膵臓の位置はどこ?がんとの関係もあわせて解説
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「膵臓はどこにあるのだろう?」と疑問に思ったことはないでしょうか。膵臓は体の奥深くに位置するため、自覚症状が出にくく、がんが進行しやすい臓器として知られています。本記事では、膵臓の位置・形・働きをわかりやすく説明したうえで、膵臓がんとの関係や受診の目安をお伝えします。基礎的な知識を把握しておくことが、早めの受診・相談につながります。
膵臓がんの全体的な理解については、膵臓がんの基礎知識・全体像|押さえておきたい要点を医師監修で解説もあわせてご参照ください。
膵臓はどこにある?まずは体の中での位置を確認
背中側にある「お腹の奥の臓器」
膵臓は、お腹の奥——正確には後腹膜(こうふくまく)という胃の後ろ側の空間——に位置する臓器です。体の表面からは直接触れることができないほど深い場所にあり、「お腹の奥の臓器」とも表現されます。位置的には第1〜2腰椎(腰骨の上部)の高さにあり、背中に近い側に存在します。このため、膵臓に問題が生じると、みぞおちではなく背中に痛みとして現れることがあります。
胃・十二指腸・肝臓・脾臓との位置関係
膵臓の周囲には複数の臓器が隣り合っています。
| 周辺の臓器 | 膵臓との位置関係 |
|---|---|
| 胃 | 膵臓の前面(腹側)を覆うように位置する |
| 十二指腸 | 膵頭部を抱き込むように「C字型」に囲む |
| 肝臓・胆嚢 | 膵頭部の上方・右側に位置し、胆管を介して連絡する |
| 脾臓 | 膵尾部の左側に位置する |
| 大動脈・門脈 | 膵臓の背面(背中側)に沿って走行する |
この「胃に隠れた場所に存在し、周囲を多くの臓器・血管が取り囲む」構造が、膵臓の検査や手術を難しくする一因でもあります。
膵臓の形と3つの部位
膵頭部・膵体部・膵尾部とは
膵臓は全長およそ15〜20 cm、重さ約70〜100 gの細長い臓器で、大きく3つの部位に分けられます。
| 部位 | 位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| 膵頭部(すいとうぶ) | 右側・十二指腸に接する | 膵臓の中で最も太い部分 |
| 膵体部(すいたいぶ) | 中央部分 | 脊椎(背骨)の前を横切る |
| 膵尾部(すいびぶ) | 左側・脾臓に向かう | 細く先端部分 |
膵頭部が十二指腸の近くにある理由
膵臓がつくる消化酵素は、主膵管(しゅすいかん)を通り、胆管とともに十二指腸乳頭部(ファーター乳頭)へ流れ込みます。このため、消化酵素を消化の場(十二指腸)に効率よく届けるうえで、膵頭部が十二指腸のそばに存在することは理にかなっています。
膵臓の主な働き
消化を助ける消化酵素をつくる働き
膵臓の約95%は外分泌腺(がいぶんぴつせん)で構成されており、1日に約1〜1.5リットルの膵液を分泌します。膵液には、たんぱく質・脂肪・炭水化物をそれぞれ分解する酵素(トリプシン・リパーゼ・アミラーゼなど)が含まれています。
血糖を調整するホルモンをつくる働き
膵臓内に散在するランゲルハンス島(島細胞)は内分泌腺(ないぶんぴつせん)として機能し、血糖を下げるインスリンや、血糖を上げるグルカゴンなどのホルモンを血中に直接分泌します。膵臓の機能が障害されると糖尿病が発症・悪化することがあります。
膵臓とがんの関係
すい臓がんはどこから起こるのか
膵臓がん(すい臓がん)の約90%は、膵管上皮(すいかんじょうひ)に発生する「膵管腺がん(すいかんせんがん)」です(国立がん研究センター がん情報サービス参照)。膵管は膵臓全体を走行しているため、がんは膵頭部・膵体部・膵尾部のいずれにも生じる可能性があります。
膵臓がんの発症に関わるリスク因子としては、喫煙・糖尿病・慢性膵炎・家族歴・肥満などが挙げられていますが、リスク因子がない方でも発症することがあります。
膵頭部癌と膵体尾部癌で症状が異なりやすい理由
膵頭部癌(すいとうぶがん)は、胆管・十二指腸に近いため、腫瘍が大きくなる前から胆管を圧迫して黄疸(おうだん)を引き起こしやすい特徴があります。一方、膵体尾部に発生したがんは周囲に圧迫すべき胆管が少なく、症状が出にくいため発見が遅れる傾向があります。症状と部位の関係については、膵臓がんの発覚きっかけとは?症状と検査の解説もご参考ください。
膵臓がんで出やすい症状
みぞおちや背中の痛み
膵臓が後腹膜(背中側)に位置するため、痛みがみぞおち〜背中にかけてじわじわと続く形で現れることがあります。食後に悪化したり、前かがみになると和らぐように感じる方もいます。
黄疸、体重減少、食欲低下、糖尿病の悪化
| 症状 | 起こりやすい部位・背景 |
|---|---|
| 黄疸(皮膚・白目が黄色くなる) | 主に膵頭部癌で胆管が圧迫された場合 |
| 体重減少・食欲低下 | 消化酵素の分泌低下、がんによる全身への影響 |
| 糖尿病の新規発症・急速な悪化 | インスリン分泌細胞の障害、がんによるホルモン異常 |
| 便の色の変化(灰白色便) | 胆汁が腸に流れにくくなった場合 |
症状が出にくいことがある理由
膵臓は胃や腸のように直接外に開いた臓器ではなく、体の奥深くに位置します。初期段階では痛みや黄疸が現れないことも多く、「症状が出たときにはすでにある程度進行している」ケースも少なくありません。
早期発見が難しいといわれる背景
背中側にあって見つけにくい構造
膵臓は胃の後ろに隠れているため、腹部超音波(エコー)検査でも胃内のガスに妨げられて十分に観察できないことがあります。
初期症状が目立ちにくいこと
上述のとおり、膵臓がんの早期では自覚症状がほとんどない場合があります。「なんとなく背中が痛い」「体重が減ってきた」といった非特異的な症状が先行することが多く、他の消化器疾患と区別しにくいことも受診を遅らせる一因です。
健康診断や画像検査で見つかることがあるケース
近年は、健診の腹部エコー・CT検査・MRI検査で偶然発見されるケースも報告されています。糖尿病の定期検査や別の疾患の精査をきっかけに発見されることもあります。膵嚢胞(すいのうほう)などの前段階的な所見が見つかった場合は、定期的な経過観察が重要です。膵の腫瘤が疑われたときの考え方もあわせてご参照ください。
膵臓の位置から考える受診の目安
早めに受診を考えたい症状
- みぞおちから背中にかけての鈍い痛みが2週間以上続く
- 食欲が落ちて体重が1〜2か月で明らかに減少している
- もともとなかった糖尿病を突然指摘された、または血糖コントロールが急に悪化した
- 腹部エコーや健診で「膵臓に異常あり」と指摘された
すぐに医療機関へ相談したいサイン
- 皮膚や白目が黄色くなってきた(黄疸)
- 便が白っぽい・灰色がかっている(灰白色便)
- 強い腹痛が続いている
- 全身のかゆみが強い(閉塞性黄疸で起こりやすい)
上記のような症状がある場合は、できるだけ早めに内科・消化器内科へご相談ください。ご予約・お問い合わせはこちらからも受け付けています。
公的データでみる膵臓がん
がん情報サービスで確認できる基本情報
国立がん研究センター「がん情報サービス」(https://ganjoho.jp/)では、膵臓がんの発症数・治療法・生存率などの基本情報を公開しています。2024年の同センターのデータでは、膵臓がんは日本人のがん死亡数の上位を占める疾患の一つとなっています。
統計は「個人の予後」とは違うこと
生存率などの統計数値は、過去に一定期間内に治療を受けた多数の患者さんのデータを集計したものです。個々の患者さんの病状・体力・治療の選択肢などによって経過は異なり、統計値がそのまま個人の予後を示すものではありません。数値はあくまでも目安として理解し、詳細は必ず担当医にご相談ください。
当院での診療から
膵臓がんが疑われたときに行う検査の流れ
当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備えており、鎮静下での上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を日常的に実施しています。「みぞおちの痛み」「体重減少」「糖尿病の急激な悪化」などを訴えて来院された患者さんに対しては、まず問診・腹部診察を行い、必要に応じて腹部超音波検査・血液検査(腫瘍マーカーCA19-9・CEAなど)を組み合わせて精査します。
必要に応じた専門医療機関との連携
腹部エコーや血液検査で膵臓に疑わしい所見が認められた場合には、造影CT・MRI・超音波内視鏡(EUS)などのより精度の高い検査が可能な基幹病院へ速やかに紹介しています。紹介後は地域連携クリティカルパスを活用し、術後の定期フォローアップや在宅療養支援(在宅療養支援診療所として在宅緩和ケアにも対応)を当院が担う体制を整えています。
診断や治療は主治医の判断が前提であること
検査結果の解釈・治療方針の決定は、必ず担当医・専門医が患者さんの全体的な状態を踏まえて行います。本記事の情報はあくまで参考としてご活用いただき、気になる症状がある場合はまず医療機関への相談をお勧めします。
受診・相談の目安
どの診療科に相談すればよいか
内科・消化器内科・消化器外科が窓口となります。かかりつけ医がいる場合は、まずかかりつけ医に相談し、必要であれば専門科への紹介を受ける流れが一般的です。
受診時に伝えるとよい症状や経過
- 症状が始まった時期と経過(いつから・どのくらいの頻度・どのような状況で悪化するか)
- 体重の変化(kg単位で変化があれば具体的に)
- 糖尿病・慢性膵炎・胆石など既往歴
- 家族の膵臓がん歴
- 服用中の薬・健診結果・紹介状(お持ちであれば)
家族が気づいたときの対応
ご本人が「大したことではないかもしれない」と受診をためらっている場合も、ご家族が黄疸・体重減少・著しい食欲低下などの変化に気づいたときは、受診を促すことが大切です。一人で判断せず、まず相談の場を設けてみてください。
よくある質問(FAQ)
膵臓は右側と左側のどちらにありますか?
膵臓は体の中央より少し右(膵頭部)から左(膵尾部)にかけて横に走る臓器です。「右にも左にもある」と理解していただくのが正確です。右側の膵頭部は十二指腸に囲まれており、左側の膵尾部は脾臓に近い位置にあります。
胃痛や腰痛と区別する方法はありますか?
「みぞおちから背中にかけて広がる痛み」「食事と関係なく続く鈍痛」「体重減少や黄疸を伴う」場合は、胃痛・腰痛と異なる疾患の可能性を考えて受診することが重要です。ただし、症状だけで自己判断することは難しいため、2週間以上続く場合や不安がある場合は医療機関でご相談ください。
膵臓がんは健診で見つかりますか?
健診の腹部超音波検査や、他疾患の精査として行われたCT・MRIで偶然発見されることがあります。ただし、一般的な健診メニューに膵臓がんのスクリーニングが含まれていないことも多く、「健診で異常なし=膵臓に問題なし」とは必ずしも言えません。気になる症状がある場合は、健診結果に関わらず受診をご検討ください。
「膵臓がんで助かった人」はどのように考えればよいですか?
膵臓がんで助かった人の多くに共通するのは、「比較的早い段階(ステージI・IIなど)で発見され、外科的切除が可能だったケース」という傾向があります(国立がん研究センター がん情報サービス参照)。一方で、がんの状況・患者さんの体力・治療施設の選択など多くの要因が絡むため、一概に比較することは難しく、あくまでも個々の状況に応じた主治医との相談が大切です。統計はあくまで参考情報とお捉えください。
膵臓の位置を自分で確認する方法はありますか?
膵臓は体の奥に位置し、皮膚の上から直接触れて確認することはできません。おおまかな目安として、「みぞおちよりやや下・背骨のすぐ前あたり」が膵臓のある高さです。痛みや違和感をご自身で膵臓と特定することは医学的に難しいため、気になる症状がある場合は自己判断せず医療機関へご相談ください。
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参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお) 医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医 専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
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TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)
初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。