エコー) | 苦痛が少ない。膵臓が見えにくい場合もある |
| CT(造影含む) | 病変の範囲・血管との関係を把握しやすい |
| MRI・MRCP | 膵管・胆管の状態の評価に有用 |
| EUS(超音波内視鏡) | 内視鏡的に膵臓に近づいて詳細に観察できる |
診断は主治医の評価が前提になること
どの検査が必要かは、症状・リスク・他の検査結果などを踏まえて主治医が判断します。検査の結果や診断については、必ず担当医の説明を受けてください。
治療の考え方を基礎から理解する
手術・薬物療法・放射線療法の基本
膵臓がんの主な治療法は以下の3つです。
| 治療法 | 概要 |
|---|---|
| 手術(外科切除) | 根治を目指す最も有力な方法。切除可能かどうかが鍵 |
| 薬物療法(抗がん剤) | 切除不能例や術後補助療法として用いられる |
| 放射線療法 | 局所制御や症状緩和を目的に用いられることがある |
病期や全身状態で治療方針が変わること
治療方針は、がんの広がり(病期・ステージ)、年齢・体力(パフォーマンスステータス)、合併症の有無などを総合的に検討して決定されます。画一的な方針はなく、患者さんごとに異なります。
ガイドラインで示される標準治療の考え方
治療は、日本癌治療学会のがん診療ガイドラインや、Mindsガイドラインライブラリで示される標準治療に基づいて行われます。標準治療とは「現時点で最も科学的根拠があり、多くの患者さんに推奨される治療」を意味します。
公的データでみる膵臓がんの現状
国立がん研究センターの統計の見方
国立がん研究センター がん情報サービスでは、罹患数・死亡数・生存率などの統計データが公開されています。膵臓がんは2022年の推計で年間約4万5,000人が罹患していると示されており、死亡数の多いがん種の一つです。
余命・生存率は統計であり個人差が大きいこと
生存率のデータは集団の統計であり、個々の患者さんの経過を予測するものではありません。同じ病期でも、治療への反応や体の状態によって経過は大きく異なります。数値をそのまま自分に当てはめず、主治医と丁寧に話し合うことが大切です。
データを見るときの注意点
統計データは調査年や対象によって異なります。最新の情報は国立がん研究センターの公式サイトでご確認ください。
受診・相談の目安
どんな症状があれば受診を検討するか
以下のような症状が続く場合は、消化器内科などへの受診をご検討ください。
- 原因不明の体重減少が続いている
- 黄疸(皮膚・白目が黄色くなる)が現れた
- 背中・腰・上腹部に鈍い痛みがある
- 食欲不振・消化不良が長く続いている
家族歴や糖尿病がある人が気をつけたい点
膵臓がんには遺伝的リスクが関与する場合があります。近親者に膵臓がんの方がいる場合や、糖尿病の急激な発症・悪化がある場合は、早めに専門医へ相談することが推奨されます。
すぐに医療機関へ相談したいサイン
黄疸が急に出現した場合や、強い腹痛・背部痛が続く場合は、速やかに医療機関を受診してください。
当院での診療から
膵臓がんが心配な方に対して当院でできること
当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での胃・大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。膵臓や胆道系の異常が疑われる場合は、腹部超音波検査をはじめとした画像検査や血液検査(腫瘍マーカー含む)を組み合わせてスクリーニングを行います。
膵臓の精密検査(造影CT・MRI・EUSなど)や病理診断が必要と判断した場合は、速やかに連携先の基幹病院へご紹介します。その後は地域連携クリティカルパスを活用し、手術後のフォローアップや経過観察を当院が担当する体制を整えています。また、在宅療養支援診療所として、在宅での緩和ケアや看取りにも対応しており、病期に応じた切れ目のないサポートをご提供できます。「気になる症状がある」「健診で引っかかった」という段階でも、お気軽にご相談ください。
検査や紹介の流れ
初診時に症状・既往歴・家族歴を確認し、必要な検査をご提案します。精密検査が必要な場合は、専門病院への紹介状を作成します。
まずは主治医・専門医への相談が重要な理由
膵臓の病気は、症状や画像所見の解釈に専門的な知識が必要です。インターネットの情報だけで自己判断せず、必ず専門医の診察を受けることが大切です。
よくある質問(FAQ)
「膵臓」は何と読むのですか?
「すいぞう」と読みます。「膵」は音読みで「すい」、「臓」は「ぞう」です。「すい臓」とひらがな交じりで書かれることもありますが、同じ臓器を指します。
膵臓がんは早く見つければ治療しやすいですか?
一般的に、がんは早期に発見・治療できるほど治療の選択肢が広がる傾向があります。ただし膵臓がんは早期発見が難しい疾患の一つであり、個々の状態によって治療方針や経過は大きく異なります。統計的な傾向と個人の状況は別であることを念頭に置き、主治医と相談することが重要です。
膵体部癌と膵頭部癌では何が違いますか?
発生部位によって症状の出方と手術術式が異なります。膵頭部癌は胆管に近いため黄疸が比較的早期に現れやすく、発見の契機になることがあります。一方、膵体部癌は症状が出にくく、発見時に進行していることが多い傾向があります。手術では、膵頭部は「膵頭十二指腸切除術」、膵体部・膵尾部は「膵体尾部切除術」が選択されることが一般的です。
膵臓がんは健康診断で見つかりますか?
一般的な健康診断(胸部X線・胃透視・血液検査など)では、膵臓がんを直接発見することは難しい場合があります。腫瘍マーカー(CA19-9)が健診項目に含まれていても、早期では正常値を示すことがあります。腹部超音波検査が健診に含まれている場合、異常が検出されることもあります。気になる症状や家族歴がある方は、消化器専門医への相談をお勧めします。
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参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。